ハイスクールD×D  一誠の魔神伝説    作:新太朗

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魔神と魔王

一誠とリアスの攻撃に割って入って来たのは魔力の『塊』だった。

それもリアスと同じ『滅び』の魔力だ。

 

(一体、何だ。この『塊』は?リアス・グレモリーと同じ『滅び』の魔力だが、リアス・グレモリーより質が圧倒的に上だ)

 

一誠は目の前の『塊』に今まで無いくらいに警戒していた。これまで出会った中でこれほど『異質』な存在はいなかったからだ。

 

(念のため、『アレ』を試してみるか……)

 

一誠は以前より試そうとしていた事をこの場面で使う事にした。一誠は一枚のボーン・カードを手に取った。

 

「『グリフォン・ボーン』レッグ。着装!」

 

一誠は用心のために足の部分だけ別のボーンへと変えた。

 

『グリフォン・ボーン』

風属性のボーン。ボーンの中でもドラゴンと並ぶ力を秘めている。

 

(『ボーン』の二体同時は初めてだが、これと言った代償があるわけではないんだな)

 

一誠の試したい事は二体のボーンの同時着装だ。しかし二体同時は一誠のとって初めての事だった。

一誠は代償の事を考えて今までしてこなかったのだ。力には代償があるものだから。

それも大きければ大きいほどにだ。

だが二体同時でもこれと言った代償はなかった。

 

(これなら三体同時も行けそうだな。それが出来れば、『あいつら』を呼び出す事が出来るな)

 

一誠には他にも試したい事があった。ボーンを三つ揃えて初めて呼び出す事が出来る存在がいる。

今回の二体同時はそのための準備と言える事だろう。一誠が考え事をしていると魔力の『塊』に変化が起った。

 

「……何だ?」

 

魔力の『塊』が段々と人型になっていったのだ。そして現れた人物を見てリアスは驚き大声になってしまった。

 

「!?……お、お兄様!?」

 

「やあ、リアス。それに眷属の皆も無事……とは言えないね」

 

魔力の『塊』の正体はリアスの兄して現四大魔王の一人、サーゼクス・ルシファー。その人―――いや、悪魔だった。

サーゼクスはリアスの無事を確認してから眷属を見て、一樹以外は軽傷だと判断してリアスにある物を渡した。

 

「持ってきて、正解だったね。リアス、これをカズキ君に」

 

「は、はい。カズキ、しっかりしなさい」

 

サーゼクスがリアスに渡したのは『フェニックスの涙』と言う回復アイテムだ。

リアスもしくは眷属の誰かが大怪我をしているのではないかと念のためサーゼクスが持ってきていたのだ。

 

「それであの鎧の人物は一体、何者なんだい?」

 

「あれはカズキの双子の弟だそうです……」

 

「カズキ君の弟……?確か弟は行方不明のはずだったね」

 

サーゼクスはじっと一誠を見て、両手を上げた。

 

「こちらに君と戦う意思はない。話し合わないかい?」

 

「お兄様!?何を言っているんですか!彼に話す気になどありません!カズキを殺そうとしたのですよ!!」

 

「確かにそうかもしれないね。でも今はどうだろうね?彼はこちらを警戒しているだけで戦うようには見えないね」

 

リアスはサーゼクスがいきなり何を言っているのか分からなかった。助けに来たかと思いきや一誠に話し合いを持ちかけたのだ。

 

「それでも彼は危険です!ここで殺すべきです!!」

 

「しかしねリアス。私はここに『入る』事は出来ても『出る』事が出来ないんだよ」

 

「な?!」

 

サーゼクスの言葉に思わずリアスは驚きを隠せ無かった。

 

(やっぱりそうか……そうだよな。ユグドラシルでも誰も出る事は出来なかったんだ。だったら魔王はどうやって入ってきたんだ?)

