駒王学園の2年生のある教室は朝から少し騒がしかった。
『このクラスに転校生が来る。』
その事で朝から生徒はソワソワしたりしていた。
男子だったらイケメンがいいなや女子だったら美少女がいいなと生徒は騒いでいた。
生徒が教室の扉が開いて担任の教師が入ってきて、生徒は自然と席に着いた。
「え~皆、すでに知っているかと思うがこのクラスに転校生が来る」
「先生!転校生は男ですか?女ですか?」
1人の男子生徒が教師に質問した。生徒はどちらか凄く気なってしょうがなかった。
「男共は残念だな、転校生は男子だ!」
「「「そんな~……」」」
「「「やったー!」」」
これでもかと言うくらいに男子は残念がっていた。逆に女子は喜んでいた。
「それじゃ入ってきてくれ」
教師が教室の外で待機していた転校生に入るように促した。そうしたら1人の生徒が教室に入ってきて教師の横に立った。
「まずは自己紹介をしてくれるか」
「はい。皆さん、始めまして。今日からこのクラスに転校する事になった真神一誠です。どうぞ、よろしく」
一誠は丁寧に挨拶をして頭を下げた。第一印象はこれでもかと言うくらいに良い人物だと思うだろう。
しかし1人だけ違っていた。
その人物の名は木場佑斗。リアス・グレモリーの眷属で『騎士』だ。
(どういう事なんだ?!彼の顔はカズキくんにそっくり―――いや、同一人物と言ってもいいくらに似ているんだ?!彼は何者なんだ?)
佑斗は一誠の顔を見た瞬間に驚きで頭が一杯になっていた。
「それじゃ席は空いている所に座ってくれ。授業に付いてくれなくなったら遠慮なくしつもしてくれ」
「はい。ありがとうございます。(くくっくっ………動揺が顔に出すぎだ……こいつが木場佑斗か)」
一誠は佑斗の動揺が露骨だったのが面白く、必死に笑いを噛み殺してした。
そんな一誠を他所に佑斗は混乱してた。
一誠は空いている席に座ったのを見た教師が授業を始めた。
(彼が何者なのか確かめないと。それで部長に報告もしなくちゃね。いっその事、彼をオカ研に連れて行った方がいいかもしれない)
佑斗は放課後に主への報告し、一誠をオカ研の部室に連れて行こうと考えていた。
キーコン!カーコン!
「おっと、それじゃ今日の授業はここまで。日直、号令」
「起立、礼」
「「「「「ありがとうございました」」」」」
一日の授業が終わり生徒達はそれぞれ帰宅する者、部活に向かう者に別れ出した。
帰宅する準備をしている一誠に女子生徒が近付いて来た。
「ね!真神くん。これから私達とお茶しない?」
「すまない。俺はこれから用事があるんだ。また、今度誘ってくれ」
「そうなんだ~それじゃしかたないね……それじゃ都合がいい時、言ってね。その時お茶しよ!街とか案内もするからさ」
「ああ、分かった。その時は頼む」
女子生徒は一誠から離れて行った。、女子生徒離れてすぐに佑斗が一誠に近付いた。
「少しいいかな?真神くん」
「……お前は?」
「僕は木場佑斗。君さえ良ければ僕が所属している部活に来ないかい?」
「お前が入っている部活って、何だ?」
「オカルト研究部なんだけど」
「どうして俺を誘うんだ?理由があるのか?」
一誠は佑斗に自分をオカ研に誘う理由を聞こうとしたが、一誠は大体の予想していた。
(こいつの事だから一樹と会わせるつもりだな。だけど、再会はもう少し後だ)
「実はその君にそっくりな人がそこに居るから会わせて見たいと思ってね。どうかな?」
「……俺にそっくりな奴の名前は『兵藤一樹』か?」
「そうだけど。もしかして知り合いなのかい?」
佑斗が一誠に合わせたい人物の名を先に言ったものだから佑斗は一樹と一誠が知り合いだと思ってしまった。
「まあ、知り合いと言えば知り合いかもな……そうだ、木場。伝言を頼めるか?」
「伝言を?別に構わないけど……」
「そうか、ありがとう。それじゃ兵藤一樹にこう伝えてくれ。……『俺が帰ってきたぞ、一樹』と」
「……え?そ、それはどう言う意味なんだい?真神君」
「俺の名前を付けて言えば分かるさ。また明日な転生悪魔君」
佑斗は一誠の言葉の意味を必死に理解しようとしていたが、一誠は鞄を背負って教室を出て行ってしまった。
「ま、待ってくれ、真神君!」
佑斗は教室を出て一誠の後を追おうとしたが、すでに廊下にはその姿が見えなかった。
(廊下に居ない!?さっき出たばかりなのに?まずは彼を追わないと!)
