mother2 ギーグの逆襲   作:黒まめちこ

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就職活動が終わらない為、書く暇が無く、現在も続いている事で大幅に日数が開いてしまいました。本当に申し訳ないです。


タコ消しマシンと影に潜む者

 グレードフルデッドの谷。

 ツーソンから東の方角に位置する地形で、北部から流れて来る滝の水をさらに南下させて、海まで運ぶ中継地。

どちらかと言えば川にも近い物で、所々の自然豊かな地形が盛り上がり、高所と低所の幅が大きく、転落事故などもあったとされている。

「うわ……本当にうろついてるよ」

 UFOがうろつく、または行方不明者などが続出すると不穏な噂が囁かれている事もあってか、一部の人間を除いてここには立ち寄る者はいなかった。

 だがネスは、行方不明者の少女ポーラを救出するために、この谷を抜けた先にあると情報を得た『ハッピー・ハッピー村』と呼ばれる村で手がかりを訪ねるべく、

彼は歩を進めていた。

「ピピピ! ガーガー」

「ポピピピ!」

 そんな現状で彼の邪魔をしようと、小型UFOが谷中を浮遊し、または地に足を付けて敵を探し回るロボットなど明らかに場違いな敵達がぞろぞろと散策していた。

「でも、どうしてこんなにいるんだろ」

 誰も気味悪がって立ち寄らなかったのかは不明だが、ネスが以前に聞いた情報ではここまでの数は存在しないはずだったのだ。

「おい……おい! 兄ちゃん」

 機械がうろつく谷で唯一、人の声が聞こえた。

「貴方は一体……」

 敵に見つかるまいと岩陰や木陰に隠れながら進んでいたネスは同じく物の陰に隠れていた男性の方を向いた。

「俺はここに橋の修理に来たんだ。なんでも太ったガキが橋を壊しやがったとかで、でも今じゃ変な生き物たちに怯えるのが仕事でよ」

 橋の修理に来たという男性。

 ネスは一度視線を男性から勢いよく流れる川を越えて、奥に続く谷の方を見つめた。

「うわ、本当だ……」

 彼は向こう岸へと経由する為に備え付けられた橋を発見した。

 しかし、橋全体は件の悪ガキのイタズラによって橋の主柱が破壊されたうえに、渡る部分の全ての板が水流で流されてしまい、最早場所を繋ぐ橋としての役割を果たしていなかった。

「おい……兄ちゃん?」

 だが、現状がどうであろうとも結局はネスは進まなくてはならないのだ。

 壊れた橋の有様を見た後に、徘徊していた敵達がよそへと飛び去るのを確認したネスは、すぐに岩陰から身を出し、

「またね、おじさん。僕は先に行きます」

 既に只ならぬ雰囲気が漂う谷を進むために、彼は再び足を動かし、先へ進んだ。

 

 

 

 怪しげな銀色に光る正八面体の乗り物に乗って移動して監視の目を広げる敵を掻い潜りながら、ネスは紫色をした川沿いを北上し、隣岸に移動する為の橋を見つけた。

「……どうしよう、強引に通れそうにもないし」

 ……のは良かったのだが、その手前の狭くなっている道に立ち塞がる物が彼の行く手を阻んでいた。

「でも、なんで『タコ』がこんな所にいるんだろ」

 人一人が何とか通れそうな狭い道にどっしりと構えていたのは、誰が置いたか、誰が作ったのかもさっぱり分からない金属製のタコだった。

(なんとかどいてくれないかな?)

