ハイスクールD×D  一誠の魔神伝説    作:新太朗

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幻夢と限界

冥界で知り合ったバアル家次期当主サイラオーグ・バアルの『神滅具』である『獅子王の戦斧』を調整したサイラオーグとヴァーリと戦った一誠は暗闇の世界に立っていた。

 

(ここは……確か前にも……)

 

この暗黒の世界には来た覚えがあった。駆王学園での会談の後に来た一誠の精神世界だ。前回と同じで暗黒の世界に椅子が一つとスクリーンがあるだけだった。

ただ前回と違う所があるとすれば、椅子の隣に例の人型の宇宙が居る所だろう。

 

「今回は最初から居るんだな?」

 

「■■■……■■……■■……■■」

 

「お前の方は相変わらずだな。ちょっと安心したぜ。それで?今回はどうした?」

 

「■■……」

 

人型の宇宙は椅子を指差した。一誠は言われるがまま椅子に座った。すると前回と同じでスクリーンには最初ノイズだけが流れていた。

しばらくするとノイズが無くなり声が聞こえてきた。

 

『ずむずむいやーーーん!!』

 

「またか……ははっ……ホント、お前は幸せそうだな……」

 

スクリーンに映る兵藤一誠は恥ずかしがる素振りなどまったく感じさせない態度だった。一誠はそれを見て笑っていた。

顔や声が同じだが、人生が違うスクリーンの一誠を見るのが楽しくて仕方がなかった。ここは一誠にとって自分と一誠を肯定出来る有一の場所だ。

 

否定する者はいない。そこにあるのは肯定のみだ。誰が否定出来るものか。違う人生を歩んできたとしても自分も彼も紛れもなく一誠なのだから。

兵藤か真神など些細な事に過ぎない。重要なのはあり方にして本質だ。

場面が進み、前回の続きになった。

 

「これはやり過ぎだろ……」

 

兵藤家の一軒家が三階建ての立派な豪邸にグレードアップしていたのだ。両隣の家の敷地まで広がっていた。

そして朝になって家が豪邸になっていた事に両親は最新の建築技術だと信じきっていた。そんな訳がないのは明白なのだが、脳が麻痺していたに違いない。

 

それから夏休みに帰省するリアスに付いて冥界に行く事になって列車で冥界まで向かった。その途中で元龍王の『聖龍魔』のタンニーンにどれほどの戦闘力があるか戦いになった。

 

そしてグレモリー邸に到着した時にリアスの甥っ子のミリキャスと対面した。魔王の息子でしっかりとした子供だった。

一誠に興味があるようで色々聞かれたが、屋敷に入った。

 

屋敷に入ってリアスの母であるヴェネラナとも出会った。その時の一誠の反応は鼻の下を伸ばしてリアスに摘まれてアーシアが頬を膨らませた。

それから夕食になって雑談などを交えながら近況の話になった。

 

「―――これはどうゆう事だ?」

 

「うん?」

 

一誠はいきなり後ろから声が聞こえてきたので振り返ってみるとそこには本来ここには居ないはずの人物いや龍が居た。

ギラついた大きな牙、しっかりとした鋭い爪、どんな攻撃でもビクともしないような強靭な鱗、天を自由に飛ぶ事の出来る翼、どんなものでも一振りで薙ぎ払えそうな尻尾、睨まれたら身動きが出来ないほど力強さがある緑色をした瞳。

 

そこに居たのは『赤い龍』と言われ、天の名を冠する龍の帝王にして神と魔王を葬ったドラゴンが立っていた。

赤龍帝のドライグだ。しかし一誠は思った。

 

(何でこいつがここに居るんだ!?)

