mother2 ギーグの逆襲   作:黒まめちこ

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 約二か月ぶりのお久しぶりです……。
 もう恒例となった文字数については作者ながら何とも言えません。
 とりあえず、後書きにて詳細を書きますので煮詰まりつつも書き上げた本編どうぞ!


動き出す思惑

 

 

 冒険に役立つとされる新技を会得する為の修行があるとパーティーから離脱したプー。

 そうして残されたのは赤い野球帽が良く似合い、ストライプ模様の服を着た少年ネス。

 金髪のショートにピンク色の服装をしたパーティーの紅一点である少女ポーラ。

 手先が器用で、金のおかっぱ頭に黒縁メガネが特徴である発明家の卵ジェフ。

 この三人が現在のパーティーの編成状況となっている。

 

 プーが離脱し、戦力が下がった事で戦闘が若干苦しくなりはしたものの、何とか彼が離脱した時点で訪れていた砂漠を乗り越え、ネス一行は次なる目的地へと進んでいった。

 

 多くの謎が未だ眠り、同じ地球上に実在しながら、人の手が加えられる事の無い『魔境』へ。

 

 魔境は国中の多くを砂地で構成され日中は猛暑、夜は極寒の国スカラビより南へ進んだ先。

 国境の代わりの様な場所として広がる広大な川を越えた先にそれはあった。

 ただし魔境周囲に近づくにつれ人が泳いで渡るには余りにもドロドロと粘着性があり、最悪足を取られて溺れ死ぬ危険性があるとされており、ネス達は知り合いの人物から潜水艦であるサブマリンを貰い、安全に川を横断していく事になった。

 

 そして、機体を動かしてから半時間程の時が過ぎた頃。

 

「ネス! ポーラ! 見つけたよ。あそこが……あの見るからに暗い場所が魔境だ」

 

 サブマリンの修理から操縦までを任されたジェフは水面から出していた潜望鏡より魔境の位置を特定すると、船内でくつろいでいた二人にそう声をかけた。

 加えて潜望鏡に映っている行き先の景色を二人に見せてみる。

 

「うわ……なんか……嫌な感じだ」

「空も暗いわね……少し前の作品とかだったら……変な生き物とかが住んでいそうな……そう、エイリアンとかが根城にしてそうな不気味な場所ね……」

 

 水上から飛び出している先端から船内へと伸びている潜望鏡をのぞき込んだ二人。

 

 その先に見える光景……そこは酷く澱んだ沼と陸。

 まるで嫌われて周囲の大陸から切り離されたかの如くそびえる地。

 空は太陽を隠すように薄気味悪い色をした暗い雲で覆われ、潜望鏡の周りにはピラニアかどうかは不明だが、何やら見た事の無いどぎつい色をした魚が泳いでいる。

 

「とりあえず停泊できる場所を一ヶ所だけ、先に見つけておいたから。そこへ向かうよ」

 

 これまで旅をしてきた土地とは、これまた別の雰囲気を醸し出す魔境の地。

 これから待ち受けるのが危険そのものと分かっていても外の景色を交代でずっと眺めているネスとポーラを脇目に、ジェフは操縦桿をきりつつ、そのまま僅かずつだが浮上を始めていく。

 そうして陸地の高低差の低く、陸に上がればすぐにでも探索を開始できる場所へと機体を動かしていくのだった。

 

 

 

 魔境。

 鬱蒼とした木々が大量に生えた深きジャングルの中にある広大な沼地。

 沼の深くで巨大な根を張り成長し、水面上では馬鹿でかくなった木々が冒険者の行く手を、さらには進む道を選ぶ自由を、権利を、やる気をも喪失させる。

 

 だがさらに恐ろしいのは『沼を泳いで行かなければ』先へは進めない点。

 

 魔境全体を侵食する様に生え並ぶ木々の間は凄まじく狭く、子供ですらまともに通れない。

 自然に逆らったような異常な生え方や伸び方をしており、木々の幹や根が互いにねじれ込み、絡みつくように生えている影響である。

 このせいで下手に木々の中を越えようとすると、蜘蛛の巣の様に足や手が挟まってしまい、身動きが取れなくなり、果ては抜け出せなくなるのだ。

 

 では正攻法とされる沼を越える方が安全かつ楽なのか?

 

「君達! なんで子供がこんな所にいるかは知らないけど。早く帰れるなら帰った方が良い! いいかい? この先、沼地へは何があっても入らない方が賢明だ。地獄だよ……ここからずっと広がる沼地は……臭いし、深い所に足を入れてしまえば、全身がその臭いに汚染される。それだけじゃない! ダメージだって受けるんだ。あんなのRPGで言う『毒沼』と同じだよ。私も何度かこの先へ進もうと試みてはいたけど、今は諦めて、ここに残った面子で毎日をすごしているのさ。おかげで毎日しんどい思いばかりさ……」

 

 けれどもその安全性はあっさりと否定された。

 

 沼地に生息する生物が近寄らない数少ない陸の部分。

 

 魔境に入って来たネス達がまず初めに腰を落ち着かせた、まだ魔境の入口と言える場所。

 そこでは魔境の謎を求めてやって来た探検者、または物好きの人間、あるいはやって来た人間達に懐き一緒に留まっている猿が数匹。

 以上の人間や生物が現在、この魔境にて生活する形で残っている。

 

「なんと!? 君達はサブマリンでここに来たのかい? やるねぇ、我々『魔境探検隊』は知り合いのヘリコプターで送ってもらったというのに……最近の子供は潜水艦も乗りこなすのか」

 

「僕達、探検隊はどこでも諦めずに探索していたんだけど、ここは今までの環境とはまた違いすぎる。恐ろしい生物はウヨウヨしてるし、何より沼を隔てての移動が困難だ。おかげで多くの者が過去に脱落し、今では私たちだけが残っている」

 

 そんな中でネス達はこれから進む地についての情報を集める為にと、目に入る人物へ手当たり次第に、聞いて回っていく。

 

「一応初めてやって来た君達に説明したんだけど、別に俺達はここに閉じ込められた訳ではないよ。例えばあそこにいる探検隊が必要な物資を送ってもらう際にヘリコプターを呼ぶんだが、その時、救助も兼ねて極少人数でも乗せてもらえるんだ。だからここに残っている連中は物好きか変わり者かまたは脛に傷あって帰るに帰れない奴らのどれかになる」

 

 話を聞いていく中で発覚した事。

 

 それはいくら魔境といえども地球という枠組みの一部に位置する。

 その為未だこの地に眠る謎の解明を諦めない探検隊の物資補給の際に来る定期のヘリ。

 他の人物によると、稀ではあるが天候のせいで遠回りを余儀なくされた漁船などがこの辺りを迂回する事もあるらしく、限られてはいるものの救われる手段はあったのである。

 

(良かった……初めはサブマリンを奪い取られるかと思った……)

 

 情報集めを完了し、そう心の奥で一息付き、安心を覚えたのはジェフだった。

 言ってしまえば劣悪な環境である『こんな場所』で、人の姿を確認した瞬間。

 脱出手段に困り果て、辛い環境で精神も疲弊しきっていると勘違いしていた彼は確実にここからの貴重な脱出手段であるサブマリンに飛びついて来ると思っていた。

 

