嘘しかない世界   作:玖南砥音

5 / 19
土日は運動の日だ


あたしは運動が好きじゃないけれど


やらないと家にいられなくなるかもしれない




だからやるのだ


運動

土曜日と日曜日は自分の時間など一切なかった

 

 

 

 

 

どちらかは必ず40Kmほどサイクリング

 

 

キツイ上り坂もたくさんあるコースだ

 

 

 

とにかくきつい

 

水を途中で飲むことも許されない

 

 

長い坂は途中で挫折すると下まで降りて上り直し

 

 

もちろんヤダなんて言えない

 

 

 

そしてそれは春に起こった

 

 

平面な道のコースを走ってる時だった

 

 

 

前方から戻ってくる人たちが増えていく

 

「なんだ?随分戻ってくるな」

 

お父さんもそう思ったようだ

 

 

 

前方が何だろう・・・あれは緑色になってる?

 

 

 

それは徐々に近づいていくと形がわかるようになってきた

 

 

 

青虫の大群が何故か道を右から左へと移動している。。。

 

 

 

50mほどの距離を青虫が埋め尽くしていた

 

 

 

だから渡ることができず戻ってくる人がたくさんいたので

 

 

 

 

あまりの量に気味悪さを感じながら

少々吐き気をもよおしそうになった

 

 

 

 

でもお父さんはUターンしない

 

 

まさか・・・ね・・・

 

 

 

 

「ほら、渡るぞ」

 

 

 

ちょっと待ってどうやって渡る・・・の・・・

 

 

 

 

信じられないことに目の前でまるで何もないかのように

青虫を自転車で踏みつぶしながら前進していくお父さんの姿があった。。。

 

 

「すげぇなぁ!これはすげぇ!」

 

 

うれしそうでしかない。。。

 

 

 

 

あたしは・・・うれしいわけがない

 

 

 

渡りきったところでお父さんは大声でこういった

 

 

 

「早く来い」

 

 

 

頭が真っ白になった

 

 

 

逆らえないので自転車をこぐ

 

 

 

大群にさしかかる寸前に声が聞こえる

 

 

 

 

「足を付いたら青虫だらけになるぞ」

 

 

 

うひゃひゃと楽しそうに笑っている

 

 

 

それはさすがに嫌だ。。。。

 

 

 

ビチュビチュビチュビチュ・・・ビチュビチュビチュビチュ・・・

 

ビチュビチュビチュビチュ・・・ビチュビチュビチュビチュ・・・

 

ビチュビチュビチュビチュ・・・ビチュビチュビチュビチュ・・・

 

ビチュビチュビチュビチュ・・・ビチュビチュビチュビチュ・・・

 

ビチュビチュビチュビチュ・・・ビチュビチュビチュビチュ・・・

 

ビチュビチュビチュビチュ・・・ビチュビチュビチュビチュ・・・

 

 

 

方向がわからなくなるから目はつぶれない

 

自然にあたしの目はつぶれていく青虫に注がれる

 

 

吐き気をこらえながら

 

前に進む

 

 

 

この出来事でボディの柔らかいバッタ類が嫌いになった。。。。

 

 

 

そしてまた・・・

帰りも同じ道をたどらねばならず

 

 

でも目に映るのは、つぶれた青虫の帯

 

 

 

帰宅したお父さんは夕飯の時に

青虫がどんな風につぶれていくのかを嬉々として話していた

 

 

 

あたしは吐きそうになった

 

 

 

 

 

 

もう1日の週末はいろいろな運動

 

 

 

ひたすらアスレチックの日

 

硬球でのキャッチボール

 

硬式テニス

 

軟式テニス

 

ドッヂボール

 

 

テニスは打てなきゃどこぞのアニメばりに身体に跳んでくる

 

野球の硬球もそうだ

 

 

 

そして自宅にもどる

 

 

腹筋200回

背筋100回

腕立て20回

 

 

あたしは身体が堅い

それがお気に召さないようで柔軟体操は

全く曲がらず膝に頭つけるなんてとてもとても・・・・

 

 

 

でもそのままで終わるわけがない

 

 

お父さんはあたしの背中に馬乗りになって

体重かけてぐいぐい押し続ける

 

 

重い、痛い

 

 

 

そもそもなんでここまで運動しなくちゃいけないのか

 

 

あたしが身体が今一つ丈夫じゃないからだ

 

 

でもどう考えてもこれはやりすぎじゃないかと思うのだけども

 

 

 

 

 

後に背中は椎間板ヘルニア、首は頸椎ヘルニアを発症することとなる

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。