ハイスクールD×D  一誠の魔神伝説    作:新太朗

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入界前話
一誠と一樹


ユグドラシル、天使、堕天使、悪魔の会談が終わって数日が経ったころ一誠は夢の中に居た。

周りは暗くどれくらいの広さがあるのか分からない。だが、そこには一つの椅子があり前には大きなスクリーンがあった。

一誠が椅子に座るとスクリーンに映像が流れる。しかし最初の内はノイズが走りとても見られたものではなかった。

それが少しずつノイズが無くなりハッキリと見え始めた。音声も聞こえ始めた。そして最初に聞こえた声が……

 

『おっぱい!!おっぱい!!』

 

である。それも一誠と似ている声で恥ずかしがる訳もでなく堂々と大きな声で言い放ったのだ。それを聞いた一誠はゲンナリとなった。

だが、それでもスクリーンから目が離せなかった。

 

『ずむずむいやーーーん!!』

 

またしても聞こえてきた声に一誠は急な脱力を感じた。だが、どこか笑ってしまう自分がいた。

 

「はっ……ははっ……ははははっ……!!!」

 

可笑しかった。決して自分では言わない言葉だと思うが、スクリーンの人物が言うと思わず笑ってしまう。

 

(まったく……こいつの頭には女の事しかないのか?)

 

そう思わずにいれない。一誠は笑った。それは腹が捩れるのではないかと思うほどに。

 

(こんなにも笑ったのはいつぶりだろうか?)

 

過去を思い出しても一誠はあまり笑った事が無い。日本では兄に周りにいじめられ、北欧ではオーディンに迷惑をかけないように神々に隙を見せないように気を張っていた。

だからオーディンに拾われてから、腹が捩れるほど笑った事が一誠には無かった。

 

『俺はハーレム王になる!!』

 

「くくっ……ははっ……ははははっ……ははははははっ!!!!」

 

またしても恥ずかしがる事無く自分の夢を堂々と言い放った。そして一誠はスクリーンの人物の性格が分かってきた。

 

エロと熱血を持ち最弱と言われても仲間とおっぱいで数々の危機を乗り越えてきた少年。

悪魔に転生したが魔力は他と比べたら少なすぎた。それでも自分を鍛え自分の夢に真っ直ぐ歩き続けた。

それが赤龍帝の兵藤一誠だ。

 

(今の俺とはまったく違う俺。俺とは反対だな)

 

エロも熱血も持たず最凶と恐れられ仲間どころか友一人すら居なかった少年。

これまで危機と言える戦いは無かった。魔神に転生して魔力がすでに誰よりも膨大だったから無敗で戦いに何も思えなくなった。

復讐に燃え、ただそれだけのために生きて夢など一切持たなかった。今はどこに向かっているのかすら分からない。

それが魔神の真神一誠だ。

 

 

最弱と最凶

 

兵藤と真神

 

一誠とイッセー

 

赤龍帝と魔神

 

 

似ている所はそれなりあるが違う所が多い。だから一誠はしっかりと自覚している。スクリーンの自分とそれを見ている自分はどうあっても違う存在だと。

自分は彼にはなれないし彼は自分にはなれない。歩いてきた道が違う。目指している場所も違う。

 

「ああ……ホント、羨ましいぜお前。お前の人生は幸福か?…………まあ、答えるわけ無いか」

 

独り言。いくら強くても一誠はまだ十七歳なのだ。それも親の愛も友人との思い出も何も無い。それが真神一誠が歩いて来た人生だ。

だから一誠はスクリーンに映るイッセーが羨ましかった。親も居て友人達に囲まれ信頼出来る仲間達が居る。

何より愛すべき大切の人が側に居た。すると別の場面に変わった。

 

 

堕天使レイナーレに光の槍で胸を貫かれる場面。

 

全裸のリアスに添い寝されている場面。

 

ライザー・フェニックスにレイティングゲームで敗北する場面。

 

結婚式に乗り込みライザーと一騎打ちで勝つために左腕を犠牲にする場面。

 

幼馴染のイリナと再会して祐斗と一緒に戦う場面。

 