 けれども現実はまだマシだった。

 

 誰もかれもネス達が別の地から来たからといって問いただす事も、何を使ってここまでやって来たかも、ましてや乱暴をしてでも停泊させてあるサブマリンが奪われる事も無かった。

 場に留まっている全員が一定の冷静さを持ちながら、話しかけてくる少年少女の問いに返答をしていくのであった。

 

 そうやって十にも満たない程の人間達にそれぞれ声をかけ情報を集めたネス達。

 

「やっぱり誰もかれも沼に入りたがらないせいか、この先に関する情報は無かったね」

「探検隊の人達ですら危なくてすぐに引き返しているみたいだもんね」

 ネス達は大きな切り株に腰を落ち着かせ、収集した情報の整理をしていた。

「皆モンスターを怖がって奥地へと踏み込まないせいね……それに他の人はわざわざ危険を冒してまでも奥に進む理由も無いみたいだし、自分たちの目で確かめるしかないわ」

 とは言ったものの、今回ばかりは滅多に人が寄りつかない未開の地という事もあり、役立つ情報は無きにも等しかった。

 先までの砂漠と違い、ここは太陽の光が差し込まない分厚い暗雲立ち込める空。

 ドロドロとした沼は入った者の足の動きを抑制、自由を奪い取る。

 さらに周囲を取り囲む様に伸びた木々の固まった葉が影となって進路を闇に閉ざす。

 頼まれても誰が快く通るのだ、とツッコミを入れられそうな危険漂う地帯。

 

「仕方ない……じゃあ今回は情報一切無しで行くしかないよ」

「どんなモンスターがいるか分からない分、気を抜かないようにしないといけないわね」

「よし、二人共行こう……ぼくが先頭をいくからちゃんと着いて来てね」

 

 そんな場所に命を張ってまで行って調べる道理など甚だあるはずもない。

 だからこそネス達は情報面ではキッパリと諦め、これまで体験した事が全くない沼。

 夏場に泳いでいた冷たいプールなどとは程遠く。

 快適さも泳ぎやすさも楽しさもまるで真逆の悪夢の水場。

 

「なんでおめぇらがそんな危険な場所に行こうとするのかは知らねぇが、気を付けろよ! 溺れそうになったらそこいらに浮いている丸太に掴まるんだぞ!」

「怪物に気を付けるんだよ!」

「何か珍しい物を見つけたら、また我々探検隊に教えてくれぇ!」

 

 そして決死の覚悟を決め、背後からは多くの声援を浴びながら、暗闇の中でも進めるようにピラミッドで入手した【タカの目】を目に点したネス達は、沼に入る際の体に水が纏わりつく、ズブズブと気持ちの悪い感触に身を蝕まれながら泳いで行く羽目になったのだった。

 

 

 

 

 

 過酷な環境とはいえネス達が着々と目的を達していく最中。

 一行が魔境に向かう手立てを模索し、ダンジョン男内部を探検していた頃へと物語は戻る。

 

 

 そこは巨大な地下要塞だった。

 人間があまり立ち寄らない場所という立地を隠れ蓑にし、建造された。

 ウィンターズという雪国の中でも辺境の地にあるストーンヘンジと呼ばれる石柱が円を描くように並べられた、言ってしまえば遺跡にも似た雰囲気を持つ場所。

 その中央部に開いた洞穴から降りれば蟻の巣の様に複雑に基地が広がっているのだ。

 

 そして、ここを建造した存在は……スターマン。

 

 ネス達がいずれ出会い、倒すべき存在ギーグの部隊の兵士にして、宇宙の殺し屋と多くの星々の間で恐れられている宇宙人である。

 

 

「兄上様達が来てくださるとは助かりました……我輩一人ではどうなっていた事やら」

「悪い予感があったのだ……まさか的中するとは思っていなかったがな……」

 

 

 そうして現在この会話が行われている場所は基地の最深部。

 地下深くに閉ざされた広い薄暗い一フロアの空間。

 

 部屋にあるのは、中央部に天井から伸びている太いケーブルが何十本と差し込まれ、ピピピピ、ピピピピ、と一定のリズムを刻み音が鳴っている『黒い球体』があるのみ。

 その球体を守るようにしてなのか、その場の付近にて『三名』の存在は対談をしていた。

 

「しかし、まさか兄上様に次いで『カイザー兄様』もお出でになられるとは……どうやら《今回の襲撃》は只事では済むような事では無かったようにお見受けいたします」

 

 人間の言葉をよく理解しているのか、非常に丁寧な口調で話すスターマン。

 通常、銀色または位が高い者であれば金色のボディをしている事が多いという配色で変わった特徴がある彼らだが、今言葉を発したスターマンは……。

 ……というよりはこの場にて話をしている三名の体色はいずれも全員それに該当しない。

 それは、つまり一般の兵士とは『格が違う』。

 

 通常種のスターマンなどは大きくかけ離れた存在である事を意味していた。

 

 その中で丁寧な口調で物を言う個体はピンクと白を混ぜた様なボディ。

 さらに特殊個体であるかを見せつけるように様に肩からは刺々しい装飾が伸びている。

 

「DX(ディーエックス)よ……我が優秀な『三男』であるお前に伝えねばならぬ」

 

 名をDXスターマンと呼ばれる存在。

 場にいる中では末っ子なのか三男とされる人物は、話を続ける『長男』の言葉に耳を傾けつつ静かに視線だけを動かし、残りの部分に聞き耳を立てる。

 

「コレハ、トテモ重要ナ話ダ……オチツイテヨク聞イテクレ」

 

 続いてDXスターマンの兄の一人とされ、青色の体にビロードマントを羽織った『カイザースターマン』も黙って発言者の話を聞くように促す。

 

「予言の子供の話だ。奴らはついに『我々のスパイ』と接触し、さらに幹部であったドームク・リーダー、マニマニの悪魔までも退け、こちらへ向かっている。スパイの追跡をしているのか、『我々の本拠地』へと繋がる場所まで近づきつつあるのだ……」

 

 そうして凛とした態度で深みのある声で口を開いていた人物。

 

 彼こそは場にいる三種のスターマンの中……。

 

 いや、『ギーグ軍最強の存在』であり、優秀な二人の弟を従える者。

 

 その者の名は『キング・スターマン』

 

 不気味や恐ろしさを漂わせる黒みを帯びた体に独特の紋章が描かれた禍々しい姿。

 さらに頭部からは角らしきものが突出しており、色だけでは無い。

 姿形からさえ全てのスターマンからすれば異色を放つ存在である。

 

 現在ギーグ軍はこの三兄弟。

 

 三兄弟随一の知能と技術を持つ三男DXスターマン。

 口調はカタコトではあるが、武力知力の両方を兼ね備えた次男、カイザースターマン。

 そしてギーグの右腕とされ、同軍の中でさえその強さに恐れを抱く者も少なくないとされる程の凄まじい強さを持ち、尚且つ二人の長男であるキング・スターマン。

 以上の三名が現在のギーグ軍をまとめ上げ、司令塔として動いているのだ。

 

