ゲームセンター内部。
元は子供大人問わずに娯楽の少ないオネットの遊び場の一つとして、誰もが気軽に立ち寄り設置されているアーケードゲームの機体で遊んでいる姿が見受けられていたが……現在ではシャーク団が牛耳られゲームの機体が支配されている状態にある。
さらには他にも外観の壁や内部にもスプレー缶を用いて描かれた落書きが描かれ、御世辞にも子供が立ち寄っていい場所ではなくなった。
そしてその影響から繋がるようにゲームセンターは隣町のツーソンへと繋がる道の付近にあり、誰もがシャーク団を怖がって近寄らなくなっただけでなく、果てにはオネット警察が危険とみなしすぐに道を封鎖してしまったため、越してくる人がおらずオネットの住民が増加しないという弊害まで起こり、まさに百害あって一利なしの場所に成り果てていた。
しかし……今日そんなオネットの汚点と言っても過言ではない場所に、ネスはまだ見ぬフランクという名の青年と決着を着けるために立ち寄っていた。
「お前がネスか……フランク様にボコボコにされるがいいぜ」
「けっ! その通行証のコインさえなけりゃ、お前みたいなガキは袋叩きにしてゴミ箱に叩きこんでやるのによ……」
(…………)
ハッキリとネスの感情を言葉にすると、最悪の印象だった。
周囲の床はポテトチップスやジャンクフードの食べかす、そしてその容器や袋のゴミとだらけきったその生活姿勢がありのままに伝わってくる様子にネスは嫌悪感を抱き引いていた。
(誰か掃除すればいいのに。なんで皆平気なんだろう)
いつも母親や自分で片付けている清潔な自宅と比較して、そう酷く気分を害しつつも彼は自分を睨みつけるシャーク団の不良達とあまり目を合わさぬようにフランクと会える場所を探す。
「多分この中にはいないみたい。みんな同じ服装ばっかりだし、本当にぼくを呼んだ人なら相手から向かってくるはず。となると残っている場所は……裏庭かな」
そんな中で彼はシャーク団のなどいなかった昔に何度か遊びに来た場所で記憶が曖昧だったが、周囲が木製の高い柵で囲まれた裏庭にいるのではと考えて、記憶を頼りに裏口へと続くドアを探して動く。
「EXIT……ここかな?」
そうして無事に裏庭へと続くドアを見つけたのだが、その手前には一人の不良がドアの見張りをしており塞いでいた。
「あん? おっ、早かったな。この先にフランク様がいる。いいか、お前はとんでもない事をしでかしたんだ、このまま大人しくMOTHER2を終了してゲームを止めるなら、フランク様も許してくれるだろう。どうだ? これでもまだフランク様にたてつくのか」
そんな何かとんでもない。
仮にここで『止める』を選択したら、それこそ全てが終わってしまう交渉を持ちかけられたがネスは大きくかぶりを振ると、
「ぼくにだって意地があるんだ。だから会わせて」
頭一つ分は違う身長の男に向かって、一歩も引くことなく彼は力を込めてそう言い放った。
「……いいだろう。でも無事に帰れると思うなよ」
文句を吐き捨てると見張りの不良はその場を退き、ネスに裏庭へと続くドアへの通路を譲った。
「行こう」
ネスは周りから寄せられる殺気に満ちた視線に委縮せずに、両開きの紫色の裏口へのドアを開いて、汚れ、酷くよどんだ空気が充満したゲームセンターから脱した。
―― ―― ―― ―― ―― ――
ゲームセンター裏庭。
住居やビルなどの建造物だけでなく、木造の柵で辺りが阻まれ周囲と孤立するように残された土地。
元々は何かの建築予定地だったのかは不明だが、現在では生い茂った芝生の奥に一本だけ
(それで、あの人がフランク……)
そして新鮮な外の空気を吸って肺の中に溜まっていたゲームセンターの空気を出すと、ネスは目撃する。
その大木の前に立つシャーク団のリーダー、フランクの姿を。
「…………」
整えた金髪の頭に瞳を隠すサングラス。
そして手下たちとは一風変わった雰囲気が見るからに伝わってくる上下のワインレッドのスーツを着用し、男は空を眺めていた。
