ハイスクールD×D  一誠の魔神伝説    作:新太朗

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勧誘と召喚

天使、堕天使、悪魔、ユグドラシルの勢力の会談中に何者かの襲撃を受ける事になった。そんな中、リアスの眷属でハーフ吸血鬼の神器である『停止世界の邪眼』の力で会談に参加していた何人かは時間を停められていたが、一誠の『フェニックス・ボーン』によってその力は上書きされ解除された。

そして一誠達の目の前に褐色の女悪魔が現れた。

 

「そんな……カテレアちゃん」

 

「カテレア。どうして君が……」

 

セラフォルーとサーゼクスは目の前に現れた女悪魔に動揺した。二人とも……いや、アザゼルとミカエルも知っていた。

先代魔王の血縁者の彼女―――カテレア・レヴィアタン。

それが彼女の名前だ。

 

「ふん!偽りの魔王が私の名前を気安く呼ぶな!それと私から全てを奪ったセラフォルー!!今夜は私から奪った物を返してもらうために来たわ!!」

 

「カテレアちゃん!どうしてカテレアちゃんがこんな事をするなんて嘘に決まっているよ!!」

 

「黙れ!偽りの魔王が!!」

 

カテレアは誰の言葉も聞く気は無いと言わんばかりの態度を取っていた。そしてカテレアはヴァーリの方を向いた。

 

「いつまでそこに居るつもりですか?ヴァーリ」

 

「何……?」

 

アザゼルはゆっくりとヴァーリの方を向いた。だが、ヴァーリはアザゼルにもカテレアにも視線を向けてはいなかった。

その視線の先には一誠が居た。一誠はヴァーリと視線を合わせた。

 

「真神一誠。俺と一緒に来る気は無いか?」

 

「……何がだ?」

 

「俺は『禍の団』と言うテロリストに所属している。そこで真神一誠、君を勧誘しているんだ」

 

『……っ!?』

 

ヴァーリはカテレアを無視して手を一誠に向けてそう言った。周りの者の驚きようは尋常ではなかった。ヴァーリは自分からテロリストである事をバラし一誠を勧誘しているのだ

 

「どうして俺を勧誘するんだ?ヴァーリ」

 

「なに、君に興味があるんだよ。人間が神……まして魔神にどうしたらなるのか。実に面白い」

 

「だから勧誘するのか?」

 

「ああ。そうだ」

 

「一樹―――赤龍帝はいいのか?ライバルなのだろ?」

 

「あれが?あの男は俺のライバルとは言えんよ。『赤龍帝の篭手』を持っているだけの下級悪魔だ。あれはどれだけ修行しようが強くはなれないな」

 

一誠が一樹の話をしたがヴァーリは毛ほども興味がなさそうだった。実際にヴァーリは一樹の事をライバルとは微塵も思ってはいない。

 

(ああ……真神一誠が俺のライバル―――赤龍帝だったら良かったのに……)

 

むしろヴァーリは一誠が赤龍帝であったらとコカビエルを連れ戻す時に出会ってからそう考えていた。

 

一誠が赤龍帝であればどれほど良かった、と。

 

そうであったらどれだけ自分は楽しめたのだろうか、と。

 

一樹と同じように転生悪魔になっても落胆する事は無かったのでは、と。

 

「真神一誠、俺は強くありたい。誰にも負けないくらい強くだ」

 

「それと俺を勧誘するのとどう関係しているんだ?」

 

「それは誰にも取られないためだ」

 

「……取られないため?」

 

「ああ。君を倒したいと思っているのが他にもいるからな」

 

一誠はヴァーリが何を言っているのか分からず首を傾げた。そもそも誰が取るのかと言いたい。さらに言えば一誠は自分より強い奴が居るのかと疑問に思っているのだ。

それだと言うのにヴァーリは一体何を心配しているのかと一誠は思っていた。

だが…………

 

「―――それはむしろ願ってもない事だな」

 

「何?」

 