 押しても引いても、ましてやバットで叩いてもビクともしない鋼の番人はネスの行く手を完全に阻み、行く先を妨害している。

 上流から流れている水流にも目をやるが、勢いも早く深さもあるため、安易に飛び込めば下流へ流され、海に放り出されてしまう危険性すらあった。

 プルルルル、プルルルル……。

 突破する為に何か良い案が無いかと考えを巡らせていたネスだったが、その思考を遮るように、ポケットの中から音が鳴り響いた。

「なんだ、なんだ?」

 周囲の敵達には聞かれまいとネスは慌ててポケットの中に手を入れて音の元を探り始め、取り出した。

「これはアップルキッドさんから受信電話?」

 ネスの手に握られていたのは、小型の受話器の形をした無線の連絡装置だった。

 彼が取り出す際に通話ボタンを押していたのか、呼び出しのコール音は止んでおり、すぐにこの電話の開発者であるアップルキッドが発言する。

「ふう、良かった。何とか繋がりましたね。試したこと無かったけどしっかりと通信できるみたいですね」

 ネスは聞こえて来る言葉に対して、電話を耳に当てて返答を行った。

「何かあったんですか? 何だか周りから人の声が聞こえるんですけど」

 受話器の向こう側から騒がしい音が聞こえ、アップルキッドが外出先から電話をかけていると考えたネス。

「ええ、今ヌスット広場にいます。要件というのはネスさんの募金で面白い物が完成した事を伝えたくて」

「面白いものですか?」

 ネスは離れた場所から戻って来たロボットや小型UFOから身を隠すために来た道を戻ろうとしながら尋ねる。

「ええ、元々タコ焼きの中のタコをイカに変える物を作ろうとしていたんですけど……」

(えっ? この人何を作ってるって言ったんだろう?)

 ネスは自分自身が募金した200ドルがそんな訳の分からない装置の為に使われていた事に衝撃を受けていたが、アップルキッドは相手の気持ちお構いなしに続ける。

「何をどこで間違えたか分からないんですが、何故かイカに変えるどころか、『タコだけが消える装置』になってしまったんですよ。でもユニークな開発品ではあると思うので……ネスさんに差し上げようと」

 因果応報とはまさにこの事である。

 人に親切にすると自分に何かしらの報酬が返ってくる。

「タコが消せるんですか!? すぐ取りに行きます」

 先を塞ぐ鋼のタコに困り果てていたネスは思わぬ収穫に大声をあげて立ちあがった。

 ピンポイントで彼の欲しがっていた一見役に立たなさそうだが、役に立つ代物が出来たのだから無理も無いだろう。

「随分と嬉しそうですね。じゃあ僕はヌスット広場の木の下にいるんで……後、これは気になった事なんですが」

 何とか邪魔なタコを消せることに喜んでいたネスの耳へ向けてアップルキッドは一言付け足した。

「なんか……聞こえますよ。『捕まえる』って」

 その発言の瞬間、ネスの背筋に寒気が走った。

 さっきまでナイスな打開策に調子に乗っていたにもかかわらず……というよりはそれが原因だった。

「ピピピ!」

 大声をあげ、立ち上がった彼の姿は敵を引きつけ、完全にマークされていたのだ。

「アヤシゲナ、子供ヲ発見。スグニ捕マエル」

 クルーンという名を持つ縦に長い体をしたロボットが銀の正八面体の乗り物から飛び降りると、すぐさまモノアイの赤く光らせ戦闘態勢に移行していた。

「こ、これは……逃げるしかないよね」

 ドジを踏み捕捉された事をすぐに自覚すると、彼は体力を使い切る気で戦線を離脱するべく動いた。

「うわあぁぁ!? 逃げろぉぉぉぉ!」

 全力で逃げる少年の背を追うはロボットやUFO。

 背後から何発もの放たれる光線が足元を掠り、地面を焦がされながら、それを上手く掻い潜り、PSI技で相手の数を少しでも減らしつつ、死に物狂いでネスは敵の追跡を逃れる事に成功した。

 

 

 

 

 

 

 その後命からがらグレードフルデッドの谷から、戻りヌスット広場にたどり着いたネスは待っていたアップルキッドから、名称『タコ消しマシン』を受け取り、再び谷へと舞い戻り、件のタコがいる現場に戻ってきていた。

「えっと……確かタコの近くでこのボタンだったかな」

 ネスは指示を受けた通りに吸盤に似た奇妙な形の装置に大きく備えられているボタンを押し、反応を待った。

 ジュワアアアア……。

 何かを吸引したような音と共に鋼のタコは塵となり跡形も無く、見事にかき消えたのだった。

「うわあ、凄いや。流石、タコ焼き屋の前で使うなって忠告を受けるだけの事はある」

 存在自体が完全に謎だった金属の塊をタコと呼んでいいのかは不明だが、これにて先への道を進むことが可能となったネスは破壊されていなかった橋を伝い、隣岸へと渡っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 道中、発見されてしまいやむを得ずに戦闘となり、小さな戦闘UFOである『一口ユーフォ―』、少し前にネスめがけて光線を乱射していた『クルーン』、または木に擬態し、生命の危機に瀕すると周囲に炎をまき散らす凶暴な『大ウッド―』など厄介な敵が彼の行く先々を阻んでいく。