「リーダー……例のガキが来やしたぜ」
ネスが裏口を出て来た事にいち早く反応した数人いる護衛の不良はフランクにすぐさま連絡。
その間にネスは足音を鳴らしながら、手下たちに囲われた今回の事件の主犯であるフランクの元へと歩み寄ってゆく。
「…………」
だがそんな手下の声。
そして自身が呼んだ少年の足音を聞いてもなお、フランクは空を見上げたまま動かなかった。
「貴方がフランクさんですね」
ただしネスの発言の直後。
彼は空を見上げるのを止め正面を向くと、その少年の顔をしかと目に焼き付けた。
「おい、お前ら。これから決着が着くまで手出しをするんじゃねぇ。ただ見て結果だけを信じればいい。いいな」
フランクはネスの方へ視線を合わせたまま、取り巻きにそう注意を促すと戦闘に邪魔にならない裏口の所に通せんぼするように移動させる。
「了解っす」
「へへへ、ボコボコにされる様を楽しみにしてるぜ、ネス君よぉ」
だが……取り巻きは腐っても不良。
とことん文句を言って、相手を威圧したいのかここでもネスに向けての言葉を吐いて移動していった。
しかしリーダーは落ち着いて、少年から目線をずらさなかった。
何も言わず、両手を腰に当てて手下たちが移動するのを待つ。
そうして手下の移動を終えると、彼は口を開いた。
「俺は最近愛と平和について考えてた。正直な話、最近ここのゲームセンターを牛耳って思ったんだ。人に迷惑をかけ続けるのは面白くない、なにか辛いものを感じる……だが、かと言って誰かの言いなりになるのも真っ平ってな。だから……そんな矛盾を抱えてこの俺を止めてくれる奴はいないかと思った時、お前が現れた」
ネスは話を聞いていて、不思議と敵の悪意は感じられなかった。
違和感があるといえば当然だが、彼からは何か違う魅力を感じていたのだ。
「俺は驚いたよ。力はある癖に役立たずで慎重すぎる警察なんかより、ずっと小さなガキがシャーク団の一人を負かしたなんてな」
さらに彼からは復讐心は感じられなかったのだ。
それどころか……これは手下の言っていた敬意に似ていた。
「目的は知らないがお前の面を見て分かった。何か大きな野望を抱いている目をしているな。ならば先に進むために俺を倒してみろ、勇気に満ちたガキンチョ。立ちはだかる相手を本当に病院送りにする気でな」
フランクは懐から果物を斬るためのナイフを二本取り出すと、両手に装備し構える。
「分かった……どうなっても知らないよ」
ネスも応戦するべく、背中に背負ったリュックから新品のバットを取出し、前へと突き出すように構える。
「さあ、いくぜ!」
そしてフランク対ネスの戦いの幕が上がった!
まず動いたのは喧嘩慣れしているフランク。
彼はネスの体を傷つけるべく、素早い動きでビュン、ビュンとナイフを何度も振り回して相手を牽制する。
「くっ……」
そんな不良のリーダーを務める手練れとの戦闘でネスはバットを横に構えてナイフの連撃に対して防御に徹していた。
テレパシーを集中して相手の思考を読みながら、すばやく動くのは良かったが……いかんせん攻撃には転じれずに相手からのナイフ攻撃を受け続ける。
小振りのナイフとはいえ刃物である事には変わらず、刺される場所によっては致命傷になりえるのだ。
「おい! コモーノを倒した時の威勢はどうしたんだ。ここから柵を隔てて良く聞こえていたぜ、お前の闘争心を」
友人のポーキーをシャーク団によって傷つけられ、昂った感情で必死に戦いを繰り広げたネス。
その姿は確認できずとも、彼は自分の耳に届いていた事から想像できる理由を話しながらフランクは攻撃を続ける。
「そんな無い! ぼくは本気だ!」
その挑発にネスは頭にカッと血がのぼり、防御姿勢から攻撃姿勢に移行するとバットを大きく振り回した。
「うっ!」
その素早い攻撃にフランクの持つナイフでは対抗できなかったからか、利き腕とは逆の左腕で重いバットを受け止めた。
だが……痛みこそあったものその打撃の効き目は薄く、すぐにフランクはネスの顔めがけて開いた右の拳を振るう!
