聖書に記されし異教神(更新停止)   作:カイバル峠

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大変遅くなってしまい申し訳ありません!

久々の更新です。


奪還

奪還

 

 

 

sideリアス

 

三大勢力の命運を決める会談の最中、突如襲撃してきた『禍の団』(カオス・ブリゲード)なるテロリスト集団。

 

しかも、こともあろうにテロリスト共は会談に出席していた首脳陣を暗殺すべくして私の可愛い下僕、『僧侶』のギャスパー・ヴラディの持つ神器『停止世界の邪眼』の力を悪用した。

 

到底許せることではないわ!

 

そして“彼”が内通者と首謀者の名を語った途端、会議室に聞き覚えのない声が響くと同時に旧レヴィアタンの魔法陣が展開。

 

それを見たお兄様が焦った様子でグレイフィアに私とイッセーを旧校舎の一室、ギャスパーが囚われている部屋に転移させた。

 

私は自分の下僕は決して見捨てない。

 

待っててギャスパー、私達が必ずあなたを助けて見せる!

 

そして転移の光が止むと、私達は魔術師の集団に囲まれていた。

 

「――――ッ!まさかここに転移して来るとは!」

 

「悪魔め!」

 

室内を占拠する悪趣味なローブをまとった集団。

 

ここに居る魔術師は全て女性だった。

 

「ぶ、部長!イ、イッセー先輩!」

 

室内に木霊すギャスパーの声、声のした方に視線を向けると彼が。

 

椅子に縛り付けられていて、頭には紙袋の切れ端が残っていたけど取り敢えずは無事な様子だった。

 

というか紙袋被ってたのね・・・

 

「ギャスパー!良かった、無事だったのね!」

 

私は嬉しさのあまり声を上げる。

 

しかし――――

 

「部長・・・・、もう、嫌です・・・」

 

と言うや否や泣き出すギャスパー。

 

どうしたというの?!

 

「僕は・・・・僕は死んだ方がいいんです。お願いです、部長、先輩、僕を殺してください・・・・!この眼の所為で、僕は誰とも仲良くなんてできないんです・・・・。迷惑ばかりかけて・・・臆病者で・・・・」

 

―ッ

 

ボロボロと涙をこぼしながら悲痛な叫びをあげるギャスパー。

 

それは敵に捕らわれた挙句利用されて私達に迷惑をかけたのだと思う自責の念と共に、混血であり更に自身の力を制御できないが為に、故郷の純血の吸血鬼にも人間からも疎まれ、自己の存在を否定されたことをも思い起こしたが故の自己嫌悪に陥っていることによるものだった。

 

そんな彼を諭すように、私は努めて微笑みながら彼に呼びかける。

 

「馬鹿な事を言わないで。私はあなたを見捨てたりしないわ。あなたを眷属にした時言ったはずよ。生まれ変わった以上、私の為に生き、そして自分が満足できる生き方も見付けなさい―――と」

 

しかし私の言葉は彼には届かない。

 

「・・・・見つけられませんでした。迷惑をかけてまで僕は・・・・生きる価値なんて・・・」

 

どうして・・・

 

「あなたは私の下僕で眷属なの!私はそう簡単に見捨てたりはしない。ようやくあなたを解放することができたのに!」

 

私は自分の声が届かないことに苛立ち、思わず声を上げる。

 

「そうだぞギャスパー!俺と部長はお前を見捨てないからな!」

 

隣にいるイッセーもそう言う。

 

そうよ。

 

今はまだ無理でも、少しずつでいいからその力を自分のものにしていけばいい。

 

それにギャスパー、あなたはこの私、リアス・グレモリーの下僕。

 

出来ないわけがないわ。

 

だから今神器が使いこなせなくても私達はあなたを受け――――

 

 

ガッ

 

 

?!

