魔力がないからってパワハラされるのはゴメンだ!   作:シンナー

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どもー

ではよろしくお願いします。


第3話【配属・新たな部隊】

「すいませんフェイトさん! 本日より、復帰します! 」

 

「うん、すっかり良くなって良かった。でもねポンコツ……ポンコツは今日までで異動だから、悪いんだけど別の所で頑張ってもらえるかな」

 

「……え…………」

 

「ごめんね、でもポンコツ……使えないから《魔法使えないのにそばに置いとくの危ないし、私も新しい部隊に誘われたから側には置いておけない。私としてもすっごく残念なんだけど》……あれ? ポンコツ? どうして泣いてるの!? ポンコツ、まだどこか悪いんじゃ、ってポンコツぅぅぅううううう」

 

 退院した俺はフェイトさんの元へ。だがそんな俺を待っていたのは天使に吐かれた強烈な一撃。使えないという言葉だった。フェイトさんに言われたその言葉は、彼女の人柄もあり、強烈なダメージとして俺に突き刺さる。

 

 もはや俺に涙をこらえる事ができない。俺は走り出した。俺は精一杯走り出した。手で必死に涙を拭い。すれ違う人を避け、時にはぶつかり、時には殴られ。時には……

 

 気がついた時には異動になった場所へ戻っていた。そこは元の部隊。あのクソ上司のいる所だった。最初のほとぼりはもう冷め、ここでは完全じゃないが、元の状態になりつつある。

 

 しかし俺を待っていたのはまたしても……

 

「ごめんなさいね、ポンコツ君。貴方はさっき異動になる事が決まったわ。私としても、ぐすっ、残念なのよぉ…………」

 

「……ハハハ、ここで拒絶されたら本格的に使えない奴じゃないですか。くっ……こんな管理局(ところ)やめてやる! 」

 

「待ちなさい!? 逃げても貴方に逃げ場なんてないのよ! 」

 

俺は走る。逃げるのだ。こんな所はもう嫌だ。管理局なんて大嫌いだ。俺は絶望を感じ、その八つ当たりを全て管理局へとぶつける。ここが全て悪いんだ。ここがいけないんだと走りながら本局の出口へかける。

 

 すると出口の前で誰かが右手を振り待っていた。いや、待ち伏せていた。その笑み。悪魔が。悪魔が俺を迎えにきたのだ。

 

「やほー! 迎えに来たよポンコツくん! 」

「俺はもうこんな所はやめるんだぁぁぁあああああああ! 」

 

 俺は悪魔な彼女を通り過ぎ、全速力で駆け抜ける。逃げるのだ。捕まってなるものか。だがきっと俺は……逃げられない。

 

「ふふ、レイジングハート? ディバインバスター(私の気持ちを)

 

【オーライ、マイマスター! ディバインバスター最大出力。ポンコツをスクラップにします】

 

「ハッ!? うわぁぁぁああああああああ! ぐっな、か……はっ!? 」

 

 世の中こんな事ばかりだ。やめたくてもやめさせてくれない。もっともやめようと思ったのは今回が初めてだが、それでもあの悪魔の元へ行くのはごめんだ。

 

 次に目を覚ますとどこかのベットの上。そこには見慣れない医者がいた。医療スタッフだろうか。白衣に金髪の女性。彼女は目を覚ました俺のおデコに触れ、優しく微笑む。

 

「目が覚めたのね。どこも怪我はないから大丈夫よ。流石なのはちゃんね」

 

「あの……」

 

「ああ、ごめんなさい。私はシャマル。ここの医療スタッフよ、ポンコツ君。そういえば、はやてちゃんが目が覚めてから来るように言ってたから行って貰えるかしら」

 

「はやてちゃん? 」

 

「ん? ここの部隊長よ。部隊長室にいるはずだから。よろしくね」

 

 そう言われ、いまいち状況の呑み込めない俺は歩き出した。だが全く、道がわからない。そもそもここはどこなのだと俺は考える。本局のでもなければ行ったことのある管理局の施設でもない。でも歩くしかない。

 

 誰かに聞こうかとも思ったがくだらない羞恥心が邪魔をする。それでは俺がよそ者のようだ。すると少し……というよりかなり小さい女性がこちらに向かい歩いてきた。

 

 左側に髪留めを2種類している彼女。俺はこのままではいかんと聞くことにした。幸い他に人はいない。

 

「すいません、部隊長室……と言うかここはどこなのでしょうか? 」

 

「ん? あ! 新しく異動してきた方ですかぁ? 」

 

「え……あ、はい多分《まぁ……なのはさんが連れてきたわけだし、あの口ぶりだとそうなんだろうか》」

 