「うわっ!」
ネスの体は芝生の床を擂りながら、受け身を取る事もままならずに顔に傷を受けて転倒する。
「弱いな……お前の本気ってのは何処にいったんだ!」
だが転倒した彼に隙を与えずにフランクは拳を開き、武器のナイフを懐にしまうと少年の首元を掴みにかかる。
「ぐあっ! うぐぐぐ……がは」
そのガシッ! と首を掴まれたネスは早くも窮地。
体勢もろくに戻せぬまま、呼吸もままならずにフランクにそのまま持ち上げられる。
「どうやら、俺の思い過ごしだったみたいだな。お前なんかじゃ何も出来やしねぇ。もうこのまま気を失って、敗北して冒険とはおさらばするんだな」
けれども……まだ終わらない。
そんな彼の厳しい言葉が引き金だった。
「嫌、だ……………ぼくは、諦めない!」
ネスは辛うじて握っていたバットを力を込めて、フランクの体の横めがけて思いっきり振り回した!
「うぐっ!?」
命中したバットの痛みに思わず相手の首を捕まえていた手を離すとフランクは二、三歩後ろへと退き、姿勢を崩していた。
バキッ! と鈍い音が鳴り響いたその傷の威力は馬鹿に出来ないものだったのだろう……。
「フランク様!?」
「リーダー!」
「てめぇ! よくも!」
するとリーダーが攻撃を食らったのを見た子分たちは激昂。
大声をあげてネスを恐ろしい目つきで睨みつけると、居てもたってもいられずに……。
「これでもくらえ!」
しびれを切らした手下の一人がフランクを援護すべく。
その辺に転がっていた石ころをネスめがけて、肩の力に任せて力一杯に投げつけたのだった!
「ぐっ!」
するとそんな勢いに乗った石は『相手』の側頭部に命中。
痛々しい傷残る傷口から血を流れ落ちさせてしまった……しかし。
「ああ……ああああ……どうして……どうしてですか!?」
それは投擲物で攻撃を仕掛けた手下だけでなく。
他に戦闘の場で立っていた手下たちも唖然としながら、攻撃の結末に驚いていた。
「なんで……どうして?」
戦っていたネスですらも唖然としていた。
それは
「相手のフィールドにいる以上ぼくはどんな攻撃が飛んできても仕方がないと思ってたのに……どうして貴方が身代わりに!?」
フランクはスーツの中にしまっていたハンカチを取り出して、血が流れる側頭部を押さえながらそんなネスの言葉にこう返答した。
「俺は不良だ、悪行をして人々を困らせる社会のゴミだ。でもな、確かに俺は不良だがフランクという他には存在しない、真似が出来ない一つの人格だ。だからこそ俺には俺のポリシー、信念がある」
サングラスを外し、地面へ投げ捨てると痛みに耐えながらその真剣な眼差しでネスの方を見つめた。
そして、自身の貫く人生観を一言で語った。
「一度決めた男同士の取り決めは絶対に守る……それだけだ」
一対一の戦闘。
フランクは勇気ある少年との戦いにおいてそれを守るために仲間からの妨害を自分で受け止めて、つまらない茶々を入れられて戦闘を中断されたくは無かったのだろう。
「だが……お前、人間相手の戦闘は辛そうだったな。相手を痛めつける事において不慣れなようだな」
まだ冒険を開始して数時間というネスは勿論、戦闘は不慣れ。
