ハイスクールD×D  一誠の魔神伝説    作:新太朗

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崩壊と破壊

真神一誠は不機嫌になっていた。その原因が目の前に居る元兄の兵藤一樹の所為だ。彼のこれまでの言動は目に余るものが多かった。

コカビエルの襲撃事件も四大会談の時もそして今も。

一樹の言葉や行動は一誠をイラつかせていた。昔と変わらず自分が誰よりも上で他人を下に見ている目が気にくわなかった。

そして今回だ。家に上がっていきなりそこに居合わせた人物達をテロリストだと言い、それを証明しろと言われれば黙ってしまう低脳さ。

 

(こいつの訳の分からない事に一々付き合っていられるか)

 

一誠は今すぐにでもグレモリー眷属に帰って欲しかったが、一応ユグドラシルの主神の私兵を名乗っているので無下に返すと魔王を通じて抗議が来るので一誠はパパッと帰ってもらうつもりでいた。

 

「それで?アザゼル。お前ら一体何しに来たんだよ?用がないなら帰れ」

 

「いや……ヴァーリの様子を見に来たのとサーゼクスから会談の件で色々と話がしたいから冥界に来て欲しいんだとよ」

 

そう言ってアザゼルは一誠に手紙を渡した。それはサーゼクスから一誠に向けてのものだった。内容はこうだ。

 

『会談の際はこちらの不手際で巻き込み申し訳ない。謝罪や詳しい話がしたいので一度冥界に来て欲しい。

サーゼクス・ルシファーより』

 

長々と挨拶も無し。ただ簡単に完結していた。それはつまりサーゼクスは一誠のご機嫌取りをするつもりは無いと言う事だろう。

それは魔王であるサーゼクスなりのけじめなのだろう。

 

「分かった。だが、オーディンの爺さんに一応断っておかないと冥界には行けないからな」

 

「ああ、頼む」

 

「イッセー。そろそろ我々は帰るとするよ」

 

曹操が立ち上がると他のメンバーも立ち上がった。すると一樹が曹操達の前に立ち、道を塞いだ。

 

「行かせるかよ、テロリストが!!」

 

「とりあえず、寝ていろ!」

 

「がはぁ!?」

 

曹操達の前に立ち塞がった一樹に一誠は思いっきり顔面を殴りノックダウンさせた。リアスはすぐさま一樹に駆け寄った。

 

「カズキ!?―――よくもカズキを!!」

 

「待てリアス!!」

 

リアスが魔力弾を放とうとした瞬間、アザゼルが一誠とリアスの間に立ってリアスを止めた。リアスはアザゼルを睨み付けた。

 

「退いてアザゼル!そいつはカズキを!!もうこれ以上、好き勝手にするなんて我慢できないわ!!ここで私が消し飛ばすわ!!」

 

「今のはどう見ても一樹が悪いだろ!そいつらがテロリストだと言う証拠は無いんだ。それなのにカズキは……」

 

「いいえ!!カズキが言うのだから彼らはテロリストなのよ!!それに真神一誠と一緒にいるのよ!!一般人なわけが無いわ!」

 

アザゼルから見てリアスの言い分は子供の癇癪だ。リアスはグレモリーの子で魔王の妹として散々甘やかさせて育てられた。

だからこそ、自分の思い通りにならない事は許して置けない性格が出来上がってしまった。それゆえに『グレモリーの我が儘姫』などと言う二つ名が付いたと言えるだろう。

 

(はぁ~……甘やかされて育てられたツケだな。少し痛い目にあわせて置くか……ん?)

