ハイスクールD×D  一誠の魔神伝説    作:新太朗

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授業参観と魔王少女

北欧最凶の魔神、一誠と今代の白龍皇のヴァーリの戦いが今まさに始まろうとしていた。一誠の手には『黒いカード』が握られていた。

流石の一誠もそのまま戦おうとは思ってはいない。コクーンを展開して『隔離空間』で戦うつもりだった。

そこならば誰にも邪魔される事は無いからだ。

 

『―――おい!ヴァーリ!』

 

一誠がコクーンを展開しようとした時、ヴァーリの連絡用の魔法陣が起動した。そこから男の声が聞こえてきた。

 

「……アザゼルか。なんだ?」

 

『ヴァーリ。お前、今どこにいる?』

 

ヴァーリに連絡してきたのは『神の子を見張る者』の総督のアザゼルだった。アザゼルはどこか焦ったような声でヴァーリに質問した。

 

「真神一誠の家だが?」

 

『な!?バカ野郎!!今すぐ帰って来い!!』

 

アザゼルはそれだけ言って声は聞こえなくなった。

 

「……そう言う訳だ。真神一誠。俺はこれで帰らせてもうよ」

 

「そうか。俺としても残念だよ。もう少し早ければ戦えただろうにな」

 

「そうだな。君との戦いは次の機会に取っておくよ。それではな」

 

ヴァーリはそれだけ言って真神家を後にした。今戦う事が出来ずに心底、残念がっていたが次戦う事を考えて笑っていた。

一誠も笑って応えるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリと出会って数日後、駒王学園はこの日授業参観を向かえた。生徒達は落ち着かないのかどこかそわそわしていた。

しかし一誠とゼノヴィアの二人は他の生徒と違って普段通りだった。

 

「授業参観か。……イッセー、こんな時はどんな事をすればいいのだ?」

 

「俺に聞かれてもな。俺は小学生の授業参観を体験する前に一樹に騙されて両親に『バケモノ』呼ばわりされて家を出たからな。今まで体験した事がないんだ」

 

「そうなのか?私もないな。元々、孤児だったので学校へ行った事がないからな」

 

こんな感じで二人は周りと違っていた。ふと、ゼノヴィアが気になった事を一誠に聞く事にした。

 

「イッセー。聞いてもいいか?」

 

「どうした?ゼノヴィア」

 

「私達の保護者が来ると聞いたが、オーディン様が来られるのか?」

 

一誠とゼノヴィアの保護者は一応、オーディンになっている。それならこの授業参観に来るのはオーディンだとゼノヴィアは思ったのだ。

 

「いや、オーディンの爺さんは来ない。ここは一応、悪魔が管理している土地だから他の神から行くなと言われているらしい。代理でヴァルキリーが来る事になっている」

 

「……そうなのか。それは少し残念だが、仕方ないな」

 

ゼノヴィアはがっかりしてが授業が始まると気持ちを切り替えて真面目に授業に取り組んでいた。

 

「皆さん。親御さんが来ているからといって緊張する必要はありませんよ」

 

一誠とゼノヴィアの担任の女教師はそう言ったが、自分の親だけならまだしも他人の親がいる状況はどう頑張っても緊張してしまう。

そんな生徒達を他所に、一誠は覚えのある魔力を感じていた。

 

(この魔力はサーゼクス・ルシファーか。それの他にも強力な魔力の持ち主がいるな)

 

二つ感じた魔力の内、一つはサーゼクスだとすぐに分かったが、もう一つが分からないでいた。

だが、特に気にせず授業に集中した。授業参観は一誠のクラスは現国だった。

一誠は元々住んでいた土地の文字だったので最初から問題なかったが、ゼノヴィアは違った。しかし、最初こそ苦戦していたが今では問題なく読み書きをこなしている。

 

「それではこれで授業は終了です。日直、挨拶を」

 

「起立!礼!」

 

「「「ありがとうございました」」」

 

授業参観は何事もなく無事に終わった。一誠とゼノヴィアは授業が終わるとすぐに教室を出てぶらぶらと歩いていた。

すると体育館近くに人だかりが出来ている事に気が付いた。そこからはパシャパシャとカメラのシャッター音が聞こえてきた。

一誠とゼノヴィアは気になってそこに近付いて見た。

そこにいたのは黒髪ツインテールの女性で、魔法少女のコスプレをして写真を撮らせていた。

 

「イッセー。あれは何をしているのだ?」

 

「コスプレの写真会だろうか?」

 

ゼノヴィアは一体何をしているのかを一誠に質問した。一誠はすぐに答えたがそもそも可笑しな事に気が付いた。

 

(どうして体育館でこんな事をしているんだ?)

