聖書に記されし異教神(更新停止)   作:カイバル峠

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今月から大学が始まるので色々とドタバタして更新が遅れてしまいました。

恐らく次もこのような感じになると思いますが平にご容赦をm(_ _)m

今回は今までで最長になります。


転機

転機

 

 

Sideアスタルテ

 

黒歌を探し始めてから数分後、私は彼女の所在を突き止めた。

 

案の定彼女は気配を遮断している。

 

それも見事なまでに。並の使い手であれば全く気付ないだろう。

 

事実グレモリーやシトリーが動いた気配はない。

 

では何故私が彼女を見つけられたのか、それは私が彼女を気配ではなく魂の波動で追っているからだ。

 

一度相手の魂の波動を覚えてしまえば相手がどこにいようとも居場所を突き止めることができる、それが魂の管理をも司る私の権能の一つである。

 

私はそのまま彼女の下へ向かう。

 

こちらに関しては大丈夫だろう。

 

そうなると寧ろ憂慮すべきは姉さん達の方だ。

 

先程屋上の方で再び空間が僅かに揺らぐのを感じた。恐らくはお客さんが帰ったのだろう。

 

グレモリーの一味で女王の『雷の巫女』、あれは気配に敏いと聞く。

 

黒歌の気配には気付かずとも空間の揺らぎには気付いていた可能性はある。

 

未だ動きを見せないところを見ると気付いていないのか、或いは様子見のいずれか・・・

 

更にもう一つ、懸念材料が出てきた。オーフィスが私たちの生存と居場所を知っていた、ということはオーフィスの他にもそのことを知っている者がいるはずなのだ。

 

そうなればいつまでも姿を隠しておくことはできなくなる。

 

(アスタルテ)

 

?!

 

彼から念話が飛んでくる。

 

(アダト?!どうしたの?)

 

(オーフィスは帰った。これから俺とアナトもシャラと合流してそっちへ向かう。あまり長居をしていると流石に悪魔共も気付くだろう。)

 

仮に気付かれたとしても連中の記憶を改竄することなど造作もないことなのだがそうしたらそうしたで後々面倒事になる可能性が高い。

 

(そう、分かったわ。)

 

とりあえずはまだ悪魔たちにには気付かれていないようだ。

 

(それからこれは今アナトとも話したことなんだが)

 

彼が若干の憂いを含んだ様子で続ける

 

(オーフィスが俺達の生存、しかも所在まで知っていたとなると他にも知っている奴がいるとみて間違いないだろう。いずれは表に出なくてはならなくなる。)

 

そう、それは私も懸念していたことだった。

 

彼の口調が示しているように、それは再びこの世界を取り巻く流れの中に身を投じることを意味している。

 

この数千年の、ほんの束の間の休息ともいうべき雌伏の、穏やかな時とは必然的に別れることとなる。

 

今や天下を二分する神話体系となったにも関わらず、その主神たる聖書の神、神の対極として魔を司る本来の四大魔王が共に倒れた以上世界のバランスが崩れだすのは必然。

 

かつて神々が覇を争った時代と同じか、それ以上に世界は荒れるだろう。

 

もう、今の安寧の日々には二度と戻れないかもしれない。

 

だが彼が何と言おうとも私はついていくだけ。

 

それは私達が彼を愛し、伴侶となった時から永遠に変わらない。

 

私達は永遠を生きる定めを負った。

 

死ぬことすらも許されない。

 

(それで、正体を明かすの?)

 

(いや、それはまだ早い。今はまだその時期じゃない。今俺達が姿を現してもどこの勢力もいい顔はしないだろう。)

 

(なら、当分はこのままでいられるということね)

 

(少なくとも時が来るまでは、だがな。)

 

存在を明かせば今のように正体を隠す必要はなくなる。

 

それでも少しだけ、もう少しだけ、この束の間の平穏に浸っていられることに喜びを感じている自分がいた―――

 

 

Side黒歌

 

 

もうすぐで妹の通う学園に着く、というところだった。

 

「はぁ、見付けたわ」

 

背後から溜息交じりの聞き慣れた声、感じ慣れた気配

 

