人を殺しました。
罪悪感は?
‐side士道
冗談だと願った。
夢だと願った。
「さらに言うと、墜落までに何とかしないと日本全土にわたって、甚大な被害が及ぶ可能性があります。死傷者の数を想定すると、第二次世界大戦の死傷者を軽々と越える人が死ぬと想定されています。まぁ、一つの星並の大きさですので、これでも優しいと思った方がいいかもしれませんが。そして、世界にもその被害は及んで、生き残る人類は10%あればいい方かと」
たたみかけるようにエレンが冷静沈着といった声音で言ってくる。
なんでこいつはこうも平然としてられるんだ・・・!
「そ、そうだ!悠佳は!?」
断崖絶壁から下を見下ろすと、悠佳はこちらへゆっくりと浮上してきて、二人の後ろ、森と面した場所にポツンと立った。
ゴシック調のドレスをまとった悠佳は、全く無表情で、瞬き一つしない。
それこそ、死んでんじゃないかって思うほど。
「これが元凶ですか」
見るやいなや、エレんは光の刃を悠佳に突き刺そうとする。
が、悠佳の半径10メートルくらいか、それ以上入ることはできず、刃は簡単にその見えない壁によってポッキリと折られてしまった。
次は、と、懐から取り出したサブマシンガンを乱射するも、同じくはじかれ、金属音が響く。
「成程、全く物理攻撃はきかないと・・・このままでは、私はともかくアイクが・・・」
必死になっているのはそういうことか。
プルルル・・・・・・
俺の持っていた携帯が鳴り響く。着信元は琴里だ。
『士道!今すぐ悠佳をなんとかしなさい!これは流石のフラクシナスでも止めようがないわよ!
「今何とかしようとしてるんだよ!けど悠佳は人形みたいになってるし・・・テリトリーが邪魔して入れないんだよ!」
『んじゃぁその外から話しかけなさいよ!そんぐらい考え付かないの!?』
「うるせぇよ!」
携帯越しからでも聞こえるフラクシナスの館内はもうパニックだ。
人類滅亡。
皮肉なことに、それが今一番ぴったりな言葉だろう。
空を見上げるも、まだそれ自体は見えてこない。まだ大気圏は突破していないだろう。けど、時間はない。
「なぁ悠佳。これやってるのお前だろ?何とかならないのか?」
返事は無し。それどころか、二人の丁度真ん中を見ているだけで、瞬き一つしない。
「何をしているんですか?」
「こいつの反転をどうにかしようとしてるんだよ。邪魔するならどっか行け」
「・・・・・・話しかけるだけで治るとでも?」
「十香の前例があるんだよ。何とか・・・」
それからも、俺は人形に話しかけるような感じで話しかけた。最近起こった出来事、今日のデートの事、皆のことを話した。いままでのことも謝った。もう他にないんじゃないかって程話した。
なんとか、なんとかならないのか?
悠佳を助けて、そして十香達も助かる方法を。
魔王を壊す?んなの無理だ。一つの星波の大きさを誇る存在をどうやって壊せって?止まるスイッチがあるなら話は別だけどな。そんなアニメみたいな展開、何度願って何度裏切られたことか知らない。
万に一つの可能性しかないだろうけど、この悠佳をどうにかするしかない。
「・・・はぁ、それしか方法がないみたいですね。そうだ。この一見が終わったらショートケーキを食べにいきませんか。美味しい店をしってるんです」
流石の自称最強のエレンも危機的状況だと分かったのだろう。殺す、よりも、この状況を何とかする。に切り替えたようだ。
「なんで知ってるんだよ・・・」
「時々きてますから」
「・・・・・・まぁ、いいや。なぁ、悠佳。そういうことだから、うんとかすんとか言ってくれないか?首を振るだけでもいいんだ。じゃないとこっちも困るんだが・・・」
返答無し。
瞬きもしないし、本当に人形みたいになってる。
人形になった悠佳を、俺は、助けられるのか?
人類の運命がかかってるようなこの一件を、俺に背負わせるのか?ふざけんなよ。けど、やるしかない。
‐side悠佳
その、声、士道?
助けて
私を・・・そして、
士道は、死んで欲しくないから。
私を、殺して。そして、十香ちゃんたちを助けてあげて。
一例
あまりありません。
知らない人ですから。