「……。キング兄様……情報は得ておりましたが、やはり本当だったのですね……なんとも末恐ろしい子供たちです。我々スターマン、いえ指揮官である筈の我ら兄妹が人間と言う存在を甘く見過ぎていた結果と言うべきなのでしょうか……」

 

 DXの声や表情に驚きは無かった。

 初めに軍全体を驚かせ瞬く間に広がった報告内容、それはゲップーの敗北について。

 素行も評判も良いとはいえず、何より度を越えた下品さもあり一部の兵士たちの間では疎んじられてはいたが、そのとんでもない耐久度や敵と認識した相手を徹底的に叩き潰す姿勢と強さから一目置かれていた怪物。

 流石にこの報告については誰もかれもが驚きの幅こそ有りはしたものの、皆が皆、まだまだ幼き子供数人を相手にして白星を上げてくるなどという彼の敗北に耳を、目を疑った。

 

 けれども、その結果にネス達にはある程度の成長予想を付けていたのか今回は驚かなかった。

 

「ブンブーンがリーダーのネスと言う少年に何を吹き込んだのかは確認出来ぬが、奴は地球の『何か』を調べていたのは確かだ。いくら人間といえども成長には限界がある。だが奴らはどんどんとその成長の壁を越えていっている。現に砂漠に待機させておいた偵察機やロボが破壊されているのだ。一体……奴らはどこで力を蓄えているのだ……」

 

 だが、彼らは予想を立てるにしろ、ある重大な事実を見逃していた。

 自分たちの大将を討ち取る為の力を得る場所について。

 ネス達が旅の目的として大きく掲げている場所を。

 

「軍ノ中デモ特二『マニマニの悪魔』ハ、DXガ手ガケ作ッタ物デス。ソンジョソコラノ、ロボ等トハ比べ物二ナリマセン。以前二武器ヲ少シ交エタカラコソ分カリマス。恐ラク今デハアノ時ノ『弱カッタ筈』ノ子供トハマルデ別人トモ呼べルデショウ。最早奴ラハ我々ノ脅威二ナッテイルノデス」

 

 かつて地球に潜伏していたスターマンの中で最強と謳われていたカイザースターマンでさえ、まだネスとポーラが出会い冒険を共にし始めた頃に奇襲を仕掛け、圧倒的優位に立っていた彼でさえ、現状ではここまで言わしめる位までにネス達一行は成長していたのだ。

 その裏には『音の場所』というパワースポットの存在が大きく関わっているなど知らずに。

 

「カイザー……お前がそんな事を口にするとは珍しい。だがそれは正しいのだ。地球の言葉で成長の可能性を潰す意味で『芽を摘む』という言葉があるそうだが、奴らは今や芽など可愛いものでは無い。このまま捨て置けば、いずれ大きな脅威となろう。最早子供という名称に踊らされるな。一切の油断は許されん」

 

 いつもは決して弱みを見せない次男の意外な発言にキングはそう言葉を付け加えた。

 すると、キングは傍らにある黒い球体。

 こうして真剣な話をしている最中でもピピピと稼働音を場に響かせる装置へと目をやると、

「DX、お前を信用していないという訳ではないが、開発者であるお前が一番分かっているな。この『制御装置が停止、または破壊』されればどうなるか……」

 彼らにとって相当重要な役割を担っているのだろうか。

 配線を伝って天井からぶら下がっている球体へと手を当てながら、彼は末っ子に向けて冷たくそう警告を促す。

「分かっております、キング兄様……。これは我輩が開発した物です。故に理解しております。これが失われれば我が軍は……いえ、軍だけではありません。ギーグ様にまで影響が……」

 

 自身の肩にかかっている重圧、プレッシャーを再認識させる様なキングの言葉に表情等からは読み取る事は出来ないが、微かな声の震えから受けている恐怖の片鱗を感じられる。

 すると、その返事を聞くと、キングは球体に当てていた手を離し発言する。

 

「よいか、人間を侮るな。特に勇気という感情を抱いた者ほど面倒な敵はいない。かつて私がギーグ様の命で他の星へと偵察へ向かっていた時だ。カイザー、お前が付いていながらギーグ様は人間に敗北し地球から退いてきたな。まさにその時だ。我らは人間の底力に敗北した。だからこそお前の率いていた『ブルースターマン』達は壊滅した。今では『お前しか』青い体をする者はおらんからな」

 

 幸か不幸かは不明ではあるが、過去にギーグが地球へ現れ、敗北するまでの際。

 キングとDXはそれぞれの任についていた事で地球の侵攻に加わっていなかった。

 もしかすればこの二名が侵攻軍の中に入っていれば地球の運命は変わっていたかもしれない。

 キングはその事について悔やみつつ、こうして今厳しい言葉を次男へと向ける。

 

「無論、私にも責はある。代理として地球征服の命を下しておいた直属の部下のラストスターマン達の多くを失った。今の残された奴らの士気の下がり様は酷いものだ。それもこれも我々が地球の生物を軽く見ていたせいだ。奴らは団結すれば凄まじい力を発揮する。そう……【つい、さっきまでの者達】の様にな……犠牲者も多く出しつつ、何とか捕獲できたが、その牙をへし折るまでに時間もかかった」

 

 キングは話しつつ、視線をこの部屋の唯一の出入口であるドアに何度かやると、一軍を率いる将として冷静かつ敵の脅威を把握し、弟たちに人間の持つ精神の爆発力の危険性を伝える。

 本気になった時のこちらの予想を遥かに上回る成長性、進化を警戒しているのだ。

 

「戦いとは単純なものだ。『勝利』『敗北』この二つしかない。もしも『あの時こうしていれば』などという戯言は負け犬が発する世迷言だ。勝つか負けるか、食うか食われるか、生きるか死ぬか、互いの存在を賭けているのだ。恐らくギーグ様が敗北をしたのはそこの認識を誤る事の無い強い人間だった。【私も武器を交えたが、あいつらは手強かっただろう?】」

 

 彼が二人に向けたこの疑問の意味。

 

 

「…………」

「…………」

 

 

 すると二人は即座に彼の意図をくみ取ったのか、キングの見ていた方向。

 つまりは、ドアの方へと視線を傾ける。

 ではなぜ、かつて『地球には潜伏をしていなかったキング』が地球人と戦ったような経験を今こうして弟たちの前で語っているのか。

 その訳とは……。

 

 

「だが、ここで決着を付けられたのは好都合ではあったな……まさか『かつての仇敵達』が首を揃えて、この巨大基地に乗りこんでこようとはな……。おかげで探す手間が省けたというものだ。我らがこの地に分散させた支部が潰され、資料まで持ち出されていたのは驚きだったが、まあ、それも過ぎた事だ。失った同胞には悪いが、事は上手く運んだ」

 

 

 襲撃者たちと直に会い見えたからだった。

 そう……彼の言う『仇敵』とは勿論ギーグを打ち負かしたメンバーと。

 それはリーダーであった『ニンテン』を筆頭に、『アナ』『テディ』『ロイド』の四名。

 残念ながら、巨大基地の制圧を目的としていた彼らの目論見は潰え『させられた』。

 彼らもこの基地に運悪くギーグ軍の最高戦力が集まっていたとは思わなかっただろう。

 対峙してしまったのはこれまで一方的に戦えてきたスターマン達とは別格の実力者達。

 基地全体を巻き込む形での激闘の果てに全員捕獲されてしまったのだ。

 

