聖書に記されし異教神(更新停止)   作:カイバル峠

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おそらく本作始まって以来最長です。


襲撃

襲撃

 

 

sideアダト

 

「おっ、赤龍帝の復活だ」

 

アザゼルの声と共に止まっていた兵藤が動き出す。

 

因みに三竦みのトップ陣以外で動けるのは兵藤の他リアス・グレモリーと木場祐斗、ゼノヴィア、そして白龍皇だけで、あとは皆停止していた。

 

え、俺達?勿論動けてるよ。

 

というよりあれで止められる神格はまずいない。

 

「な、何が起こってるんスか?」

 

「テロだよ。外見てみろ。」

 

状況が理解できていない兵藤の疑問にアザゼルが窓の外を顎で指しながら答える。

 

窓の外には校庭から空中に至るまで黒衣の魔術師らしき者達で覆い尽されており、時折閃光が迸ると共に校舎が僅かに揺れる。

 

威力から察するに個々のレベルは中級悪魔相当というところか。

 

まったく舐めた真似をしてくれたものだな。

 

因みにサーゼクス達が結界を展開しているために校舎そのものにダメージはない。

 

だが例のハーフ吸血鬼、強制的に禁手化させられているとはいえ視界に入ったモノの内部にいる者や校舎周辺で警備に当たっていた三勢力の軍勢にまで効果を及ぼすとは潜在能力的にも相当高いようだな・・・。

 

近頃吸血鬼の混血児の中に吸血鬼本来の異能からも逸脱した力を持った者が生まれてくるようになったという噂はどうやら本当らしい。

 

「ギャスパーは旧校舎でテロリストに会談襲撃の為の武器にされるなんて・・・どこで私の下僕の情報を得たのかしら・・・これ以上の屈辱はないわ!」

 

グレモリーがオーラを迸らせながら怒りを露わにする。

 

アザゼルが手を翳し、空中に無数の光の槍を創り出すとそれを雨のように一斉掃射する。

 

テロリストは魔術障壁を展開するも虚しく光の雨に射抜かれ絶命する。

 

一瞬、テロリスト共は全滅したかのように見えるが校庭に魔法陣が出現したかと思えばまた先程の魔術師共と同じ格好をした連中が現れる。

 

「クソッ、さっきからこれの繰り返しだ。結界に覆われたこの学園の敷地内に侵入できるってことは敷地内に外の転移魔法陣とゲートを繋げてる奴がいるってことだ。この中に内通者でもいるのか?どちらにしてもこれ以上『停止世界の邪眼』の力を高められると最悪俺達のうち誰か一人は止められる可能性が出てくるな・・・」

 

とアザゼルが漏らすがその通りだ。

 

だが肝心の白龍皇()は未だに動く気配を見せない。

 

それに黒歌の情報が正しければ今回の黒幕はまだ表れていないということになる。

 

恐らくそれはアザゼルたちも承知の上で、未だ大した動きを見せないのも籠城して黒幕の出現を待っているのだろう。

 

案の定兵藤とのやり取りの中でサーゼクスとアザゼルがその旨を明らかにしていた。

 

それに旧校舎で囚われているハーフ吸血鬼の奪還のことも。

 

そしてすぐさま悪魔側は旧校舎の人質救出に向けて算段を立て始める。

 

それにしても今回の黒幕は一向に現れる兆しがない。

 

先程から魔術師ばかりをぶつけてきているのはこちらが消耗したところを狙って最後に自ら止めを刺しに現れるつもりなのか、或いはさっきアザゼルが言ったように『停止世界の邪眼』の力がトップ陣の動きを止めるのに十分なまでに高まるまでの時間稼ぎか。

 

いずれにしても全魔術師を動員してもトップ陣を葬るには到底及ばない。

 

早く首謀者を引き摺り出すためにも早急に例の『僧侶』を奪還すべきだな。

 

仕方ない・・・

 

(アザゼル)

 

俺はアザゼルに念話を飛ばす。

 

突然念話が飛んできたことに一瞬驚いたようだったが流石は堕天使総督、相手が俺だと分かるとすぐに元の表情に戻る。

 

(誰かと思えばあんたか。どうしたんだ?態々念話を使うなんて)

 

(訳は後で話す。とりあえず適当な理由を付けて白龍皇を外へ出せ。)

 

(?!まさか・・・)

 

(ああ、今お前の考えている通りだ。因みに言うと今回の黒幕の正体も知っているがそのためにも奴には一旦ここを離れてもらう必要がある。)

 

(あんた・・・一体どこまで知ってる?)

