今回全てオリ主視点です
参観、そして会談前夜
sideアダト
「フフフ・・・お久しぶりねぇ、4人とも」
「まったく、生きていたのなら連絡くらい寄越したらどうなのかしら・・・?」
「「「「・・・」」」」
俺達は今、非常に面倒な状況に置かれている。
突然姉のイシュタルとエレシュキガルが来訪してきたのだ。
「ご、ご機嫌麗しゅう、お義姉様方。遠路遥々お疲れ様ですわ。」
アスタルテがぎこちない笑みを浮かべながら挨拶を交わす。
「あらあら、ご機嫌麗しゅう、アスタルテちゃん。それにアナトちゃんも。」
「ご、御息災で何よりでございますわ」
やはりアナトもぎこちない。
この二人がこのような反応を示す相手は恐らくこの姉達くらいなものだろう。
それくらい厄介なのだ。
「・・・それで、どうして態々こんな極東の島国まで来たんだ?」
「どうしてって・・・決まってるじゃない。これよ。」
そういってイシュタルは一枚の紙を差し出した。
それは・・・
授業参観のプリント用紙だった・・・・
おいちょっと待て!
こんなモノを渡した覚えはないぞ?!
一体誰だ?!渡しやがった奴は?!
「因みにぃ、魔王サーゼクス・ルシファー殿が届けて下さったのよ~。音信不通の誰かさんと違って律儀ねぇ」
クスクスと笑いながら俺の疑問に対する答えを口にするイシュタル。
おのれ・・・あのシスコン魔王め・・・
「それはそうと」
イシュタルが視線を別の方向へ向ける。
「せめてアナタくらいは連絡してくれても良かったんじゃないのかしらぁ・・・ねぇ、シャラ?」
ビクッと体を震わせるシャラ。
「え、ええとですね・・・それは・・・」
あ~あ、視線が泳いでる上に冷や汗もかいている。
こりゃ相当狼狽してるな。
自分の母親だし無理もないか・・・。
「そう。言えないのねぇ。それなら仕方ないわ・・・
お仕置きよ☆」
「ひっ?!」
顔を真っ青にするシャラ
気のせいだろうか、今一瞬悪寒が・・・
それに最後何て言った?
おかしなアクセントで何やら聞いてはいけないことを言っていたような気がするが・・・
「アダト」
ビクッ
突然名を呼ばれる。
「あ、ああ。どうした?」
「ちょっとこの子借りるわよぉ。奥の部屋使わせてもらうわね」
「お、お母様?!ど、どうかそれだけはご勘弁を!」
「駄目よぉ?私今あの
今本音聞こえたな・・・
必死の願いも虚しく彼女は母の手で奥の部屋に引き摺られていくのだった。
――――そして数分後
「だ、ダメです!!お母様!そこだけは、そこだけは・・・あ、あアあああああああああああっ!!!!!」
「ほらほらぁどうしたの?!これが気持ちイイんでしょぉ?!もっといい声で啼きなさい!!」
「「「・・・」」」
「相変わらず元気だこと・・・」
実の娘に何つうことをしとるんだ・・・
エレシュキガルも呆れていた。
俺達は扉の向こうで起きているであろう惨劇と彼女の断末魔をただただ聞いていることしかできなかった・・・
強く生きろ、シャラ・・・
そして参観当日。
あの二人はやはりやってきた
授業中、アスタルテとシャラの方にイシュタルが、俺とアナトの方にはエレシュキガルが見に来る形となった。
お蔭で一日中神経が張り詰めっぱなしだったのは言うまでもない。
他の生徒の保護者達は皆見とれていたが、まあ女神ともなれば人間の域を遥かに超える美貌を持っているのだから仕方がないだろう。
あと、アスタルテ達のクラスの方が騒がしいと思ったので後で聞いてみたところ、何故か英語の授業なはずなのに粘土細工を作ったらしく、その中で兵藤がリアス・グレモリーのフュギアを作り、それがあまりにも完成度が高かったので授業中だというにも関わらずオークションが開催される始末だったとか。
そればかりでなく、アスタルテとシャラがイシュタルに無言のプレッシャーをかけられ彼女のフュギアを(仕方なく)作ったそうだ。
特にシャラ。
先日のこともあって当然のことながら下手なモノは作れないということで必死になって作ったところ、両者とも会心の出来栄えだったようで、こちらもオークションの対象になったという。
まあ最終的に本人が両方とも掻っ攫っていったようだが・・・。
ん、俺?