 体力の消耗こそ激しかったが、時折に影や空洞で休憩を挟みながら彼は果敢に谷の向こう側へと歩んでいく。

 しかしこの谷で戦闘を重ねていく中で、ある違和感を感じていたのだった。

 

 

(おかしい……)

 高所から見える範囲で谷中の様子を眺めていた彼は、トンチキの口にしていた宇宙人、もといスターマンがここに潜伏しているはずだと乗り物であるUFOを探していたのだ。

(もっと別の場所に置いているのかな)

 もしいるのであれば相手側も視野に入る範囲で不用心な事はしないのか、ネスが視認できない谷の奥に隠されているのだろう。

(無いのか……でも……何だろう、この胸騒ぎは……)

 ネスが救うべき少女ポーラのいるとされる小屋まではあと少しといった所でわざわざ立ち止まり、周囲の状況を確認した理由はこの胸騒ぎだった。

 何者かに監視されている気がする。

 そしてただ監視されているだけではなく、その視線自体に彼は畏怖していた。

 猛獣に睨まれた捕食動物のような恐ろしい感覚が彼の強いテレパシーに反応を示していたのだ。

「急ごう……」

 騒めく胸を押さえながら、彼は周囲に向けていた視線を残る道筋へと戻すと、岩の上に置いていたリュックサックを拾い、歩みを再開した。

 あと幾つかの谷の合間を抜ければ小屋のある窪みまでたどり着く事が出来る。

彼は道中ロボットたちに怯えて物陰に隠れていた老人に尋ねていた為、場所を把握しており、残るは無駄な戦闘を避けるために徘徊するモンスターの目を掻い潜る事に専念するだけだった。

 

 

「……間違イナイ、アノ少年ガ『ネス』ダナ。情報ヲクレタ者ノ言ウ通リダッタナ」

 ネスの感じていた視線。

 それは気のせいなどではなかった。

 彼を監視していたのは、ギーグの配下。

 宇宙の殺し屋の異名を持つ、スターマン。

 特徴としてロボットのような全身光沢のある金属のような体を持ち、人型をした謎の生命体。

 ギーグを滅ぼすとされ、銀河最強と謳われるそのギーグそのものが唯一恐れている、運命を背負いし少年。

 発言した者と通常、殆どの個体が全身銀色が特徴のスターマンであるが、その人物が率いていたのは『金色』のスターマン達であった。

 リーダー個体である者と、その金色の部下たちはネスの姿を監視していたのだった。

「マダ、手ヲ出サレナイノデスカ?」

 敵を発見したが、その行く手を阻む手段を講じないリーダーに対して部下たちは、思った疑問を投げかける。

「奴ハ、モウ一人ノ仲間ヲ探シニ行ッテイル。殺スノハ、ソノ後デモヨイ。ソレニ我々ニハモウ1ツ、探ス者ガオルダロウ、コノ世界二迷イ込ンダ、危険人物ガ……」

 そう彼らの目的はネスの抹殺だけではなかった……。

 自分たちのボスの脅威となる人物の殺害という最優先事項を放置してまで、彼らは何者かを探していた。

「恐ラク、コノ谷二潜伏シテイルハズダ。ギーグ様ヨリ与エラレタ『カイザー』ノ称号二恥ヌ行動ヲ取ラナクテハナラヌノダ」

 青い体に王者のような赤いビロードマントを羽織ったその特別なスターマンはそう言い残すと、部下達に命令を残すと何処かに姿を消した。

 




文字数が少なく、展開も急でしたが、何とか谷を越えるまで書けました。
謎のスターマンはオリジナルの展開です。
どうしても原作から少しだけ変わった事を書きたいと思っていたのでこれからの内容に追加するつもりです。
落ち着いたらペースを上げるつもりなので、またよろしくお願いします。
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