 

(だから後で話すと言っているだろう。兎に角時間がない。早くしてくれ。)

 

(・・・ああ、分かった)

 

念話を終えるとアザゼルは白龍皇に外で敵の目を引くよう言い、奴は禁手化して会議室の窓から魔術師共のひしめく校庭へと飛び出し、次々と魔力弾を放ちテロリスト共を一掃していくが、また次の集団が魔法陣より出現する。

 

この分だと暫くは時間が稼げそうだ。

 

ちょうどいいタイミングで悪魔側でもハーフ吸血鬼救出メンバーが決まったようだ。

 

やはりリアス・グレモリーと兵藤か。

 

サーゼクスの言葉でアザゼルが兵藤に神器を制御する腕輪を渡すと、旧校舎に突入すべく準備を始めた。

 

「さて、とりあえず言われた通りにしたぜ。訳というのを聞かせてもらおうか・・・というよりあんた、どうして今回の襲撃のことを知っていた?」

 

アザゼルの言葉で動ける三勢力の面々の表情は驚愕の色に染まる。

 

「どういうことです?」

 

サーゼクスも怪訝な表情で尋ねてくる。

 

その顔には幾分か警戒の色が見て取れる。

 

まあ無理もないか。

 

「なに、うちには優秀な諜報員がいてね。さっきオーフィスが勧誘しに来たことは話したろ?だから連中の動向を探るために組織に潜入してもらってたのさ。」

 

「それで今回の件についても予めご存じだった、というわけですか?」

 

「ああ。だがこちらとしても今回の黒幕には少々用があってね。事前に伝えてお前達に下手に動かれて作戦変更でもされたら困るんで言えなかったわけだ。」

 

「ほう。で、そのために俺達をだしに使ったってわけか?」

 

アザゼルが若干怒りを滲ませながら詰め寄ってくる。

 

「そう怒るな。これは元を正せばお前達三勢力の問題でもあるんだ。それにアザゼル。お前、間者の存在に気付いてなかっただろ。最も身近に居たにも関わらずな。」

 

「っ・・・」

 

「では、その間者というのは・・・」

 

問うてくるミカエルから視線を外し、俺は校庭の方に視線を向ける。

 

するとその時、転移魔法が発動する時特有のほんの僅かな、魔力による空間の揺らぎ・・・そろそろか。

 

「・・・白龍皇、ヴァーリ・ルシファー。そうだな?・・・『()魔王派』幹部、カテレア・レヴィアタン殿?」

 

 

 

 

『そう、御身の仰られる通り、此度の襲撃の手引きをしたのは白龍皇にございます。』

 

 

 

 

「「「「「「?!」」」」」」

 

どこからか響く声にその場にいた全員が絶句すると同時に、会議室の床に魔法陣が浮かび上がる。

 

「そうか、そう来るわけか。今回の黒幕はッ・・・!グレイフィア!リアスとイッセー君を早く飛ばせ!」

 

「はっ!」

 

舌打ちし、グレイフィアに二人の転移を急かすサ-ゼクス。

 

グレイフィアが二人を会議室の隅へ誘導すると、丁度人二人分が収まる程度の大きさの魔法陣が展開する。

 

「お嬢様、御武運を」

 

「ちょ?!ちょっとグレイフィア?!お兄様?!」

 

混乱するグレモリーは兵藤と共に転移の光に包まれやがて姿が見えなくなる。

 

さて、こちらも援軍を送るとするか・・・

 

(アカーシャ、今だ。)

 

(ハッ!仰せのままに、我が主)

 

やれやれ、ようやくお出ましか・・・

 

 

 

 

side木場祐斗

 

今日、僕の目の前では本当に信じられないことばかりが起きている。

 

まず彼―――有馬崇哉が今回の襲撃の内通者から首謀者までも事前に知っていたということ。

 

だがそれ以上に今彼が口にした言葉、ルシファー?レヴィアタン?

 

「ヴァチカンの書物で見たことがある。あれは旧レヴィアタンの魔法陣・・・」

 

 

ゼノヴィアが魔法陣を見て呟く。

 

なるほど・・・まだ存在していたというわけか。

 

すると今回の黒幕は旧魔王の一族!

