GATE 一方通行は異世界で何を見る   作:4649 ヤマト也

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第一話「門」

学園都市最強の能力者である一方通行は深夜の学園都市を徘徊していた。絶対能力者実験が凍結し一方通行はそれからの日々を淡々と送っている。他にも実験の勧誘はあったが彼は何故か全て拒否していた。目的も無くただ淡々と生きる毎日、彼は確実に気力を失って行った。

 

 

「何なんですかァ……このやる気の無さは」

 

 

自分の住処である学生寮にも帰らず、彼は公園にあるベンチに腰を掛けていた。一方通行が溜息をついていると目の前に建っている学生寮から騒がしい声が聞こえて来た。

 

 

「とうまーー!!」

 

 

「ギャーーー不幸だーーーー!!!」

 

 

近所迷惑なのも知らずに呑気なものだ。一方通行は更に気力を無くした。彼等彼女等はあんなにも騒がしいのに、何故自分はこんなにもやる気がないのか?比べる必要等ないのに必要以上に意識してしまう。

 

 

「……余計な音は反射」

 

 

彼は反射の壁の中に籠る。無音な世界は自然と彼を落ち着かせた。あぁ、最初からこうしていれば良かった。と一方通行は思っていることだろう。だが同時に反射の壁は彼を一層弱くした。落ち着けば落ち着く程、実験の事や無能力者の少年の事を思い出させる。一方通行は怒りや困惑とは違う感情を抱きながら掌で顔を覆う。

 

 

「考えるのは止めだ。面倒臭ェ」

 

 

絶対能力者実験が凍結してから随分考えた。自分がしてしまった事、人形だと思っていた御坂美琴のクローンが無能力者の少年によって一人の”人間”だと、分からされた事。

 

 

「………もうどうでもいい」

 

 

考えるのは止めだと言いながらも人間そう簡単に思考を止めることは出来ない。別のことに意識を向ける必要がある。

 

 

「…………ぁ」

 

 

腹の虫が鳴る

 

 

そう言えばここ数日まともに食事を取っていない。何か栄養を体に取り込まなければならない。することが決まった一方通行は立ち上がり目的の二十四時間営業のファミレスへと向かった。

 

 

 

 

 

ファミレスには疎らだが客がいた。店に入ると直ぐにウェイトレスにテーブル席に案内される。常連客だがこの時間帯にファミレスに来るのは初めてだ。注文をし、グラスに注がれていた氷水を口の中に流し込み、ほぅと息を漏らす。窓の外に目をやると警備員が学生達を補導している。この時間帯に何してやがると一方通行は自分に言えることを吐き捨てる。しばらくの間ボーッと窓の外を眺めていた一方通行だが先程のウェイトレスの声が視線を外させる。

 

 

「ご注文の品です。」

 

 

頼んだのはサイコロステーキの和食セットだがそれとは別にコーヒーの注がれているカップが置かれていた。頼んだ記憶は無いのだが。

 

 

「サービスです。お客様、疲れていらっしゃる様なので」

 

 

女性のウェイトレスはニコッと笑みを浮べながら「お代は結構ですので」と付け足し、若いウェイトレスは一方通行から離れて行った。

一方通行はウェイトレスを眉間を寄せた顔で見送る。疲れている?一方通行は再び窓に顔を向ける。光が反射している窓には確かに気力が無く疲れた顔があった。一方通行は舌打ちしテーブルに置かれたコーヒーを一気に飲み干した。

 

 

 

 

何とか栄養を摂取した一方通行は会計をし店から出た。本当にこれからどうするべきかを一方通行は考えようとしたが食欲を埋めた次は睡眠欲が襲って来た。数日ぶりに学生寮に戻ろうと一方通行は来た道を引き返そうとする。

 

 

 

ふと、路地裏が目に写った、路地裏にはいい思い出はないがここを進めば学生寮にいち早く行けることを一方通行は知っていた。早く帰れることに越したことは無い。と一方通行は人の気配が全くない路地裏へと入って行った。

 

 

 