 

そもそも学校でする事では無い事くらい一誠にも十分に分かっていた。そんな人だかりを散らしている人物が現れた。

 

「こらこら!ここは写真を撮る所じゃ無い!散れ散れ!!」

 

(あれはシトリー眷属の悪魔だったな)

 

人だかりを散らしているのは匙元士郎だとすぐに分かった。前に一度だけ見かけたからだ。匙は人だかりを無事に散らす事に成功していた。

 

「アンタもこんな所でそんな格好で写真を撮らせないでくれ!」

 

「これが私服なんだからしょうがないでしょ☆」

 

魔法少女の格好をした女性は可愛く舌を出していた。

 

「おい。シトリーの悪魔」

 

「え?兵藤?―――がはっ!?」

 

「……あ……やってしまった」

 

一誠は殴られて気絶してしまった匙を見下ろしていた。一樹と間違えられた一誠は、フリードの時と同じく反射的に殴ってしまったのだ。

 

「匙!?」

 

「ソーナ・シトリーか」

 

そこに現れたのは匙の主であるソーナ・シトリーだった。気絶している匙を見て驚ていた。それもそのはずだ、様子を見に来たら自分の眷属が気絶しているのだから無理もない。

 

「……真神君ですか。この状況の説明を聞いても?それと私の事は『支取蒼那』と呼んでください」

 

「分かった。こいつが気絶しているのは俺の事を一樹と間違えたからだ。殴った事は悪いと思っている」

 

「そうですか……「ソーたん見っけ!!」お姉様!?」

 

ソーナの言葉を遮り魔法少女はソーナに抱きついた。そんな魔法少女の事をソーナは「お姉様」と言った。

そんなやり取りを見れば誰にだって彼女達が姉妹である事は一目瞭然だ。

 

(と、言う事はあれがセラフォルー・レヴィアタンか)

 

一誠はソーナの姉が四大魔王の一人であるレヴィアタンだと思い出した。リアス達の情報と共にソーナの情報も念のために頭に入れていたのだ。

 

「イッセー。あの悪魔は一体?」

 

「あれが四大魔王の一人のレヴィアタンだよ」

 

「……あれが?」

 

ゼノヴィアは目の前の悪魔について一誠に思わず聞いた。そして意外な答えが返ってきた。そして自分の頭を抑えた。

 

「……あれが魔王なのか?あんなふざけた格好をする連中と戦っていたのか……なんだか自分が惨めに思えてきた」

 

「まあ、気にするな。所詮、悪魔なんて変態が大概だろうからな」

 

「私をお姉様と一緒にしないでください!?」

 

一誠とゼノヴィアの会話を聞いていたソーナが大声で否定した。それがショックだったのかセラフォルーは少し涙目になった。

 

「そ、そんな酷いよ!ソーたん!!お姉ちゃんはソーたんに喜んでもらうと思って頑張ったのに!」

 

「だ、だから!『ソーたん』と言わないでくださいとあれほど……!!」

 

今まさに姉妹ケンカが起ろうとしていた。そんな中、一誠に近付いてくる人物がいた。

 

「ここに居ましたか、イッセー君」

 

「ロスヴァイセさん」

 

彼女がオーディンの代理で一誠とゼノヴィアの授業参観を見に来ていた。

 

「あちらの方々は?」

 

セラフォルーとソーナの言い合いを見てロスヴァイセは一誠に聞いた。

 

「魔王とその妹です。それでもう帰るんですか?」

 

「ええ。私のやる事は終わったので。それに会談にはイッセー君が出る事になっていますから」

 

「分かっています。それにもしもの事があれば、そのまま三大勢力を滅ぼせばいいですから」

 

「イッセー君が言うと冗談に聞こえませんからね!?」

 

一誠が本気を出せばそれこそ、三大勢力のトップが力を合わせても『ボーン』にかすり傷を付けるのが関の山だろう。

 

