ハイスクールD×D  一誠の魔神伝説    作:新太朗

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では、どうぞ。


覇龍と教師

天使、堕天使、悪魔、ユグドラシルを巻き込んだ会談は途中、テロリストの介入で中止になった。後日、ユグドラシルを除く三大勢力で改めて会談を行って、そこで同盟が結ばれた。

だが、ユグドラシルの神々はこれと言って行動はしなかった。例え、三大勢力と戦う事になっても一誠が居る限り敗北はありえなかった。だからこそ、強気なのだ。

しかし一誠を動かせるのはこの世界にたった一人だけ、オーディンにしか無理なのだ。

その事に神々もそうだが、他の勢力も気がついてはいない。

世界いや、宇宙最凶の魔神の覚醒は始まりもうそれを誰にも止められない。目覚めるのは善人か悪人か。

それとも創造主か破壊者か。はたまたそのどれでも無いのか誰にも分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会談が終わってヴァーリは一誠の家に住みついていた。そこで一誠と時間があれば戦っていた。ただ強くなるために。

 

「『覇龍』のコントロールだと!?」

 

「ああ。そうだ」

 

この日、ヴァーリは一誠からの提案に驚きを隠せなかった。一誠の提案とは『神滅具』にある『覇』のコントロールを習得する事だった。

ヴァーリが驚いたのはそれは不可能だと思うからだ。これまでの歴代の白龍皇が誰も成し得なかった事をしようとしているのだ。

それは過去、未来で産まれる事は無いと言われる歴代最強の白龍皇のヴァーリであっても不可能に近かった。

 

『真神一誠。「覇」のコントロールは不可能だ』

 

「アルビオンか」

 

ヴァーリが何かを言う前に白い龍・アルビオンが話しかけてきた。アルビオンには一誠が言っている事がどれほど不可能なのかを誰よりも知っている。

全盛期の二天龍の『力』を使うには人間の身体ではその負荷に耐えられないほど脆弱なのだ。

 

「だけどな、ヴァーリのこれ以上の強くなるには必ず通る道だと思うが?」

 

『それはそうだが……』

 

アルビオンは言葉に詰まった。一誠の言う事は正しいからだ。だが、今までに「覇」のコントロールを出来た所有者はいない。

そして一誠は続けた。

 

「ユグドラシルにある『神滅具』の『覇』についての資料は目を通した事はある。だからこれは俺の考えなんだが……『覇』をコントロールするために必要な事は二つだけだと思う」

 

「二つだけ?たったそれだけで『覇龍』がコントロール出来るのか?」

 

ヴァーリは信じられないと言わないばかりの顔をしていた。たった二つだけで『覇龍』をコントロール出来ると言われれば、歴代の白龍皇は何故、暴走したと言うのかというものだ。

 

「俺の考えだけどな。まず一つ目は『呪文』だ。『覇龍』を発動させるにあたってこれは不可欠だ。そもそもこの『呪文』は誰が考えたんだ?初代の白龍皇か?俺は違うと思う。この『呪文』を作ったのは二天龍を『神器』に封印した神だと思う」

 

「なるほど……」

 

「それでここからだ。他人が作ったもので『力』をコントロール出来るはずが無い。そこで自分―――ヴァーリだけの『呪文』を作れれば、少なくとも暴走はしないと俺は考える」

 

「自分だけの『呪文』か……そんな事を考えた事は無かったな」

 

一誠に言われてヴァーリはどこか納得してしまった。ようは他人の作った機械では何をどうするればいいのか分からないが自分で作ったものなら話は別だ。

どこをどうすればいいのか、しっかりと把握しているからだ。

 

(彼の下に来たのは正しかったな。『禍の団』に居てもその事に気づけてはいなかっただろうな……)

 

ヴァーリは一誠の誘いに乗った事は正解だったと思っていた。

 

「次に『白龍皇の光翼』の中に居る歴代所有者の魂だ」

 

「歴代の白龍皇の魂?それは一体……」

 