一方通行は段々と違和感に気付いて来た。何故いつまで経っても路地裏を抜けることが出来ないのか?かれこれ約12分程歩いている。最初は眠たさのせいでただボーッと歩いていたが歩く内に意識が冴えていき予想よりも遥かに長く歩いている事に気付いた。

 

 

 

「あぁ?迷ったのか?それは無いか……」

 

 

 

自分で言い即座に否定する。一方通行は引き返すか……と立ち止まり踵を返し元来た路地裏を引き返そうとする。が

 

 

 

「はァ?どうなってやがる」

 

 

 

振り向くとそこは壁だけで路地裏の道など存在していなかった。

 

 

 

「……何の冗談だ」

 

 

 

一方通行は壁に触れる。それは紛れも無くコンクリートで出来た壁だった。自分は幻覚でも見ているのか。だが戻れないなら仕方ない。と一方通行は自分が進んでいた方向に向き直る。

 

 

 

「なっ!?」

 

 

 

今度は目の前に白い門のようなものが鎮座していた。その門のようなものはコンクリートと融合しているかのように一切の隙間が無かった。先程までこんな物は無かったはず。一方通行は益々混乱した。

その白い門を観察すると何やら彫刻のようなものが施してあり、科学の街には存在しているのが怪しいオカルトチックなものだった。

 

 

 

「……クソッ!!一体何の能力だ!!」

 

 

 

一方通行は何者かの襲撃だと予想しこの現状に一致する能力を想像する。だが、一方通行には最強の防御である反射がある。いかな能力でも彼の反射を破る事は容易では無い。だが第三者の介入以外この状況に説明がつかない。この門の出現も何かの能力によるものかも知れないと一方通行は思い。門に触れる

 

 

 

「何の情報も無い……か」

 

 

能力で作られた、または見せられているものだとしたら一方通行が分からないはずが無い。一方通行は困惑すると同時に興味を抱いた。

 

 

『突如出現した門のようなもの』

『説明のつかない事象の数々』

 

 

これらの要素は確実に一方通行に興味を持たせた。

自分が理解出来ない事象があった。

この門を壊すことも簡単だ、上を向くと空が見えているのでそこから路地裏を出ることも出来る。だが、この門の先には何があるのか。一方通行はそれが気になった。ただ単純にワクワクした。得体の知れない物を発見するという事はそれだけで人間特有の知識欲を駆り立て、興味を引く。

 

 

この門の正体を知りたい。

 

 

一方通行は人一人がやっと入れる門に入って行く。

そして段々と一方通行は暗闇に消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方通行は目を開ける。眠っていたのだろうか?ベッドに仰向けになって寝ている。ここで一方通行は違和感に気付いた。自分は門に入った……それから?思い出せない。それとこのベッド、この場所は知らない……自分の学生寮の部屋じゃない、ここは何処だ?

 

 

体を起こし部屋を見回すと花を生けてある花瓶、窓からは日が差している。差し方からして朝方だろうか…

……って、そうじゃねェ。ここは、何処だよ

 

 

一方通行は取り敢えずベッドから降りようとしたが、横に何かがあった、じゃなくて居た。何故起きて直ぐに気付かなかったのだろうか、こんなにも近距離に居たのにも関わらず。だが何故自分はここにいるのだろうか?横に居る物体を無視し不思議に思った一方通行は反射が展開されているかどうか確認した。

 

 

マジかよ……何で反射が展開されてないんだよ。

 

 

何故か反射が展開されていない、反射は常時展開していたはずだが門を通ったせいでリセットされたのだろうか?

有り得ないことを思いながら一方通行は先程から無視し続けていた物体に触れた。脈はある。呼吸もゆったりしているし生命活動は滞りない。寝ているのだろうか?