佑斗は主であるリアスへの報告を後回しにして一誠の後を追う事にした。
「見つけた!」
学校を出て少し歩いた所に一誠はいた。佑斗はなんとか一誠を見つけて後を付けていた。一誠の正体を掴むために。
「……彼は一体何者なんだろうか?」
「―――さあ、何者なんだろうな?木場」
「ッ!?!?」
一誠を尾行していたら、後ろから一誠の声がしたので佑斗は振り返ってしまった。
しかしそこには誰も居なかった。
声がしたので誰かは居ると思っていたが、誰1人として居なかった。
「……誰もいない………し、しまった!」
佑斗は一誠が歩いていた道を見たが、そこにはもう一誠は居なった。見失ってしまったのだ。
後ろから声を掛けれた一瞬の隙に。
(さっきのは真神君の声だった。なら彼は僕が尾行していたのを気付いていた事になる。でも彼は一度も振り返ってはいなかった……一先ず部長に報告しよう)
佑斗はリアスへの報告をするために一誠の尾行を止めて学校に戻る事にした。
「まったく尾行が下手すぎるぜ、木場」
佑斗が去った場所に紫色の魔法陣が現れ、そこから一誠が出てきた。
手には一枚のカードが握られていた。
『ウロボロス・ボーン』
空間属性のボーン。
このカードを使って一誠は佑斗の後ろに小さな魔法陣を出現させて声を送ったり一瞬にして移動したのだ。
「木場を撒いた事だし、俺は調べ物に取り掛かるかな。転移」
一誠はオーディンからの仕事に関する事で気になる事があったので、それを調べるためにある場所に転移した。
「カズキにそっくりな転校生?」
「はい。顔だけではなくて声のトーンもそっくりなんです。それだけじゃないんです。彼は僕が転生悪魔であると知っていました」
佑斗は学校に戻るとすぐにオカ研の部室に居る主であるリアスに一誠の事を話した。
一誠を尾行していた事や後ろから声を掛けられたのに誰もいなかった事等を。
「尾行していた後ろから声を掛けられたけど、誰もいなくてその隙に彼―――真神一誠君は消えていた。それに彼は佑斗が転生悪魔である事も知っていた。……そう言う事ね、佑斗」
「はい。その通りです、部長」
「……確かに少し気になるわね。そのカズキにそっくりなのも調べた方がいいわね」
リアスはすぐに一誠について調べる事にした。この駒王学園一帯の管理を任されている自分にとって有害な存在はすぐさま排除しなければならない。
「部長、少しよろしいですか?」
「どうしたの?朱乃」
リアスに話しかけてきた女性は姫島朱乃。リアスの眷属では一番の古株で『女王』
ても頼りになる右手なような存在でオカ研の副部長だ。
堕天使と人間のハーフで女王。『雷の巫女』と呼ばれて周りから恐れられている。
駒王学園ではリアスとともに『二大お姉さま』と称されている。
「例の廃教会に何者かが侵入したのを私の使い魔が知らせてきましたわ」
「あの廃教会に?確かあそこには人避けの結界を張っていたはずよね。だったらただの人間というワケではなさそうね」
「どう対処したしましょうか?」
「私が直接行くわ。朱乃、佑斗着いて来てちょうだい」
「はい。分かりましたわ、部長」
「分かりました。部長」
リアスが朱乃と佑斗を連れて出掛けようとした時の部屋の扉が開いて1人の少女が入って来た。
「……部長。戻りました」
「いいタイミングだわ、小猫。悪いのだけど、着いてきてくれるかしら。例の廃教会に向かうから」
部屋に入って来た少女は塔城小猫。リアスの眷属で『戦車』転生前が妖怪で元猫又だ。
駒王学園ではマスコット的存在のロリっ子少女だ。
「……あの廃教会にですか?どうして?」