「暴走する要因の一つが歴代の所有者の負の感情だ。怒り、憎しみ、絶望と言った感情がトリガーとなって『覇龍』は発動する。だから歴代の所有者の魂をどうにかしないと例え『呪文』を作っても暴走する可能性がある」

 

「魂を……どうすれば?」

 

「俺が知るわけないだろ。そこはお前が頑張るしかないな」

 

「………………」

 

ヴァーリはここまで説明した一誠がここでまさか自分に丸投げてくるとは思わなかった。ヴァーリは何も言えなくなった。

 

(いや、本来それを考えるのは俺のはずだ。彼に頼るのはここまでだな)

 

だが、ヴァーリは気持ちを切り替えて自分自身で考え始めた。歴代所有者の魂の負の感情をどうするか。

自分がこれ以上、強くあるためにする事を考えた。

 

(負の感情……これをどうにかする、か。だが、どうする?)

 

ヴァーリは必死に考えた。ここまでヒントを出して貰った一誠にためにも必ず答えをみつけようとした。

毎日、命がけの戦いが出来て自分でも判るくらい実力が付いてきていると嫌と言うほど分かるほどだ。

だからヴァーリは一誠に恩を返したいと思っている。

 

「方法が迷っているなら自分の性格を考慮してから考えてろ」

 

「自分の性格……ああ、そうか。そうだな、これが俺のやり方だな」

 

「思いついたのか?」

 

「ああ。俺のやり方、全てを『力』でねじ伏せる。それが歴代の白龍皇の魂であってもだ!!」

 

それが、それこそが彼―――ヴァーリ・ルシファーのやり方だ。グダグダと回り道などする気など無い。強くなりいつか自分の手であの憎たらしい男を殺すまで強くなるつもりだ。

 

「イッセー!もう少しだけ付き合ってもらってもいいか?」

 

「ああ。いくらでも付き合うぜ。だからもっと強くなって俺を楽しませてくれ!ヴァ-リ。歴代最強を完全なものにしてみせろ!!」

 

「ああ。もちろんだとも!!待っていろ!最凶の魔神よ!!」

 

一誠とヴァーリは互いに笑っていた。二人が望み者は近いものがある。最凶の魔神は自分の理解者を求めた。だが、それは無理だった。

自分と同格の存在などこの世にはいない事は分かっていた。しかし一誠はある事を考えた

 

(居ないなら届きそうな奴を鍛えればいいんだ!!)

 

居ないなら鍛えて自分と同じ次元に立たせればいい。そう一誠は考えた。だからこそヴァーリを鍛えているのだ。

それでも届かないかもしれない。それでもほんの一瞬、届きさえすればそれで良かった。世界最凶の力を理解してくれればそれで良かった。

 

ハーフ悪魔の白龍皇は誰にも負けない強さを求めていた。それは単純にドラゴンを宿した者の本能だと言えるだろうが、ヴァ-リは違った。

ハーフである自分を幼少期に暴力を振るように父に指示していた祖父を殺すためだ。

 

(奴だけはこの手で殺す!!)

 

弱かったからこそ母を守る事が出来なかった自分が許せなかった。毎日、悲しい顔しか見た事が無かった。笑って欲しかった。

だから神も魔王も倒すだけの『力』が欲しかった。理不尽するら捻じ伏せられる絶対的な『力』が。

ヴァーリは新たな環境で更に高みへと目指そうと決意を固めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ!イッセー」

 

「アザゼル……どうしてお前が?」

 

もうすぐ夏休みに入る前に一誠は学園で『神の子を見張る者』の総督のアザゼルに出会っていた。気配でアザゼルが学園に居る事はすでに一誠は分かっていた。

だが、一誠が気にしていたのはアザゼルの格好だった。スーツを少し着崩していたのだ。

 

「なに、俺はこれからオカ研の顧問になってな」

 

「堕天使の頭がこんな所で油を売っていいのか?」

 