こっちは至って普通だったよ。
冥府の女帝が何しでかすか分からんから一時も気が休まらなかったけどね。
久々に地上に出たこともあってか何か目を爛々と輝かせてたし。
あと意外と知られてないかもかもしれないことだがエレシュキガルの両目は直死の邪眼になっていたりするのでそれがいつ発動するかもしれないかと思うと本当にヒヤヒヤした。
ネルガルが来てからは大分マシになったがそれ以前は一人でも多く死の国の住人を増やそうとしてたくらいだからな。
それにしても一般人からすればまさかモノホンの女神が目の前にいるとは露程も思わないだろうな。
それは当然来ているであろう魔王についても同じだが。
その後姉二人は案の定来ていた魔王二人やグレモリーの現当主とも挨拶を交わして何やら話し込んでいた。
主に先日の件について近々三勢力で会談を開くのでその際俺も出席させることについてのようだった。
予想通り俺達が重要参考人&アヌンナキの代表で出ることになった。
それとサーゼクスと一緒に来ていたもう一人の魔王、セラフォルー・レヴィアタンだったか?が近頃の某魔法少女アニメの主人公のような服装で来ていたのには絶句した。
しかも本人曰くそれが正装というのだから全くたちが悪い。
いくらなんでもあれはないだろ、あれは・・・。
そして参観が終わると「たまには帰って来なさいよ」と言い残して二人は帰って行った。
そしていよいよ会談を前日に控えた晩のことだった。
「アダト」
黒い着物を着た猫耳の生えた美女に声を掛けられる。
彼女は黒歌。
元SSランクのはぐれ悪魔で転生前は妖怪猫又の上位種に当たる
数年前に主である上級悪魔を殺してはぐれ悪魔になり、追撃部隊を何とか振り切ったものの重傷を負い、瀕死の状態であったところを俺が発見した。
聞けばその元主とやらは相当のムシケラだったらしく、眷属ですらない彼女の妹にまで無理な強化を迫ったので妹を魔の手から救うため、やむなく殺さざるを得なかったらしい。
念の為彼女の記憶も辿らせてもらったが嘘は言ってなかったので保護することにした。
その際に
眷属悪魔たらしめる駒そのものが破壊されてしまっては駒の反応を追うことはできないからな。
これにより、悪魔側に彼女は既に死んだものと見せかけることに成功した。
そしたらそのまま懐かれて今に至る、というわけだ。
そして彼女は魔力ばかりでなく仙術と妖術のエキスパートでもある。
彼女も恩義を感じてか、あまり派手に動けない俺達に代わってあちこちに潜入して情報をもたらしてくれる。
いずれは彼女の存在も明らかにしなければならないだろうが無論悪魔共に文句を言わせるつもりは毛頭ない。
そもそも上級悪魔だというだけで、上に立つ資格のない者に
「黒歌か。どうだった?」
オーフィスとの邂逅の後、『禍の団』についての情報を得るため、組織に潜入してもらっていたのだ。
「アダトの言った通り
「やはり俺達の存在も把握されているのか?」
「恐らくは、ね。オーフィスが知っていたということからも組織内でその存在は広まっていると考えた方がいいわ。」
それはまた厄介なことだ・・・
「因みに今回出張ってくる連中は?」
「今回の主導者はカテレア・レヴィアタン。『禍の団』最大の派閥である『旧魔王派』の幹部で先代レヴィアタンの縁者だにゃん。ただ今回出てくる予定の連中はカテレア以外は殆どが人間の魔術師。リアス・グレモリーの眷属のハーフ
旧魔王派・・・大戦終結後も他の陣営との戦争継続を主張した為に現魔王派との抗争に敗れ冥界の辺境に追いやられた前魔王の血縁者の集団。
魔王の座を本来の魔王の血筋でもない者に簒奪されたとして現魔王派に対し異常なまでの怨恨を抱いていると聞くが・・・そうか、遂に動き出したか。
そしてグレモリー眷属のハーフ吸血鬼。
吸血鬼の二大勢力の片割れである『ツェペシュ派』の幹部ヴラディ家に生まれながらも悪魔以上に純血種以外に排他的な吸血鬼社会において糧である人間との間に生まれた忌み子として迫害され、瀕死の状態になったところをリアス・グレモリーに拾われたらしい。
アカーシャもその話を聞いて心を痛めていたのでよく覚えている。
魔術の才能にも長け、更に神器所有者でもあるからに転生の際に
「グレモリー眷属のハーフ吸血鬼・・・以前アカーシャが学園から同族の気配がするといっていた奴か。確か時間を停止させる神器
