ハイスクールD×D  一誠の魔神伝説    作:新太朗

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遊園地と襲撃者

「きゃぁぁぁああぁぁ!!」

 

「うおぉぉぉぉ!?」

 

「やふぅぅぅぅぅ!!」

 

「すげぇぇぇぇ!!」

 

真神一誠は夏休みを利用して日本最大のテーマパークに来ていた。もちろん連れて来ているのはゼノヴィアを始め、ヴァーリチームの面々だ。

それぞれがテーマパークを楽しんでいた。一誠もこの手のテーマパークに来た事は今までなかったので大いに楽しんでいた。

 

ジェットコースターなどの絶叫マシンーに乗って楽しんでいた。今は夏休みと言う事もあり多くの家族連れが来ていた。

それを見た一誠はテンションが少し下がった。

 

(俺が普通の人間だったら両親に連れて来て貰えたんだろうな……)

 

後悔が無いと言えば嘘になる。両親の記憶を封印して自分の存在を消した一誠としても罪悪感が無いわけではない。

だが、これで良かったと思っている。自分はもう人でない。神すらも超越した存在の魔神になってしまった。

 

進んだ道を引き返す事は出来ない。進んだ先に何があるのかは誰にも分からない。しかし進む事しか出来ない者には足を止めると言う選択肢は無い。

一誠はこれまで見てきた。進むと決めた者の覚悟を。なら自分もそろそろ決めなくてはならない。

 

「イッセー!」

 

「どうした?ゼノヴィア」

 

「次はあれに乗ろう!」

 

「あれにか?」

 

ゼノヴィアが指差した乗り物はこのテーマパークで一番の絶叫マシンーだった。すでに乗っている人間の絶叫が一誠が座っているベンチまで聞こえてきた。

 

「よし!行くか!」

 

「ああ、他にもまだ乗りたい物があるんだ!」

 

「全部乗るぞ!残りの夏休みは全部、ここで過ごす予定だ」

 

「そうなの!?なら全て回れそうだ!」

 

それから一誠はゼノヴィアと時間が許す限りアトラクションに乗りまくった。冥界に行って日本に帰ってきてゆっくりと過ごせる時間が中々一誠は大いにテーマパークを楽しんだ。

 

「イッセー。私は向こうに行くがどうする?」

 

「少し疲れた。俺も少ししたら行くから気にするな」

 

「分かった!では後では!」

 

一誠と別れたゼノヴィアはさっそく気になったアトラクションに乗り込んだ。一誠はそれを見送った。

すると一誠がベンチに座るとオーディンが横に座ってきた。

 

「オーディンの爺さんはこの手の乗り物は乗れないはいいのか?」

 

「ほぉほぉほぉ……お前さん達が乗っているのを見ているだけで十分じゃよ」

 

「そうか……それで?動きはあったのか?」

 

「そうじゃな。近い内にこっちに接触して来るじゃろ」

 

「ふ~ん……暇しているんだな」

 

ユグドラシルにはオーディンの今後の他勢力との関わり方に不満を持っている神も少なくない。

だからオーディンは自分が命を狙われているのを承知していた。そこで自分を餌にしてその神を誘き出そうとしていた。

ユグドラシルに戻ると手を出してこないが、ここは日本。ここで何かあればその土地を管理している者の責任にする事が出来る。

 

そうなれば、ユグドラシルと三大勢力との関係は悪化してしまう。それはオーディンを狙っている者からしたら万々歳な事だろう。

しかしオーディンはそうはさせる気はない。だから護衛に一誠を連れてきた。

 

表向き一誠は冥界に居る事になっている。オーディンの護衛をしていない事になっている。そこがオーディンの作戦だ。

もし襲ってきても一誠よって返り討ちにされる。だからオーディンは自分を囮に使えるのだ。

 

「それでどうじゃ?」

 

「ああ、周りに結構な数が配置されているな。気づかないと思っているのか?」

 

「ほおっておけばよい。こちらに借りがある以上、それを返したいからのぉ」

 

「まったく一樹が余計な事をしなければ良かったのにな」

 