 

そして魔法陣から、胸元が大きく開き、深いスリットの入ったドレスに身を包んだ一人の女性が現れる。

 

「御機嫌よう、三大勢力、そして『始祖たる異教の神々』(ジェネシック・ディヴァイン)の皆様方」

 

不敵な笑みを浮かべ、挨拶をする女性。

 

トップ陣は皆女性を見て驚愕している――――いや、アザゼルは笑い、サーゼクス様は苦虫を噛み潰したような表情を、そして有馬君達は目を細めるだけだった。

 

「カテレア・レヴィアタン、これはどういうことだ?」

 

「我々、あなた方の言う旧魔王派は大部分が『禍の団』に協力することを決めました。今回の攻撃も我々が受け持っております。」

 

?!

 

なんてことだ・・・ここへ来て旧魔王派、しかもよりにもよってテロリストに加担するなんて!

 

「新旧魔王派閥の争いがいよいよ本格化したわけか。悪魔も大変だな。」

 

他人事のように笑うアザゼル。

 

「・・・カテレア、何故だ?」

 

「サーゼクス、今日この会談の正に逆の結論に至っただけです。神と先大魔王がいないのであればこの世界を変革すべきだと、そう結論付けたのです。」

 

神の不在、三大勢力の和平、それを全て知った上でのクーデター・・・しかもこの会談とは真逆の結論。

 

「カテレアちゃん!どうしてこんな!」

 

「セラフォルー、私からレヴィアタンの座を奪っておいてよくもぬけぬけと!・・・でも安心なさい。今日この場であなたを殺して私が魔王レヴィアタンを名乗ります。そしてオーフィスには新世界の神になってもらいます。彼は象徴であれば良い。後の『システム』と法、理念は私達が構築する。ミカエル、アザゼル、そしてサーゼクス、貴方達の時代は終えてもらいます。いずれは北欧のオーディンにも動いてもらい世界を変動させなくてはなりません。―――――そして勿論貴方方にもね」

 

そう言い女性――――カテレア・レヴィアタンは有馬君達に視線を向ける

 

サーゼクス様もセラフォルー様も、ミカエル様もカテレアの言葉に表情を陰らせていた。

 

しかし――――

 

「・・・下らないわね」

 

「本当、何を言い出すかと思えば・・・」

 

「呆れてモノも言えないわ。」

 

偉大なる異教の神の伴侶たる女神たちは心底呆れるような視線をカテレアに向けていた。

 

いや、それだけじゃない。

 

その目には侮蔑、嘲笑、そして憐憫の色が浮かんでいた

 

「・・・無駄なことを・・・」

 

最後に彼が吐き捨てる。

 

「っ・・・貴方が、真なる魔王の一角である『ベルゼブブ』を生み出した貴方までもがそのようなことを仰るのですか?・・・『崇高なるバアル(バアル・ゼブル)』!!」

 

!!

 

バアル・ゼブル・・・バアルの神、即ち彼の別名、その名は「崇高なるバアル」を意味する。

 

そしてその名が「ベルゼブブ」として旧魔王に受け継がれたと伝えられているが・・・

 

彼はフッと息を吐き、一瞬瞑目してから口を開く

 

「・・・その名で呼ばれるのも久しいな。いいだろう、その名を覚えていたことに免じて一つ教えてやろう。神や魔王の類の本質はその力ではなくその存在そのもの。即ち初めから何人たりとも代わりなど勤まりはしないのだ。例え如何程の力を有していようとも、その血を引く者であってもな。」

 

「?!」

 

「役職と肩書きだけであればまだ代わりが効くこともある、が、如何に力のある代理を立てたところで聖書の神と本来の魔王が担っていた聖と魔のバランサーとしての役割までは代行できない。事実天界ではミカエルが『システム』を運用し、かつ冥界ではサーゼクスやセラフォルーが魔王の座についているにも関わらず聖と魔の融合などという事態が発生しているのを見れば一目瞭然だろう。更に言うなればこの世界にはまだ他にも神は存在するし、その中には魔神や邪神、悪神のように魔を司る神々も少なくはない。そのような状況下でさえ特異な現象が発生するということはゼウスもオーディンもインドラも、無論オーフィスも聖書の神の代わりにはなりえない。そして同様にお前達前魔王の縁者とて決して『真なる魔王』たりえぬのだ。仮にそうして帳尻を合わせようと下手に世界を弄れば世界の崩壊は免れない。」

 

淡々と事実を告げる有馬君の言葉にカテレアばかりかこの場にいる全ての方々も沈黙する。

 