 

一誠は一樹から妙な気配を感じて見てみると僅かに黒い色のオーラが一樹の身体から滲み出ていた。

すると一樹は立ち上がり一誠を睨み付けた。

 

「『赤龍帝の篭手』!!バランス・ブレイクゥゥゥゥゥゥ!!!!」

 

「『ドラゴン・ボーン』ライトアーム、装着」

 

一樹は『赤龍帝の鎧』を着て一誠目掛けて殴りかかった。だが、一誠にとってその程度の攻撃などスローモーションなほど遅い。

一誠は『ドラゴン・ボーン』のライトアームだけを装着して一樹の腕を掴んだ。

 

「だからお前程度のザコが俺に攻撃を当てれると思っているのか?」

 

「黙れ!!―――くらえ!!ドラゴン・バスター・キャノン!!」

 

「な!?バカが!!」

 

一樹は掴まれた腕の手のひらを開きそこから一樹が放てる極大な魔力弾を放った。だが、一誠が強引に一樹の腕を曲げて真上に撃たせた。

もし一樹の魔力弾がそのまま放たれていたら大惨事になっていただろう。と言っても一誠は無傷で終わるだろうが。

しかし問題は一誠の後ろだ。放たれた魔力弾がそのまま一般家庭に当たっていたらその家に住んでいる人間は無傷とはいかない。

 

もちろん一樹はそんな事など考えていない。一誠を殺す事で頭が一杯だからだ。もし一誠を殺す余波で誰かが死んでもそれは不運だったと考えている。

それが例えリアスだろうと朱乃だろうともだ。一誠を殺すのが第一に考えるようになった一樹に誰も気がついてない。

 

「カズキ!!よくもカズキを……!!」

 

「待てリアス!」

 

「そこを退いてアザゼル。あいつはカズキを!!」

 

リアスが今にも一誠に攻撃しようとした所、アザゼルが一誠とリアスの間に入りリアスを止めた。だが、アザゼル相手で止まるほどリアスは冷静では無かった。

 

「そいつはカズキを傷つけたのよ!オーディン様の私兵だからと言ってもう我慢できないわ!!」

 

「先に攻撃したのはカズキだろ!それにもしイッセーが攻撃を逸らさなかったら大惨事になっていたかもしれないんだぞ!」

 

「それは真神一誠も同じでしょ!?会談の時に何人殺したと思っているの!!」

 

「だが、実際には一般人は誰も死んでいない」

 

アザゼルの言うとおりなのだ。一誠は確かにカテレアとの時に勢い余って学校もろとも民家を何棟も巻き込んだ攻撃をした。

だが、一誠は『時間の魔神』を降臨させて力を使い破壊される前の状態に戻した。一般人からすれば、夢の中で死んだという認識なのだ。

しかしリアスからすればそんな事はどうでも良かった。問題は一樹を傷つけられたと言う事だ。それだけが許せなかった。

 

「とりあえずアザゼルと木場、アルジェントはいいとして残りは出ていけ」

 

「ふざけないで!!まだ話は終わっていないわ!」

 

「ここは俺の家だ。つまりこの家に入った以上、家主の俺に従うのがスジだろ?それが嫌なら強制排除するぞ」

 

「くっ……なら彼女は引き渡してもらうわ!」

 

「彼女?」

 

一誠はリアスが言う彼女―――黒歌に視線を向けた。黒歌は先ほどからどこか元気がなく俯いていた。だが、一誠は黒歌の前に立ちはだかった。

 

「黒歌をお前らに渡すつもりは無い。黒歌はヴァーリの仲間だ。ヴァーリが俺の仲間である以上、彼女もまた俺の仲間だ。それにどんな理由で引き渡せと?」

 

「黒歌は主殺しのSS級はぐれ悪魔よ!そんな彼女を放っておく事はできないわ!!すぐに私に引き渡しなさい!!」

 

リアスが黒歌を引き渡すように言っているのは自分の評価を回復するためだ。リアスの評価はコカビエルとの戦いから少し下がってきていた。

そして会談での眷属のハーフ吸血鬼の神器を利用されてのテロ活動を許してしまい、さらに赤龍帝が北欧の代表代理を攻撃してしまって評価は右肩下がりになってしまった。

だが、もしここでSS級のはぐれ悪魔の黒歌を捕縛出来れば評価は回復すると考えていたのだ。

 

(私の評価を取り戻さないと!!)