「まあ、大丈夫だ。仕事は副総督のシェムハザに任せてきたからな」

 

「それは大丈夫なのか?」

 

一誠は会った事が無い副総督が少し気になっていたが、それ以上気にしないことにした。

 

「―――それで?俺に何か用か?無いならもう行くぞ」

 

「待ってくれ……。ヴァーリは元気か?」

 

「ああ、元気だぞ。今は『覇龍』のコントロールをものにしようとしている」

 

「は、『覇龍』だと!?」

 

アザゼルは柄にも無く驚いてしまった。一誠の……いやヴァーリのやろうとしている事がどれだけ無謀なのか『神器』を研究しているアザゼルは分かっていた。

過去にどの白龍皇も他の『神滅具』所有者が『覇』をコントロールした記録など無い。研究者だからこそアザゼルは知っているのだ。

 

「だ、大丈夫なのか?いくらヴァーリと言っても『覇龍』のコントロールは無理だろ」

 

「それは本人次第だな。だけど、俺はコントロール出来ると思うぞ。いや、してもらわないと困る。折角、見つけた『挑戦者』なんだ。どうせなら『超越者』になってもらわないと」

 

「…………」

 

アザゼルは一誠の言っている事に何も言えなくなった。だが、アザゼルは一誠がどんな人物なのかだいだい理解した。

 

(こいつは『孤独』なんだな……)

 

強すぎる力はその者を一人にしていく。コカビエルでさえ圧倒し歴代最強の白龍皇に勝てないと言わせる少年―――真神一誠。

アザゼルは調べられるだけ部下に一誠の過去を調べさせた。

そこで知った。両親や兄の一樹にどんな事を言われたのか。それを悪魔側が知らないわけが無い。

だが、それが多くの者に知られれば一樹やリアスがどのような扱いを受けるのかは容易に想像出来る。だから隠した。

 

(俺の方で出来る限りフォローしてやるか)

 

アザゼルは気持ちを入れ替えて一誠を見た。見た目はどこにでも居そうな10代の少年だ。だが、その内側は世界最凶の魔神だ。

オーディンが保護したといってもそれでもユグドラシルでは一誠の事をよく思っていない神からは腫れ物扱いをされていた。

それでもユグドラシルの神が殺されなかったのはひとえにオーディンの優しさがあったこそだろう。

 

「ヴァーリの事が気になるなら自分の目で確かめたらどうなんだ?」

 

「そうしたいのは山々なんだがな……。イッセー、お前の『力』について調べさせてくれないか?」

 

「『ボーン・カード』をか?……本当なら嫌だと断ると事だが、俺もこいつについてもっと知りたいからな。ほらよ」

 

「ああ。確かに……ちなみにこの文字は何て書いてあるんだ?」

 

アザゼルは一誠から受け取ったのは『シャーク・ボーン』だった。しかしアザゼルは書いてある文字がまったく読めなかった。

 

『シャーク・ボーン』

水属性のボーン。地面を水のように潜ったり泳いだりする事が出来る。

 

「それは『シャーク・ボーン』と書いてあるんだよ」

 

「『シャーク』って事は鮫か。これもそうだが他も動物がモチーフなのか?」

 

「ああ。他にはドラゴン、ケルベロス、フェニックス、レオ、グリフォンなんかがあるな」

 

「なるほどな……」

 

アザゼルは『ボーン・カード』をまじまじと観察した。書いてある文字がどういう意味なのかさっぱり分からないでいた。

 

「それじゃこいつは借りるぞ」

 

「ああ、何か分かったら教えてくれ」

 

「任せておけ。オーディンの爺さんによろしく言っておいてくれ」

 

アザゼルはそれだけ言って一誠の前から去った。一誠は離れていくアザゼルが見えなくなるまでその場から動かなかった。

 

(アザゼルは意外にいい奴なのか?後でヴァーリにでも聞いておくか)

 

そんな事を思いながら一誠はゼノヴィアと合流して帰路に着いた。

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