とある女の子の一生である
最初の記憶は家中の窓ガラスが割れる音だった。。。
弟を抱いて逃げるママ
追いかけるあたし
目の前で玄関の開き戸が
大きな手でぴしゃりと閉められる
次に思い出すのは薄暗い狭い部屋
泣いてるたくさんの子供
あたしも泣いてる
弟も泣いてる
そして気がついた時には
ばあちゃんとじいちゃんの家にいた
弟はいなくなった・・・・
どこに行ったかばあちゃんに聞いたら
「やっちゃんはパパと一緒だよ」
そう、弟の名前はやっちゃん
毎日、じいちゃんとばあちゃんと
いたわけじゃなかった
じいちゃんの妹、ちゃばちゃんの家で
まさこちゃんと遊ぶこともあった
じいちゃんの妹、市川のママの家で
猫と遊んで暮らすこともあった
ばあちゃんの妹のそば屋で
そばを食べまくりな日もあった
大きくなってから知った
こういうのはたらい回しというらしい
でも特に辛いとか悲しいとかなかった
ママは?とばあちゃんに、聞いた
会わないから
「ママはお仕事なんだよ」
そうか、お仕事か!
お隣のかおるちゃんとは仲良しだった
もうひとつのお隣のひーくんは嫌いだった
ひーくんは、いつも
「お前父ちゃんも母ちゃんもいなーい」
っていじめるから。。。
「いるもんっ!」
でも
あたしは間違ってた
パパとやっちゃんは行方不明だし
ママはあたしをばあちゃんたちに預けたあと
いなくなった。。。
そう
ひーくんの言ってることは間違ってなかった
あたしにはパパもママもそしてやっちゃんも
いなくなっちゃった
だけどそれを知ったのはもっと後の話。。。
幼稚園年長になってしばらくして
ママが知らないおじさんと一緒に帰ってきた
おじさんはケーキを買ってきてくれた
ケーキはおいしい!だからこの人はいい人だ!
それから日曜日になるとママはおじさんと帰ってくるようになった
おじさんはケーキをいつもお土産に持ってくる
だからケーキのおじさんって呼ぶことにした
何回か来てからは外に3人で行くようになった
K遊園地で
戦隊ショーを観る
コーヒーカップに乗る
メリーゴーランドに乗る
カレーかナポリタンを食べる
でもいつも一人だった
一人ぼっちでよりみんな一緒のがいいのに
だけど戦隊は好きだ
ママもいるしうれしい
ある日ちょっとだけ聞いてしまった
ケーキのおじさんがママと結婚する話
ママと結婚したら、おじさんはパパになるんだきっと
ずっと言っちゃおうか悩んでいたけど
どうしても知りたくてママがトイレに行った時に
おじさんにあたしは聞いた
「おじさんはパパって呼んでいいのかなぁ」
そうしておじさんはパパになった