‐side悠佳
私があいつと今出かけていて、楽しんでいることは認めよう。意外と良いところあったし。良いお店知ってたし。
いやいや、私はこのお出かけを楽しんでいる訳であって、士道君と遊んでいることを楽しんでいる訳ではない。きっとそうだ。うん、きっとそうだ!!・・・でも士道君がいなけりゃこうも楽しいお出かけは出来なかった訳で・・・
「うあ~!!もう訳が分からん!!」
ついつい言葉に出てしまった。
「どうした?」
次は何処行こうかと悩んでいた士道がこちらに目を向ける。
ったく少しはこっちの身にもなれ!・・・いや、無理だろうけどさ。
嫌いな筈の奴と遊んでいて、しかもそれが楽しいのは認めざるを得ないがぁ・・・しかし、しかしだ!今日だけ!今日だけ!!
「い、いや、何でもない。次は何処行くのかな?」
「あぁ、それなんだけど、特に詳しい訳じゃないからな・・・逆にどこか行きたいところあるか?」
「ゲームセン・・・」
「ゲームセンターはもう言った」
こんの野郎人に聞いておいてなんだそれは。
しかし、3度目ともなると確かに遊べるゲームは少ないだろう。それほど極めたい訳でもないし、それに、こいつに奢らせるのはなんか嫌だし。これなら財布くらい持ってこればよかったかも。
「んじゃぁ特にないよ・・・う~ん・・・強いていうなら東京D」
「何千かかると思ってるんだ・・・」
流石にダメだったようです。
行ったことがないので半ば本気だったんだけど、残念無念。
しかし、となると私は行きたいところはない・・・、というか、私がいた時よりも随分街自体が変わってるから、当時あった場所も無かったり、無い場所があったりしていて、全く元の街の面影がない。だからどんな名所があるのか知らないし。
「あ、そういえば、あの水族館ってまだやってる?」
「駅近くのか?やってるんじゃないか?」
なんだその適当な返事は。
あいっかわらず、こいつは雑だし、少しは考えなさい。
「んじゃぁ行くよ~」
私は先導するようにズカズカと歩く。
最後に行ったの10年以上前だから道は覚えてないけど大丈夫でしょ♪何となく覚えてるって♪
‐side士道
悠佳に先導を任せて30分程度、ようやく俺は任せたのに後悔した。
そういえば今さらだが、彼女が死んだとしたら、いや、それよりも前に虐待を受けているのだから、もっと行っていないだろう。死んでいなかったとしても、小中学生は高校生以上の保護者がいないと入れない。
気付けよ俺!
「・・・・・なんということでしょう。道に迷いました」
「見れば分かるよ・・・」
二人は同時に溜息をついて、来た道を戻ろうとする。
あ、そういえば琴里に頼めばいいか・・・ってインカム忘れてた。
いきなり狂三に言われて付けるのを忘れてたんだった・・・
「お、おい悠佳。来た道覚え・・・」
悠佳に声をかける・・・が、悠佳は裏路地から出てきた男集にメンチをきっていた。
こう見ると、服装こそ可愛いものの、ヤクザのようである。というか、その本物のヤクザも少したじろいでいるが。
まぁ、連れていく筈の可愛い女の子が気付いたらメンチをきっていたなんて、予想外すぎて誰も普通には判断できないだろう。
「悠佳、なにやってんだよ!」
ぐいっ、と白いワンピースを掴んで引っ張る。
「何すんだー!」
「お前こそ何してんだよ!」
流石に悠佳も精霊と言えど女だ。男の力に勝てる筈がない。
ヤクザはようやっと連れていくのを諦めたようで、裏路地の闇に消えていっていた。始めてヤクザに感謝したかもしれない。
「はぁ・・・はぁ・・・、何喧嘩売ってるんだよ!」
「喧嘩売ってきたのはヤクザの方!私はちょっとお財布を貰おうとしただけ!」
「貰うな!」
悠佳が本気で言ってるなら善悪から叩き直してやらねばならん・・・
「ま、まぁ、いいや。ここまで来ちゃったのは私の責任だけど、帰りは士道くんに任せるよ」
ざ、雑・・・
まぁ、いいか。幸いここは天宮市内だったし、商店街からもそう遠くない。それに、最悪は狂三の力を借りれば簡単に知っている道に出られるから、そう困りはしないだろう。