あたしが転居してそう経たぬうちに
じいちゃんとばあちゃんも家を出た
そもそもがじいちゃんとばあちゃんのために
買った大き目の家でもあったから
随分と揉めたようだが
ただでさえ差別をうけてるあたしを見ていただけで
辛かったろうに
そのあたしがいなくなってしまい
ちょっとしたことで怒鳴ったりする父との同居も
ほとほと嫌になったのだろう
ある意味あたしのせいもあるので
申し訳ない気持ちもあったが
出るよいきっかけにはなったようだ
じいちゃんたちは品川のとある社員寮の管理人をすることになった
あたしは時折、遊びに行った
二人と話をして、おいしいじいちゃん手製の塩辛をもらって
和気藹々としてくるのはこれもまた幸せだった
ある日
ばあちゃんがしみじみと話をする
「お前は本当にかわいそうな子だった」
「朝飯は一人で自分で食べて、おやじに殴られて」
そうだね。。。。
「静江も静江だよ。
お前を置いて行方くらましてたかと思ったら
あんな男を連れて帰ってきて」
え・・・・・・?
あたしを置いて行方をくらましてた?
「そうだよ、あいつはお前をあたしらに預けて行方知れずだったんだよ」
「市川のパパが一生懸命探してくれてて
長いことかけてようやく見つけて呼び戻したんだから」
つまりあたしは
つまりあたしは
母に捨てられていたのか。。。。
ショックだった
戻ってきた時はしゃあしゃあと「あんたのために働いてたのよ」
そう言ってた母
嘘だった、全部嘘だった
でも涙は出なかった
心のどこかでわかっていたのかもしれない
やっちゃんの話もした
産みの父と一緒に、父の実家にいたそうなのだが
祖母がなくなった後、行方知れずになったのだそうだ
ばあちゃんもずいぶんと探したそうだ
毎年、誕生日プレゼントを送ってたらしい
母はもちろん何もしてなかった
男とよろしくやっててモノにするのに一生懸命だったのだろう
「ごめんね」
あたしは泣いていた
ばあちゃんは何故あたしが泣いたのかわからなかったようだ
あまりに情けない母親すぎて
やっちゃんは無事なのか心配で
母親に捨てられた過去の自分が悲しくて
ずっとじいちゃんとばあちゃんに迷惑をかけていたかと思うと
申し訳ない気持ちでいっぱいになった
親に愛されない子供
自分をそう認識した
でもじいちゃんやばあちゃんがいたからあたしは生きていた
あたしにあったあの家での過去は
彼らが認識しているよりもっとひどいものだったけれど
それは話さないでおこう
そう決めた
それがせめてもの恩返し
知ってもらっても過去は変わらない
未来も誰にも変えられない