「DX、地上に出てあの研究者……ロイドという人物が生活していた研究所へ、今の後処理が済み次第人員を送れ。以前に何やら怪しげな装置を開発しているという情報を耳にしたからな。念のために研究所は破壊せずに、その設計図のみを持ち帰れ。もしも中に人がいた場合は捕まえて培養液の中に閉じ込めて構わん。今は『生きた人間のサンプル』は欲しい」

 

 扉の向こうにある培養器の中に捕えた四人の方向から視線を戻すと、キングは三男にそう重大な命令を下した。

 

「はっ! 了解いたしました。基地内部が落ち着き次第、直ちに実行に移ります」

 

 対してこの巨大基地の管轄を任され、加えて黒球の装置の制御をも担うDX。

 彼はまるで『王』の命に従う様に場に跪き、しかとその耳で任務を聞き届けた。

 

「…………。よし、くれぐれも油断はするな。異常事態は常に起こりうると思え。冷静にだ、冷静に対処すればよい。お前程の智略家であれば言わずとも分かるだろう。すまぬが、私は一度用事で『拠点』に戻る。カイザーにも他の任がある。だからまた一人で指揮を頼むぞ、DX」

 

 他者を寄せ付けない力を持ち、覇者として君臨するキング。

 次男のカイザーと同じく信頼しているDXにそう告げると、彼はここから姿を消した。

 ただ前に凛と立っているだけで重々しいプレッシャーを与え、場の空気を冷たくするまでの圧倒的な存在感を放っていた王がいなくなり、それに続くかの如く。

 

「兄上様ノ仰ラレタママダ。頼ムゾ、DX。ナニ、オマエ程ノ強サガアレバ大丈夫ダ。我々ハ今回コソ勝ツノダ。ソノ為ニモ、コノ基地ハ落トサレルワケニハイカヌ。デハ、サラバダ。マタ会オウ。私モ任務ガ済ミ次第……『大逆襲』ノ準備ガ終ワリ次第戻ッテ来ル」

 

 皇帝の様に誇り高き者である事を示す赤いビロードマントに身を包むと、カイザースターマンもその場からテレポートで基地から消え去った。

 こうしてネス達の目の届かぬところで敵も動き出していたのだ。

 今までは部下たちに一任をしていたが、少年達の思わぬ成長で戦況が悪化。

 それを見兼ね、ついに重い腰をあげて本格的に動き出した『怪物』三名。

 過去にギーグを倒した者たちですら力が及ばずに捕えられてしまったこの強敵、猛者達にネス達はどう立ち向かうのであろうか……。

 

 

 

 

 

 そして冒険の背後で敵の思惑が進行していた中で物語は今に戻る。

 途中で何度も消耗した体力を取り戻す為に休息を取りつつ、魔境の沼を泳いで進んだネス達。

 予想以上に体の自由を奪われ、一搔き、また一搔きするだけで大きな疲労感に襲われる沼。

 さらに自然に淘汰された動物の亡骸が沈み、そこから放たれる異臭は勿論、長時間泳ぎ続けるといった今まで経験した事の無い苦痛も合いまった影響で時間を要しながら進んでいった。

 時には深さが段違いの場所もあり、特に運動するタイプでは無いインドア派のジェフが時折溺れかけては、それを助ける為にネスとポーラが必死で動きまわりさらに疲労を溜める。

 酷い時は次に休憩できる陸地が無く、全員の体力が限界を迎えそうになった場合。

 その際は前に休憩した場所までわざわざ戻るという手間もかけている。

 最早これだけでも少年達の心を折るには充分な要素で溢れかえっているにも関わらず……。

 

「ポーラ! ジェフ! 敵だ! 武器を構えて!」

 

 まさに泣きっ面に蜂、踏んだり蹴ったり。

 劣悪な自然の環境に乗っかるように魔境に生息する生物が襲い掛かってくるのだ。

 

 不気味な赤い目をし、ヌメり気のある長い体をした帯電生物『でんきウナーギ』

 とんでもなく臭い体臭とは裏腹に美しく真っ赤な花に擬態したモンスター『おにラフレシア』

 人の様に尾ひれで直立し、人工的な鋭い槍を片手に仲間と連携を取る、まるで人間の狩りを観察し学び、進化した様な歩行生物『サカナにんげん』と体色が違う『サカナにんげん・兄』

 他にも魔境の木々に毒素が宿り生き物として動き出し、葉が毒々しい紫色に変色した木の怪物『こんじょうウッド―』、元よりこの沼地を縄張りとし、他の生物をその怪力で圧倒し捕食する狂暴性に満ちた赤色のワニ『キツイわに』など、これまでにネス達が遭遇した事の無い厳しい環境ならではの独特の進化を遂げた幾つものモンスターが行く手を阻んできたのである。

 流石に遭遇する敵が強くなっている一方で、こちらはプーがパーティーから一時的に離脱し、戦力が削がれている以上、戦闘は当然辛いものとなっている。

 

 恐らく、溺れてしまうというジェフの疲労の原因も戦闘面に大きく関わっているのだろう。

 戦う場所も水中を泳いで襲ってくる敵に関しては、陸地が近い時は一旦逃げつつ、自分たちがまだ足を付けて戦いやすい陸上へとおびき出し戦うが、最悪の時は敵の独壇場でもある沼内で武器を振り回す、またはネスとポーラのPSIで攻撃を仕掛ける。

 

「ゼェゼェ……ごめん、ネス。また休憩してもいいかい……本当にごめんよ」

「ハアハア……気にしなくてもいいさ、ジェフ。誰一人置いていかないから、絶対に三人でここを突破するんだ。ポーラも辛くなったら、すぐに言って……ゲホ……ゲホ」

「ネスも同じよ……無理しないで」

 

 彼らのここまでの冒険。

 町、洞窟、砂漠、雪国。

 それが今まで彼らが敵と戦ってきた場所だった。

 けれどもこれらはいずれも『両足を陸に付けて』の戦いばかりであった。

 だが、今回の戦地は根本から違う。

 暑さこそ厳しいが、飲み物さえ用意出来れば気力で何とかなった砂漠ですら今の三人に取って可愛く見える程の魔境という土地。

 進むだけですら酷い疲労感に見舞われるにも拘らず、その中での戦闘。

 探検隊の大人でも奥に進む事を思わず躊躇うまでの過酷さ。

 

「うっ、ぐっ……ごめん、先にぼくがダメみたいだ……ゴボゴボ」

 

 少しでも気力体力の減りが著しい戦闘の長期化、連戦になれば誰かが疲弊し気絶しかける。

 

「ネス!? しっかりして!」

「ポーラ! すぐにネスの肩を支えて! そのままだと溺れて沈んじゃうよ! 今は周りに敵もいない、あそこの広い陸まで連れて行って休ませるんだ!」

 

 そうやって先陣をきって無理をしてまで敵にPKキアイを連発し続けたネス。

 ついにリーダーである彼でさえ顔色を悪くし、限界を迎える。

 