振り向くと、そこにいたのは白銀の髪、真紅の瞳、そして妹と同じ制服に身を包んだ、この世の者とは思えないほどの、見慣れた絶世の美女―――アスタルテだった。

 

(にゃにゃ・・・見つかっちゃったかにゃ)

 

念話になっているのは正体を隠すため私が猫の姿になっているからだ。

 

(お願いだからもう勝手に居なくならないで頂戴。)

 

彼女は呆れた顔でそう言った。

 

それも当然だろう。現に私がこうして無断で抜け出したのは初めてではないのだから。

 

それに彼女たちは公にはもう存在しないことになっているというのだ。

 

故に私以上に所在を秘匿しなくてはならないはずなのだ。

 

私がこのような勝手な行動に出れば迷惑をかけることになるのは明白だ。

 

それでも、そんなリスクを顧みずに彼女たちはこうして私を探してくれる。

 

私と妹を拾ったのが初めから彼女達であったなら、とつい都合の良い想像をしてしまう。

 

(拾ってくれたことには感謝してるし、迷惑をかけていることも百も承知してる。それでも私は(妹が心配、よね?)・・・)

 

(私にだって姉がいるもの。あなたの気持ちは痛いほど良く分かるわ。あなた達姉妹とは違って離れ離れになったわけではないのだけれど、それでも他の親兄弟とは遠く離れているのだから。)

 

(それと)

 

彼女は続ける

 

(アダトがいずれは私達も生存を明かさなければならないと言っていたわ。そうなればじきに現魔王の妹であるグレモリーの一党とも相見えることにもなるでしょう。)

 

まあ、敵となるか味方となるかはまだ分からないけどね、と彼女は付け足した。

 

(さて、そろそろ帰りましょう。アダトたちもこちらに向かってるそうだから。)

 

そう言うと彼女は私の側によってそっと私を抱き上げる。

 

彼女の腕から私の全身に伝わる温もり

 

偉大なる地母神の醸し出す慈愛に満ちた雰囲気の中、自然と心が安らいでいくのを感じた。

 

私はその安らぎに身を委ねることにした。

 

 

 

Side兵藤一誠

 

オッス!

 

俺は兵藤一誠、皆にはイッセーって呼ばれてる。

 

俺がこの駒王学園に入学した理由は一つ、数年前まで女子高だったこの学校は女子率が男子以上に高いからだ!

 

そして彼女を作り、あわゆくばハーレムを・・・!

 

しかし現実は過酷だった。

 

ハーレムはおろか、いつまでたっても彼女さえできやしない!

 

それどころか悪友二人と共に変態三人組などという不名誉なレッテルを貼られ煙たがられる始末!

 

畜生!一体何がいけないって言うんだ?!

 

俺や俺の悪友の趣味が悪いとでもいうのか?!

 

いや、そんなはずはない。

 

あれは健全な男子高校生であれば誰しもが興味を持つはずのものだ。

 

だからそんなはずは断じてない!

 

それに他にも気に食わないことがある。

 

俺達がこうして女に飢え、喘いでいる一方で、駒王学園の二大イケメンなどと呼称される連中が女子の人気を二分してやがるんだ!

 

こいつ等は全男子の敵と認識されている。

 

一人は木場祐斗。

 

金髪の爽やか系イケメンで顔だけじゃなく成績優秀、性格も良いと聞く。

 

しかも俺と同じ二年だ。

 

今日もいちゃついてるところを見せやがって!!

 

だがもう一人はコイツが可愛く見えるほどにえげつない。

 

そいつの名は有馬崇哉。

 

最早人間離れしているといっていいほどに整った美しい容姿、それも同じ男とは思えないほどで、成績も学年トップクラスで運動神経も抜群。

 

正直二大イケメンなどと称されてはいるものの、コイツの方が木場よりも圧倒的に上だと思う。

 

だが最も許せないのは、二年の三大お姉さまと呼ばれる咲桐姉妹と石動沙羅ちゃんを独占しているという点だ!

 

彼女たちは駒王学園の二大お姉さまと呼ばれる三年のリアス・グレモリー先輩と姫島朱乃先輩に勝るとも劣らない美貌を誇り、二大お姉さまと並び、この学園では男女問わずに憧れの存在だ。

 

しかも奴はその3人と同居しており毎朝一緒に登校して来やがる!