「じゃよろしければ部隊長室まで私が案内しますよぉ。ポンコツさん」

 

「はぁ……ありがとうございます。……あれ? 《何で俺のこと知ってんだ? 》」

 

 俺からしてみると少し変わった口調の彼女は部隊長室に行くまで話をたくさんしてくれた。ただ、何となく俺に関する質問が多かった気がしたのは気のせいだろうか。普通なら聞かない事も聞いてきている気がするのだ。

 

 ただ、案内してもらってる身である為、大人しく聞くことにする。

 

「そうなんか? でも今回の異動はポンコツさんが使えないと言う理由やないと思いますよぉ? 」

 

「いやまぁ……そうなん……ですかね? あ! そういえば貴方の名前を」

「ここやで」

 

「え? ああ、部隊長室」

 

 俺が名前を聞こうとした時だ。目的地の部隊長室についたらしい。しかし疑問がここで一つ。案内してもらったのはいい。だがその部隊長室へノックもなしに入っていく彼女は何者か。まだ名前も聞いていないがいい度胸だと思った。

 

「あの……」

 

「ああ、言ってなかったなぁ。私がここ、機動六課部隊長、八神はやて言いますぅ。今日からよろしくなぁ、ポンコツさん? 」

 

「は!? 部隊長? 貴方が? 」

 

「はい。その通りですがぁ」

 

「……はっはっはー! ちょっと待てよ!? なら俺の本名知ってるだろ!? 」

 

「ええ、もちろん知ってるで。ただ……こっちの方がおもろいやないか? そう思わへん? ポンコツさん? 」

 

 俺はゾクリと感じた。この人もまた、俺を嬲る事を楽しもうと言う人種と同じ香りがする。しかもさっきまでは部隊長とは明かさず俺の事を探っていたようだ。今思えば腹ん中まっ黒くないだろうか。

 

「ところで……さっきからタメ口聞いてるようやけど……どういうつもりなんか? 」

 

「あ、いや……すいません」

 

「まぁ〜ええよ? 今日のところは。でも次はないよぉ? 魔法も使えない『ノーエンブレム』が調子に乗ったらあかん。気をつけてな? 《り、リンディさん……わかる。わかりますよ!? いい……キュンって、胸がキュンってなる! ヤバイ……可愛ええ。この苦悶の表情がすごく、そそる。もっといじめたくなるなぁ〜》」

 

「す、すいません…………」

 

 何故どいつもこいつも魔法が使えないと言う短所を題材に俺を突いてくるのだろうか。俺は思い出すように恋しがる。あの優しいフェイトさんと言う上司の事を。

 

 あのクソ上司も悪魔上司も目の前の上司も、俺をどこまでイジメようというのか。いや、それともこれは俺の自意識過剰なのだろうか。これが世間に普通で、俺は思い込みで勘違いしているのだろうか。

 

 ありえない。それは断じてない。

 

「それで……私どうしてもわからないことがあるんやけど、ええかな? 」

 

「はい、何でしょうか? 」

 

「どうして……いや、何をしたら無階級(ノーエンブレム)なんかになるんや? 」

 

「…………」

 

 それは俺の1番ついて欲しくない内容の質問だった。俺はある理由から階級がない。つまり俺はどこの部隊に行ったとしても一番下。だがそれは俺に課せられた罰。管理局にいる限り未来永劫背負っていかなければならない俺の罰だ。

 

 おそらく彼女がわからないと言うのは本当の事だろう。この案件は何故かトップシークレットになっているようで、あのリンディ統括官すら調べることはできない。唯一知っているのは管理局の最上層部、そして……なのはさんとヴィータさんだけ。

 

 それにしたって俺しか知らない事もある。とにかく踏み込まれたくない事だ。

 

「いえ、大した事は」

「ポンコツ君のデータベースにロックがかかってる事が大した事じゃないんか? 」

 

「それはその……」

 

「ま、ええ。それじゃ〜しっかり働いてな? 」

 

「それで俺の仕事は」

 

「総雑務や」

 

 総雑務……それを聞いて俄然やる気がなくなった。この部隊での俺の存在意義は雑用という事だ。何てやりがいがない仕事なのか。俺は取り敢えず言われた場所へ歩き出す。

 

 その場所とは訓練室。ただ少し狭い武道場のような所だった。軽い組手かなんかをやる場所だろう。ただそこにはピンク髪でポニーテールをしている女性が待っていた。俺は知っている。この人を。もちろんこの人も俺を知っているだろう。

 

「久しぶりだな? 元気そうではないか、だが取り敢えず私に付き合え。それがお前の仕事だ。た……いや、ポンコツだったな」

 

「貴方まで俺の事そう呼びますか…………」

 