「大丈夫さ……ネス。気をしっかり持つんだ」

「顔色が真っ青よ。少しだけあそこで眠って。私たちが見張っているから」

 

 残っていたポーラとジェフがそれぞれ左右の肩を支えて、敵を排除し安全を確保した広々とした空間へと泳ぎ連れて行ったのだった。

 

 

 

 

「僕はこの辺りを少しだけ調べてくる。ポーラ、ネスを頼んだよ」

 ネスは冷たい地面の感触を感じながら仰向けに転んでいた。

「一人で大丈夫?」

 よほど疲れたのか、体を動かさずにただ仲間の会話を聞く。

「任せてくれ、いざとなったら得意の逃げ足で戻って来るからさ」

「じゃあ、お願い。ネスが起きたら一緒に行くわ」

 彼は意識が薄れ眠りかけている自分の傍に付いてくれているポーラの姿を認識する。

 さらに仲間たちが無事に陸地にたどり着く事が出来た事にも安堵する。

「さあ、ネス。少し寝苦しいかもしれないけど、眠って。貴方がもし倒れてしまったら、私たちは誰の背中を追えばいいか分からなくなっちゃうわ。今は私たちが守るから、安心して」

「分かった……ありがとう……」

 疲労と眠気に襲われた彼はポーラの優しい言葉に癒され、まるで自分のベッドで安眠するかの様に彼女の膝枕を借りる形で静かに目を閉じていき、さっきまで切れていた息も安定し、段々と心地よい感覚に体中が包まれて、そのまま眠った。

 

 

 

 

 

 いつもとは逆。

 仲間たちを守る自分が仲間たちに守られるという逆の状態で、ネスは『変わった夢』を見た。

 断片的ではあったが、それは記憶の中にある過去が蘇ったものだった。

 

【今日からお前は俺の友達だ。頼りにしてるぜ】

【ネス! 今日、俺な算数のテストで満点だったんだぜ! クラスの皆は誰も満点なんて取れなかったみたいだけど、やっぱり俺は天才だぜ! そう思うだろ? そう思ってくれよな】

 

 夢の中のネスは、自分が立っている暗闇の中で、宙に浮き、漂っているそれぞれの映像が籠った欠片を手に取って、中身を見ている様な奇妙な感覚を味わっていた。

 手に乗る様な大きさの映像が込められた透明な欠片。

 その記憶の破片らしき物に触れると、中にある記憶が脳裏に蘇る。

 

(ここにあるのは……全部……『ポーキーとの』記憶だ……)

 

 空間に浮かぶ幾つかの欠片を見ながらネスはそう告げた。

 そして次々と彼は腕を伸ばし、過去の記憶を再度確認していく。

 例えば、触れた欠片に映っていたのは野球をしている映像。

 

【よし! ホームラン予告をしてやるぜ。ネス! 思いっきりかっ飛ばして今日はボール探しで家に帰れない様にしてやるぜ! ハハハハハ】

 

 欠片を触れたネスの頭の中に浮かんだのはポーキーが意気込んでバットを構える様子。

 そうやって直後にネスの手加減した投球で、ものの見事にホームランを決めてしまい、結局二人でオネットの外れの林の中へ飛んでいったボールを探しに行く場面までが浮かんだ。

 

(結局、ボールを日暮れまで探したっけ。懐かしいなあ)

 

 感傷に浸りながらも、彼は記憶の断片に触れていく。

 ポーキーがオネットに越してきてからの記憶に……。

 

【ネス! 今日ヒマか? 何処かでイタズラしに行こうぜ!】

【なあ、ネス。明日ウチの親とピッキーが用事で家に帰ってこないみたいなんだ。だからおばさんに泊めてもらえるか聞いてもらえないか? 無理ならいいんだ。あんな広い家で一人はつまらないからさ。たまには『下々』の家で遊ぶのもいいかな……なんてな】

【ネス、今日はハンバーガーを食べに行こうぜ! 実は親から子遣いをたんまり貰ったからさ。おごってやるよ。ほら『子分の面倒を見る』のも親分の仕事だろ? なんだよ、その顔は………えっ? お金は大切にしろって? これが俺の使い道なのさ。さあ食いに行こうぜ】

 

(どれもこれも懐かしいや……そうだポーキーが引っ越して来た当初は凄い楽しかった)

 

 触れていけばどんどんと蘇ってくる記憶。

 過去に経験した楽しい記憶が終わる事なく映し出される。

 だが……しかし……。

 

(なんだろう……あれだけ……不気味な色をしている)

 

 ネスが触れてきた思い出の欠片は蘇った後に消えていった。

 手で触り回想すれば一つ、また一つと消えていく中で『最後に』空間に残った物。

 ここまで触れて来たものはガラスの様に透き通った美しい輝きを内に秘めていた。

 そして手で触ったと同時に輝きが放出され、映像が頭に入り込む。

 ところが……『それ』だけは違っていた。

 美しい輝きなど全くなく、中身が血の様に深い赤色に澱み、周囲を紫色のオーラを纏っている火を見るよりも明らかに異色で異質な欠片。

 

(怖い……あれだけは触るのがとても怖い……なんで? どうして?)

 

 ついさっきまで楽しそうに記憶に触れていた彼の手はそこで完全に止まった。

 それどころか、その手は怯えるようにガタガタと震えていた。

『その記憶を見たくない。出来れば目をそむけたい』とまで心の何処かで思うように。

 けれども、自分の夢の中とは言え拒絶する事は許されなかった。

 

(なんだ!? 欠片が勝手に!?)

 

 なんと、恐ろしさが漂う欠片は自ら意思を持つように彼に接近してきたのだ。

 さらに付け加えるなら、ネスの体は金縛りにでもあったように動けなかった。

 ただ為すがままに欠片に触れざるを得なかったのだ。

 そうして指先に異様な冷たさを感じ取った瞬間だった。

 

【ネス! ネス! 頼む! 助けてくれ!】

(うぐっ!? そうだ……これは、やっぱり『あの時』の記憶だ!)

 

 そう……彼の意識の中に保存されていたのは楽しい記憶だけでは無かった。

 彼を襲ったのは夢が一瞬で悪夢に変わる程の強烈な悪夢だった。

 自分に助けを求める声が鳴り響く中でネスはその邪悪な欠片の夢を思い出すのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!?」

 見たのはかなりの悪夢だったのだろうか……。

 思わず声を出して、ネスは閉じていた目を開いたのだ。

 眠る時こそ心地よかったが、寝起きは最悪。

 

「ネス、大丈夫? 途中からうなされてたみたいだけど」

 

 少女の膝枕の上で汗を掻き、息切れを起こしていたネス。

 彼の睡眠中の様子をずっと見ていたポーラは突如苦しそうにしていた彼の身を案ずるようにそんな気遣いの言葉を口にした。

 

「…………大丈夫さ。大丈夫だから……」

 

