‐side 美九
私が呼ばれた理由、それは分からない。
ただ、一つ分かることがある。
名無しは、この子は、無視され続けたんだ。
『さて、私の名前が増えたところだし、美九ちゃんでいいのかな?君はどういう気持ちだろう?君がどれだけ人に話しかけようと、行動を示そうと、決して人は君に気づかない、振り向かない』
分かっていた。
私は見えていない。
分かっていたのに。
言われると、寂しさ、そして、恐怖が襲う。
私が死んだって・・・誰も気づいてくれないんじゃないか。
極端すぎるかもしれないが、この状況はそんな極端な考えを引き出すのに、足りすぎる。
「とても・・・嫌な気持ち」
私は泣きそうになる心を押し殺して、声を出した。
『そう言ってくれる人は何人もいたけど、分かってくれてるみたいだね。でも、私みたいに、話相手が一人いるだけで、見える世界は変わる。未来に希望を持てる・・・いや、持てた筈なんだよ』
声に憎さが入り混じり始めた。
「あ、あの?名無しさん?」
『ん?どうしたのかな?』
恐ろしく感じ、聞いてみるとまるでさっきの声が嘘みたいに元に戻る。
『あぁ、そうだ。美九ちゃん、君に、最後の質問』
『この状況は、治ると思う?』
その声を最後に、私の意識は切り離された。
‐side 士道
「ここの・・・筈よね」
琴里が足を止め、周りを見渡す。
俺達は、琴里を通じて令音さんから教えて貰った美九の霊波が探知出来た場所に四糸乃と七罪以外を連れ、向かったのだ。
美九の家と、竜胆寺女学院を繋ぐ、登下校道。しかし、そこに美九の姿はない。
周りに人がいるせいで、アイドルの美九の名前なんて叫べないし、目で探すしかないのか。
なんとも、もどかしい・・・
「俺は少し向こうを探してくる」
俺はそう言うと、皆の答えも聞かず、二人がやっと通れる狭い裏路地に入った。確か、ここから別の道に近道出来る筈!!
「ようやく一人になった。待っていたよ」
十字路になっているところに来た時、少女の可愛い声が前方から聞こえてきた。
どこかで・・・聞いた覚えがある。
「何年ぶりかなぁ・・・5年は経ってるよね。10年かな?」
目の前の空間が歪み、そこから少女が現れた。
記憶の奥底から、その死んだ筈の誰かが、腕を突き出してきた。
だって、そうだろ。
「なん・・・で」
「生きてるんだ?」
金髪の長い髪に、赤い目、口に大きな鉄のマスクを付け、大きな黒いローブを着ているそれは、服装こそ違えど、成長こそしているが、雰囲気や、髪の色、目、何からなにまで、全て、小学生に死んだ、死んだ筈の・・・
友達なんだ。