ハイスクールD×D  一誠の魔神伝説    作:新太朗

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平成が終わって令和が始まり一発目です!

これからも更新頑張りますのでどうぞよろしくお願いいたします。



魔境極地
入界と迷惑


魔王サーゼクスからの招待により一誠はゼノヴィア、ヴァーリ、黒歌、美猴、アーサーにルフェイを連れて冥界に向かっていた。

冥界に行くには二通りの方法がある。

 

一つ目が魔法陣による転移で一気に冥界にジャンプする方法。

 

二つ目が列車に乗っていく方法だ。

 

冥界に行くにあたって転移する方法は事前に冥界に登録していないと不法侵入となってしまうので一誠達は使えない。

だから一誠達は少し面倒だがもう一つの方法で冥界に行くしかない。時間は掛かるがここで登録を済めせてしまえば、これからは列車に乗らずに転移で冥界に行けるようになる。

 

それに急いで冥界に行く理由が無いので一誠はぼんやりと外を眺めていた。変わらない景色に少しばかり退屈していた。

 

(殺風景だな……何か面白いものでも期待していたんだけどな……)

 

進めど進めど変わらない外の景色。列車に乗って初めの十分で一誠は見飽きていた。座っている位置を変えれば何かと思っていたが、太ももの上でスヤスヤと寝ている二人を見て動くのを諦めた。

右にゼノヴィア、左に黒歌。二人が一誠の太ももを枕代わりにして寝ていた。ヴァーリは横になって寝ているようだった。

だが、違う。ヴァーリは今、『白龍皇の光翼』の中に精神を送りそこに居る先代の白龍皇と対話……と言うか戦っている。

ヴァーリなりの対話が戦う事だった。しかしそれが合っていたようですでに八割以上の白龍皇達と対話を終えていた。

それとルフェイと美猴は携帯ゲームで絶賛対戦中であった。二人の対戦は白熱していた。

 

「やったー!!これで私の勝ちです!!」

 

「ちくしょ……もう一回だ!次は勝ってやるぜ!!」

 

「いいでしょう!望むところです!!」

 

そんな白熱した戦いをしている二人を紅茶を飲みながら観戦しているアーサーはただ黙って見ていた。

するとアーサーは一誠の方を向き新しくコップを取り出し紅茶を注ぎ始めた。それを一誠に差し出した。

 

「よければ一誠君もどうですか?」

 

「いいのか?貰っても……」

 

「ええ、構いません」

 

「それじゃ遠慮なく……美味いな。それに後味も抜群だ」

 

「そうでしょう。これは私のお気に入りですから」

 

一誠はアーサーと共に紅茶を楽しんだ。ゼノヴィアと黒歌の二人が未だ起きないので動けないのもあるが、もう一つ理由がある。

それは一誠達とは反対側に座っている銀髪メイドが居るからだ。

魔王の眷属で『女王』にして女性悪魔で上位に居る人物―――グレイフィアだ。

魔王の命令で一誠達を迎えに来たのだ。

 

(それなりのもてなしを期待してもいいかもな)

 

魔王の眷属……それも『女王』が来ればそう考えても可笑しくはない。しかし別の考えも同時に思いついた。

 

(監視かもな……)

 

どうしてそう思うかと言うと一誠と一樹の関係だ。二人は同じ親から産まれた兄弟だ。しかし兄は弟を蔑み弟は兄を殺そうとしたのだ。

普通ではない兄弟。兄は悪魔、弟は神。どこにでも居そうでありえない兄弟。

それが兵藤一樹と真神一誠だ。

だからこその監視でありそれゆえの監視でもある。

 

「……一誠様、少し聞いてもよろしいでしょうか?」

 

「俺で答えられるのでしたら」

 

先ほどまで黙っていたグレイフィアが口を開いた。一誠は一応年上なので敬語で話していた。

 

「ヴァーリ様は何をなさっているのですか?」

 

「瞑想ですけど?」

 

「瞑想ですか?何のために?」

 

「『覇龍』のコントロールのために。出来ればヴァーリは本当の意味で歴代最強になるんですよ。そうなれば俺を殺せるかもしれない」

 

「…………」

 