「まぁそう言うな。主の意向でな。許せ。さぁ、それでははじめよう

 」

 

「拒否権は? 」

「ふふ、野暮な事を聞くな」

 

「ですよねー」

 

 どうやら今日の俺の仕事とは、この人の訓練に付き合う事らしい。だがここで思わないだろうか? 俺の仕事おかしくね? という事だ。

 

 総雑務って何でも屋さんみたいな感じなのだろうか? しかもこの人はかなり戦うのが好きなバトルジャンキーだ。俺としては戦いたくないのだが、仕事と言われてしまえばやらざるおえない。

 

「どうした! 腕が鈍ってるぞ! ハァッ! 」

「ちょっ!? 手加減手加減!? 」

 

「お前にする手加減などない! 」

 

 右へ、左へ……俺は彼女、シグナムの攻撃を避け逃げる。彼女とは何年か前に部隊が同じになった。そこでは戦闘がほとんどだったが、俺とシグナムは前線で戦った戦友だ。しかし俺が魔法を使ってないと言う事もあってすっかり興味をもたれてしまったらしい。

 

「全力で戦え! 逃げてばかりでは勝てんぞ! 」

 

「もう趣旨が変わってるだろ!? うっ!? ……はぁ…………」

 

「ふふ、やっとやる気になったか。それでこそ私と共に戦った戦友。レヴァンティンを受け止めるその姿……正しくお前の真の姿だ! 」

 

「軽くですよ? 」

 

「あ、ああ! 《この日を待ちわびたぞ! さぁお前と本気で》」

 

 シグナムさんが俺から離れ、俺はズボンのポケットから一本のナイフ……もといデバイスなのだがそれを取り出す。さらに反対のポケットから単4の電池を1本。そして俺はナイフの柄をパカッと開き、そこに単4電池入れた。

 

「久々に見るな。お前のそれは……味方からしてみれば見るに耐えんのだが」

 

「ならさせないでくださいよ。はぁ……それじゃあ『4分間だけ』、訓練に付き合ってあげます」

 

「ああ! 嬉しいぞ、それで十分だ! 」

 

 やる事は単純。ナイフの刃先を自分に向け、大きく深呼吸をする。

 

「単4……ロード・乾電池(カートリッジ)! 」

 

 そしてそれを切腹の要領で自分のお腹に突き刺した。

 

 

 

 ◇◆◆◇

 

 

 

 私、フェイトはポンコツを異動にした後、誘われていた機動六課に配属する事になった。もちろん執務官の仕事はそのままだ。ポンコツは今どうしているのだろうか。正直部下としてはあのまま手伝って欲しいほど役に立っていた。私は今まであれだけ使える部下を持った事がない。それほどまでにポンコツの事は気に入っていたのだ。

 

 私は今日、今同じ部隊のシグナムに呼ばれて訓練室に行く所だった。だが訓練室に入った時、私はまず目をこすった。何かの見間違いだと思ったからだ。しかしいくら擦ってもそれは現実だった。

 

「え……ん? えっと……ポンコツぅぅぅうううう!? 」

 

「落ち着けテスタロッサ!? これは違う! 」

 

 私が見たのは倒れているポンコツ。何故彼がここに。だがそれよりもポンコツの状態が私にとってはショッキングな事だ。何故なら倒れているポンコツはお腹から血を流し、近くには血のついたナイフが。

 

 そしてその場にはシグナムしかいない。だからここから導き出される答えは一つしかない。

 

「シグナム、どうしてこんな事!? 」

「違う、私じゃない!? あ、いや……間違ってないがとにかく私じゃない! 」

 

 私はポンコツを抱え起こしながらシグナムを問い詰める。だが彼女はそれを否定。自分の所為じゃないというがどこかぎこちない。一方ポンコツは震える声で私の名を呼んだ。私は彼の手を握りながら必死にポンコツと話をする。

 

 どうにか彼の意識を繋ぎ止める。そして早くシャマルの所へ。そう焦っていた。段々と私の手を握り返しているポンコツの力が弱まっているように感じたからだ。

 

 このままではまさか……そう最悪の事態までも考える。

 

「フェイト……さん。これは……なんでも……ないですから。気に……しないでくだ…………」

 

「ポンコツ? ……ポンコツぅ! ポンコツぅぅぅううううう!? 」

 

 私の呼びかけは虚しくも届かなかった。彼の言ってる事は何一つわからなかったがシグナムを庇っているよには聞こえた。つまりシグナムは白。ではポンコツはどうしてこんな事に? そう考えているとポンコツの手がポトリと床に落ち、彼は意識を失った。

 

 

 




次回もよろしくお願いします。
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