それは吉と出るのか
そして嘘の世界の幕が開く。。。
波乱の予感
大学1年
無事大学に入学した
高校の時に好きだった先輩が1浪して
同じ大学の他部に入学してたのには少々驚いた
校舎が違うので入学式に挨拶した程度でその場限りだが
当然学内は男子ばかりだ
クラスは55人、うち女子は5人
それでも化学科なので多い方だ
数学科はもっと少ない
あたしが化学科を選択したのは
就職の時の選択肢の広さだ
数学科の方が科目的には得意だが
いかんせんコンピュータ関連と教師くらいしかない
数学科の微積の課題は何故かあたしがスラスラ解いて
数学科で在学中は少なくともあちこちに周っていた
それくらいには数学は得意だった
そもそもあたしの主たる希望職種はプログラマーだった
だが慎重というべきか、コンピュータが嫌いになったら
逃げ道がないじゃないかという考えの元に
化学科を選択したのだ
バイトは近隣大学の実験助手や事務などを掛け持ちして
大学生活は始まった
1年前期試験はほぼオールAだった
1教科だけ一般教養がBであっただけだ
父はところ構わず自慢をして回り始めた
親戚だけならまだしも近所にまで自慢されるのは
恥ずかしかった。。。。
ところが1ヵ月も経たないうちにおかしなことになってきた
父が「大学をやめろ」と言い出すようになる
ついこの間まで自慢してまわってたのに何を言ってるのか。。。
「お前は英語ができない。しゃべれない。だから将来は真っ暗だ」
「英語がしゃべれないやつは社会では役に立たない」
「英語もしゃべれんで大学行っても意味がないからやめちまえ」
父は確かに英語が堪能である
でもそれとこれとは話が別だ
だが父は毎日のようにそう言ってあたしを責める
ある日あたしも腹が立って意見を言った
「お父さんは英語ができるかもしれない、あたしは英語ができないかもしれない
でもお父さんだって数学とか物理とか化学とかできないでしょ。
人それぞれ専門があるんだから!」
言い終わると同時にビールの缶が飛んできた
長年の習慣で避けたが・・・
「お前が頭がいいのなんて所詮は酒飲みで暴れてた父親の血だ!
だからろくな人間にならない!」
ショックだった
何故そこで実の父の話が出てくるのか意味がわからなかった
二の句のつげないあたしに容赦なく
腕力と言葉の暴力が続けられる
茫然としつつ遠くに聞こえているかのうような暴言と
ショックのあまり感じない痛みの中で
あたしは泣きながら抵抗ひとつしなかった。。。
それからは毎晩のように父の言動はエスカレートしていった
だがその一方で親戚などへの自慢はとまらない
理解できなかった
そんな毎日を過ごしていたある日
あたしは大学近くの父方祖母の家に寄った
特に理由はなかったけど時折祖母の家には
大学近くだし遊びに行っていたのだ
その日は祖母が途中で買い物に行くというので
曾祖母と留守番を少しの間していた
大学はどうかと聞かれて近況を話したりしていた
もちろん家でのことは話さない
曾祖母・祖母とも本当によい人なのだ
余計な心配はかけたくない
大学の話を一通り聞かせた後にふと曾祖母が溜息をついた
「清にはかわいそうなことをしちゃったのよね」
「あの子は父親が死んで長男だからと大学に行かせてやれなかったから」
え・・・・?
ちなみに「清」は父の名だ
耳を疑った・・・父は大学に行ってない?
確かT大学の法学部を卒業したと聞いていたのだが。。。
どういうことだ?
その後、それとなく祖母にも聞いたところやはり大学は出てない
嘘だったのか・・・
後日、母にそれとなく話を聞いてみる
「そうなのよ、おばあちゃんから聞いたんでしょ
あの人嘘ついてたのよね。プライドでしょ」
「知らないフリしてなさいよ。あんたは本当の子供じゃないんだから」
またそれかよ・・・
「だから短大にしなさいって言ったのよ!
だからほら見なさい、毎日のように辞めろって言われて」
理不尽だ
いくらなんでも理不尽だ
「自分が大学行けなかったことが悔しいのよ。
それでいて自分の血のつながった娘は成績が悪いから
あんたがよい成績とってきたから腹立つんだしょ
自分の頭の悪さが証明されたみたいで」
実のところ父が本当にそう思っていたのかはわからない
ただそれからも大学辞めろ攻勢は続く。。。