月村さん家の変態メイド   作:ひこうき雲

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初投稿です。小説タイトルと内容のギャップェ…


プロローグ的なやつ

少女は独りだった。

 

僅か4歳にして両親を事故で失い、一年間もの間親戚中をたらい回しにされ、5歳の誕生日を迎えた日に彼女は世話になっていた家を飛び出した。

 

少女は全てに嫌気がさしていた。

 

上記で親戚に世話になっていたと書いたがそれは最低限のもので、衣食住は揃ってはいたがそれ以外少女は居ない者として扱われていた。

 

挨拶をしても誰も返してくれない。話しかけても誰も返事をしてくれない。その理由を少女は幼いながらも理解していた。

 

少女の両親が駆け落ちに近い形で家を飛び出したこと。それによって彼らが決して小さくはない迷惑を被ったこと。だから、今自分が受けている冷遇は仕方のないものなのだと、そうされて当たり前なのだと彼女は納得した。してしまった。わずか4歳の少女が、だ。

 

少女は幼いままに無意識で心を殺す術を身に付けてしまっていた。泣いても誰も慰めてくれない。笑いかけても返ってくるのは無関心のみ。ならば、元から何もしなければいい。そうすれば自分も傷付かずに済む。

 

だから、少女は全てを押し殺した。

 

両親を失った悲しみ。独りぼっちになってしまった辛さ。親戚中からの冷遇による心の痛み。その全てを飲み込んで、押し殺した。

 

だが、それももう限界だった。

 

それは少女が5歳の誕生日を迎えた日のことだ。いつものように目が覚め、部屋の外に置いてあった冷めた朝食を食べ、食器を戻すため、そして返事がないことを知りながらもお世話になっている叔父と叔母に朝の挨拶をするためにリビングに顔を出した時のこと。

 

当然のように二人は無反応。ともあれそれは解りきっていたことなのでなんとも思わなかった。食器を水に浸け、まだ中身のある牛乳パックを戻そうと冷蔵庫を開ける。するとあるものが目に飛び込んできた。それはケーキだった。

 

トクン、と僅かに胸が高鳴る。もしや、もしかしたらと久しく感じなかった淡い感情が胸に宿る。その感情のままに彼女はそれに手を伸ばしーーー触るな!という怒号と共に突き飛ばされた。

 

顔を上げれば怒りに顔を染める叔母の姿があり、ケーキは今日留学先から帰ってくる娘の為に買ったものでありお前の物ではないという内容を叫ぶように投げ付けられる。

 

それを聞いた瞬間、彼女の中で何かが音を立てて崩れ落ちた。未だに叔母が叫び続けるリビングを抜け、靴も履かないまま少女は家を飛び出した。

 

そこからの記憶は酷く曖昧なもので、どれだけ走ったのかも今自分が何処にいるのかもわからないままに少女は走り続けた。疲れては休み、休んでは走る。そんなことを繰り返しているうちにとうとう少女の体力は限界に達し、足がもつれて転んでしまいそのまま動けなくなってしまった。

 

そんな少女に追い討ちをかけるようにぽつりぽつりと雨が降り始め、それは瞬く間に大降りの雨へと姿を変えた。

 

そして、気付けば少女は泣いていた。嗚咽が喉から漏れ出し、涙が雨に混じり頬を伝う。声を上げて泣くのは何時以来だろうか。感情を表に出したのは何時以来だろうか。

 

悲しい。苦しい。辛い。痛い。一年間、心の奥底に押し殺してきた感情が決壊したかのように溢れ出す。

 

もう嫌だ。もう辛い思いをするのは嫌だ。苦しい思いをするのは嫌だ。良いことをしたら褒めてほしい。悪いことをしたら叱ってほしい。もっと、もっと自分を見てほしい。

 

それは子供が抱く当然の我が儘だ。それを一年もの間我慢することが4歳の少女にとってどれ程辛いものだったのか。想像も絶する程の苦しみだっただろう。

 

 

ーーーそれからどれくらい泣き続けていただろうか。不意に影が差し、雨粒が肌を打つ感覚がなくなる。

 

不審に思い涙に濡れた顔を上げると、自分と同い年と思われる女の子が自分に傘を差し伸べていた。その後ろには侍女らしき女性が控えており、女の子が濡れないよう傘を差し伸べている。

 

-だいじょうぶ…?

 

女の子が話しかけてくる。心配そうな顔で、話しかけてくる。

 

-ないてるの…?

 

そう問いかけると、女の子はポケットからハンカチを取り出し、しゃがみ込んで少女の涙を拭う。

 

-ファ…ン、おむ…えのくる……よんで。あと、おおき…のタ…ルもおね…い

 

疲労がついに限界を超え、少女の意識はそこで途切れた。

 

ーーこの出逢いが、後の自分の人生を大きく様変わりさせるものとは知らずに。

 

 




おぅふ、やはりスマホは慣れぬ…という言い訳はここまでにしておくとして。これからお世話になります。沢山の方に読んで頂ければ幸いです。
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