魔法科高校の劣等生 エスペランザ・アルエット 作:イェーレミー
というわけで、お久しぶりです。イェーレミーです。一回全部消えたときは焦りましたが、何とかここまで書ききれたので良かったです。新作も書くし、ペースアップをしなければ。
前回の雫のあらすじ
幼馴染と出会って自己紹介し合って宴会して怒られて寝た。
--------------------------
達也side
朝。といっても朝日が昇り始めているまだ肌寒い早朝。達也は日課にしているある寺での訓練への道中、横で何の機関も持たないただのローラースケートで動作もなしに滑り登っている深雪に並走していた。まだほとんどの人がいないこの時間を選んでいるのは、キチンと理由がある。というか深雪と達也の行動自体がほぼ答えである。深雪がローラースケートで坂を登っているのも、達也がストライド10m以上で深雪と並走できているのも、魔法のお陰だからだ。魔法の私的利用は緊急時を除いて法律で罰せられる。屁理屈になるのだが、「見られていなければ使ってもいいよね」というやつである。しかしただ魔法を使っているのではなく、自分に負荷がかかるような少しキツめのものを深雪の場合は常時発動、達也の場合は足が地面に着く瞬間に発動している。どちらが難しいと聞かれればどちらもと答えるだろう。魔法だけで移動ベクトルを全制御する深雪と一歩ごとに魔法を起動させ続けなければいけない達也。それを「どちらが難しいか」と聞くのは愚問だろう。これ自体、彼らにとっては少しキツめの訓練だからだ。
小高い丘の上にある九重寺が目的地である。達也はここに通い始めたときから稽古を受けている。もっとも、最初は2D対戦格闘ゲームのようにタイマンでの組み手だったのが、今では中級位の門人に大きく乱闘する情け無用組手のような感じになっている。彼らの長以外はいなしていける実力の達也にとってはこれが挨拶代わりになっているのだが。
彼らの長、九重八雲は変態である。俗世に交わらないと言いつつ何故か萌えを知っていたり、彼の忍びの能力を驚かせたりするのに使うという、方向性が間違ってるんじゃないかと思うぐらいほぼ真面目にしない。しかも綺麗な坊主頭で見た目30代だが実年齢は50を超えていると言うのだから驚きだ。
「やぁやぁ達也くん。僕の背中を取るとは実力も上がったんじゃないのかな?」
「いけしゃあしゃあといなしている人に言われたくありません」
そして始まるタイマンバトル。生死が関わっているわけではない稽古なのだが、達也でも体術では互角な相手なので、すぐに終わる・・・・・・・・ことはなく。
「腕をあげたね、達也くん!」
「師匠は少し腕が衰えましたか?」
上段からの右手チョップは腕をクロスさせて受け止め、左手正拳突きは身体を回転させて受け流し、そのまま回し蹴りをする。しかしそれはしゃがんで回避され、軸足を蹴りに来る。回転の勢いは止まってないので一瞬で軸足を変えてかかとから蹴りに行こうとして、
「でも、やっぱり遅いね」
「は?」
軸足を変える一瞬、空中に浮いた瞬間に背後から声が聞こえた。そしてそのまま気がつけば横に吹っ飛ばされていた。少し不可解なものを考えながら急いで体勢を立て直した。
達也side end
―――――――――――――――――――――――――――――――
深雪side
九重寺に来て、お兄様はいつものように稽古をしている。門人を全て倒したあと先生と一対一で稽古していらっしゃるけれど、いつもの先生と動きが少し違うような・・・・・・・・
「深雪くん」
「せ、先生!いつも申し上げておりますが、気配を消して忍び寄らないでください!こちらの心臓に悪いです!」
「いやいや、僕は由緒正しい忍びだからね。忍ぶのが仕事だし、忍者とかいう俗物とは違うからね」
「それでしたら、驚かすのには使わないでください!」
「いやいや、驚いたときの恥ずかしげな表情やそれに伴う身体の動かし方や色香は間違いなく萌えだよ!」
九重八雲は変態である。こんな風に。行くところを間違えればお縄について檻のある部屋に閉じ込められそうな気もするが、これでもお仕事モードになると政府高官でも与えられなさそうな情報を詳しく調べてくれるのだから文句を言えない。しかし親しい人にも礼儀ありということでこんな変態発言は止めてほしいと思う今日この頃である。
「やぁやぁ深雪くん。それが一高の制服かい?」
「えっ?」