 ネスは膝枕から起き上がり、額を押さえるようにして場に座り込む。

 睡眠で回復するつもりが逆に疲れ果ててしまったのか僅かの間、ハア、ハアと何度か一定で荒い呼吸をし、不安定だった気持ちを落ち着かせていた。

 そうやって暫くの間、気分が優れないネスと、彼を心配しつつも何か元気を与えられる手段を思いつかないポーラは、お互い特に言葉を交わすことなく、魔境の中に吹く冷たい風に身を当て、今いる陸地の奥へと探索に向かったジェフの帰りを待つのだった。

 

 すると……それから数分が経過した頃、戻って来た。

 

「おーい! 二人共一緒に来てくれ! この先に『とんでもない物』を見つけたんだ」

 

 木の間を抜けて慌てるようにしてこちらへ走ってくるジェフが二人と合流した。

 まるで敵に遭遇でもしたのか飛ぶように走り帰ってくると、結果を報告する前に突然仲間を急かすようにして自分の後を追うように指示するのだった。

 

 

 

 

 

「ねぇ、これって……もしかして」

「そんな……どうして」

 

 何かを発見したというジェフの背を追う様にして現場へと直行したネスとポーラ。

 待機していた場所からほんの僅かな距離。

 道中モンスターにも遭遇する事の無い殆ど直線状に進んだ先。

 周囲を木々で覆われ、まるで隠れ家でもありそうなひっそりと存在した陸の空間。

 そこには『ある物体』が置かれていた。

 

 いや【落ちていた】といった方が良いのだろうか。

「ネス……これ……君の友達の……だよね?」

 

 なんとヘリコプターだった。

 三人の目に映ったのは墜落したと思しき四人乗りの黄色のヘリコプター。

 さらに言ってしまえば、それは見覚えのある物だったのだ。

 そう、フォーサイドにて悪友ポーキーが強奪した物と瓜二つ。

「酷い壊れ方だよ……直そうと思えば直せるけど、エンジンが無くなっているんだ……」

 しかし、ヘリは以前見た時の影も無く、酷い損傷を受けていた。

 機体を飛ばす為に回転するプロペラは砕け、場に破片が四散。

 本体も地面に直撃した衝撃からかぐちゃぐちゃに潰れてしまっている。

 だが……救いとでも言うのだろうか。

 少なくともネスにとっては。

 

「こういうべきなのが正解なのか分からないけど一応安心してくれ。この墜落現場の何処にも『血』も『彼の姿』も何処にも無かった。だから行方は分からないけど、生きてるよ。君の友達ポーキーは絶対に生きているさ!」

 

 へこんだ機体の中には誰も乗っていなかったのだ。

 ジェフはそうした無人ヘリの残骸を見て、唖然としているネスにそう告げた。

 もしここに『彼』の亡骸でもあったなら、恐らくネスは今頃……。

 

(良かった……本当に良かった……)

 

 仲間の報告を受け、尚且つ自分の目でも確認した彼は心の中でひたすら安堵する。

 それこそ泣き出してしまいそうな程に心の奥底から安心という安らぎがこみ上げてくる。

 先に見た夢が何か不吉の暗示だったのではと思っていたが、その不安は払拭された。

 

(ありがとう……ジェフ。ポーキーが生きてくれている事だけでも分かれば満足さ。ぼくは必ずポーキーを説得するんだ。それで絶対に昔の仲がとても良かった関係に戻さなくてはならないんだ。それがぼくの『責任』だから。それが……ぼくの『過ち』だから……)

 

 どうして動力のエンジンを抜いているのか。

 そもそも周囲の地面には足跡すら無く、ポーキーはどうやって魔境から消えたのか。

 幾つかの疑問点が残りはしていたが、答えを知る本人がここにはいない。

 

「二人共、ありがとう。眠ったおかげで体力も回復出来たし、ポーキーの事なら一応心配だけど、きっと無事さ。だから今度は僕が見張るから、二人共休憩して。それで全員が万全の状態になったらこの先へ進もう」

 

 気にならないといえば嘘にはなるが、ポーキーについての足取りについての手掛かりが無くなってしまった以上、ネスは足を止める事無く前進の選択肢を選んだ。

 どの道、魔境のど真ん中で留まっていても何も得られるものなどない。

「分かった、ネス。じゃあ僕も少し寝かせてもらうね」

「貴方まで寝ちゃダメよ、ネス」

 ネスに至っては悪夢からの起きたてで慌ただしくはあったが、何とか落ち着いた一行。

 襲い来る野生生物もこの陸地周囲にはあまり寄らないのか、彼らは腰を落ち着かせる。

 蓄積されていた疲れの全てを癒し、次に生かせるべく少しの時間の間休む事にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 立ち寄りこそしないものの、遠くで生物の鳴き声が聞こえる魔境の中。

 一時間程の長い休憩を挟んだ後にネス達は冒険を再開する。

 僅かながらだが、体の方も環境に適応してきたのか沼を泳ぐ速度も上がり、

「皆! 今度はぼくがPKフラッシュで敵の足を止めるから、急いで陸へ!」

 この過酷な環境で戦闘経験も重ねていったおかげか、戦い方も掴み始め、入り始めの頃とは見違えるような手際で三人は立ち塞がるモンスター達と戦っていった。

 気力の消耗が少なく、目くらまし以外にも運が良ければその強烈な閃光で敵の意識を奪い去り、気絶へと追い込めるネスのPKフラッシュ。

 加えて威力こそ技の中では低いが、こちらも消耗を押さえ命中こそさせれば身を凍り付かせ、敵の動きを鈍く出来るポーラのPKフリーズα。

 そしてジェフはヘリの残骸等を利用し、命中させれば餅のように粘り気のある物質が対象の体に纏わりつき、動きを止めてしまう『ねばねばマシン』という発明品を活用。

 

 とにかく自分たちが有利に立てる陸へと敵をおびき出す事に専念し、戦いを乗り越え、ひたすら先へと泳ぎ進んでいった。

 そうして知恵と経験を活用し、何とかこの地を突破できそうと意気込み始めた一行。

 実際に彼らは阻むモンスター達を賢く、上手く撃退していった。

 ゆっくりではあったものの着実に敵を倒したネス達は沼を泳ぎ進んでいく。

 そんな彼らの健闘ぶりを称えてなのか、ついに三人は知りうる限りでは誰も踏破出来なかった魔境の最奥部へと進んでいくのだった。

 

 

「ネス……あれって多分ヤバい奴よね……」

 

 

 ところが……ひとつだけ。

 

 

「ゴクリ……さっきまで戦っていた同類モンスターの3倍くらいはあるね……」

 

 

 もうすぐ目的地にたどり着けると思っていた冒険者の前に問題が生じていた。

 それはまさにサッカーで言う『ゴールキーパー』の様に立ち塞がっていた……。

 魔境の最奥部……そこはテントを幾つも張ってキャンプでも出来そうな広々とした陸地。

 その奥にそびえる土の壁には何処かへと繋がっているであろう洞窟の入口がある場所。

 そして、この陸地部分に『それ』はいた。

 

「グゥゥゥゥ、グゥゥゥゥ、グゥゥゥゥ……」

 

 唸り声をあげて、自らのテリトリーに侵入してきた子供を赤い目で睨みつけている。

 生え揃った鋭い牙を光らせ、長く大きい巨体をズルズルと地面を這うように動く大型生物。

 全身にぬめり気のある体をし、明確な敵意を持って近付いてくる相手に対しネスは。

 