一誠は周りに配置されている三大勢力の者達を感じ取っていた。彼らの目的はオーディンの警護だ。

ミカエル、アザゼル、サーゼクスは日本に居る間、警護隊を準備していたが、それをオーディンが断った。一誠が居る以上、警護など不要だからだ。

 

そこで三人は警護隊をオーディンに秘密で派遣した。もしもオーディンがトラブルに巻き込まれた場合の事を考えてだ。

三大勢力はユグドラシルに借りが一つあるのでそれを返すのに必死なのだ。

 

「それにしても面倒だな……」

 

「どうしたんじゃ?イッセー」

 

「警護の中にグレモリー眷属が居るんだよ」

 

「ああ、あるほどのぉ」

 

そう、『あの』グレモリー眷属が居るのだ。数々の問題を起こしてきた三大勢力内でも扱いに困っている悪魔達だ。

本来なら彼女達はここに居るのは場違いなのだが、そこはシスコン魔王の職権乱用発揮をした結果だ。

 

もちろんそれにはアザゼルやミカエルは反対したが、悪魔の上層部の後押しのために護衛部隊に組み込まれたのだ。

だからアザゼルとミカエルは護衛部隊は自分達の勢力内でも精鋭の者達を送った。そして何か問題が起こった際にはグレモリー眷属を一誠から遠ざけるように命令されている。

 

一誠と一樹を近づければどうなるかをアザゼルとミカエルはこれでもかと言うくらいに部下に言った。

だからグレモリー眷属の周りにはバラキエルとガブリエルがスタンバイしていた。

 

(どう考えてもグレモリー眷属はないだろ……)

 

周りの気配を感知して一誠はグレモリー眷属だけはないと感じていた。バラキエルとガブリエルを入れるのは分かるが、グレモリー眷属だけはない。

そんなのはこれまでのグレモリー眷属の問題行動を見れば一目瞭然のはずだ。

 

「オーディンの爺さん。ちょっとトイレに行ってくる」

 

「分かったわい。戻ってくる時に何か飲み物を頼む。ちと喉が渇いたのでの」

 

「了解」

 

一誠はベンチから立ち上がってトイレに向かった。その時だった。一誠とオーディンの目の前に魔方陣が展開された。それは北欧で使用されているものだった。

 

「ついに来たかのぉ……」

 

オーディンの予想通りそこに立って居たのはオーディンと同じ北欧の神の一体、悪神ロキであった。

 

「ロキよ。一体、何のようじゃ?」

 

「もちろん、貴様の命を頂きにきたのだ」

 

「主神を亡き者にしようとはそこまで堕ちたかのぉ……ロキ」

 

「黙れ!貴様が勝手な事をし過ぎるのが悪いのだろうが!!あの人間の子供の事や三大勢力との接触など許しがたい!!」

 

ロキはオーディンの勝手な行動が許せなくてこうして出てきたのだ。オーディンはため息を漏らした。もう後戻りは出来ない。

 

(もう少し利口なら良かったんじゃがな……)

 

オーディンはロキの事をある程度は許すつもりでいた。自分を殺そうとしても同じユグドラシルの神なのだから。

だが、それはもう無いとオーディンは思った。

 

「なら精々気をつけるのじゃな」

 

「気をつけるだと?ふんっ!ついにボケてきたか!!」

 

「後ろじゃ」

 

「後ろ?」

 

「―――よぉ、駄神。元気にしていたか?」

 

ロキの後ろに立っていたのは一誠だった。一誠の事を認識するとロキの顔が一気に青ざめた。たださえ色白の顔がさらに青白くなったのだ。

ロキは忘れた事はない。真神一誠がどれだけの脅威なのか。ユグドラシルで一番に一誠の危険性を理解しているのはロキなのだ。

 

「おら!!」

 

「がはっ!?」

 

一誠はロキに腹パンを一発かました。ロキは数メートル吹き飛んだ。ロキは腹を抱えて痛みに悶えていた。

ボーンを纏っていない一誠の拳はどんな相手だろうと悶絶するほどの威力を持っている。

 

「な、何故!?貴様がここに居る!」

 

「何故って……俺はオーディンの爺さんの私兵だぜ?近くに居るのは当たり前だろ」

 