ましてや人に武器を向けるという覚悟も出来ておらず、どうしても退けない戦いの場合のみ攻撃を仕掛けていた。
フランクはそれを攻撃を交えあった刹那に感じ取ったのか、そう告げたのだ。
「う、うん……まだ覚悟が無いんだ……でも貴方を倒さないとぼくは先に進めない、自分の切り開くべき道を歩む事すらできない」
「へっ……そうか」
フランクは少年の甘ったれた言葉に喝を入れようと口を開きかけたが、ぐっと堪えると一つの代案を出した。
「よし、いいだろう。俺もこの馬鹿が投げた石による頭の傷は意外とヤバい……だが、これはお前のやった傷じゃねぇ。そこで『もう一人の俺』と戦ってもらおうじゃないか」
フランクは裏庭に生えた大木の背後に歩いてゆく。
そしてピポッと何かボタンのような物音を立てると、
「ハア……ハア……、これが俺の最終兵器フランキースタイン2号だ」
ゴゴゴ……と何かが音を上げて地面を踏み鳴らし、木の背後から木製のロボットのような物が発進してきた。
拳を前に構え、戦車のキャタピラに本体のボディが取り付けられた風変わりのデザインをしたフランキースタイン2号。
そんな
「人相手がまだ無理なら、コイツを倒してみろ。ただし俺より強いがな……。お前の覚悟を見せてみろ。さっきも言った通り俺達は絶対に手を出さない。ネス! お前の勇気を見せてもらうぞ」
フランクは石の当たり所は悪かったのか、その直後フラフラと歩きながら手下たちの元へと進んでいきネスを見守った。
手下たちもフランクの言動に驚いたのか、罵声や妨害の行為をする意思を完全に喪失してリーダーに寄り添ようにして相手の動向を伺っていた。
「ピー……ガガガ!」
そして早速戦いのゴングは鳴った。
ネスの正面まで移動したフランキースタイン2号は彼を敵とみなすと、即座に攻撃モードへと移行して人の顔を模した顔面にある瞳を赤くし襲いかかる!
バゴンッ!
「ぐはあっ!」
まず開幕は機械故に加減を知らない強烈な金属の拳だった。
バットで防ごうとしたものの、その破壊力はバットだけでなく所持者であるネスごと強く吹き飛ばしたのだ。
バゴンッ! バゴンッ!
バゴンッバゴンッバゴンッッ!
「うぐ……ぐぐっ!」
だが……その後もフランキースタイン2号の苛烈な攻撃は止まらない。
そして当然、機械の止まぬ容赦ない攻撃の前にネスは苦戦必至。
防御しても無駄だが少しでも傷を小さくするために、生傷を増やしながら慎重に戦闘を続行していった。
周りからの視線がありながら戦闘の時間はみるみるに伸びていき、
バゴンッ!!
「ぐわあっ!?」
再びネスは相手の拳を正面から喰らい、地面に叩きつけられる。
「くそ……凄いパワーだ。回復しなきゃ……」
攻撃を受けた衝撃で痛めた部分をライフアップで治療を行い、ネスは負けじとフランキースタイン2号へと立ち向かう。
「ガガガ……ピポー!」
対して……フランキースタイン2号はというと、
「ギチッ……ギチッ……」
そんなぎこちない駆動音をあげながら両腕を相手の方向に構えると……
すると!?
「なんだ!? あれは一体――」
ズドンッ!
「うわっ!?」
突如……発射した。
両腕の先端がハッチのように開くとまるで大砲のように備わっていた腕の空洞内から大弾を乱射!