学校でコカビエルと戦う際にリアスからのご褒美にテンションが上がる場面。

 

三大勢力の会談の時に白龍皇のヴァ-リと戦った時にアザゼルの一言で感情が爆発する場面。

 

 

上げていけばキリが無い。それでも一誠は全部の場面をしっかりと見ていた。するといきなりスクリーンにノイズが走り出した。

会談からのノイズで見ることが出来ないでいた。

 

(内容は俺が今いる時間軸までなのか……この先は『未来』か……ネタばれは無しか)

 

一誠がいる時間までしかスクリーンには映らなかった。その先はノイズが走り見る事が出来ないでいた。

だからと言って一誠は気にしなかった。

スクリーンに映っていたのはあくまで兵藤一誠の経験した場面を映していたに過ぎない。だから一誠は気にしない事にした。

 

(だからって続きが見たいか見たくないかは別問題だよな……)

 

違うのだからもう少し続きを見たかったと一誠は思っている。違うのだからもう少しだけ見てもいいのではいいではないか。

しかしそんな一誠の頼みなど聞いてはくれなかった。スクリーンはノイズが走っているだけで変化は無かった。

 

「……駄目か。それで、何の用だ?」

 

一誠は後ろに振り返りそこに居る人物―――いや存在に問いかけた。そこに居たのはまるで宇宙を人型にしたような押し込めた存在だった。

一誠はその存在から感じる魔力に覚えがあった。一誠の魔力だ。

 

(俺と同じ?……いや、こいつは俺の前の魂?)

 

輪廻転生。魂は世界を巡り廻って別の存在に転生する。目の前の存在は一誠の生れ変わる前の存在だ。

その存在が口を開いた。人のましてや人外が使う言語では無かった。

 

『■■……■■……■■■……■■……■■』

 

「別に心配してもらう必要はないぞ?俺には生きる目的は無く、果たすはずだった復讐も無くなった。だけど、希望が無いわけではないさ」

 

『■■■……■■……■■……■■……■■■』

 

「ああ。『神滅具』が俺の生きる希望だ。十三種のどれかが俺を『殺せる』ものだといいんだけどな。まあ、白龍皇は俺の手の内にあるから鍛えれば俺を半殺しには出来るかもな」

 

死ぬために生きる。そのためにヴァーリを鍛えようとしていた。今のままでは弱いが、『覇龍』をコントロール出来れば、もしくはと言うくらいだ。

それでも少しでも可能性があるならそれに賭ける。最凶の魔神は自らを殺せる存在を求めて夢から覚める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユグドラシルとの会談の後に行われた三大勢力の会談後、兵藤一樹は自宅で二週間にも及ぶ謹慎状態だった。

何故、彼が謹慎状態なのかと言うとユグドラシルの代表代理の真神一誠に攻撃したからだ。代理と言ってもユグドラシルの代表に攻撃したのだ、ただでは済まされない。

そこで魔王サーゼクスは一樹を謹慎処分にした。

だが、一樹は納得してはいなかった。

 

(どうしてだ!?どうしてだ!?俺は間違った事をしてはいないのに!!あいつはもうこの物語の『主人公』じゃないんだぞ!!俺こそが『主人公』なのに!?)

 

一樹は物語の主人公だと言う事を理由に自分がやった事を正当化していた。自分のしている事、やっている事はは全て正しい、と一樹はそう思っている。

 

「カズキ……」

 

「カズキ君……」

 

一樹の様子をリアスと朱乃は一樹の部屋の扉の隙間から覗いていた。一樹が謹慎になってから様子を見ていた。

部屋の様子から一樹の精神状態が酷く荒れているの分かっていた。今の一樹の部屋はまるで泥棒が荒らしたようにグチャグチャになっていた。

 

(カズキがこうなったのも全部、真神一誠の所為よ!!)