「あの廃教会に何者かが侵入したのよ。張ってあった結界を通り越してね。それが何者なのか調べるのよ」
「……分かりました。でもカズキ先輩とアーシア先輩には言わなくいいんですか?」
小猫は部室にいない2人の先輩のリアスに聞いた。情を大切にするグレモリー眷属なだけはある。
「2人にはメールを送っておくから依頼を終えたら来るでしょう。もしも2人が戻る前に侵入者が居なくなって意味がないわ」
これはリアスが土地の管理者としての仕事だ。これは優先してしなければならない事くらいリアスでも十分理解している。
何あって自分の家の名に傷を付けるわけにいかない。
そんな想いがリアスにはある。
「さあ!私の可愛い眷属達、行くわよ!!」
「「「はい。部長!」」」
リアス達の気合いは十分高まっていた。
向かった先に何がいるのかも分からずに―――
「……ここに来るはもう十年ぶりになるんだな……」
一誠は廃教会を見上げながら感傷に浸っていた。最後に来た時より見るも無惨な教会の昔を思い出していた。
(昔は綺麗だったのにな……天使仕事しろよ。これじゃ心霊スポットじゃないか……)
仕事をしていないであろう天使に文句の一つでも言ってやりたいと一誠は思っていた。
「言ってもしょうがないか……さっさと終わらせるか」
一誠の身体が光に包まれて次の瞬間、一誠は鎧を着ていた。
白と黒の二色で背中に二羽一対の翼を広げた鎧は鳥を思わせる姿をしていた。
『フェニックス・ボーン』
時間属性のボーンだ。白と黒で彩られていて背中の翼が特徴的なボーンだ。
この廃教会で起った事を調べるのにもってこいのカードだ。
「それじゃ過去を見せてもらうか……」
フェニックス・ボーンの特殊能力の一つ―――『過去閲覧』。
一誠を中心とした一定の場所で起った出来事を録画した映像のように見たり声や音を聞く事が出来る能力だ。
「さてっと……何が見えるかな」
能力を発動した一誠が目にしたのは女堕天使レイナーレと左手に赤い篭手を身に付けた一樹の戦いだった。
堕天使の光の攻撃を一樹は魔法壁で防ぎ、一瞬の隙に懐に潜り込み左手で殴りつけた。
レイナーレはそのまま廃教会の外に出てしまった。
(異常だな、これは。それにしても赤龍帝として目覚めたばかりの一樹に何があったんだ?)
赤龍帝として目覚めたばかりの一樹の実力が上級悪魔並なのがイマイチ、一誠に理解出来ないでいた。
その後、リアスが一樹と合流してから少し話をした所でリアスは一樹の神器が赤龍帝の篭手である事を一樹に話した。
(ここでようやくか……でも一樹は自分の力の事をリアス・グレモリーから指摘される前から気付いているようだった……俺の気のせいか?)
リアスと一樹が話していると外に飛ばしたレイナーレを子猫が抱えてリアス達に合流した。
そこでレイナーレを叩き起こして話をしていた。
急にレイナーレが一樹に命乞いをしたが、一樹はそっぽを向き最後をリアスに託した。
リアスはレイナーレを自身の魔力で跡形もなく消し飛ばした。
(あれが滅びの魔力か……聞いていたよりショボいな)
一誠は聞いていたよりも大した事ない滅びの魔力を見た感想がそれだけだった。
レイナーレが消え去った後にはシスターの少女から奪った神器があるだけだった。
(ここで彼女が眷属に加わるのか)
一誠はシスターの少女が『魔女』として教会を追放されたアーシア・アルジェントである事をオーディンから貰った資料で確認して分かっていた。
最初から見直そうとした時に後ろから声を掛けられた。
「―――そこで何をしているのかしら?」