「で、では冥界に居るという情報は……」

 

「その情報は半分正しい。冥界には行ったが、ちょっとして帰ってきたんだよ」

 

「糞が……!!」

 

ロキは苦虫を潰した様な顔になっていた。ロキのオーディン殺害計画は一誠が居ない事が前提なのだ。計画を修正する必要があると考えているとロキの周りに三大勢力の隠れていた護衛達が囲んでいた。

 

「オーディン様!お下がりください!!」

 

「拘束しろ!!」

 

「魔王様に報告だ!」

 

「アザゼル総督とミカエル天使長に連絡だ!」

 

三大勢力のオーディンの護衛はロキを拘束して自分たちの上司に連絡を取ろうとした。その時だった。ロキがニヤリと不気味な笑みを見せた。

 

「ぎゃぁぁああぁぁぁ!!?」

 

「な、なんだ!?」

 

「き、気をつけろ!!」

 

「うわぁぁぁ!!」

 

ロキを拘束していた者達が次々と何かに殺された。しかも殺された瞬間を三大勢力の者達は捉える事が出来ないでいた。相手が早いのだ。

 

「クロ!」

 

「ウォン!!」

 

一誠のペットのクロが威嚇すると先ほどまで捉える事の出来なかった相手がついに止まって正体が見えた。

クロと殆んど同じ大きさの狼だったのだ。クロと違い毛並みは灰色だった。

 

「まったくフェンリル相手じゃ流石に荷が重いか……クロ、足止めしていろ!」

 

「ウオォォォォン!!」

 

一誠の指示に遠吠えで答えたクロは目の前のフェンリルを全力で威嚇した。フェンリルも自分と同格の存在に動けなかった。

自分の主人であるロキの命令で周りの者達を殺さなければならないが、それをすれば隙を作ってしまう。そうなれば、確実に目の前の者にやられる。

だからフェンリルは動けなくなってしまった。

 

「おい!あの役立たずが!!」

 

「おいおい。自分のペットに怒りをぶつけるなよ」

 

「真神一誠……」

 

動けないフェンリルに怒りをぶつけたかったが、目の前に居る者をどうにかしないとロキは頭を働かせた。

腹のダメージがまだ痛く思考が上手く纏める事が出来なかったが。

 

「まあ、いい。お前が居るならお前から殺せばいいだけの話だ!」

 

「お前に殺せるのか?腹が痛くて動けないだろ?」

 

「お前を殺すのは私ではない」

 

「何?」

 

「―――隙だらけですよ!真神一誠!!」

 

一誠の背後に新たな神が出現した。名はヘル。死の国を支配する女神でロキの娘だ。一誠がロキに気を取られている間に背後に回ったのだ。

いくら一誠が強くてもゼロ距離からの攻撃を生身で受けてしまえば、ただでは済まない。

 

だけど、ヘルの攻撃は一誠には当たらなかった。いや、身体をすり抜けたのだ。そして身体がグニャリと曲がり消えた。

ロキとヘルは周りを見渡した。確かに一誠はそこに居た。だけど、先ほどの現象はどう見ても幻覚だ。しかし自分達がいつの間にか一誠の幻術に掛かったのか分からなかった。

 

「ど、どこだ!?」

 

「私達が幻術に……いつから!?」

 

「―――最初からだ」

 

「「なっ!?」」

 

一誠の声が聞こえたと思ったら景色が一変した。遊園地かと思っていた場所は何もない場所だった。オーディンもいつの間にか消えていた。

 

「お父様!空を!」

 

「空だと……こ、これはどういう事だ!?ここは……」

 

「そう冥界だよ」

 

一誠とロキ、ヘルは冥界に来ていたのだ。ロキは改めて一誠の姿を見たが、そこに居た一誠は生身ではなくボーンを纏っていた。

しかし一つだけではない。三体のボーンを纏っていた。さらに一誠の背後には紫色の立方体に座っているマジシャンのような格好をした何かが。

 

「さあ、神狩りの時間だぜ!ロキ!!」

 

最凶の魔神と悪神の戦いが切って落とされた。

 

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