嘘しかない世界   作:玖南砥音

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差別


そして怒号

共有する辛さ


大学3年

2年の途中から取手に転居

 

 

学校へも通えないわけじゃないから

自宅から通うことに

 

 

機会があれば一人暮らしをしたいところだったが

 

じいちゃんとばあちゃんが同居

 

これは何よりもうれしかった

 

 

駅までは遠い

 

2Km以上はある

 

引っ越ししてすぐに痴漢騒ぎも多発したような場所だった

 

 

 

実験で帰宅が遅くなることも多い

 

ただ・・・

 

父、私立中に通う妹

二人は駅まで車で母が送り迎えをする

 

あたしは歩いて行けと言われる

同じ時間に出る時でも歩いて行けと父に言われるのだ

 

 

それを見てじいちゃんとばあちゃんが

あたしを不憫に思うのも無理はない

 

ある日いち早く出る日にこっそりと

ばあちゃんが自分の軽の車で送ってくれると言った

 

 

だが

 

ばあちゃんが戻るや否や

 

「誰が送らせていいと言った」

 

とものすごい怒号を発する父の声が聞こえたらしい

 

 

加えて夜帰宅したあたしはいきなり平手をくらった

 

 

そんなこともあってばあちゃんは絶対にばれない

父が出た後にあたしが出る時にたまに送ること以外は

絶対にしなくなった

 

そんな時、ばあちゃんは半分泣き声で

 

「どうしてお前だけこんな目に・・・かわいそうに」

 

そう言ってくれるだけであたしはうれしかった

 

 

 

 

ばあちゃんなりにいろいろ手伝いもしたかったのだろう

 

お風呂の準備をばあちゃんがした日があった

 

 

ばあちゃんとじいちゃんはバスクリンを入れるのが

昔から好きだった

 

 

1番風呂は父だ

 

「誰だ!風呂に変なものを入れたのは!」

 

父は入浴剤というものが嫌いなのだ。。。

 

 

「ごめんなさいね・・・私が」

 

とばあちゃんが名乗り出る

 

 

「静江!風呂を入れ直せ!」

 

 

ばあちゃんは泣いていた。。。

 

 

さすがに母も

 

「いいじゃないの、たまには入浴剤入れても」

 

そう言ってたしなめたが

 

 

「こんなものに入れるかっ」

 

 

そう怒鳴りちらし結局風呂は入れ直しとなった

 

 

 

 

相変わらず貧血も喘息も続いていたあたしは

 

さすがに往復2Km徒歩がキツイ日も当然ある

 

バイトがきつくて実験の日などは特にだ

 

 

しかも道があまりに暗い

 

 

その日はちょうど前の週に痴漢騒ぎがあったばかりだった

 

あたしはバイト代をはたいてタクシーに乗って帰った

 

 

玄関の扉を開くとそこには仁王立ちの父がいた

 

 

「タクシーなんか使うんじゃねぇっ」

 

 

言葉と同時にこぶしが頭に飛んできた

 

 

「疲れてる日だってあるし、夜は暗いし、バイト代使ってるのに」

 

 

あたしはそう訴えた

 

「親に学費出してもらってる分際でタクシーなんて使うな」

 

 

その日の夕食の話題は

父が帰ってくる時に前を歩いていた女性が

暗い道を歩いていておどおどしていて

 

やっぱりあんな事件があったからだな、女性たちは気の毒に

 

という話だった。。。

 

 

 

あたしはなんなんだ?

 

 

そして

 

妹との差別はなんなんだ?

 

ばあちゃんまで泣かせるのはなんなんだ?

 

 

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