三勢力会談
sideアダト
「失礼します」
その声と共にリアス・グレモリーとその眷属達が入室してくる。
全員緊張してるようだな。
まあこの年でこの場にいる方が異常なのだから仕方ないか。
「私の妹とその眷属だ」
サーゼクスが続ける。
「報告は受けています。改めてお礼を申し上げます。」
ミカエルがグレモリーに謝意を述べ、リアス・グレモリーはそれに会釈で応じる。
「悪かったな、俺のところのコカビエルが迷惑かけた」
悪びれた様子もなくアザゼルが言う。
・・・オマエはもっと反省しろやコラ
見ろ、連中も口元ひくつかせてやがるぞ。
全員が着席したところで再びサーゼクスが口を開く。
「全員が揃ったところで、会談の前提条件を一つ。ここに居る者達は、最重要禁則事項である『神の不在』を認知している。それを前提として話を進める。」
―――――――――――――――――――――――――――
「というように我々天使は――――」
会談は順調に進んでいた。
時折アザゼルの発言で場の空気が凍り付くことがあったがコイツのことだ。
ワザとやって楽しんでるんだろう。
ホントにコイツは・・・
「さてリアス、そろそろ先日の事件について話して貰おうかな」
「はい、ルシファー様」
「―――以上が、私、リアス・グレモリーと私の眷属悪魔が関与した事件の報告です」
グレモリーが報告を終える。
「ご苦労、座ってくれたまえ」
「ありがとう、リアスちゃん☆」
魔王二人が労いの言葉をかけると同時にアザゼルに意見を求める。
すると奴は不敵な笑みを浮かべながら口を開く
「先日の一件は我が
とんだ
俺に喋れってか・・・上手く矛先を逸らしたな
「それについては我々も気になっていました。何故今になって貴方方が出ていらしたのかを。」
「そうだな。こちらとしても何故この町にいらしたのか疑問であったが・・・話しては頂けないでしょうか、アダト様?」
アザゼルの言葉の後、ミカエルとサーゼクスも続くように詰め寄ってくる。
やれやれ・・・そんなに問い詰めなくても話してやるってのに。
つーかあの野郎が笑ってやがるのが一番気に食わねぇ・・・
「・・・これといった理由はないさ。この町にいたのは・・・そうだな、隠居みたいなものだ」
「隠居、ですか?」
「ああ。どこかの神様が神殺しなんてモノを使ってくれたんでね。表じゃすっかり俺らは死んだことになってる。そしてそのまま数千年の時が流れいつしか聖書の神は他の神々を退け全人類の半数を己が影響下に置くまでに勢力を拡大し、最早俺達を崇める者はいなくなった・・・だが」
「聖書の神は・・・死んだ」
「「「・・・」」」
「皮肉なことに俺達は豊穣神と地母神、生と死、生命のサイクルの体現者。命を司る神、故に死すら許されない存在だ。」
「・・・それで神殺しの法も効かなかった、と?」
「ああ。まあもっとも力は結構奪われたがな。お蔭で回復するまで相当かかったよ。因みに
そう言いつつ兵藤の方に視線を向けるとビクりと一瞬震えたが・・・今更そんなに驚くことはないだろ
「つまり・・・聖書の神亡き今、聖書の神を脅かした唯一の存在ともいえる御自身方が生きていることが知れれば世界に大きな混乱を招くが故に今までお姿を暗ましていらした、ということでよろしいのですか?」
「その通りだ。」
物分りのいい奴がいてくれて助かるよ。
「しかし・・・それでは何故突然御自身の所在を明かされたのです?」
「・・・オーフィスだよ」
「「「「「「「「「「「「「?!」」」」」」」」」」」」」
sideイッセー
オッス、イッセーだ。
今俺は今後の三勢力の行く末を決める会談に参加している。
その重要性を示すかのごとく学園の周りには各陣営の多くの兵士が厳重な警備体制を敷いており、会場となるこの教室の空気も普段とは全く別の部屋だと思えるくらいの緊張感に満ちていた。
本来なら各勢力のトップ陣だけで行う筈のものだけど俺達も先日の事件に関わっているので事件の報告の為に招待された。
同様の理由でシトリー眷属もこの場にいる。
それに三勢力のトップに加えて有馬達も同席していた。
前々から独特の雰囲気があるとは思っていたけど・・・本当に神様だったんだな。
サーゼクス様も敬語で応対していらっしゃるし。
何でもかつて聖書の神を脅かしたほどのとんでもなく強い神だったらしく、長い間死んだと思われてたから聖書の神が死んだ今カミングアウトすると大きな混乱が生じるってことでこの町で隠居していたらしい。
そして有馬が放った一言・・・オーフィス?って言葉を聞いた瞬間俺以外の全員が絶句した。
『――――オーフィス・・・懐かしい名だ』
ドライグ、知ってるのか?!
『ああ、当然だとも。
っ?!
マジかよ?!二天龍より上なんているのか?!
『いや、オーフィスだけだ。俺達を超えているのはな。(・・・まあ少々の例外はいるが)』
二天龍以上・・・どれだけ強いんだよ・・・
『因みにそこにいるバアルの神よりも強いからな。無論魔王でも勝てん。』
おいおい?!
あのコカビエルをあっさり消滅させたのにか?!