 

「愚かね、あなたたちは。こんな危なっかしいハーフ吸血鬼を普通に使うなんて馬鹿げているわ。やっぱり旧魔王派の言う通り、グレモリーは情愛が深く力に満ち溢れている割には頭が悪いのね。」

 

ギャスパーのすぐ側にいた魔女が彼を殴り、冷笑を浮かべながら私に蔑むような視線を向ける。

 

「さっさとこんな吸血鬼は洗脳して道具として有効活用していればもっと良い評価が得られていたのではないかしら?敵対する堕天使の領域に放り込んで神器を暴走させれば幹部の一人くらいは退けられたかもしれないのにね。それをしない理由が解せないわ。それとも下僕を仲良しこよしで扱う気なの?」

 

この女、言わせておけばッ・・・!

 

ギャスパーを利用した挙句グレモリー家まで侮辱するなんて万死に値するわ!

 

しかしここで怒りに任せて私がこの女を攻撃すれば直ぐ側にいるギャスパーまで巻き添えになるかもしれない。

 

私はすんでのところでこみ上げる怒りを抑え込む。

 

「こ、この――――」

 

イッセーが魔女に殴りかかろうとする。

 

見れば怒り心頭の様子だった。

 

きっとギャスパーや私の為に怒ってくれているのでしょうね。

 

けれども動けないギャスパーがいる状態でここで争うわけにはいかない。

 

私は彼を手で制する。

 

ここで冷静にならなければ相手の思う壺。

 

「私は・・・自分の下僕を大切にするわ」

 

ヒュッ

 

すると魔女が私に向かって小さな魔力弾を放つ。

 

私は敢えて避けなかった。

 

ボンッという破裂音と共に魔力弾が私に着弾する。

 

大した威力ではないが制服が一部消し飛び、その部分の肌が露出する。

 

「生意気ね・・・。それに悪魔の癖に美しいのも気に入らないわ、グレモリーの娘!」

 

魔女は嫉妬にまみれた言葉を吐くと同時にギャスパーの首元に刃を突きつける。

 

「動くとこの子が死ぬわ。ちょっと遊びましょうよ?」

 

そう言って魔女は私に更なる魔力弾を放とうとする。

 

今度はギャスパーを盾にしようというの?!

 

本当、どこまでも見下げた連中ね・・・

 

一体どこまで私達を――――

 

 

 

 

 

 

「そこまでよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

sideアカーシャ

 

私はアダト様より下された合図とともに駒王学園の旧校舎に向かった。

 

黒歌の時もそうだったがあの方は御自身の立場を危うくしかねないにも関わらず私の我儘を聞いて下さった。

 

もしかすると今回のことを知っていながらも敢えて放置することで半ば利用する形となってしまったことへのあの方なりの贖罪の意味も込められているのかもしれない。

 

正直今回の襲撃の計画を聞いた時、私は腸の煮えくり返る思いだった。

 

黒歌の話によれば襲撃者―――――『禍の団』は会談に出席する要人暗殺にグレモリー眷属にいるというハーフ吸血鬼の力を利用しようというのだ。

 

ハーフとはいえ我が同胞。

 

テロなどという下卑た目的の為に利用されるなど黙っていられるわけがない。

 

それに・・・

 

―――――忌み子―――――――

 

純血の者達がハーフや混血の子供を蔑んで呼ぶ際に用いられる言葉だ。

 

私が女王として吸血鬼社会を治めていたのは遥か昔、もう気の遠くなるほど前。

 

その頃はまだ今日のような貴族制も敷かれておらず、それどころかまだ吸血鬼としてのアイデンティティすらも確立されていないような時代、当然現在のような真祖と呼ばれる者もまだおらず、代わりにネラプシやストリゴイ、ヴゴドラクといった、最早忘れられて久しいような有力部族が割拠していた。

 

私の生まれたノスフェラトゥもまたそうした部族の一つだった。

 

それに血を吸うこと以外部族毎に性質を異にしていたものだから、どこかでは互いを異種族と認識していないこともなかったのだろう。

 