 

リアスは一樹が荒れているのを全部、一誠の所為にした。彼女もまた一樹に依存して一樹と同じ思考に染まっていた。

 

(カズキ君。今なら色々と出来そうですね。ふふっ……)

 

朱乃は一樹が情緒不安定なのをいい事に、一樹を逆に自分に依存させようと考えていた。そうなれば相思相愛となり一樹を自由に出来ると思ったからだ。

朱乃も朱乃でリアス並みに考えが逸脱していた。

 

「リアス、朱乃……」

 

「カズキ」

 

「カズキ君」

 

一樹は部屋の扉に居た二人と目が合った。二人は黙って部屋の中に入って行った。そして一樹に抱きついて身体をこれでもかと押し付けた。

 

「―――げ」

 

「え?何、カズキ」

 

「何か言いましたか?カズキ君」

 

「脱げと言っている!!」

 

「「っ!?」」

 

リアスと朱乃は一樹の大声に驚いてしまった。これほど感情を出して声を荒げた一樹は二人にとって初めての事だったからだ。

二人は一樹に言われたとおりに服を脱いで産まれたままの姿になった。

 

「いいわ。カズキ、貴方の好きにして……」

 

「カズキ君、私達を堪能して……」

 

そして一樹はリアスと朱乃の二人をベットの上に招き、身体を味わった。三人は大人への階段を昇っていった。

そして二人が気絶するように寝ている時、一樹はふと目が覚めた。

 

『これでお前は大人へとなったわけだ。おめでとう相棒』

 

「……ドライグか。一体なんの用だ?」

 

赤い龍・ドライグが一樹に話しかけてきた。しかしその態度は一樹をからかっている様に感じられた。

 

『元弟と白龍皇の戦いにろくに参加しないで腰が抜けていたのに女を抱く時にはしっかりと動くものだと思ってな。それでどうだった?女を抱いた感想は?』

 

「黙れ!!」

 

『しかもお前への依存がもっとも強い女どもだな。それにしても真神一誠が俺の相棒だったら二天龍の戦いは面白い戦いが見れたかもしれないのにな』

 

「黙れと言っている!!!だったらお前が俺に『力』を寄こしていれば、俺だって戦えたんだよ!!」

 

一樹はあくまで自分が戦えなかったのをドライグが『力』を渡さなかったのだと言った。もちろん、それも一樹が戦えなかった理由の一つだがそれだけでは無い。

一番の原因は一樹の気持ちだ。それに一樹は気がついていない。

 

『ハハハッ……戦えなかった事をここまで俺の所為にしたのはお前が始めてだぞ。相棒!ハハハッ……相棒、お前は才能は確かにあるだろう。恐らくはあのヴァーリ・ルシファーを超えているかもしれないが、お前はそれを生かしきれていない』

 

「うるさい!!?黙っていろ!!お前は俺の『神滅具』だ!なら黙って俺に従っていればいいんだよ!!!」

 

『…………いいだろう。「力」は与えてやろう。精々、早死にしないことだな』

 

それだけ言ってドライグは何も言わなくなった。一樹はさらに怒りを感じた。『原作』のドライグはこうでは無かった。

まるで一樹の存在自体を否定しているように聞こえてきた。

 

(ふざけるな!?俺が『主人公』だ!!俺こそヒーローなんだよ。一誠に代わって俺がハーレム王になるんだよ!!それを邪魔する奴は誰だろうと殺す!!)

 

一樹はすでに誰の言葉も聞こえないようになっていた。歪んでいた心はさらに歪められて、そして色は黒く濁り周りに広がり始めた。

これはヒーローになるはずだった赤龍帝が悪に染まり世界を崩壊させる存在になるための序章に過ぎない。

世界最悪の龍は静かに覚醒しようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙最凶の魔神と世界最悪の魔龍の戦いはそう遠くない内に起こるだろう。その時の周りの選択はどうなるのかは誰にも分からない。

世界を滅ばすのは神か龍かそれとも人か悪魔か。終末へのカウントダウンはもう始まり刻一刻と刻み始めた。

 

さあ、生きとし生ける者よ。選択せよ。

 

魔龍か魔神か

 

最悪か最凶か

 

愚兄か賢弟か

 

選択しだいで世界が滅びるか救われるかが決まる。さあ、選択せよ。

 

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