「ヴァーリ。俺は今まで『本気』を出した事が無い。それは俺より強い奴と出会わなかった事もあるが、俺を殺そうと思っていた奴も俺を恐れて向かっては来なかったからだ。一度でも俺の力を見れば心が折れて諦めてしまうからだ」

 

一誠は笑っていた。まるで宝物を見つけた子供のように純粋な笑みを一誠はヴァーリに向けた。

 

「それだと言うのにヴァーリ、お前は俺の力を見ても心は折れず、諦めなかった。それを知れたからよしと思っていたが、お前以外にも俺に挑もうと思う奴がいるんだ。これは嬉しくてたまらない」

 

そんな一誠はヴァーリに手を向けた。

 

「だからお前をこのままテロリストにするのはもったい無い。ヴァーリ、お前俺の仲間になる気は無いか?」

 

「……何?」

 

「勧誘だよ。お前が俺にしたように俺がお前にしている。お前は俺を殺す事の出来る存在かも知れない。―――だが、お前は弱い。だからこそ、俺はお前を『最強』にしてみたい!」

 

一誠の顔は先程の純粋な笑みではなく、不敵な笑みを浮けべていた。そして誰もが思った。十代の少年が見せる笑みでこれほど恐ろしいものは無い、と。

 

「……なるほど、それもある意味手ではあるな」

 

「ヴァーリ!!我々を裏切るつもりですか!?」

 

一誠とヴァーリが話しているとカテレアが怒りながら間に入って来た。

 

「裏切る?いつから俺を自分達の仲間だと勘違いしていた?俺は強者と戦うために『禍の団』に入ったんだ。それが叶うならどこだろうが構わない」

 

「……やはり低俗な人間の血を持つ『ルシファー』に期待したのが間違いだった!!」

 

「―――調子に乗るなよ屑悪魔!」

 

「がはっ!?」

 

一誠はカテレアの言葉に怒りを感じ、カテレアを殴り飛ばした。カテレアは勢い良いよく飛んで行き校庭にクレーターを作った。

 

「まったく……テロリストが他人を見下してんじゃない!それでヴァーリ、どうするんだ?俺の勧誘は?」

 

「もちろん、受ける。俺としても強者の側で強くなれるなら願ってもいないからな」

 

「そうか。ならよろしくなヴァーリ」

 

「ああ。真神一誠」

 

一誠とヴァーリは握手を交わした。周りの驚きなど関係など無いように。ミカエル、アザゼル、サーゼクス、セラフォルーも誰もがまったく付いて行けていなかった。

 

「そう言えば、あの悪魔はお前の事を『ルシファー』って言っていたよな?あれ、どういう事なんだ?」

 

「ああ、その事か。俺は先代魔王のひ孫に当たるんだ」

 

「……本気で驚いた。まさか、ひ孫が居たとは……」

 

一誠の顔はこれまでの人生で一番の顔をしていた。それだけ一誠にとって驚いた事だった。レヴィアタンだけでなくルシファーの血縁者までもがこの場に居る事に。

 

「さてと……魔王、ちょっといいか?」

 

「なんだい?真神君」

 

「あの悪魔は俺が相手にするから手を出すな。出して来てもいいが、巻き込まれて死んでも文句は言うなよ」

 

「ま、待ってくれ!真神君!!」

 

一誠はサーゼクスの制止を無視して校庭のカテレアの目の前に飛び降りた。当のカテレアは目の前の一誠を睨みつけた。

 

「に、人間ごときが!レヴィアタンの血を引く私を!!」

 

「一つ訂正があるな。俺は人間じゃなくて魔神だ。しっかりと覚えていろ悪魔が」

 

「魔神?馬鹿な!人間ごときが『神』になるなど……!!」

 

「まあ、いいさ。カテレア・レヴィアタン、お前には俺の実験に協力してもらう。強制だがな」

 

一誠は三枚の『ボーン・カード』取り出した。『ドラゴン・ボーン』『フェニックス・ボーン』『グリフォン・ボーン』の三枚だ。

 

「『ドラゴン・ボディ』『フェニックス・ライト、レフトアーム』『グリフォン・レッグ』着装」

 