 

リアスの頭にはそのだけがグルグルと回っていた。兄である魔王のサーゼクスからも釘を刺されていたのだ。これ以上は庇いきれないから自分で評価を戻すしかないと。

もし回復出来なかったらどこかの有力貴族に嫁に出されてしまうのだ。

 

(それだけは絶対に嫌!私はカズキと結ばれるのよ!!)

 

もうライザーとのようにはいかない。レーティングゲームでは勝てたが次も勝てるとは限らない。だからこそ、リアスは焦っているのだ。

 

「なるほど。つまり黒歌が『転生悪魔』でなくなれば、連れて行く理由は無いよな?」

 

「何を言うかと思ったら一度転生した存在を転生前に戻せるわけがないじゃない!」

 

「ああ。だが、もう一度転生させればいいことだろ?」

 

「……は?」

 

リアスが間抜けな声を出した時にはもう遅かった。一誠は振り向き黒歌の胸に自分の腕を突っ込んでいた。黒歌もいきなりの事で動けなかった。

 

「……な、にゃで?」

 

「そのままじっとしていろ」

 

黒歌は一誠に言われたとおりじっとしていた。そして一誠の腕が黒歌から離れた途端、黒歌はそのまま床にへたり込んだ。

 

「黒歌姉様!!」

 

「……白音」

 

座り込んだ黒歌に真っ先に駆け寄ったのは塔城小猫だ。黒歌の胸を触り何もなっていないのかを確認していた。

 

「だ、大丈夫なんですよね!?」

 

「だ、大丈夫にゃ……胸に腕を突っ込んできた時はびっくりしたけど、全然痛みが無かったにゃ……」

 

「よ、良かった。……真神先輩!黒歌姉様に何をしたんですか!?」

 

「俺がしたのは破壊と転生だよ」

 

「破壊と……転生?」

 

小猫は一誠が言っている事を繰り替えた。しかしその意味は分かっていない。すると一誠は自分の手の中にあるものを見せた。

 

「それは……『悪魔の駒』?それが身体の外に出たら……!!」

 

「ああ。普通は死ぬよな。俺もそれなりに『悪魔の駒』についてある程度は知っている。転生悪魔から『駒』が出るという事はその悪魔が死んだときだけだ。なら『悪魔の駒』が出た以上、黒歌はもう転生悪魔ではない。ならはぐれ悪魔として対処する事は出来ない筈だな?」

 

「そんなの理由が通用するとでも思っているの!?話なら無いわ!」

 

「……いや、駄目だリアス。黒歌には手を出すな」

 

リアスをアザゼルは止めた。それも妙に強張った顔をして。

 

「アザゼル!?何を言っているの?『悪魔の駒』が抜かれて生きているなんて話なんて聞いた事が無いわ。生きているならそれはまだ『悪魔の駒』があると言う事!ならはぐれとして対処して問題ないはずよ!」

 

「問題大有りだ!!ここで黒歌に手を出せば、各神話系統の大物が黙っていないぞ!」

 

アザゼルが危惧しているのは悪魔を殺す大義名分を作ってしまう事だ。もしここで黒歌をはぐれ悪魔として対処した場合、それを知った各神話の神はどう思うだろうか?

転生悪魔で無い者ですらはぐれ悪魔として対処する悪魔の事を。そんな悪魔が自分達もはぐれ悪魔として対処するのではないだろうか?

そう考えたら悪魔が動く前に悪魔を絶滅させようとするのではないか。

 

アザゼルはその事をリアスに説明した。リアスは話を聞くにつれて顔を青くしていった。流石に冷静を取り戻したようだった。

そして今、自分が何をしようとしていたのかを考えただけで立っていられなくなっていた。評価を回復するどこか悪魔全体を危険にさらしていたのだ。

 

だったらと一樹が言うテロリストの集団を捕らえようとしたが、影も形も無かった。リアスが一誠と言い争っている間に一誠やヴァーリを除き気づかれずに立ち去ったのだ。

リアスは折角のチャンスとも言える事を逃してしまったのだ。その顔は苦虫を潰したような顔をしていた。

 

 

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