「ポーラ! ジェフ! どうやら戦わないといけないみたいだ! 残っている力で倒そう!」

 

 手を抜けば逆にやられると即座に判断し、この陸地を陣取ればどの道休憩も出来ると考えた彼は仲間に向かってそう指示を下した。

 

「グシャアアアアア!」

 対して『ヌシ』ともいえる程の存在感を放つ敵。

 まるで大蛇の様な太く逞しい体でこの地を好き勝手に、我が物顔で動き回れる強者。

 刃向う者は自身の体に蓄えてある『雷』で徹底的に撃滅していく魔境のヌシ。

 

「戦い方は【あのモンスター】と同じでいこう! ポーラはPKフリーズ、ジェフは銃でサポート、ぼくはPKキアイで攻撃していく! 全部出しきる気で戦うんだ!」

 

 その名は『キョ―レツでんきウナーギ』

 そう、出会ったのは三人がこの魔境で何度か遭遇し戦った、でんきウナーギの首領。

 体の大きさこそ桁違いだったが、行く手を阻んできた以上悠長な事は言っていられない。

 

「前と同じでフランクリンバッジを持っているぼくが囮になる。二人は隙を見て攻撃を頼むよ」

 

 ネスは二人にそう指示を下すと、雷による攻撃を反射するフランクリンバッジを持っている事で敵の攻撃を受け負うつもりで一歩前に出ていく。

 

「分かったわ! 体力には気を付けてね!」

「長期戦になればこっちが不利だ! 一気に倒そう!」

 

 続いてキョ―レツでんきウナーギの元へ突っ込んでいったリーダーとは違い、二人は敵の巨体の裏側に回り込む様にすぐさま移動していく。

 対して敵側は巨躯故に体を巻いて眠っていた状態からの急な移動は苦手なのだろうか。

 子供の素早い行動にあっさりと周囲を囲まれる形となりはしたが、

「シュウゥゥゥゥゥ……」

 他の生物が見れば恐怖し金縛りに遭うような鋭い睨みを利かせつつ警戒態勢に入ると、ネスの持つフランクリンバッジという特殊なアイテムなど知りもしないウナーギは帯電を始める。

 

「ジジジジジ……シュウウウウウ……」

 

 バチバチ! バチバチ! バチバチ!

 そんな何かが弾けていく様な音をあげ、青白い閃光を放つ雷を纏っていく。

 バチバチ、バチバチ、バチバチ!

 ギラリとした輝きを持つ鱗の表面を覆うように下位種とは明らかに違う強い力を持つ雷。

 

(ゴクリ……生身でもしあんなの当たれば、丸焦げにされる……)

 

 囮になったとはいえ目測の段階ですら、敵の放つであろう雷の威力を考えるだけで自然と体表の毛が逆立ち、鳥肌が立ってしまっているネス。

 この魔境を支配するのにどれ程の邪魔者たちを雷で黒焦げにして葬ってきたのか彼らには皆目検討すらつかなかったが、バッジを持ち安全である筈の彼ですらそう戦慄を覚える程。

 

「グガァァァァァァァァ!」

 

「さあ……皆、来るよ!」

 

 そして……敵の『充電』が終わった瞬間。

 おぞましく生え揃った無数の牙を向け巨大な口を開き襲い掛かってきた!

 すかさず、ネス達も即座に武器を構え敵の動向を伺い対策を立てようと動きだす。

 子供三人VS巨大生物。

 今回も苦戦は免れないだろう……そう一行が認識する。

 

 その筈だった……。

 

 だが……『異常』とも呼べる変化が戦場で起こる。

 

 

「皆! 待たせたな!」

 

 

「「「えっ!?」」」

 

 今まさに戦闘の火蓋が切って落とされたこの刹那。

 その声は上空から三人の耳へと届く。

 思いきり聞き覚えのある、ハッキリとした芯のある強い声。

 それでいて、ついこの間まで共に冒険をしていた人物の声だった。

 

 

「「「お、お帰り!」」」

 

 

 敵の初撃を上手く躱し、僅かな隙が生まれた時。

 

 三人は雲に覆われた空を見上げると、べんぱつ頭が特徴の少年を視認する。

 

 僅かな時間の別れだったとはいえ、懐かしさを覚える程。

 そう、修行のせいか少し汚れてはいたが、白い道着を身に纏い空中を落下するのは強力な技を会得する為に一時離脱していたプーだった。

 

 さらに……おまけとして彼の背後からは『とんでもないもの』まで落ちてきていた。

 

 

「いきなりで悪いが、今すぐ『避けてくれ』! その魔物を一瞬で退治できる技だ!」

 

 

 彼の発言の直後だった。

 

「うわ!?」

「嘘でしょ!?」

「二人共! すぐに巨大ウナーギから離れるんだ!」

 

 三人は彼の姿を確認しつつ、その言葉の意味を即座に悟った。

 空を切り降りてくるプーの背中を追うように共に落下してくる物。

 それは『星の形を為したエネルギーの塊』だった。

 幾つもの星型の弾が戦場へ降り注がんと高速で落ちてきていたのだ。

 

「ジジジ?」

 

 目の前の侵入者たちが慌てて逃げていく中。

 そんな明らかな異変にやっと勘付いた首領ウナーギ。

 けれども遅すぎた。

 ただでさえ鈍重で巨大な体をしていたそれは天から高速で降り注ぐ技から逃れる術を持ち合わせていないどころか、例え気付いても即座に移動できない。

 

「喰らえ! なんかよく分からない巨大生物! 俺の必殺技の初めての試し打ちはお前だ!」

 

 最早技を受ける以外の選択肢を失ってしまった巨大ウナーギめがけて、プーは地面に着地したのと同時に、自分が放った星型弾を雨の様に落としまくった。

 ヒュルルルルルル! ヒュルルルル! ヒュルルルル! 

 そんな独特の音をあげ敵の体へと落下していく星達。

 そうしてこの技は単に星を落とすには飽き足らず。

 ボゴン! ボゴン! ボゴン! ボゴン! ボゴン! ボゴン! ボゴン!