 

 

「オイ、ここは何処だ?」

 

 

話し掛けると「ンー」やら「スゥスゥ」寝息を立てている。

 

 

 

一方通行が叩き起こそうとした瞬間、扉が開いた。

入ってきたのは金髪の人間?人間の特徴と一部だけ一致していない。耳が人間よりも長く尖っていて恐らく男性だろうが、その人物は手にスープだろうか?液体の入った容器を手に持っていた。容器からは湯気が立ち上っている。

 

 

「ーーーーー?」

 

 

?何か話しているようだが一方通行が記憶している何処の国の言語でもない。初めて聞く話し方。

 

 

 

「ーーーー」

 

 

 

その男性は手に持った器を部屋の中央にある机に置き、こちらに向かってきた。一方通行は瞬時に反射を展開する。これで物理的な攻撃なら一切を倍返しにすることができる。

だがその男性は攻撃する素振りを見せずに、一方通行が寝ていたベッドの縁で寝ている人物の肩を揺する。

 

 

 

「……ーー?」

 

 

寝ていた人物は頭を上げ目をこする動作を行う。そして大きな欠伸をした。少しの間ボーッとしていたが、ふと一方通行を見ると一方通行と目が合った。一方通行はこの人物を観察する。金髪の少女、この少女も金髪の男と同じように耳が尖っている。

 

 

「!!??」

 

 

少女は完全に目が覚めたようで一方通行の顔を見て凄く驚いた顔をする。それを見てこの少女の父親らしき男性は笑いながらテーブルに置いていたスープの入った木製の容器と木製のスプーンを渡して来た。

 

 

「……」

 

 

一方通行は黙って受け取る。男性の顔を見るが男性は不思議そうな顔をしている。まるで「食べないのか?」と言っているかのように。

 

 

「ーーーー?」

 

 

金髪の少女はスープの入った容器を指差しながら不思議そうな顔をする。この少女も「食べないの?」とでも言っているかのようだ。

 

 

 

一方通行はスープをスプーンですくい上げ口に運ぶ。まろやかな口当たりで普通に美味しいスープだった。一方通行が黙々とスープを口に運ぶ光景を2人の人物は笑顔で見ていた。

 

 

 

一方通行が容器を空にすると父親らしき人物が空の容器を洗いに行くのか手に持ち外に出て行った。部屋には1人の少年と1人の少女が残った。

 

 

「ここは何処だ?」

 

 

一方通行が話すと少女は首をかしげて

 

 

「ーーーーーーー?」

 

 

 

理解出来ない音を発するだけだった。

一方通行は頭を掻きながら部屋を二度見回した、さっきは気付かなかったが部屋の隅に本棚がある事に気付いた。一方通行はベッドから降りて本棚に向かう。情報を得るためには丁度いいものがあった。と一方通行は本を適当に一冊取り出し読み始めようとしたが、やっぱり見た事も無い言語で書かれていた。一方通行は一度その本をしまい、本棚の中で一番分厚い本を取り出した。

 

 

これが辞書だったら良いけどな……ビンゴ

 

 

一方通行は挿絵のある辞書らしき本を流し読みする。一見するとただページをパラパラ流しているだけだがちゃんと頭に入っている。だがまだ足らない。この言語を理解するには喋っている様子も観察する必要がある。

だが今はただひたすら本を読む事に集中する。

 

 

「ーーーーー」

 

 

少女が呼び掛けて一方通行の肩を軽く叩こうとする。が

 

 

 

「ー!?」

 

 

少女の手が一方通行の肩を触れる寸前で弾かれた。

 

 

少女は驚いた顔をして反射された手をもう片方の手で抑える。骨折はしていないだろうが驚いたようだ。

 

 

「あァ?」

 

 

一方通行は何かを反射したことに気付き振り向く

少女は突然起こった事に驚いていたが、一方通行を手招きした。

 

 

「何だよ」

 

 

「ーーーー、ーーー。」

 

 

一方通行は「着いてきて」とでも言ってるかのような少女に付いていく、部屋を出て向かいの部屋に入る。

部屋の中は本が大量にあった。少女は誇らしげに胸を張っている。恐らくあの男性の所有物だろうが、構わないのだろうか。見ていいのなら願ってもない事だが、一方通行が本を選んでいると、少女が分厚い本を差し出してきた、その本はさっき見た分厚い本と同じ類の物だ。

 

 

一方通行は壁に寄りかかり本を流し読む。先程からその異様な速さで本を読む光景を見て少女はほぇーっと見ている。が同時に笑顔になり本を取っては一方通行の足元に積んでいく。その本達の中身を一方通行は世界最高の脳に次々と詰め込んで行った。