旧魔王に神器持ちのハーフ吸血鬼、連中の狙いは時間を止めて会談に出席した要人の抹殺ということか・・・
「その通りにゃん。奴らの狙いはそのハーフ吸血鬼の神器を強制的に
「奴らだけで・・・というかその人選でトップ陣の抹殺とは粗雑極まりない作戦だな。本当に奴らは実力差を理解できていないらしい。仮にオーフィスの蛇を用いたとしてもサーゼクス一人に全滅する程度に過ぎないことに変わりないだろう。」
「う~ん、そのことなんだけどね。また厄介なことに白龍皇をスカウトしたみたいなのよね。」
「・・・何?」
「コカビエルの事件の後堕天使陣営に戻る最中に構成員が『アース神族と戦ってみないか?』なんて言葉で誘ったみたいにゃ。神との戦いなんて限度を知らない戦闘狂には正に胸躍る言葉でしょうから。」
・・・ついこの前その『神』が如何なるものか見た筈だが。
「それで、結局奴は寝返ったのか?」
俺が尋ねると黒歌はコクリと頷く
やはり戦闘狂をこじらすと面倒だな・・・。
「因みに今はまだアザゼルの下で堕天使の陣営にいるみたいだけど会談中に『禍の団』の奴らが攻撃を仕掛けた後寝返る予定だにゃん。ついでに言うともしもの時には美猴っていう猿の妖怪・・・帝釈天のとこの斉天大聖こと初代孫悟空の子孫が迎えに来ることになってるにゃ。」
?!
今聞き捨てならない単語が聞こえたぞ・・・
「・・・・帝釈天に斉天大聖、だって?」
「え、ええ。でも美猴と斉天大聖は繋がってるわけではないにゃ。寧ろテロリストになってたことが発覚して初代に追い回されてるわ。ただ・・・帝釈天の方は微妙ね。聞くところによると昔から『禍の団』の一派閥である英雄派の曹操、文字通りの三国志の英雄曹操の子孫で今代の神滅具
「?!」
帝釈天・・・インドラ・・・
昔から何考えてるのか分からん奴だと思ってはいたが・・・まさかここへ来てテロリストと通じていたのか?
だがそれ以上に・・・
「どうしたの?」
「いや、何でもない。それと・・・オーフィスは来そうか?」
「ん~、そこはよく分からないにゃ。でも向こうもアダト達のことを探してるみたいだからもしかしたら、ね。」
「そうか、有難う。すまないが引き続き調査を続けてくれるか?」
「勿論だにゃ。あ、でも帰った来たら何かお願い聞いてほしいかにゃ~なんて。」
「フフ・・、ああ。分かったよ。」
そういうと彼女は満面の笑みを浮かべて去って行った。
「今代の聖槍使いはテロリストか・・・」
目を閉じると未だにあの時の光景が浮かんでくる
――――――私、主より頂いたこの力で争いのない世界を作るのが夢なんです。
――――――皆が笑顔で暮らせる世界を作りたいんです。
――――――すごぉい!!本当に何でもできるんですね!!
――――――見てください!私、今日から教皇庁直属の悪魔祓いになったんですよ!
――――――あ、あの・・・その、わ、私・・・や、やっぱり何でもありません!!
――――――う、嘘です。そんな・・・貴方が・・・
――――――この魔女め!!
――――――教皇直属の戦士ともあろう者が異教の神などに誑かされていようとは・・・・
――――――聖槍使いを失うのは大変な痛手であるが致し方あるまい。
――――――被告人は異端者として極刑に処す!!
――――――さようなら、私の神様・・・・
「あら、まだ気にしてたの?」
不意に響く声
その一声が俺を追憶の海から現実に引き戻す。
「アナトか」
俺が短くそう答えると、彼女は少々不機嫌そうな表情で続ける。
「何度も言うけどあれはアンタの所為ではないわ。彼女は聖書の神に仕える従僕、私達はその仇敵ともいえる異教の神。最初から相容れないことくらい分かっていたはずよ。そもそも、人である彼女とアンタが釣り合う訳がなかったのよ。」
「そんなことは分かっているさ。ただ・・・」
「ただ?」
「争いを無くしたいと言っていた彼女の言葉に偽りはなかった。それに彼女は己が信念を貫くべく自ら死を選んだ。そのことについて今更どうこう言うつもりはない。」
「そう・・・」
今聖槍は争いを無くすのではなく争いを望む者の手にある
これを見たらお前は何と言うのであろうな
・・・エリーゼ・・・
今回若干R-18的な部分ありました。
あと最後伏線ばら撒いた感がありますがどうでしたかね?
感想又はご指摘等おありでしたら宜しくお願いします。