確かにそうだ。

 

ミカエル様や他の神々、それにサーゼクス様やセラフォルー様がいらっしゃっても聖と魔の融合というイレギュラーが発生し、その結果生まれたのが僕の神器『魔剣創造』(ソード・バース)の禁手、『双覇の聖魔剣』(ソード・オブ・ビトレイヤー)なのだから。

 

「・・・認めない」

 

カテレアが沈黙を破る

 

「認めない・・・!そんなこと、認められるワケがないッ!!正当なるレヴィアタンの血を引くこの私こそが魔王に相応しい!それがまかり通らないというのなら・・・このような腐敗した世界は変革するのみ!!」

 

世界を呪う言葉を吐くと共にカテレアの顔が憤怒の形相に染まり、その体から膨大なオーラが立ち上る。

 

凄まじいまでの執念。

 

それほどまでに旧魔王派の現魔王派への怨恨は凄まじいということか・・・。

 

――――だが

 

「クッ・・・、クックックックッ・・・」

 

心底おかしそうに、悪童の如き邪悪な笑みを浮かべる者が一人―――アザゼルだった。

 

「アザゼル・・・何がおかしいのです?」

 

「ハハハ・・・世界が腐敗している?人間が愚か?地球が滅ぶ?おまけに自分が魔王になれない世界は間違ってるだと?ククク、アハハハハ!」

 

腹を抱え笑うアザゼルに、カテレアは目元をひきつらせながらも言う。

 

「アザゼル、貴方といい、バアルの神といい、それほどの力を有していながら今の世界に満足などと・・・」

 

「ハッ、言ってろ。お前らの目的はあまりに陳腐で酷過ぎる。正しい世界なら自分が魔王になれる?自分の無力さを認めたくないだけの餓鬼のエゴと何も変わりやしねぇ!勘違いも甚だしいな、オイ!」

 

「アザゼル!貴方はどこまで私達を愚弄する!」

 

とうとうカテレアの堪忍袋の緒が切れたようだ。

 

「サーゼクス、ミカエル、それにアダト、コイツは俺がやる。手を出すんじゃねぇぞ?」

 

戦闘高揚でもしているのか、薄暗いオーラを放ち始めるアザゼル。

 

「・・・好きにしろ。」

 

アザゼルとカテレアのやり取りにまるで興ざめだといった様子で有馬君がそう言う。

 

「・・・カテレア、降るつもりはないのだな?」

 

続いてサーゼクス様が最後通告をなさるがカテレアは拒絶する。

 

「サーゼクス、貴方は良い魔王でしたが最高の魔王ではない。故に我々は新しい魔王を目指します。」

 

「・・・そうか、残念だ。」

 

サーゼクス様がそう仰るが否や、アザゼルは窓際一帯を光の一撃で吹き飛ばすと常闇よりも暗い黒き十二の翼を展開する。

 

「旧魔王レヴィアタン―――『終末の怪物』の一匹の末裔、カテレア・レヴィアタン。相手としちゃあ悪くない。俺と一丁ハルマゲドンとでも洒落込もうか?」

 

「望むところよ!堕ちた天使の総督!」

 

アザゼルとカテレアが空中に飛び出し、校庭の遥か上空で激しい攻防戦を始める。

 

いずれも凄まじいまでのオーラの質量、僕らとは次元が違う。

 

するとサーゼクス様が

 

「木場祐斗君、私とミカエルはここで結界の強化を続ける。アザゼルとカテレアが暴れ始めたからには被害が拡大しかねないからね。できるだけ外へ被害は出したくない。悪いがグレイフィアの魔術師転送用の魔法陣の解析が済むまで外の魔術師の始末を頼めるか?」

 

魔王様直々のご命令、光栄の極みだ。

 

「はい!」

 

「ありがとう。君が妹の『騎士』(ナイト)で良かった。その禁手を妹と仲間の為に揮ってくれたまえ」

 

「ハッ!ゼノヴィア、一緒に来てくれ!」

 

「ああ、私もリアス・グレモリーの『騎士』。木場祐斗、私達は二振り揃ってこそだと思う。さあ、共に参ろう!」

 

僕とゼノヴィアはお互い頷くと校庭に斬り込んでいった。

 





やはり細部まで描写すると次の展開に進むまでにどうしても時間がかかってしまいますね・・・。

感想or御指摘等あれば宜しくお願いします。
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