「ピピピピ!」
なお弾というのはいわゆる花火で、点火すれば筒から何発の火花が飛び出す形のものと酷似していたが、その腕の太さに準じているため大やけどを負う恐れが出るほどの大きさだった。
「うわあああああ!」
そしてその乱射攻撃にネスは翻弄。
バットでは攻撃を抑えられずに体中に高熱を帯びた弾が直撃していく。
これまで以上に大きな傷だけでなく、やけどまで負ってしまったのだ。
「…………」
フランクはその様子に動じることなく、座って見ていた。
だが心の何処かではここがコイツの限界かと落胆していた。
「う……ぐぐぐ……まだだ」
「なっ!?」
しかしそんな考えはすぐに覆される……何故なら。
「分かる……もうこれ以上……今は回復を使えない。痛いけど、絶対にここで決着を付けてやるんだ」
(こいつ……へへっ、面白い)
フランクが見ている少年は負けなかった。
だからこそ白旗を振って泣きわめき情けなく降参すると思われていた彼の思惑は大きく裏切られ、思わず体を前のめりにして観戦を続行したのだ。
「負けない……負けない。ブンブーンさんや家族の為にぼくは絶対に負けられないんだ!」
そしてネスは連続発射花火を受けた際に手から落ちたバットを持ち上げると、体を走る痛みに耐えながら立ち上がった。
(おいおい……コイツ。まさか本当に……)
すると……パワー溢れる機械との苦しかった戦況。
だが機械故の弱点なのか……ここで勝機が到来する。
「プシュー! プシュー!」
「あ、あれ……もしかしてこれって」
フランキースタイン2号はネスの刃向う姿を確認しても動かない。
それどころか……
「今だ! 全身の力一杯で倒してやる!」
その一つの音とは今もなお発するプスー……プスー……と連続する蒸気音だった。
そう……スタイン2号は高熱を発する花火をあれ程連続で発射したのだ。
よって攻撃の反動により体内の熱が異常に膨れ上がりオーバーヒートを起こしていた。
だからこそその影響で、ただ体をクールダウンさせるために排気口からの白い煙を吐き続ける以外に何も出来なかったのである!
そうして! そんな隙100%をネスが見逃す筈も無く一閃!
「うおおお!」
……この世界でいうなら『SMAAAAASH!』といった所だろうか。
飛び上がったネスの振り下ろしバットは見事にフランキースタイン2号の頭を叩きつぶす程の威力を持っており、頭部から破壊されたその兵器は故障したのか稲光を纏いながら、
「ピピ……ピガガガ……ドガンッッッ!!」
内部から崩壊を起こして小さな爆発と共に解体されたのだった……。
「はあ……はあ、これで勝った……」
ネスは体力の殆どをバットに込めたものだったのだろう。
軽いめまいを起こしながら地面へと倒れかける……けれども。
「よくやった……大した男だぜ。お前は」
瞬間、傷の治療を終えたフランクが彼の容態を見兼ねて、慌ててその小さな体を支えたのだ。
対してネスはフランクからの称賛の声を聞きながら、こう返した。
「じゃあ……これでぼくの勝ちだよね?」
そのもうヘトヘトな疲れ切った少年の言葉に、フランクはニコッと口元を歪ませると彼にその答えを口にする。
「ああ、初めて負けた……これで無敵のフランクもただのフランクになっちまった」
そう小さく答えると、彼は続けて場にいる全員にこんな宣言をした。
「勝者である勇気ある少年ネスに誓って、この俺様フランクはシャーク団全員に命じる。もうここの住民に迷惑をかけるような行為を禁じ、この勇者の助けに応じるようにしっかり動く事だ! いいな、お前ら! この取り決めを守らなかった奴にはキツイお仕置きをしてやるから、覚悟しろ!」
こうしてネスの目的であるシャーク団の撃退はリーダー自ら叶えられることになったのだが、不思議な出来事も重なった……それは……。
