嘘しかない世界   作:玖南砥音

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溺れる

拒めず


そしてまた


耐える日々が来る


光が射してきた

そんな気がしただけだった


大学2年

正しくは1年の終わりからだが

 

 

同じクラスの内田くんと付き合いはじめた

 

入学してから何人かの男子にデートに誘われて

遊び感覚で映画くらいは行ったりしたのだけど

 

ストレートに付き合おうと言ってきたのが彼だったし

あたしこの人好きかもと思ってたから

 

 

正直、高校の時に好きだった先輩ほど好きかというと

そうではなかったのだけど

その次くらいな感じには好きだった

 

 

そう思った

 

 

年齢的にも普通に身体の関係まですんなりと進んだ

 

少々、彼は性欲旺盛な感じで時折ところ構わずで

北の丸公園の茂みとかで行為になることもあった

 

外での行為はちょっと嫌だったけれども

拒むというのは怖い気もしたし

 

何よりあの部分を気持ちよく触ってもらえるのかというその時が

あたしはうれしかったのだと思う

 

 

唇かみしめて風呂で耐えてたこととはあまりに違う。。。

 

 

挿入がはじまると快感がほとばしる

つながる、ひとつになる

 

あたしは一人じゃない

そう思える行為だった

 

 

 

鶯谷のホテルに行くこともあった

 

いわゆる、ラブホ

 

 

回転するベッドとか本当にあるんだと楽しんでいた

 

 

 

難問は土日のデート

 

 

朝飯は家で食べて行け

門限は18時

 

 

門限18時?いまどき?

 

そうは思ったが逆らう気にはなれなかった

殴られたくないし。。。

 

 

時間が短いだからどうしても行為だけやって

送ってもらってデート終わりというのが常だった

 

 

それなりに幸せというか楽しんで付き合いをしていた

 

 

わけだが・・・

 

ある日些細なことで彼と喧嘩になった

 

 

彼はあたしを殴り蹴った

 

 

その時別れればよかったのだと思う

 

だけど当時のあたしは

肌のぬくもりから離れるのが

怖かったのだ

 

 

親からぬくもりというものを感じたことがなかったから

この初めてのぬくもりを手放したくなかった

 

 

一度はじまった暴力というのは

二度となくならない

 

 

 

わかってはいた

 

でも彼はいつも我に返るとごめんと謝る

 

何度も何度も謝る

 

 

そしてあたしは許す

 

だからもう二度としないだろうと信じる

 

 

だって父は殴っても謝ってくれたことなんてないし

 

本当に悪いって反省してくれたんだとそう思った

 

 

 

そんなことの繰り返し

 

それでもあたしは別れなかった

 

 

 

そんな生活の中

 

2年の中盤に引っ越しの話がもちあがる

 

 

茨城の取手市へ

 

 

何故大学からそんな遠くへ。。。

 

デカいだけが取り柄の家で駅からは3km近くあるし

街灯もろくになく引っ越しはうれしくないなと思った

 

それでも拒む権利はなかったし

何より母方の祖父母、じいちゃんとばあちゃんと

同居することになったのだ

 

これはうれしい、本当にうれしかった

 

 

あたしを大切に思ってくれる人とまた一緒に暮らせる

 

こんなうれしいことが他にあるわけがない

 

 

じいちゃんとばあちゃんは数年前に工場がつぶれて

夜逃げ同然で大阪に行っていたのだけど

借金の返済も無事できて関東に戻ってくることになり

それを機に同居することになったのだ

 

 

通学は不便になるだろうけれど

幼少期を思い出す

 

 

家にいるのも悪くなくなるだろう

 

 

そんな風に思って引っ越しは楽しみになった

 

 

 

でもそれは

 

 

裏切られることになる。。。

 

 

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