あ、ありのまま今起こったことを話しますね。背後から忍び寄ってきた先生と真正面から歩いてきた先生とお兄様と稽古している先生がここにいました。影分身とかそんなチャチな物じゃなくて、もっとすごく恐ろしいものの片鱗を味わった気がしました。
「師匠。深雪が怯えているのでやめていただけませんか?」
「やるね~。私の背後を取るとはね。でも、姿はその特殊な目でも見えていないの?」
「は?」
「え?」
お兄様が私を守るように真正面から歩いてきた先生に手刀を繰り出し、先生だと思っていた人は翡翠色の粒子と化し、お兄様の背後に再構成されました。しかも手には翡翠色の剣を持って、空中には同じく翡翠色の小刀のような物が浮いていて、それらを全てお兄様に向けていました。驚いた時にはもう既に終わっていました。警告する暇もなかったのです。
「いや~、まさか騙されてるなんて。達也くんでもそういうことあるんだねぇ。まぁ、彼女のは気配すらも偽るから気付けないのは最もな話なのだけれどね」
背後から出てきた先生が本物?それであればお兄様がさっきまで稽古していた先生は?今剣を向けている先生は?
「もうそろそろ解除したらどうかな?」
「まぁ、そろそろ疲れたし、擬態は止めるつもりだったよ?」
そう言って、先生のようなものその1は剣を下げ、宙に浮いている小刀も自分の周りに呼び寄せた。そして翡翠色の粒子に包まれた。一高の女性用制服を着ていて、身体は少しグラマラスで胸は大きいが顔は少しあどけなさを残していた。虹彩は金色に光っていたが、彼女は昨日会っていて知っている少女だった。名前は、
「やっほー達也に深雪ー」
「え!?雫!?」
北山雫だった。
深雪side end
―――――――――――――――――――――――――――――――
雫side
達也と深雪の驚く顔が見れて、やった甲斐があったかも。今も達也と深雪は鳩が豆鉄砲食らったような顔をしているし。
「達也くんも深雪くんも、そんなに驚くことがあるんだねぇ。特に達也くん、ほとんど無表情なのに絶句してないかい?」
八雲さんのその声で、やっとのことで二人とも現実に戻ってきてくれたみたい。っていうか、ほのかもアーミアも縁側でお茶してないでこっちに来てよ・・・・・・。しかもアーミアはどこからその双眼鏡を取り出したんだろ?そしてそれで笑いながらこっちを見ないでよ・・・・・・。
「ど、どうして雫がここにいるの!?」
「私も一応ここの門下生だからだよ?」
「まぁ、雫ちゃんのレベルは僕と同じぐらいだから、達也くんは苦戦すると思ったけどあんなにあっさり終わるなんてねぇ。ちょっと考え事でもしてたかい?」
「いえ、先ほど俺が稽古してもらっていた師匠の正体が分からなかったもので。視えなかったというのもありますが」
「まぁ、あの子に関しては視えた方がおかしいからあまり気にしなくていいねぇ」
誰の事かと思えば私のお師匠さんのことね。まぁあの人は見えなくて当然の事だと思うし。私も見えないけど。見える人がいるのかどうかが怪しいレベルだし。
「あ、そうそう。そこの縁側にほのかとアーミアもいるよ?」
「雫?そんなことを話すためにここに来たのでは無いのでしょう?」
あーもう、深雪の目が思いっきり据わってるよ。お茶を濁して話を別方向に反らしたかったけど、そんな訳にもいかない、か。
「まぁね。・・・・・・・・久しぶりだね、大黒竜也特尉。私の事は・・・・・・前線でちぎっては投げを繰り返してて一方的に知ってるから自己紹介させてね。私は」
「ソラン・イブラヒム、か?スカーレット・プリンセスの異名を持つ」
「うん。大正解、百点満点だよ達也」
「スカーレット・プリンセス!?沖縄の時にいた戦略級魔法師の!?」
「説明ありがとね、深雪。まぁ非公式だからこの話はオフレコで頼みたいんだけど」
深雪が驚愕の顔で固まった。まぁそりゃそうだよね。達也の秘密を知ってるし、私も戦略級魔法師だなんて言えば驚くよね。
「昨日」
「ん?」
「スカーレット・プリンセスと今日合流すると風間少佐から連絡が入ったんだ。どのタイミングで来るのかは分からなかったが」
「まぁその辺りは知らせないほうがドッキリになるでしょ?」
「それはそうだが・・・・・・・」
そしてニヤニヤ顔な私と困惑した達也(ただしほぼ無表情)。そして九重さんに化けてたお師匠さんが変化を解いてやって来た。表社会じゃ姿をあんまり見せないのに裏に入ったとたんよく見るのはどうしてだろう?