 

一誠はサーゼクスが『コクーン』に入って来たのか分からなかった。

空間を隔離してある『コクーン』は外と連絡すら出来ない。そんな状態で『コクーン』の正確な位置を外に伝えて助けに来てもらう事は出来ないはずなのだから。

 

「私はサーゼクス・ルシファーと言う者だ。君の名を聞いても?」

 

「……俺は真神一誠だ。魔王直々とはな……どうやってここに入った?ここは俺の許可なしで入る事は出来ないはずだ。なのにアンタは入ってこれた。何故だ?」

 

「何、一樹君達の『悪魔の駒』の位置を調べただけさ。そしたらどこかの閉鎖空間に居る事が分かったから強引に入り口を開けたのさ」

 

「……なるほど、な」

 

サーゼクスが名乗り一誠も名乗った。そしてサーザクスが言った事に一誠はどこか納得していた。

流石は最強の悪魔だと。

 

 

 

最凶の魔神と最強の魔王の出会いは予期せずこうして果された。

 

 

サーゼクスは一誠の名前を聞いてからずっと考えていた。

 

(一誠?確かカズキ君の弟の名がそうだと聞いていたが、に……まさか彼がそうなのか?)

 

サーゼクスは一誠の名を聞いてからある事を思い出していた。

 

「アンタも俺と戦いに来たのか?魔王」

 

「その前に一つ聞いてもいいか?」

 

「……何だ?」

 

「どうして君は私の妹達と戦っていたんだい?」

 

「お前の妹が強引に俺を連れて行こうとしたから抵抗したまでだ。それとも悪魔は人権を踏みにじる事が出来るほど偉いのか?」

 

サーゼクスはどうしてリアスと戦っていたのかを一誠に聞いて、リアスを睨みつけた。

 

(……まったく、この子は。何とか彼を説得しなければ)

 

サーゼクスはリアスを睨みつけながら呆れていた。もしこの事が外部に知られたら『グレモリー』の名に傷がつくだけではすまないと思い、サーゼクスは一誠の説得を試みた。

 

「それは私の妹がすまない事をしてしまったね。それで一つ頼みを聞いてはくれないだろうか?」

 

「……頼み?」

 

「ああ、この事は我々だけの胸の内にして欲しい。どうだろうか?」

 

サーゼクスの頼みとは今回の戦闘を誰にも言わないと言う事だ。すでに一樹を殺す理由が無くなった一誠としてはどうでも良かった。

 

「……分かった。こちらも今回の戦闘の事は誰にも言わない。すでに俺に一樹を殺す理由はどこにも無いからな。『コクーン』閉鎖」

 

すると空間が収縮していき、一誠達を押し潰そうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ここは?元の場所に戻った?」

 

リアスが目を開けて見るとそこは先ほどまで居た廃教会だった。リアスは周りを見渡し眷属と兄の姿を確認した。

 

(お兄様やカズキ達は居るわね)

 

その姿を見てホッと安心したが、一人だけ姿が見えない人物がいた。一誠だ。

一誠だけが姿が見えなかった。

 

「皆!彼が居ないわ!!まだ近くに居るはずよ!見つけ出して!!」

 

「その必要はないよ、リアス。それに探しても見つからないよ、彼は」

 

リアスが探そうと眷属達に命令しようとした所、サーゼクスに止められてしまった。リアスはそれが我慢できないでいた。

 

「それでも彼は私の大事なカズキを殺そうとしたのですよ!このまましておけば、私達に害を及ぼす可能性があります!彼を捕縛しておかないと!!」

 

「それをすれば我々はユグドラシルを完全に敵に回しかねない。だから彼には何かする必要はないんだよ、リアス」

 

「?……それはどう言う意味ですか?」

 

「それについて話す前に場所を変えよう」

 

サーゼクスの言葉の意味が分からずリアスはしぶしぶと場所を変える事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?……ここはオカ研?……ッ?!」

 

一樹はガバッ!と勢いよく起き上がって周りを確認してオカ研の部室である事を再確認した。

 

「カズキ……良かったわ。気が付いたのね」

 

「部長に……サーゼクス様!?」

 

一樹は目の前の人物に思わず驚いてしまった。誰だっていきなり魔王が居たなら驚いてしまう。

 

「それじゃカズキ君が目を覚まして事だし説明しようかな。急に呼び出して済まないねソーナ君」

 

「いえ、魔王様。お気になさらずに」

 

サーゼクスに呼ばれた少女ソーナは一行に構わないように言って頭を下げた。

 

ソーナ・シトリー。

シトリー家の時期当主でリアスとは幼馴染の関係だ。人間界では『支取蒼那』と名乗って駒王学園の生徒会長をしている。

 

サーゼクスは彼女にも知ってもらうためにオカ研の部室に呼んだのだ。

 