 

頭の中がパニックになっていた。一誠の人生でこれほどのパニックになったのはゼノヴィアの『子供を産ませてくれ』の次くらい驚いた出来事だろう。

だが、一誠は一旦冷静になった。以前からパニックになったとしても少しすると何故だか急に精神が落ち着くようになっていたのだ。

 

「どうしてお前が俺の精神世界に?」

 

「それはこちらのセリフだ。ここは『赤龍帝の篭手』の中のはずだ」

 

「「んん?」」

 

一誠とドライグの声が被った。お互いに今いる場所を自分の精神世界だと思い込んでいた。だが、それ以外に考えれないのも事実だ。

一誠はスクリーンと椅子があるからこそ、ここを以前来た精神世界だと確信していた。

ドライグは大昔に滅んだ自分の身体があるからここを『赤龍帝の篭手』だと思ったのだ。

なのにどちらの精神世界とはありえなかった。

 

「俺とドライグは繋がってないはずだよな?」

 

「ああ、そのはずだ。接触はしたが、俺とお前に繋がりなどあるはずがない」

 

「だよな……あ!もしかして……」

 

「何か心当たりがあるのか?」

 

「あれだよ」

 

「あれ?」

 

一誠はスクリーンを指差した。ドライグは一誠の指に先にあるスクリーンを見た。そこに流れている映像に目を見開いて驚いていた。

 

「な、なんだ!?あれは……お前か?真神一誠?」

 

「正確には兵藤一誠だ。赤龍帝のな」

 

真神一誠と赤い龍ドレイグを繋ぐのは間違いなく兵藤一誠の存在だ。

 

「なに?お前が俺の相棒だと?」

 

「だから俺じゃなくて兵藤だって言っているだろ?俺は真神だ」

 

「うむ……」

 

ドライグは一誠の横に座り一緒にスクリーンに流れる映像を見ていた。その内容はドライグにとって驚くべき内容だった。

自分が兵藤一樹ではなく横に座っている一誠の相棒として戦っていたのだ。

それは以前、ドライグ自身が一樹に言っていた事で望んでいた事だ。兵藤一樹ではなく真神一誠が相棒だったら、と。

 

(俺の言っていた事をこうして見る事になるとはな)

 

宿主が違うだけでこれもう違うのかとドライグは痛感した。今の宿主より映像の宿主の兵藤一誠の方がずっどいい。

しかし一点だけ、どうしてもドライグとしては許せない所があった。

 

(メスを求めるのはオスとして問題ないが、胸に対する欲求がストレートすぎるだろ……)

 

そう、兵藤一誠は女性の胸に対する欲求が凄かった。それもは歴代の赤龍帝よりもと言うより10代の少年にしてはだ。それにこれほどのバカは今までいなったほどだ。

しかも力の解放が毎回、胸を触ったりなどを求めてくるのだ。一々気にしては身が持たないほどのものだった。

 

「ホント、胸を求め過ぎだろ。兵藤一誠は」

 

「そうだな。相棒と比べると弱いが、それでも相性は抜群だろうさ」

 

「そのようだな。それにしても酷い技だ……」

 

真神一誠とドライグは今、冥界で行われたソーナ戦を見ていた。タンニーンとの厳しい修行を生き抜いた兵藤一誠の実力は確実に数段上昇した。

実力からすれば中級程度なら十分戦う事が出来るだろう。そして公式戦初となるソーナ戦で兵藤一誠はとんでもない技を生み出してしまった。

 

『これぞ、おっぱいの声を聞く技!乳語翻訳だ!』

 

そう兵藤一誠は女性の胸から当人の思考を聞き取ると言う世界でも絶対に誰も作らない技を作ってしまったのだ。

これには真神一誠も驚きを通り越して呆れていた。そもそもどうしたら女性の胸から声が聞こえると言うのだ。

 

しかし彼、兵藤一誠は女性に関して不可能はないと思える行動力を持っていた。もはや誰も兵藤一誠を止める事は出来ない。

もしかしたら神すらも止められないかもしれない。そして兵藤一誠はまたしてもとんでもない技を作っていた。

 

『これが洋服破壊だ!』

 

女性の服限定で発動する魔法を作ったのだ。触れた女性の衣服をズタボロにしてしまう恐ろしい魔法だ。

これには真神一誠は目を背けてしまった。まさか女性の服だけを綺麗に吹き飛ばす魔法を誰が思いつくだろうか?

だが、それを作ってしまうのが兵藤一誠なのだ。

 

(でも女性の動きだけではなく近くに居る男性の動きも止められる。ある意味、画期的な魔法なのではないか?)