「初めまして、司波達也くんに深雪さん。私の事は・・・・・・ハーミットって呼んでくれると嬉しいかな」
「
「まぁね。訳有って名前は明かせないのよ。あ、その特殊な目で覗こうとしてもダメだよ~。多分私の事は視えないと思うし」
「!?」
あ、やっぱり驚くよね。私とアーミアもイノベイターとしての能力バレたときは吃驚したし。一応私達には四葉のこともバレてるから隠さなくてもいい気がするんだけどね~。
「じゃあ雫、また後でねー」
「はーい」
そしてお師匠さんは縮地で何処かに何かを教えにいった。また後でって言ってたし、多分学校辺りで会えるのかな?
「雫。あの人はいったい・・・・・・」
「私のお師匠さんのこと?私に聞かれても殆ど分からないよ?九重さんの方が知ってるんじゃないの?」
「いや~、あの子に関しては僕もあまり知らないんだよ。何せ、僕にとっても先生役だったしねぇ」
やっぱりそうなってくるよねぇ。年齢とか聞いたら教えてもらえるのかな?って、ほのかもアーミアも、縁側で朝ごはんのおにぎり食べてるけど私も呼んでよ・・・・・。私もお腹すいたし。
というわけで、達也と深雪と少し仲良くなって、学校にいきました。まる。
・・・・・・・まさかこの光景をお師匠さんが見ていただなんて、気付きもしなかったけど。
――――――――――――――――――――――――――――――――
その後、九重寺から出て一緒に登校していると達也が生徒会長と仲の良い感じで話していた。ただし達也曰く生徒会長とは初対面らしいし、なぜ話しかけられたのかは分からないと言っていた。成績関連じゃないの?って言うと素直に納得されたので、私の方が困惑したけど。それと、話してた内容は絶対お世辞モードでしょ。走り去っていく生徒会長の顔が悲しみに満ちてたし。
で、教室に入ってパパっと履修登録を終わらせたらエリカと美月に驚かれた。解せぬ。目の前に、私より遅く来て私より早く終わらせた華だっているのに。
「華の方が早かったよ?」
「いや、雫の場合は視線ポインタも使ってたじゃない。華がキーボードでパパっと終わらせたのもスゴいけど、よくそんなマルチタスクができるなぁと」
「私もです。複数の事を同時にするのが苦手で・・・・・・」
「・・・・・・そこは考えようじゃないの?私のマルチタスクは言ってしまえば器用貧乏だけど、美月は一極集中型。私のタイプは広く浅くだけど美月は狭く深くって考えれば良いんじゃないかな?そういうのは人それぞれ。十人十色、みんな違ってみんな良い」
私の言葉に美月は目を見開いた。結構なコンプレックスだったみたい。これは一応お師匠さんの受け売りなんだけどね。「コンプレックスを感じてる人がいるならこの言葉で応対すべし」とか。あの人はニュータイプか何かじゃないのかなと思うことがたまにある。
「まぁ、そんなわけで、そういうのは苦手とか思わない方がいいよ。考え方を変えれば良いんだよ」
「なるほど、勉強になりました!」
そうして同じようにキーボード入力でパパっと終わらせた達也の方に流れていった。達也の前に座ってその動作を覗き込んでる人に対して雫は一瞬イノベイターとしての能力を使って、名前や生い立ちを知った。
因みにミキは紗夜に、ティエラは拓海に、他の人は何とか自分で履修登録を頼んでいた。得意苦手が分かりやすかった。クルーエルとアマリリスはもう終わらせているのか机に突っ伏していた。
雫side end
――――――――――――――――――――――――――――――――
クルーエルside
「五分後にオリエンテーションを始めます。自席から離れている人は、速やかに戻って待機してください」
そんなアナウンスが聞こえた。この後にドッキリを二つ仕込んでいることを知っているクルーエルは少し陰鬱な気分になっていた。昨日の種明かしも含まれるが、生徒が先生役をやっても良いのかと悩んでいた。妹に聞いても素っ気ない返事ばかりで、もう吹っ切れるしかないのかなと腹を括ろうとしていた。