 

 

 

 

それから2日間、一方通行はその書斎らしき部屋に籠り本を読み漁った。元の世界の事など一方通行にとってはどうでも良くなっていた。それよりも、今していることが楽しくてしょうがなかった、新しい世界ですることは全てが新鮮だった。表情には殆ど出てはいないが、少なくとも前の世界とは違った顔付きになっていた。

 

 

 

一方通行が初めて外に出たのは書斎に籠ってから2日後の朝方だった。言語が分からないためコミュニケーションを取るには苦労したがジェスチャーが少なからず通じた様で特に苦労することは無かった。一方通行が外に出ようと思ったのは、この世界の言語を覚えるためだ。少女と少女の親だけでは言語を覚えるには不十分なため他の人物達と積極的に交流し口の動きを真似し書斎に籠って頭に叩き込んだデータと照らし合わせる。教材も無く、我流で全く知らない言語を覚えるのには骨が折れたが、後はこの世界の言語を完全に理解し、音として情報を発するだけだ。

 

 

 

 

一方通行がこの世界の言語を発声したのはこの世界に来て一週間も経っていない頃だった。

 

 

「分かるか?俺の言葉?」

 

 

一方通行は少女と男性の面と向かって初めてこの世界の言語を口にした。少女と男性は何度目の驚きかは分からないが、一方通行が来てから一番の驚きだっただろう。

 

 

「貴方、此処の言葉を話せるの?」

 

 

少女は信じられないという風な顔をしている。それもそうだろう。全く別の知らない言語を話していた少年がいきなり自分達と同じ言葉を発したのだから。

 

 

「驚いたよ。ずっと書斎に籠ってたりしたのは見ていたけどたったの一週間で此処の言葉を話せるなんて……」

 

 

男性は笑ってはいるが、驚きは隠せてはいない。

そして、先程まで驚いていた少女は笑顔になり。

 

 

「これでやっと貴方の事をちゃんと教えて貰えるね」

 

 

少女は何から質問していいのか悩んでいるようだが、質問をしたいのは一方通行も同じ事。一週間、此処で生活し(書斎に籠ってはいたが)、自分が全く別の世界に来てしまった事は分かっていたが、未だに何者かにテレポーテーションさせられ知らない場所に飛ばされた可能性も否定出来ないため幾つか確認する必要があった。

 

 

「教えて貰いたい事は俺にもある。」

 

 

それを聞くと二人は笑顔で何?と聞き返して来た。

 

 

「学園都市って所は知ってるか?何なら日本でもいい。」

 

 

世界で学園都市を知らない国は無い。学園都市は世界でもかなり名が知れている。その科学力は超能力さえも生み出し、世界でその科学力は活躍している。

だが、その質問に二人は首を傾げる。

 

 

「学園都市?日本?お父さん聞いたことある?」

 

 

金髪の少女は「お父さん」に尋ねる。

 

 

「いや、聞いたことないな。ここに来る前に住んでいた場所かい?」

 

 

「知らないなら、いい」

 

 

これで確証が湧いた。此処は自分が居た世界では無く、全くの別物の世界だと、そしてあの白い門が元の世界とこの世界を繋げていた門(GATE)なのだと。

 

 

「知りたいことはわかったの?じゃぁ次は私が質問する番ね」

 

 

少女は目を輝かせながら質問してきた。

 

 

「貴方のお名前は?」

 

 

案外普通の質問だった。

 

 

「俺は……一方通行だ」

 

 

「一方通行(アクセラレータ)ね、分かった。私はハイエルフのテュカ・ルナ・マルソー。テュカって呼んでね。」

 

 

一方通行には馴れ合う気など微塵も無いが、話を円滑に進めるため余計な事は言わずに「あァ」とだけ言った。少女が自己紹介すると次は男性の方が自己紹介した。

 

 

「私もハイエルフだ。ホドリューと呼んでくれ。」

 

 