 

真神一誠はある意味、兵藤一誠の生み出したものを肯定してた。それは間違いなく一誠だからだろう。

例え、進んできた道は違えど。自分自身を否定する事はなかった。

 

「はははっ!!まったく兵藤一誠は中々に面白い男だ!!」

 

「それは俺も思ったぜ。…………うん?」

 

この時、真神一誠はドライグの顔が先ほどまでと違って見えた。先ほどはどこか疲れたような顔をしていたが、今はそれが消えてスッキリしたような顔になっていた。

 

(こいつも疲れるような事があったんだな……)

 

ドレイグが疲れるような事は一樹の事だけだろう。二天龍の片割れを疲れさせる事をした一樹を一誠は軽蔑する事なく特に考えなかった。

 

「……まだ兵藤一誠が相棒だったら良かったものだ……」

 

「何かあったのか?」

 

「……今、兵藤一樹はリアス・グレモリーと姫島朱乃と寝ているのだ」

 

「寝ている?あいつ、高校生になって誰かと寝ているのか……」

 

「……済まない。俺が言っている。寝ているとは恐らくお前が思っているのとは違うだろう」

 

「?どう違うんだ?」

 

ドライグは真神一誠が言っている。『寝ている』は自分が言っているのとは違うとすぐに理解した。真神一誠が言っているのは親子のような川の字の事だろう。

しかしドライグが言っているのはまったく違う。

 

「つまり俺が言っているのは……俗に言う、交尾と言うやつだ」

 

「…………ああ、なるほど。それは済まん」

 

「分かってもらえてよかった」

 

二人の間で何とも言えない空気になってしまった。まったく違う意味をしていた。『寝ている』なのだ。

そもそも真神一誠には性知識が殆どない。赤ん坊はコウノトリが運んでこない事は理解していたが、行為そのものは理解していなかった。

 

「天龍でもストレスの限界か?」

 

「……そうだな。相棒は歴代の宿主で一番最悪の相棒だ。俺の忠告など聞かず、自分が世界の中心にいるような態度はホトホト嫌になっていたのだ」

 

「あの性格は死んでも直らないだろうな」

 

「ああ、そうだな。俺の我慢もこの辺りが限界か……」

 

ドライグは一誠の方に向き直した。するとドライグの胸から一つの赤い宝玉が出てきて一誠の手の平の上に落ちてきた。

一誠はドライグと宝玉を交互に見て首を傾げた。

 

「?これは一体、なんだよ。ドライグ」

 

「これは本来、相棒に渡すはずだったものだ。だが、奴には必要なさそうなのでな。ここで出会えたのも何かの縁だ。受け取ってくれ」

 

「いいのかよ……まあ、預かっておく。何かあればお前に返すよ」

 

「ああ、それで構わない。ではな……」

 

ドライグはそのままどこかに歩いて行ってしまった。一誠はドライグの姿が見えなくなるまでずっとドライグが去った方向を見ていた。

 

(お前も一樹に限界を感じていたんだな……)

 

一誠は一樹のこれまでの行動に問題を感じて我慢していた。だが、その限界も近くなっていた。一樹に対して何も感じなくなってもイライラは少しずつ溜まっていった。

しかしドライグは一誠以上に一樹に限界を感じていたようだ。それは当たり前だ。つねに近くに居たのだから。

 

「■■■……■■■……」

 

「あ、おい……」

 

居る事をすっかり忘れていた人型の宇宙がいきなりドライグから渡された宝玉を一誠から取ると一誠の胸に押し付けた。

宝玉はそのまま一誠の身体の中に消えていった。

 

「おい!……あれ?」

 

一誠が怒りをぶつけようとしたが、人型の宇宙はいつの間にか消えていた。仕方ないと一誠は諦めて現実に戻る事にした。

宇宙最凶の魔神の覚醒は果たされた。後は呑み込まれるだけだ。

 

さあ、世界よ!誕生を祝え!

 

宇宙を

 

星を

 

世界を

 

この世の全てを生み出した魔神の再降臨だ!

 

 

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