『それは当然だ。そもそも奴ほどの神と堕天使とでは比べ物にすらならない。あんなものはアダトにとっては遊びですらないだろう。』
・・・
それを聞いて俺は沈黙するしかなかった。
この世界にはまだまだ俺の理解を超えた存在がたくさんいるらしい。
「オーフィス・・・まさか」
ふと、アザゼルが何かに思い当たったかのように有馬の方を見る
「・・・ああ、多分お前の考えている通りだ。奴は―――――
「っ・・・それで、あんたは何て?」
アザゼルが最大級に警戒した表情で有馬に問い詰める。
その表情はさっきまで場の空気を引っ掻き回して笑ってたのと同じ人物とは思えないほど真剣そのものだ。
「無論断ったさ。俺に奴らに協力するメリットはないからな。」
「そうか?俺達を、俺達の神話を最も憎んでるのはあんたらだと言っても過言ではないと思うがな。」
「ほう?つまり聖書の神が死んだ今、俺がオーフィスに手を貸しお前らを滅ぼして復讐するとでも言いたいのか?下らないな。それを言うならここ数十年人間の神器所有者、特に神滅具所有者を集めてるのは何故だ?おまけに堕天使は二度もこの町で危うく悪魔との抗争に発展するような挑発行為を繰り返している。お前こそ平和主義者気取りで実は戦争再開を計画しているのではないのか?」
「それは我々も懸念していたところです。特に白龍皇を手に入れたと聞いた時には本当に危機感を抱かざるを得ませんでした。」
「聞けば
次々とお偉いさん方に詰め寄られるアザゼル。
「ただ単に神器研究のためだよ。お前らと戦争はしない。何ならお前らにも研究資料を送ろうか?ったく、俺の信用は三竦みで最低かよ・・・」
「それはそうだ」
「そうですね」
「その通りね☆」
「至極当然だ」
魔王様や天使長様だけじゃなく神様にまで駄目出しされてるよ
どんだけ信用されてないんだ・・・
「チッ、聖書の神や先代魔王よりかはマシかと思ったがお前らはお前らで面倒くさいな。あー、分かったよ。なら―――――――天使と悪魔、和平を結ぼうぜ?もともとそっちもその気だったんだろう?」
『ッ――――!』
和平、だって?
アザゼルの発言に各陣営共に驚きに包まれている。
するとアザゼルの発言に驚いていたミカエルさんが微笑み、
「ええ、我々も悪魔側と堕天使側に和平を持ちかける予定でした。このまま争いを続けても世界の害にしかならない。天使長たる私が言うのも何ですが争いの大元である神と魔王はもういないのですから」
「ハッ!あれほど神、神、神様だった堅物ミカエル様が言うようになったな!なぁ、アダト?!」
吹き出すアザゼル。
「ククク・・・全くだ。まさか天使の長が自ら創造主たる聖書の神を否定するような言葉を口にするようになるとはな。時の流れとは恐ろしいものだな。」
「我らも同じだ。種の存続の為、魔王がいなくとも先に進まねばなるまい。次戦争をすれば悪魔は滅ぶ。」
「そう、次戦争をすれば三勢力は共倒れで世界も終わる。だからもう俺らは戦争は起こせない。神がいない世界は間違いか?衰退するのか?残念ながらそうじゃなかった。俺もお前らもこうして元気に生きてる―――――神がいなくても世界は回るのさ。まあもっとも不死身の神が死んだら流石にその時はどうなるか分からないがな。」
っ――――
神がいなくとも世界は回る
俺はそのアザゼルの言葉だけは何となく分かったような気がした。
―――――――――――――――
sideアダト
アザゼルの和平の提案はスムーズに各陣営に受け入れられたようだ。
その後は各陣営の戦力や今後の三勢力の有り方について話し合っていた。
俺もとりあえずアヌンナキの連中は動かないだろうとは言っておいた。
このまま何もなく終わればよいが・・・そうはいかないだろうな
「―――と、こんなところだろうか」
サーゼクスが締める
「さて、話し合いも良い方向へ片付いてきましたし、そろそろ赤龍帝殿のお話を聞いてもよろしいかな?」
全員の視線が兵藤に集中する。
それから兵藤がアーシア・アルジェントの追放について尋ねたがやはり聖書の神が死んだことで『システム』が不調をきたしているとのことだった。
その途中でミカエルがチラリとこちらを一瞥しながら「最近でも何かの膨大な力で一時的に『システム』がダウンしましたが」と言ってきたが。
そいつは悪かったな・・・
まあそれについて反省も後悔も――――少しはしてるな・・・
それにしてもアーシア・アルジェントとあの青髪の聖剣使い―――ゼノヴィアだったか?は強いな・・・
改めて神の不在を告げられても挫けることなくそれを受け入れ、さらに今の生活に感謝しているとさえ言う。
単なる妄信者や己が行動の正当化の為に神の名を持ち出すような輩ではないらしい。
―――――そうした姿が『彼女』を彷彿とさせるな・・・
その後兵藤がアザゼルに怨念のこもった一言を発してリアス・グレモリーに宥められていた。
気持ちは分かるがアザゼルの言い分にも一理あるしさっきのはミカ坊の特別措置、この場でそれを言うべきではないだろう。
この間まで普通の人間であった兵藤には難しいのかもしれないが自分が世界に影響を与える存在であるという赤龍帝としての自覚は持ってもらわないとな。
返答としてアザゼルが何やら提案した後、ついでに白龍皇―――ヴァーリ・ルシファーにも世界をどうしたいか意見が尋ねられたが「強い奴と戦えればそれでいい」とだけ答えた。
ご丁寧に目だけこっちに向けながらな。
さて、連中はいつ攻めてくるのかね?
もう粗方の会議内容は終わってるってのに。
そう思いながらも兵藤が自分の意見を述べている時だった
――――――これは神器か?
――――――そうか、とうとう来たのか・・・
「
次回から『禍の団』と戦闘開始なワケですが・・・カテレアとかどうしましょうかね?
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