そんなとき、合図である前の引き戸が開き、カウンセラーの小野先生が入ってきた。
「皆さんこんにちは。この学校の総合カウンセラーを務めている小野遥です。カウンセリングは私のように直接相談することもできますし、端末を通してすることも可能です。柳沢先生?」
いきなり入ってきて「皆さんこんにちは」と言ってる人に対して、無視する非情者は流石に居なかった。西城さんに至っては、「あ、どうも」と声をかけつつ挨拶していたので、その辺りの常識はあったか。
「はい小野先生。皆さん初めまして。このクラスを小野先生と担当することになった柳沢です。どうぞよろしく」
そして机の前のディスプレイと教室の前の方に予め展開してあったスクリーンに男の柳沢先生が現れた。柳沢先生はともかく、小野先生はあれで公安の人というのだから侮れない。場数が違いすぎて話してはいけないことまで話してしまいそうと思ってしまったのはここだけの秘密にしておく。
「これから本校のガイダンスを始めます。その後に履修登録を行いますが、既に登録が完了している人は退室しても構いません。ガイダンスが始まってからの退室は認めていませんので、注意してくださいね。
それと、今年から二科生のクラスの中からランダムに選び、新たな授業として、名詠式を習得してもらいます。最初の年はこのEクラスが選ばれたので、頑張ってくださいね。因みに、名詠式は必修ではないので休むという選択肢もありますよ」
授業が増えるということに反応して少し嫌なムードになったが、そこはカウンセラーの巧みな会話術により回避された。まぁ、休んでも良いという理由も、最初の年で実験的な導入という面もあるせいで自由履修に近いものがあるからだろう。教科書はいらないし、大がかりな道具も必要ない。結構良い授業構成になったと自負はしている。トレミアの授業の事を思えば、ではあるが。
「それではまずは、その気になる名詠式の授業の担当の先生を呼ぶことにしましょう」
ということで小野先生が
「あれ?」
「どうしたんですか?小野先生?」
「あぁ、アマリリス
「ん?」
違和感に気付いたのは達也と雫、エリカと吉田君だね。他は、違和感はあるけど何かはわからない、そもそも違和感がないの二通りかな?とりあえずアマリリス、説明しちゃって。
「というわけで自己紹介しても良いですか?」
「あ、はい。お願いしますね」
「分かりました」
そうして徐に壇上に立ち、慣れた手つきで出席確認用の端末を操作した。そして見回して、計画通りと言いたそうな顔をした。
「というわけで、名詠式の担当教員のアマリリス・ソフィネットです。名詠式に関しては教員ですが、他の事に関しては生徒なので気を張らずに行きましょう。私も敬語で教えるのは苦手なので、今日からタメ口で言うかもしれませんが。まぁ今日はオリエンテーションってことで簡単な事から始めますね。名詠式っていうのは長い間、赤、青、黄、白、緑の5色と思われてきました。けど、本当は少し違う事がこの頃判明しています。姉さん?」
「はいはーい」
返事しつつ指先につけた赤色絵の具で炎妖精を讃来歌無しで名詠して、妹に対して投げつけた。皆はぎょっとしていたけど気にしない気にしなーい。
「それはまた授業で言うから置いとくけど、こんな風な危険なときでも、それをチャンスに変えることだってできるわ」
そう言いつつ、炎妖精の熱エネルギーを名詠式に組み込んで赤い小さな鳥を呼び出した。それだけでため息と歓声と拍手が上がった。流石にアマリリスだしヘマはしないと思うけど、それでも不安になったことは否めない。最悪
「もしも火事が起きれば、火事の熱エネルギーを使って赤い花を咲かせることだってできるのよ。そんなわけで姉さん、自己紹介して」
「おーらいまいしすたー」
そして檀上に立つ私。達也や雫の驚いてる顔を見れただけでも黙っておいた価値はあったかな?