「あんなカッコいい姿見せられたら、嫌でも従いますよ」
「ただのクソガキだと思ってたけど、オラ感動した」
「フランク様と並ぶカッコよさだったぜ」
「もう、俺、感動して涙が止まんなくてよ……」
ネスのどんな敵にでも立ち向かう勇気と無鉄砲さに男気の様な魅力を感じたのか、先程まで敵だったはずのシャーク団の男たちはいつしか仲間のように変わっていた。
「良かった……あの、フランクさん?」
「うん? どうしたネス?」
「一つ聞きたい事があるんだけど」
疲れが和らいで来たのか。
意識がはっきりとしてきたのか、ネスは自分の力で動くとフランクにある疑問を問いかける。
「『ジャイアント・ステップ』って知ってる?」
疑問に対してフランクは首を縦に振り、言葉を返した。
「ああ、知ってるぜ。あそこはどうやら……ある種のパワースポットらしい。特定の人間に何かをもたらすようなエナジーが眠ってるらしいんだ」
そこで彼は一度言葉を区切り、目つきを鋭くすると話を続ける。
「ただ……あそこはパワースポットのエナジーを吸い取ったバケモンが住み付いちまってる。だからジャイアントステップの中心にたどりつくのは難しい。場所は誰でも知っている北の郊外にある旅芸人の小屋の抜け道から山を登った先だ。隕石が落ちた場所とは違うぜ」
そうしてネスの傷の痛みを和らげるためか、手下が持ってきた救急箱から包帯や痛み止めを使って彼を治療する。
「小屋の鍵はピカール市長のやつが持っている。俺達シャーク団の事件を解決した奴はお前だって広めておくから明日に市役所に訪れろ。功績で鍵くらいは受け取れるだろう」
フランクはそう話しながらネスの傷の手当てが済ませるとそうネスに告げた後に手下たちに金を渡し、傷を癒すためにネスを近くのホテルへと宿泊させるべく、動かした。
「ありがとよ、ネス。これで狂った歯車は正常になったぜ。俺達はこの町に残るから、何かあれば相談に来いよ」
「うん……ありがとうフランクさん」
「良いって事よ! 兄弟!」
こうして……心強い言葉を向けられ、ネスは微笑みで返した後。
手下たちと共に彼の勇気を褒めたたえる声援と受けながらゲームセンター内で受けながらその場を後にし、直近のオネットホテルに宿泊させてもらい彼は眠ったのだった。
―― ―― ―― ―― ―― ――
(ネス……やっぱりお前は凄いや……)
そうして……もう一人。
もう一人の少年は……彼の勇姿をしかと見届けていた。
柵の隙間から友人の勇気ある行動を見ていたのだ。
(俺なんか……全然ダメさ。なあ、ネス……お前はどうしてそんなに強くなれるんだ? 家族のおかげか、それとも目的のためか……いや、これ以上は止めておこう……自分が嫌になっちまうぜ)
嫉妬……なのだろうか。
彼は友人の成長する姿に恐怖心を感じて仕方が無かった。
自分は置いていかれる……この町で唯一の大切な友人に会えない。
だが不器用さ、そして家族からの虐待や教育なども含めて人に本音を打ち明ける恐ろしさに彼は怯えていた。
そして今回……それが悪い性格も相まって歪んだ一つの考えに至ってしまう。
(……ネス、お前が俺を置いていくつもりなら……俺にだって考えがある。シャーク団の悪行が消えたおかげでこの町から自由に動けるようになるし、さらにもう一つ手に入れた面白い物があるからな。また会おうぜ、ネス。その時こそ俺はお前に…………)
彼はシャーク団に担がれて休息を与えるためにホテルに連れていかれたネスの様子を終始観察し、終えると彼は同時にそのまま姿をくらました。
不良ではあるけれど、筋の通った男気溢れる良い男キャラとしてのイメージでフランク様を書かせてもらいました。
私としては初代motherで言う、ある理由からグレてしまったけれど優しいテディのようなキャラクターをイメージしました。