故に、元々人間などの多種族と交わること自体少なかったのだが、こと混血という概念に関しては現在ほど忌み嫌われるものではなかった。

 

更に言うなれば彼らの言う『純血の吸血鬼』も長い時間の中でそれらの部族間での混血が繰り返された末に誕生したものだ。

 

・・・そして現在真祖と呼ばれるツェペシュやカーミラといった吸血鬼達は私のノスフェラトゥの流れを汲む血族達。

 

加えて私がいた時は吸血鬼の指導者は各部族の中の最有力者が全体を統率することになっていたが、自分でいうのも何だが私の力は歴代の指導者の中でも逸脱しており、少なくとも前四大魔王クラスは悠に超えていた。

 

それが後世の者達より『太祖の女王』などと呼ばれる所以でもある。

 

現在、混血の子供達が迫害されていることは私と直接は関わりのないことだ。

 

勿論当時とは事情も異なるのだから純血種を尊ぶことが悪いことだとは思わない。

 

当然そんなことは分かっている。

 

しかし私の血族から出た者達がそのような社会を作ってしまったことに対して負い目を感じずにはいられなかった。

 

自分でも酷く滑稽だと思う。

 

だがそれでも―――――――

 

 

 

 

 

 

 

「そこまでよ。」

 

「「?!」」

 

 

私は件の場所に着くなり開口一番にそう言い放つ。

 

見れば例のハーフ吸血鬼の子の周りを取り囲む魔女の集団、そして魔女達と対峙する形でリアス・グレモリーとその『兵士』(ポーン)の赤龍帝がいた。

 

聞いたところによればそのハーフ吸血鬼は男子の筈なのだけれど・・・何故か女子生徒の制服を着ていた・・・。

 

いずれも驚愕の表情でこちらを見ている。

 

「この気配・・・まさか吸血鬼?」

 

「何、この力は?魔王クラスと同等かそれ以上じゃない?!」

 

「それに見たところ純血種のようだけれど・・・どういうこと?悪魔とも関わりを持とうとしない吸血鬼がこんなところに・・・」

 

などと魔女達が騒めく。

 

「一つ・・・確認しておきたいのだけれどいいかしら?」

 

私は魔女共に向き直って言う。

 

「今回の襲撃でそっちの坊やにちょっかい掛けたのは貴方達?」

 

若干の殺気を込めながら尋ねる。

 

すると例の子のすぐ隣にいた魔女の一人が冷や汗を流しながらも答える。

 

「え、ええ。そうよ。この坊やが今回の作戦の鍵だもの。」

 

「そう。なら―――――――――」

 

私は片手を突き出す。

 

 

 

 

 

 

「覚悟はいいわね?」

 

 

 

 

 

 

sideイッセー

 

俺と部長はギャスパーの救出の為に旧校舎の一室に向かったが、そこで魔女達がギャスパーを人質にして部長に攻撃してきやがった。

 

反撃したくても下手に動けばギャスパーが殺される。

 

クソッ、大事な後輩をテロなんかに利用されたってだけでも腹立たしいのにあまつさえ今度はギャスパーを人質にして部長をっ!

 

その時だった。

 

「そこまでよ。」

 

その声と共に一瞬、空気が凍ったような感じがした。

 

するとどこからともなく一人の女性が現れた。

 

僅かに赤みがかった金髪、鮮血のような紅い瞳、オマケにすっげえ美人だ!

 

その女性を見て魔女達が何故純血の吸血鬼がここに?、とか魔王クラスと同等以上だとか騒めいていたが確かに物凄いプレッシャーだ。

 

そしてその女性が魔女達に今回の襲撃でギャスパーを利用したのがこいつらだと確認すると片手を突き出してこう言った。

 

「覚悟はいいわね?」

 

その言葉と共に女性から放たれるプレッシャーと立ち上るオーラの量とが急激に増大する。

 

するとどこからか闇が湧き出し、やがて部屋全体が闇に包まれる。

 

一縷の光すら差し込む余地のない深い、深い、深淵の如き暗闇。

 

