デート・ア・ライブ 悠佳メモリー   作:事の葉

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俺を、忘れた

‐side 士道

 

結局、あの後俺の身には何も起こらなかった。琴里にも、令音さんにも。

 

現在、隣の精霊マンションに住んでいる精霊達はラタトスクで身体検査等を受けている頃らしい。俺は立ち入り禁止みたいだ。

 

翌朝も、十香達が帰ってくることはなかった。

渋々俺は制服を着て、かばんを持ちいつも通りに学校に向かった。

 

 

 

 

来禅高校で、普通に、なにも変わりなく自分の下駄箱から上履きを取りだし、靴を雑に入れる。

上履きを履き、二階に上ろうとした時、3組の先生とすれ違う。俺はいつも通りあいさつをした。

 

「あら?どちら様?」

 

先生は冗談を言うようではなく、そう言ってきた。

まだ30にもなっていないこの先生がボケたとも思えない。こんな悪戯をする人でもない。ついでに言えば、この先生とも結構仲良しだから、忘れるようなことはないだろう。

 

「冗談ですよね?」

「えっと・・・どこかで会ったことがあるならごめんなさいね?」

「は?」

「も、もしかして、うちの生徒!?全員を覚えてるわけじゃないから・・・い、今すぐ名簿を確認するから、クラスと名前を・・・」

「二年四組の五河士道です!」

 

まさかの事態に声を荒げる俺。

駆け足で職員室に向かう先生を追いかける時、周りの生徒からも不思議そうな目を向けられた。

 

「え、えぇっと・・・」

 

そう言いながら生徒名簿を開き、2年4組を確認する。

 

「・・・ないわね」

 

先生は酷なことに、そう告げてきた。

あり得ない。

 

そんなハズはない!

 

もっとよく見てくれ!

 

絶対にある!

 

そう叫ぶも、先生の口から「あった」という回答は帰ってこなかった。

俺はその場に肘をついた。

 

「1年生からここにいるのよね?」

「はい・・・」

「だったらない訳がないし・・・珠恵先生!」

 

俺の担任、岡峰珠恵先生が自分の椅子から立ち上がり、こちらに少し駆け足でやって来る。

 

「この子が先生のクラスの生徒だって・・・」

「えっと・・・ち、違いますけど?」

 

視界が歪む。

嗚呼、そうだったのか。

俺は、この学校から消されたんだ。

 

泣きそうになる感情を必死に抑えながら俺は上履きのまま外に飛び出した。

 

 

「悠佳ぁ!!」

 

悲しみを勝る程の怒りを顔に表し、彼女の名を叫んだ。

 

「はぁい。どぉしたのぉ?」

 

まるで映画を観終わった時のように微笑む彼女は、きっと、いや、絶対、この状況を作り上げた犯人だ。

 

「素敵だったよ。どうだった?私のサプライズは」

 

嬉々として喋る彼女に、俺は恐怖を感じた。寒気がゾゾゾッと背中を凍らせる。

 

「あぁ、最悪だったよ」

 

それを隠すように喋る。

 

「へえ、そうかぁ。フフッ、じゃぁ、これから先、もっと君にとって嫌なことが起こるだろうねぇ」

 

鉄のマスクの上からでもわかる。

この状況を楽しんでいる彼女にとって、これが始まりであり、これからが本番だということを。

 

「どういうことだ!?」

「琴里ちゃんが君のことを忘れなかったのは予想外だったよ。なんでだろう?不思議だなぁ・・・」

 

舞台の上に立たされた役者のようにその場を動き回りながら、彼女は呟いた。

 

「忘れなかった・・・?どういうことだ」

「分からなかったかい?琴里ちゃん()()が君を忘れなかったんだよ」

 

俺はそれを理解した。

理解してしまった。

謎が解けたのに、これほど絶望したのは初めてだろう。

この学校だけだと思ってた。俺を忘れたのは。

 

 

 

十香も、

 

 

 

折紙も、

 

 

 

四糸乃も、

 

 

 

耶倶矢も、

 

 

 

夕弦も、

 

 

 

美九も、

 

 

 

七罪も、

 

 

 

 

 

 

 

 

俺を、忘れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

涙の浮かぶ目を悠佳に向けるも、そこにもう悠佳はいなかった。

 

 

 

‐side 悠佳

 

私は複雑な感情で彼を屋上から見ていた。

嬉しい、けど、ちょっとかわいそう。

 

「ちょっとやりすぎちゃったかな?ここまで絶望するなんて思わなかったなぁ」

 

 

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