「ソーナ君は生徒会長だから知っているかもしれないが、今日転校してきた人物『真神一誠』君の事だ。彼は『魔神』だ」

 

「ま、魔神ですか?どうしてそう言いきれるのですか?お兄様」

 

「今から十年くらい前にユグドラシルの方で強い力の波動を感じたんだよ。それでユグドラシルに確認を取った所、オーディン殿が言われたのだよ」

 

サーゼクスは一呼吸置いてから険しい顔になって続けた。

 

「……『ユグドラシルにて魔神が生まれた』と。それは各神話勢力に広まったが、その殆んどがオーディン殿の嘘ではないかと思っていた。私も初めは嘘ではないかと思っていた。しかし私はあれは嘘ではないと今日、確信したよ」

 

「それはどう言う意味ですか?お兄様」

 

リアスはサーゼクスが言う確信と何か分からなかった。いや、部屋に居る他の者にも分からず首を傾げていた。

 

「つまり彼―――真神一誠君に私は恐怖したんだよ。彼は己の『力』の一割も出してもいなかった。私には彼の力の底が見えなかった」

 

「「「「「な!?」」」」」

 

部屋に居たリアス達はサーゼクスの言葉に驚きを隠せ無かった。

冥界最強の悪魔にして四大魔王の一人で『ルシファー』の名を受け継いだ。そんなサーゼクスが恐怖を覚えたと言ったのだ。

驚くなと言う方が無理だ。

 

「そ、それでお兄様。彼に何かすれば、ユグドラシルを敵に回すとは何なのですか?」

 

「真神君はオーディン殿の私兵なのだよ。もしリアスが強引な事を彼にすれば、それがオーディン殿の耳に入りユグドラシルが我々の事を『敵』を見かねない……我々を殺す大義名分を与えてしまう」

 

「そんな、事が……」

 

リアスはサーゼクスから告げられた事に信じられずに居た。それは一樹も同じだった。

 

(一誠の奴がオーディンの私兵なのか?ふざけるなよ!!『原作』に無い事ばかりしやがって……!!いつかあいつを消しておかないとな)

 

一樹は一誠をどう消そうかと考えを巡らしていた。転生者の彼にとってこの世界は自分にとって都合がよくないといけなった。

 

(交通事故に遭って転生出来たんだ。この世界でハーレムを作って生きてやる!って決めたんだぞ!)

 

一樹は前世の事を思いながらこの世界でどう楽しく過ごすのかと考えていた。

 

サーゼクスはリアスとソーナの顔を見て一誠についての事を話した。

 

「リアス、ソーナ君。君達はこれから真神一誠君に不用意近付かないように。これは魔王としての命令だよ」

 

「しかしお兄様!!彼はカズキを殺そうとしたのですよ!このままにしておくのは出来ません!!」

 

「リアスの言う事にも一理あります。せめて監視だけでもしてはいかがでしょうか?」

 

サーゼクスの命令にリアスは納得がいかず魔王である兄に怒鳴ってしまったが、ソーナが『一誠の監視をするべき』とリアスに助け舟をだした。

ソーナに提案にサーゼクスは少し考えて答えた。

 

「……分かった。監視は付けよう。ただし彼の気分が害さないように細心の注意をしてくれ」

 

サーゼクスはそう言って、冥界に帰って行った。

リアスとソーナはこれからの事を話し合い始めた。一誠の監視についての話を。

 

「それでどうしますか?リアス。監視を誰に?」

 

「それなのだけど、クラスメイトの佑斗に頼むわ。お願いね佑斗」

 

「はい。部長。……でも彼は学校に来るでしょうか?僕達と戦った後で?」

 

佑斗は自分が思っていた事をリアスに言った。普通ならあれだけの事をした後では居なくなっても可笑しくはない。

しかしリアス達の期待を裏切るように一誠は次の日から何事無かったように学校に来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある山の中を移動している集団がいた。

 

「早くしろ、フリード」

 

「待ってくれよ~コカビエルのダンナ~」

 

「グズグズするな。アザゼルの奴が動く前に始めるぞ。―――古の大戦続きを」

 

一体の堕天使と一人のはぐれエクソシストが日本の駒王町に向かっていた。堕天使の手には三本の『エクスカリバー』が握られていた。

 




次回からコカビエル編に入ります。

お楽しみに!では。

更新の間隔が開いていきますので、すいません。
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