「同じく名詠式担当教員のクルーエル・ソフィネットです。アマリリスと同じく名詠式以外は皆と一緒に学ぶからよろしくね。それと私は実技面、アマリリスは知識面を担当するから、私に知識面の質問をされてもあんまり答えられないわよ?」
少し釘を刺しておいて、私達の自己紹介は終わった。ちょっと拍手されたのは照れちゃったけど。そしてガイダンスの前に吉田君が退出したけど無事に終了してよかった、かな?とりあえず、何回か授業した後にエイダにでも特別教員として教えさせようと心に決めたクルーエルであった。
「えっと・・・・・・クルーエル先生?」
「名詠式以外は生徒だし、授業やってるときでも先生はいらないわよ。堅苦しいのは嫌だからね」
律儀に先生をつけてきた美月を諭して、昨日会ったメンバーと西城さんに囲まれました。流石にその中にはA組の人はいなかったけど、大体がむすっとした不満顔というか・・・・・・・。
「どうしてあんな重要なことを隠していたの?」
「だって隠してた方が、皆の驚く顔を見れるでしょ?」
ため息をつかれた。どうしてだろう?
「で、これから何処に行くんだ?」
「工房じゃない?皆実技系じゃなくて理論とかメンテナンスとかするタイプでしょ?」
「姉さん。入試の成績から予測しようとするのはやめておいた方が。決め付けは良くないと思うし」
「それもそうね」
達也の問いに答えて、何故か唖然としてる皆を置いて立ち上がりアマリリスと一緒に工房に向かおうとすると、ようやく我に返ったのか美月が小走りで追い付いてきた。達也はもう一度ため息をしてついてきた。エリカと西城さんは互いに顔を見合わせ、達也と同じくついてきた。華と雛絵は既に行動していたみたいで、周りには居なかった。イオンは既に工房に行ってたし、紗夜とかミキは楽しげな表情で歩いてたし、雫は拓海とアーミアと一緒に行動してる。ティエラは行方不明?みたいだけど。
「そういえば、昨日見せてくれた手品って、もしかして名詠式を使ったものだったのかしら?」
「まぁね。種を明かせばミスディレクションっていう目線の動きと名詠式を使ったのよ。まぁ、第二音階まではセラフェノ音語を使わずとも出せるんだけどね」
「クルーエルさん、セラフェノ音語ってなんですか?そんな言葉があるなんて初めて聞きました。私の母が翻訳の仕事をしているので言葉の種類に関しては色々知っていますが・・・・・・」
「それは仕方ないよ。セラフェノ音語っていうのは、ほぼ名詠式位しか使い道がないからね」
エリカの問いに答え、美月の質問に対して専門分野のことを言ってみると皆が二度目の驚愕をしていた。それはそうだろう。言語というのは世界中に数多くあり、それらは全てが自分達の意思表示のために使っているものだ。だがセラフェノ音語は名詠式位しか・・・・・・、厳密には草花や動物、果ては伝説上の生物と意志疎通するための言語だが、それを話したところで信じてもらえるかは50:50なので止めておいた。
「それで、これから向かうのは工房ってことで良いのよね?」
「あ、はい。魔工技師を目指しているので・・・・・・」
「じゃあこっちね。着いてきてよ?」
一応先生でもあるので教室の場所であればどこに何があるのかは覚えている。なので、私とアマリリス先導で向かった。この後の波乱については、しかるべき処分を受けさせようと思うけど。
クルーエルside end
誤字脱字報告など、色々と受け付けております。あと、感想を・・・・・・ください・・・・・・・