夜目の効く悪魔の俺達でさえもこの真っ暗闇の中では何も見えない。

 

根源的な恐怖をも呼び起こす真の闇、そんな表現が相応しいものだった。

 

「え、ちょっ、何よコレ?!」

 

「う、嘘、き、キャアアアアア!!」

 

闇の中に木霊する魔女達の断末魔の叫び。

 

何が起こっているのかを窺い知ることはできない。

 

一人、また一人と魔女達の声が消えてゆく。

 

「ば、馬鹿な・・・こんなのって、あr」

 

先程部長に攻撃した魔女の声が消えた。

 

そして最後の魔女の声が聞こえなくなったところで闇が晴れる。

 

そこにはさっきの女性の他、俺と部長、そしてギャスパー以外誰もいなくなっていた。

 

あれだけいた魔女達はまるで初めからこの場に居なかったかのように、一人残らず消滅していた。

 

「さて、終わったわよ。リアス・グレモリー嬢」

 

「「っ!」」

 

女性がこちらに向き直り、俺達を見据える。

 

本当に綺麗な人だな・・・。

 

ギャスパーにしてもそうだけど吸血鬼は皆美形なんだろうか?

 

「ギャ、ギャスパーを助けてくれたこと、感謝するわ。ありがとう・・・それと、あなたは一体・・・」

 

部長は警戒を緩めずに尋ねる。

 

「お初にお目にかかるわ。私はアカーシャ・ノスフェラトゥ。吸血鬼よ。」

 

「ッ?!ア、アカーシャ・ノスフェラトゥですって?!あの太祖の女王と謳われた最強の吸血鬼が何故・・・」

 

さ、最強の吸血鬼?!それも太祖の女王だって?

 

俺には良く分からないがとんでもない大物のようだった。

 

部長も女性の名乗りを聞いて驚愕しているし。

 

「し、しかし貴女様は遥か昔に女王の座を退かれた後行方知れずであらせられると聞き及んでおりますが・・・」

 

「簡単な話よ。私は女王を退いて後アダト様の下へ参り、使い魔、そして妾となったの。」

 

「「?!」」

 

つ、使い魔で妾?!

 

それにアダト様って・・・

 

女神様だけじゃなく吸血鬼の女王様まで攻略したのか、あの神様は?!

 

「それに・・・同胞が下賤なテロリストに利用されるのが許せなかった、だから助けに入ったの。」

 

そう言うと吸血鬼の元女王様はギャスパーの方に歩を進める。

 

「え、あっ」

 

ギャスパーは彼女を見て完全に動揺している。

 

相手は純血の吸血鬼でしかも超大物。

 

ギャスパーが狼狽えるのも無理はないな。

 

遂にギャスパーの目と鼻の先というところまでやってきた。そして―――

 

ダキッ

 

「「「!」」」

 

「よく・・・がんばったわね」

 

な、なんと、ギャスパーは元女王様に抱きしめられていた。

 

その様子は非常に慈愛に満ち溢れたものだった。

 

あんな美人に抱きしめられるなんて・・・正直少し羨ましい!

 

暫くすると彼女はギャスパーを放した。

 

「さて、それでは私はアダト様のところへ戻ります。それと・・・彼の命を救ってくれて本当にありがとう」

 

そう言って元女王様は部長に頭を下げた。

 

「い、いえ、こちらこそ。貴女様が来て下さらなければどうなっていたことか。眷属を助けて頂いたこと、改めて御礼申し上げますわ。」

 

部長は僅かに戸惑っていたが敬意を示しながら対応する。

 

部長の謝辞を聞いた彼女は笑みを浮かべる

 

「フフ・・・それでは、またいつかお会いしましょう」

 

そうして最強の吸血鬼は旧校舎をあとにした。

 




大学の講義が本格化し出して徐々に忙しさを増してきました(‐.‐;)

恐らく次話も遅くなると思いますが、どうぞ宜しくお願いします。
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