グレイフィアは一誠の発言に絶句していしまった。自身を殺してもらうために鍛えていると言われれば絶句してしまう。

グレイフィアは気を取り直して一誠を見た。

 

「……一誠様は死にたいのですか?」

 

「ええ、死にたいですよ。ただ自殺じゃなくて誰かに殺されたいんですよね」

 

「それは何故ですか?」

 

「だって、自殺だとまるで負けを認めたようなものじゃないですか」

 

グレイフィアは一誠の言葉が分からなかった。それどころか一誠が穏やかな顔で言った事が彼女を恐怖させた。

 

(これが真神一誠なのですね……)

 

改めて思い知らされる。間違いなく一樹と一誠は兄弟なのだと。考えや思考がとても一般人では無いのだと。

自分の主である魔王サーゼクスが彼のもとに自分を使いに出したのかがようやく分かってきた。

 

「それで後、どれくらいで着きます?」

 

「もう30分も掛からないかと。それと冥界に着きましたら首都リリスでサーゼクス様と会って頂きます。それにヴァーリ様についての話があるので」

 

「ヴァーリの?」

 

「先に軽く説明させていただきます」

 

グレイフィアはヴァーリの今の立場について説明した。ヴァーリは現在所在が掴めているルシファー血族の人物だと言うことを。

そして冥界には先代魔王ルシファーに忠誠を尽くしてきた悪魔がおり彼らがヴァーリを新たな魔王として祀りたてるのではなかいと危惧している。

 

もちろんグレイフィアやサーゼクスはヴァーリが魔王になる気は無い事は彼の育ての親のアザゼルから散々聞かされた。

自分より強い者との戦いを好む『戦闘凶』だと言う事を。だから今は自分のもとを離れて一誠のもとに居るのだと。

 

「……なるほど。でもヴァーリは魔王になる気は無いですよ?戦えればいい奴ですからね。魔王なんてなったら自分の時間が無くなって戦いどころじゃないですからね」

 

「ええ。それは十分承知していますが、彼とその周りの者の思惑はまったくの別物なので」

 

「ああ……それもそうか。お~いヴァーリ。起きてくれ」

 

一誠の声でヴァーリは目を覚ました。周りを見渡して首をかしげた。

 

「……イッセー。まだ着いていないのに何故起こした?もう少しだけ潜っていたかったんだが……」

 

「まあ、そう言うなって。ちょっと話があるんだ」

 

寝起きで少し機嫌が悪いヴァーリに一誠は先ほどグレイフィアから聞いた事をそのままそっくりヴァーリに話した。

 

「―――くだらん!」

 

ヴァーリはただそう切り捨てた。しかし一誠は首をかしげた。

 

「魔王にはならないと?」

 

「ああ。俺が『ルシファー』を名乗っているのは誇りとあの忌まわしき日々を忘れないためだ!いつかあの男を……リゼヴィム・リヴァン・ルシファーを殺すために名乗っているに過ぎない」

 

「だからなる気はさらさらないんだな?」

 

「ああ。そうだ!!」

 

ヴァーリの目には殺す相手であるリゼヴィム・リヴァン・ルシファーしか映っていなかった。殺意に満ち、その身体から溢れ出る魔力は純潔の悪魔でもそうは居ない。

そんなヴァーリを一誠は嬉しそうに見ていた。

 

(いいね。いいね!これこそ復讐に燃える奴の顔だよ……俺も同じような顔をしていたんだよな。さあ、見せてくれヴァーリ・ルシファー!お前の復讐を!)

 

これこそ一誠がヴァーリを自分の近くに置く理由の一つだ。自分を殺させるためと復讐を見届けるため。

この二つがあるからこそ一誠はヴァーリの事が気にっている。

 

「魔王の『女王』!!魔王とその周りに言っておけ!俺を勝手に魔王に祭り上げるなら真っ先にそいつらから始末すると!」

 

「……承知しました。確かに伝えておきます」

 

ヴァーリの覇気に少し押されてグレイフィアは頭を下げた。ヴァーリが言葉と共に放った魔力はグレイフィアの予想を超えて魔王級まで後一歩まで迫っていた。

会談の時にはこれほどまでは無かった。短期間にどれほどの鍛錬を積めばこうなるのだろうか?