一方通行はこの世界について本を読み漁ったため大体把握している。人間も存在しているらしいが人外であるエルフやドラゴン、挙句には魔法使いも存在しているらしい。一方通行にとっては魔法の存在が一番信じ難い。だが、超能力があるなら魔法もあンだろ。と自らを極力混乱させないために割り切っている。

 

 

「本で読んだがエルフは長寿なンだろ?」

 

 

一方通行が質問するとホドリューが答えた

 

 

「あぁ、そうだ。テュカはもう165歳になる」

 

 

見た目からして15歳程度だが一方通行の9倍近く生きている。テュカでこれ程ならホドリューはもう600歳を超えているんではなかろうか。しかもこの村はハイエルフ達の物だ。本には「自然とともに生きる種族」と書いてあった。

 

 

「えっと、一方通行は何歳なの?」

 

 

次は自分が年齢や個人情報を話す番である

 

 

「俺は人間だ。ンなウン百年も生きてねェよ」

 

 

それを聞いた二人は驚く。

 

 

「ンだよ」

 

 

「だって、一方通行の姿……」

 

 

あァ……そう言う事か

 

 

「俺は特殊な事例のせいでこうなった……外見は人の形した化物みたいだろうが正真正銘人間の筈だ」

 

学園都市では、自分は化物として扱われて来た、ここで自虐を含ませても何ら意味は無いのだがつい口に出てしまった。それを聞いたテュカは一方通行の想像していた返事と反し

 

 

「ううん、目の色も肌もとても綺麗だよ。それに髪が白いのは長く生きていたせいかと思ったから。」

 

 

フォローをしているのか、天然なのか、一方通行には分からないが、褒められたことに居心地の悪さを感じる。恥ずかしさとか嬉しさでは全く無い。

 

 

「えっと、他にも聞きたい事がーーー」

 

 

その後も質問攻めにあったが適当に相槌を打ったり、「元の世界」の事については一切話さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで一方通行君はこれからどうするんだい?」

 

 

「どこにもいく場所ないんでしょ?だったら」

 

 

一方通行が今悩んでいるのはそれだ。

元の世界に帰りたいとは微塵も思ってはいないし。この世界で一生を終えるのも悪くないと思っている。だがこの村で一生を過ごすのも勿体ない気がしてきた。折角、未知の存在が跋扈する世界に来たのだ。ホドリューは一方通行にずっとここに住めばいいと思っているようだ。テュカも同じ気持ちかもしれない。

 

 

「あァ、世話になったのに悪いがこの村は出て行こうと思ってる」

 

 

一方通行がそう言うとテュカは「え?」と唖然とした表情となる。

 

 

「どっ…どうして?ここに居ればいいのに」

 

 

テュカがそう言うと一方通行は答えた

 

 

「これ以上、世話になるわけにはいかねェ。迷惑かけるしな」

 

 

これは本心では無い。馴れ合う気など微塵も無いのだ。ならばずっとここに居る必要も無いし、変に情を持たれても有難迷惑である。不要だと思った事はしない主義だ。かつ新しい世界をもっと見てみたいのだ。

 

 

と、ホドリューが口を開く

 

 

「迷惑だなんて思ってはいないよ。テュカも友達が増えて嬉しいんだ。家族が増えたと思えば、何て事は無いよ。それに君は私達に恩を感じてるようだが、そう思っているなら騙されたと思ってもう少しだけここに滞在してくれないか?」

 

 

そう言われると無下にすることは出来ない。恩人の頼みだ。もし助けてもらわなかったら。あの反射が展開されていない状況で肉食の動物や未知の存在が居たらと思うと、本当に助けられたのだなと思う。

 

 

「……分かった。だが恩を返したら直ぐに出て行くが良いか?」

 

 

少しの間滞在するだけで恩が返せるなら、こちらも楽に事を済ませ、気持ちよく出て行けるというものだ。そう解釈した一方通行は騙されたと思ってここに少しの間滞在することにした。言語も完璧にマスター出来るわけだし、一方通行にとっても多少はメリットがある。

 

 

「あぁ、助かるよ」

 

 

何が助かるのか分からないが、一方通行は”仕方なく”この村からの旅立ちを延期した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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