‐side 悠佳
私は、昔、虐められていた。
無視、罵倒は当たり前。
殴り、蹴りは100回を超えたんじゃないか?
小学生なのに、母からは虐待を、父からはそれに性的虐待を付けたして私をいじめた。
青痣が無かった日、そんなものはなかった。
そんな時、初めて私に話しかけてくれる子がいた。最近引っ越してきた、五河士道っていう子。その子は、毎日私と会っては、遊んでいた。
光に感じたよ。私の心にため込まれた闇の中の唯一の光に思えたさ。
3か月が経つまでは。
士道は、私を見捨てた。
士道は、私を見放した。
士道は、私を無視した。
士道は、私の闇を濃くした。
士道は、私から最後の感情を奪った。
私は、貴方を一生許さない。
そんなことを、最後に思って、私は天上から吊るした麻縄の輪っかに、手をかけ、首吊り自殺をした。
痛い、でも、これでいいんだ。
葬儀の時、私の死体を私が見ていた。親族が沢山。
あの親達でさえ泣いてる。いい気味だ。
私を性的に虐待した先生も、ワンワン泣いてる。無様。
私をいじめた同級生、先輩、後輩は泣いているが、恐怖も感じてた。呪ってやる。
私を、救い、そして、見放した士道は、いや、五河家は、誰一人として来なかった。殺してやる。
‐side 士道
全部思い出した。名無し、悠佳のことを。俺が無視したことを。葬儀に出なかったことを。
「君は私の気分を高ぶらせた、私の心に光を灯した。なのにあれはなに?私を無視して、何事もなかったみたいに明日、遊ぶ。あれはなに?お遊び?ふざけないでくれるかなぁ。こっちは信じてたんだ。今思うと馬鹿げてるよね。でも、君の演技には驚いた。血反吐を吐いたのに、心配の一言もない」
「あれは!・・・怖かったんだ」
そう。怖いんだ。最近は、十香や耶倶矢、七罪達を大切に思っていて、自分の命よりも優先するが、当時は、唯の子供だ。養子に引き取られて、気分が沈んでいたけど、あの時は丁度元に戻ったころなんだ。
「怖い!?あんたの恐怖の代わりに、私は、恐怖を感じてるっていうの!?あんたの身代わりで!犠牲になったっていうの!?お前は!お前らは!自分の命だけ!残ってればいいのか!?」
「そんな訳ないだろ!当時はようやく、気分が落ちついてきた頃なんだ!」
「じゃぁなんだ!?あんたの落ちつきを保たせる為に私は犠牲になったのか!?先生にも伝えなかったよな!挙句の果てには、私とも遊ばなくなった!あれはなに!?」
答えが出なかった。いや、出せなかった。
遊ばないのも、伝えないのも、虐めっ子に標的にされない為だ。
「答えも出ないの!?それほど下らないの!?私の命は蟻と同等なの!?」
「そんな訳―――」
俺が否定しようとしたが、悠佳がそれを許さない。
「あぁ、そうなんだ。蟻と一緒なのか、踏んでも、石を上に置いても、それだったら気付かないもんね・・・じゃぁ、もういい。死刑、合計10回、執行しま~す」
なんとも生気のない声が虚空へ消えた。
流石の恐怖に気おされた俺は、左側に少しゆらっと、揺れた。
その刹那、俺の右腕は、鎌居達にばっさり切り取られたように付け根から、俺の右腕が切り取られ、腕は宙を舞った。
痛みは感じない。
「動かないでよぉ。ずれちゃたじゃん」
斬撃が飛ばされただろう後方から、さっきと同じ、生気のない声が響いた。
確かに、今、恐怖に気圧されていなかったら、上半身がぱっくり二つに割れているところだ。
「痛みは感じないように設定してあげてる。地獄で泣いて吐く程感謝してね。美九ちゃん、見せないようにしてあげてるから、感謝してね」
美九を見ると、確かに、何が起こったか分かってない様子だ。声の聞こえた方に向いているだけで、俺の飛んでった腕と、その切断面には、目もくれなかった。
「
後方からその声が聞こえたかと思えば、再び周囲に霧が散布され、数センチ先も見えなくなる程の密度で俺と美九を覆った。俺の腕が再生する。
「
周囲が見えなくなってから数瞬、俺は何かに倒され、地面にうつ伏せの状態となった。
立ち上がろうとするが、両手足は何かに縛られ、首は円形に固定されている。
まさしく、ギロチン、断頭台だ。
「死刑・・・執行」
正解
無し。