それだけ真神一誠の影響が大きかったのだろう。

 

(あの子―――リアスが彼を選んでいたら……)

 

グレイフィアはリアスの選択を心のどこかで間違っていると思っていた。自分よがりの自己中心的な性格は彼―――兵藤一樹が眷属になってより一層強くなってきた。

特別な存在にするのは構わない。でもその所為で選択を誤ってはいけない。最善最良な選択をしなければ、この裏の世界では生けてはいけない。

 

(このままではリアスが最上級になるのもレイティングゲームで王者になるのも夢のまた夢……それに『あれ』をどうにかしないと……)

 

グレイフィアはリアスのこれまでの選択で受けたグレモリー家の損害の事を考えていた。今、グレモリー家の信頼は地の底まで落ちかけていた。

それはリアスの失態―――堕天使の侵入からコカビエルの襲撃の不手際、会談での眷属の力を利用したテロ。

更には眷属の赤龍帝がユグドラシルの代理代表への攻撃。

失態に失態を重ね過ぎた。当主も限界だったようで厳しい処罰を言い渡した。

 

人間界における行動の制限ならびに私的財産の没収、向こう100年の昇格剥奪。

 

これを言い渡されたリアスは何度も父である当主に抗議したが取り合ってもらえなかった。リアスの処罰は言わば、自由に旅行に行けず好きなものを好きなだけ買えない事を意味しており、更に100年の昇格剥奪はこれからどんだけ功績を残しても無意味だと言う事だ。

その時のリアスは眷属が引くほど荒れようだった。

 

「どうかしましたか?」

 

「……いえ、何でもありませんので……」

 

グレフィアが考え事をしていると一誠が不意に話しかけてきた。この際だからグレフィアは前から聞いてみたい事を一誠に聞いてみる事にした。

 

「一つよろしいでしょうか?」

 

「ええ。何です?」

 

「一誠様は兄である一樹様を殺そうとしていたと聞きました。それはどうして殺そうと思ったのですか?血の繋がった兄弟ではないのですか?」

 

一誠は指をグレイフィアに向けて立てた。

 

「まず訂正があります。俺と一樹は血は繋がっているけど、もう兄弟では無い。あいつは兵藤で俺は真神。それに弟を蔑ろにする兄がどこにいます?」

 

「それは……」

 

「それに俺はもう一樹の事を殺そうだなんて考えていませんから」

 

「それは何故ですか?」

 

「……だって、自分より弱い存在に憎しみなんてあるわけないじゃないですか」

 

自分より弱い存在。この場合、一樹の事を指している。

グレイフィアも一誠の言っている事をある程度は理解できる。確かに自分より弱い者に憎しみがあるわけが無い。

 

(嘘では無いようですね……)

 

その言葉に嘘は無いとグレイフィアは思った。すると窓の外の景色が一変した。冥界に到着したのだ。

 

「……冥界に到着しました。質問に答えてくださってありがとうございます」

 

「いえいえ。これくらい別に構いませんよ。ゼノヴィア、黒歌。そろそろ起きろ。太ももがいい加減、限界だ」

 

二人を起こした一誠は改めて外を見た。これから起こるであろう面倒事を考えながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは北欧ユグドラシルの外れも外れで殆どの神々も知らない場所だ。そこに神が一体不気味な笑みを浮かべていた。

 

「ふふっ……オーディンの奴もこれで終わりだ。真神一誠は人間界だ。狙うならまたとないチャンスだ!!」

 

笑みを浮かべていたのは『悪神ロキ』だ。その周りには人を一人を丸呑み出来るほどの狼―――神喰狼・フェンリルが一匹が居た。

そして側には二周りほど小さい神喰狼が二匹いた。この二匹はフェンリルの子供だ。更には灰色の巨大なドラゴンが数十体が居た。

このドラゴンは五大龍王の『終末の大龍』ミドガルズオルムを元に量産したものだ。

 

ロキの狙いはオーディンだ。オーディンが悪魔達と何かしらの話し合いが気に入らないのだ。だから潰そうとしている。

更に笑みを浮かべてオーディンが恐れる姿を想像しているのだ。

 

「さあ!いくぞ、お前達!!」

 

 

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