 

まあコイツ自身欠点のない完璧超人で他の男子からは嫉妬するのも馬鹿らしいと諦めの声も聞かれ、また二年の三大お姉さまにがっちりホールドされてる所為で他の女子が取り付く暇もないらしい。

 

こういうやつらがいる中でどうして俺達はモテないのか、やはり顔なのか?!

 

畜生!!

 

死ねイケメンっっ!!

 

そんな悶々とした日々を送っていたのだった。

 

そう、あの時までは。

 

 

 

「私と付き合って下さい!!」

 

 

それはとある帰り道のことだった。

 

不意に声をかけられる。

 

そこにいたのは別の学校の制服を着た、ぱっちりした瞳に整った顔立ち、スレンダーな体系に艶やかな黒髪、そして豊かな胸の膨らみ・・・

 

ストレートに言ってかなりの美少女だった。

 

彼女の名は天野夕麻ちゃん。

 

嬉しいことに、ずっと前から俺のことが気になっていたのだという。

 

いや~、夕麻ちゃんを紹介した時の悪友二人の顔と言ったらもう傑作だったぜ!

 

そして俺は夕麻ちゃんとデートの約束をした。

 

初めてのデート、何としても成功させてやるぜ!!

 

そう意気込んでデートプランを組んだ。

 

今日は当日、俺達の記念すべき初デートは順調に進み、いつしか空は夕闇に染まっていた。

 

まるで俺達を祝福しているかのような美しい夕暮れだった。

 

「今日は楽しかったね。ねぇイッセー君、私達の記念すべき初デートってことで一つお願い聞いてくれる?」

 

うおぉぉぉぉぉぉ!!!

 

この展開はもしかしてアレですか?!

 

お願いというのはもしかしてキ、キ、キ、キスだったりするんですかーっ?!

 

「な、何かな、お願いって?」

 

落ち着け俺!

 

ここは慎重に、冷静に振る舞うんだ!!

 

必死に自身の昂ぶりを落ち着かせようとする俺。

 

記念すべき初デートのクライマックスに夕闇の中でキス!

 

これほど盛り上がる展開はないじゃないか!

それをみすみす台無しにするという失態を犯すわけにはいかない!

 

 

―――――――――――――――――

 

 

「死んでくれないかな?」

 

 

俺は耳を疑った。

 

「・・・もう一度、言ってくれるかな・・・?」

 

俺の記憶が正しければ今彼女は―――

 

彼女はもう一度言う

 

――――死んでくれないかな?―――

 

そういうが否や、夕麻ちゃんの背中から黒い翼が生え、夕闇に染まる空に舞い上がる。

 

そして手に光の槍のようなものを形成する。

 

訳が分からない。

 

なんで、夕麻ちゃんから羽が・・・?

 

空から俺を見下す彼女は冷たい笑みを浮かべる。

 

その表情は妖艶で、淫靡で、そして美しかった。

 

本当に、目の前の彼女はさっきまで俺に笑顔を向けていたのと同じ夕麻ちゃんなのだろうか?

 

 

ドスッ

 

?!

 

ゴフッ

 

腹部に痛みが走ると共に俺は吐血した

 

何が起こったかは何となくだが分かった。

 

彼女の光の槍が俺の腹に突き刺さったんだ。

 

「楽しかったわ、僅かな間だったけど。貴方と過ごした初々しい子供のままごとの付き合いは。ごめんなさいね、あなたは私たちにとって危険因子だから早目に始末させてもらったわ。恨むならその身に神器を宿した神を恨んで頂戴。」

 

セイ・・・なんだって?

 

そういい彼女は消える

 

俺、こんな訳の分からないことで死ぬのか?

 

薄っぺらな人生だったなぁ・・・

 

迸る赤い血、俺はある人物のことを思い浮かべた。

 

どうせ死ぬなら―――あんな美少女の胸の中がよかったな・・・

 

薄れゆく意識の中、最後に視界に赤い光が映ったような気がした―――

 

 

 

 

「あなたね、私を呼んだのは・・・へぇ、面白いことになってるわね。いいわ、どうせ死ぬなら拾ってあげる。貴方の命―――私の為に生きなさい」

 

 

 





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