ボディがドラゴン、ライトとレフトアームがフェニックス、そしてレッグがグリフォンという今までに無い三体の『ボーン』の同時着装を一誠は行った。

『ボーン』を見た事がある者も見た事が無い者にもまさに異形の存在へと一誠はなっていた。

 

「それがお前の『神器』か、人間!!」

 

「『神器』?これは『神器』ではない。そもそれも『神器』を持てるのは人間だけだ。神が―――魔神が持っているわけ無いだろ?」

 

「何?だったら何だと言うのだ!お前のそれは!?」

 

「わざわざ敵に情報を与えるわけが無いだろ?ホント、純血の悪魔ってバカしかいないよな。カテレア・レヴィアタン?」

 

「人間がぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

カテレアは一誠の挑発に乗ってしまって怒りのまま一誠に魔力弾を浴びせた。一誠は避ける事なくカテレアの魔力弾を真っ正面から受けた。

しかし一誠の『ボーン』はコカビエルの時と同様に傷一つ付いてはいなかった。

 

「なっ!?……ば、バカな……!!」

 

「ホント、純血ってのはどんだけ自信家なんだ?リアス・グレモリーもそうだったが、どこから出て来るんだ?その自信は」

 

「くっ……だったらこれを使うまで!!」

 

カテレアは懐から瓶を取り出した。中には一匹の小さな蛇が入っていた。一誠はその蛇がなんなのかすぐに分かった。

 

(あれはオーフィスの『蛇』か?どうしてあいつがあんな物を持っているんだ?)

 

カテレアは瓶の中の蛇をそのまま口に運び、飲み込んだ。するとカテレアの魔力が先程の比ではないくらい大きくなった。

 

「なるほど、オーフィスの『蛇』にはそんな効果があったんだな」

 

「その通りだ!人間。命乞いをすれば助けてあげなくもないわよ!」

 

「命乞い?それをするのはお前の方だと思うが?」

 

「なんだと!?どこまでもイラつかせる人間だ!」

 

カテレアの怒りを無視して一誠は校舎に居るヴァーリに視線を向けた。ヴァーリも一誠の視線を感じてそちらを見た。

 

「ヴァーリ。見せてやるよ、俺の実力の一端を。それとなカテレア・レヴィアタン。お前が魔王に選ばれなかった理由がなんとなく分かったぜ」

 

「何!?どう言う事だ!!」

 

「お前が弱いからだよ」

 

「弱いだと!?違う!私は強い!!」

 

カテレアは一誠に図星を突かれそれを掻き消すかのように一誠に怒りを向けた。それでも一誠は続けた。

 

「オーフィスの『蛇』を使ってその程度なら今の魔王の足元にも及ばないな」

 

「言ってくれるな人間!!まずはお前から殺してあげるわ!」

 

「はっ!……言うな、ならしかと見るがいい!『ボーン』が三体ある事で『ライン』は整った!今こそ、現れよ!火の魔神!!降臨(ディセント)!!」

 

すると一誠の背後に巨大な赤い魔法陣が出現した。そこから『何か』がゆっくり火を出しながら上がったきた。

そしてその姿を完全に現した。

 

その姿は四本の腕を持つ火を纏った巨人だった。

 

ただしその足元が少し透けていた。だが、それはこの場に居る者全てを釘付けにするだけの存在感を持っていた。

さらに一誠が纏っていた魔力が赤く染まっていた。

 

「くくっ……この感じ!最高だ!!」

 

一誠は自分から溢れ出す魔力にこれまでに無い満足感を感じていた。まるで今まで失っていた何かを取り戻したかのように。

 

(何なんだ……この『バケモノ』は……!?)

 

一誠が満足感に浸っている中、カテレアが感じていたのはまったく違うものだった。目の前に感じた事の無い『バケモノ』が現れた。

自分はもちろん、現魔王のサーゼクスやセラフォルーなど絶対に勝て無い存在が今、目の前に現れた。

 

「さあ!始めようか?カテレア・レヴィアタン」

 

『ボーン』の中の一誠の顔は誰にも見せる事が出来ないくらい残酷な笑みを浮かべていた。

 

 

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