「それではイッセー君、ゼノヴィアさん。会談は頼みましたよ」

 

それだけ言ってロスヴァイセは駒王学園を後にした。一誠とゼノヴィアは今だ姉妹ケンカをしている二人を見ていた。

 

「もう!どうしてソーたんはお姉ちゃんがあげた服を着てくれないの!?」

 

「わ、私はもう高校生なのですよ!あのような服が着られますか!?」

 

「でもでもきっとソーたんにとっても似合うとお姉ちゃん思うんだけど!」

 

「それでも絶対着ませんから!!」

 

二人は未だに姉妹ケンカを続けていた。

 

「それじゃあな、支取蒼那。行くぞ、ゼノヴィア」

 

「ああ」

 

「ちょっと待って!!」

 

一誠とゼノヴィアが立ち去ろうとしたらセラフォルーが二人を止めた。すると一誠は一気に不機嫌な気分になってしまった。

 

「……何だ?手短にしろ」

 

「君がリアスちゃん達をいじめた子だよね?どうしてあんな事をしたの?」

 

「……どうして?あんな事?」

 

セラフォルーが言っているのは初めてリアス達と接触してそのまま戦闘になった時の事だとすぐに分かったが、一誠にとってそれはもうどうでもいい事だった。

 

「忘れたな。どうでもいい事だったんでな」

 

「……どうでいい?それなのにリアスちゃん達を傷つけたの!?」

 

「強いていえば、復讐『だった』」

 

「『だった』?それはもう復讐しないと……?」

 

ソーナが一誠の復讐が過去系だったのに質問した。一誠はソーナの顔を真っ正面から見た。

 

「ああ。俺はもう一樹が死のうが生きようがどうでもいい。あいつに対しての気持ちは何も無い」

 

「……本当は生きて欲しかったのではないのですか?だからコカビエルとの戦い際、割って入ったのではないのですか?」

 

「……口が過ぎるぞ。悪魔が」

 

「っ!?」

 

ソーナは思わず息を飲んだ。一誠から溢れ出したドス黒いオーラを見たためだ。そのオーラの色はまるで夜空のような輝きを放っていた。

見る者が見れば、それは綺麗とも取れるし、別の見かたをすれば不気味に思えるだろう。

 

(お、恐ろしい……!?)

 

ソーナは震えた腕を必死に押さえつけようとしたが、震えは収まる事はなかった。その時、そっとソーナの手にセラフォルーが手を添えてきた。

 

「お、お姉様……」

 

「大丈夫?ソーナちゃん」

 

「は、はい。ありがとう、ございます」

 

「あんまり私の妹をいじめないでくれないかな?」

 

セラフォルーは一誠を睨みつけた。しかしそれで怯む一誠では無い。

 

「いじめるか……だったらもう少し利口になるんだな」

 

一誠はそれだけ言ってゼノヴィアと共に行ってしまった。ソーナは暫くの間、動く事が出来ないでいた。

ソーナが動けるようになる前に再びセラフォルーの撮影会が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『神の子を見張る者』の総督の執務室で総督のアザゼルが白龍皇のヴァーリに注意事項を言っていた。

 

「いいかヴァーリ。会談ではくれぐれも戦おうとするなよ?」

 

「ああ、分かっている」

 

「断っておくが、赤龍帝相手でもだぞ!」

 

「ああ。それに安心しろアザゼル。俺が今、もっとも戦いたいと思うのは真神一誠だけだ」

 

その時のヴァーリの顔は不敵な笑みを浮かべていた。

幼い時からヴァーリを見てきたアザゼルでも、これほどの顔をするヴァーリを見た事が無かった。

 

「お前がそれだけ言うとはな。噂は本当だったのか?」

 

「ああ。いや、それ以上だと思った方がいいぞ。ああ、早く戦ってみたいんだ。例え負ける事が最初から分かっていても。俺は漸く産まれてきた意味を知ったからな!!」

 

「そ、そうか……」

 

アザゼルは驚きを隠せ無かった。歴代の白龍皇で過去、未来、で見ても最強のヴァーリが最初から負けると言っているのだ。

そんなアザゼルを他所に会談を邪魔しようと動いている連中が居る事にまだ誰も気付いていない。

天使、堕天使、悪魔、ユグドラシルの四つの勢力の会談がついに始まろうとしていた。

 

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