 なんと、着弾と同時に花火のような爆発も伴うのだ。

 連続的に爆発が巻き起こり、何度も何度も敵の身を焦がしてはダメージを与える。

 

「グギギャシャァァァ!?」

 

 数発にも及ぶ爆発星の凄まじい威力に悶絶するキョ―レツでんきウナーギ。

 これまで味わった事の無い、自然界ではありえない技の猛攻を受けて、魔境の覇者は沈んだ。

 まだまともに武器を交えもせずに余りに呆気なかったが、こうして一行は魔境を踏破する事に成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

「星を落とす技の名は『PKスターストーム』っていうそうだ。俺はこの技を会得後すぐに修行を終えて、仙人様の力でお前達の気を辿ってもらって移動させてもらった。どうやら丁度いいタイミングだったみたいだな」

 戦闘終了後。

 一行は魔境の最奥部にある洞窟へはすぐに入らず、キョ―レツでんきウナーギがいなくなった広い陸地にて休憩を取っていた。

 ついでにプーの修行話、または彼が離れてからの自分たちの動きについて。

 両者ともにちょっとした体験談を基に少しの時間の間くつろいでいたのだった。

「でも思っていた以上にプーが早く帰ってきてくれて嬉しかったよ。敵もどんどん手強くなってきているから、やっぱり一人でも欠けると辛いからね」

 仲間の帰還に安堵するネスはそう口にすると、

「さあて、皆。体力も回復したよね。早くこの場所とおさらばして洞窟の奥に向かおう」

 

 のんびりと話をしたいという気持ちが無いわけではないが、場所が場所。

 家の中でお泊り会をしている状況では無く、今はあくまで先に進む事が優先。

 彼は会話をそこで断ち切ると、立ちあがって仲間たちの指揮を取るべく動き出す。

 それにつられて、他の三人も。

 

「これで、やっと沼とも離れられるのか……なんど溺れそうになったか」

「嬉しい事この上ないわ」

「よし、早く進む事にしよう」

 

 次々と腰を起こし、土の壁に大きく口を開いている洞窟へと進路を切り替えていった。

 と、一行が新たな目的地めがけて足を動かしたその時だった。

 

 

 プルル……プルル……プルル……プルル……。

 

 

 電話のコール音が場に鳴り響いたのだった。

「うん? ネス、多分、受信電話が鳴っているよ!」

 ネスのリュックサックの中にある受信専用の電話が。

「一体誰だろう? こんな時に?」

 コール音が鳴り続ける電話に反応したネスはリュックの中から小型の子機を取り出すと、赤い通話ボタンをピッと押し耳元に当て、相手の声を聞く。

 すると、電話の向こうから聞こえてきたのは。

 

「もしもし、お久しぶりです。アップルキッドです」

 

 相手は今まさにネスの持っている受信電話の開発者であり、立派な発明家となろうと野望を抱く貧しき青年アップルキッドだった。

「久しぶりですね、アップルキッドさん。何かあったんですか?」

 最後に出会った……いや話をしたのは結構前になるのだろうか。

 スリークでのゾンビホイホイという発明品について貰って以来。

 ネスは懐かしい知り合いの声にそう口にして、要件を尋ねる。

 

【ええ、実は今ウィンターズの天才アンドーナッツ博士の研究所にお邪魔させてもらってるんですよ。博士とはすれ違いになったみたいですが、ここで発明をして待っているんですよ】

 

 彼は旅費でも何処かで稼いだのか地元のツーソンから遠出し、雪国へとたどり着いていた。

 目的は十中八九、アンドーナッツ博士に色々開発の極意を学びに行ったのだろう。

 とりあえず、その事は放置して彼は電話を『続けていた』のだが……。

 

【おっと、ごめんなさい。今の僕の状況よりも要件ですね。残念ながら以前のピザ屋には出入り禁止どころか電話禁止にされてしまって届けに行く事は出来ないんですけど、こけし消………………………………】

 

「あれ? もしもし? アップルキッドさん?」

 

【………………】

 

 それは突然起こった。

 途中から電話越しに聞こえていた筈の彼の声がピタリと止んだのだ。

 ネスは慌てて電話のバッテリーを確認するが、電池を変えたばかりで異常はない。

 ただ、声が消えたのと、何やら『向こう側から騒がしい物音』が聞こえるばかり。

 そして……ネスが最後に聞き取ったのは。

 

 

【なんだ! 誰なんだ! お前達は!? うわっ、やめろ! 何をするんだ? 僕を食べても美味しくないぞ。マウス、助けてくれ! あれ? まさか、アイツ、逃げやがったな! くそおぉぉぉぉぉぉぉぉ! ガチャン、ツーツー】

 

 

 自分に向けられた声では無かった。

 明らかな異変が電話越しで起こっていた。

 アップルキッドの大声を皮切りに音声は完全に途絶えてしまったのである。

 

 

「……ネス。この場の地形は記憶したよね。ならば、すぐにでもここにテレポート出来る。後は言わなくても分かるよね。君なら次にどこへ向かうか。敢えて聞かないよ」

 

 

 皆が電話の内容に耳を傾け、全員がその異変をしかと聞き届けた。

 だからこそ、正義感の強いネスが次に何を口にし、何を目的にするか。

 

「……ごめんね、皆。冒険を一時中断! ウィンターズへ向かうよ!」

「「「了解! リーダー」」」

 

 眼前で苦しんでいるかもしれない知り合いを放ってはおけない。

 ネスの性格を重々承知している一行は誰も反論を述べる事無く、リーダーの背中に付きテレポートの準備に入り、急遽目的地を変更し飛ぶように魔境から離れていくのだった。

 だが、彼らはまだ知らない。

 この変更した行く先にとんでもない者が待ち構えている事を……。

 

 

 

 




 ここまで読んでくださった読者の方、ありがとうございます。
 期間が空きすぎて若干後書きの書き方を忘れているヨシノスケです。
 また仕事の連休があれば書き進めていくつもりですので、投稿は恐らくこれくらいの周期になると思われます。
 
 では次に小説の内容について。
 まずオリジナル展開を組み込んだ今回での原作との変更点。
 一つ目は魔境のボスで、すぐにやられてしまいましたが、キョ―レツでんきウナーギというのは私のオリジナルです。
 本当のボスは【帰ってきたゲップー】というモンスターなのですが、書いてきた話の構成上、ギーグ軍のキャラを生き返えらせてしまうと敵は蘇生術か何かを持っているのかと、自分で違和感を感じてしまったので急遽変更しました。

 そして今回初めてヴェールを脱いだスターマン達。
 キングスターマンとカイザースターマン(一応以前からいました)はオリジナルキャラでDXスターマンとの兄弟設定についても同様です。
 物語を深みを出す意味で追加したキャラとなっています。
 
 では、次に内容についてですが今回も難産でした。
 今回の魔境というフィールド。
 ゲームでは只泳いでクリアした記憶しかないステージ。
 でも本来であれば人が立ち寄る様な環境では無い場所。
 だからこそリアリティを出すために書いていたのですが、戦闘面、そして移動面と両方書いていたら訳が分からなくなってきていて、逆に泳ぎながら戦うという器用な戦闘スタイルを取る形になってしまいました。
 本当に原作での魔境の戦闘でネス達はどんな戦い方をしていたのか気になります(笑)
 一応魔境の折れた木々とかで作ったボートで進ませようかなと案は出していたのですが、それはそれで何かが違うと感じ断念しました(笑)
 
 最後に、書く予定の挿絵についてなのですが。
 書けた段階で一話から挿絵をはめ込んでいきたいと思っているのですが、挿絵を投稿した段階で【挿絵投稿について】という題名の報告だけを新しい話として挙げ、次の本編が完成した時にこれを削除し、前書きに記載するという形を取りたいと考えていますので、新しい話が投稿されたと見ていただいた場合、報告だけの場合がございますので注意をお願いします。
 
 では色々設定を盛り込んでいきましたが、また次の話でお会いしましょう!
 何かございましたら、ちょこちょことマイページはのぞいておりますので、意見でも結構ですのでコメントなどお待ちしております。
 それではここまで読んでくださりありがとうございました!
 期間は空きますがまた投稿いたしますので、またお願いします!
 
 
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