嘘しかない世界   作:玖南砥音

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新しい生活・・・・

それは地獄への入り口だった


新しい生活
新しい生活


ママはおじさんと結婚しておじさんがパパになった

 

ばあちゃんとじいちゃんとはお別れになった

 

 

少しさみしいけれどママもパパもいる

 

 

幼稚園のみんなとお別れもできないで

引っ越しになって幼稚園もやめることになって

それが一番悲しかった

 

でもすぐに引っ越すんだとママは言った

 

 

 

新しいおうちは広かった

 

マンションっていうみたい

 

 

台所のある部屋に大きなテーブルがあって

そこでご飯を食べる

 

テレビの前にこたつがある

 

 

11月23日に引っ越してきた

 

 

 

今までばあちゃんとじいちゃんと一緒に寝ていたのに

あたしには大きなベッドとお部屋をあげると言われた

 

一人で寝るよりママと寝たいのにな

 

 

あたしの部屋は

ママたちのお部屋から遠い

 

 

ママたちはこたつの部屋のお隣だ

 

あたしの部屋は玄関の前の長い廊下の突き当り

 

 

一人はちょっと怖い

 

夜中にギシギシ変な音がする

 

 

 

何か歩いてくる???

 

 

何も来たことないけど、あたしは毎日眠るのが嫌だった

 

 

怖くて夜中にママたちの部屋に行ったら

すごく怒られた

 

だって一緒がいいよ・・・

 

 

 

そしてあたしはしつけがなってないらしい

 

よくわからないけど

 

 

 

それは新しいおうちで初めての3人でご飯だった

 

 

初めて箸を渡された

 

持ち方がわからなかった

 

二本そろえて握って食べ始めた

 

 

 

そのあとは何が起こったか最初はわからなかった

 

とてつもない痛みが頭に襲ってきた

 

 

殴られたのだと気づいた

 

 

げんこつだ

 

 

それからは毎日のご飯は痛い時間になった

 

 

箸の使い方が悪いと殴られる

くちゃくちゃ音をたてて食べるなと殴られる

食べるのが遅いと怒られる

 

箸とくちゃくちゃで一口ごとに必ずげんこつが飛んでくる

 

 

そんなことでばあちゃんもじいちゃんも怒らなかった

なんでこんなに怒られるんだろう

 

 

元々たくさん食べる子ではなかったけれど

あたしはどんどんご飯の時間が嫌いになった

 

殴られる時間でしかないのだから

 

 

 

ご飯が終わってもおやすみなさいを言うまでは

ずっと怖い時間しかなかった

 

 

 

歯磨きの仕方が悪いと殴られる

靴の揃え方が悪いと殴られる

洗濯物のたたみ方が悪いと殴られる

 

 

殴られてない時間の方が少ない

 

 

痛いのをやめてとパパにお願いしてとママに頼んだ

 

 

 

ママは

 

「あなたは本当の子供じゃないのに育ててもらうんだから我慢しなさい」

 

 

そう言った

 

本当の子じゃない・・・

そういう子はみんな殴られるのだろうか

 

 

あたしは毎日布団に入ってから泣いていた

 

殴られた頭がずきずきして涙が勝手に出てくる

 

 

そして引っ越しして2日目

 

 

「生まれてこなければよかった」

 

そうつぶやいて一晩中泣いた

 

 

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