嘘しかない世界   作:玖南砥音

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お母さん

あたしを産んだ人



お父さん

あたしを育ててる人



お母さんとお父さん

お母さんは心臓が悪い

 

 

これがお父さんと結婚前にあたしが聞いた話

 

よくは知らないけれど時々入院する

 

 

 

あたしの小学校の入学式の日も

お母さんは途中で具合が悪くなって

保健室に行った

 

 

 

朝は起きない

起きれないから

 

 

学校から帰ると具合が悪いって寝てることも多い

 

その時はあたしが買い物に行く

 

家の手伝いもいろいろする

 

 

お父さんと喧嘩をすると急に心臓が苦しくなる

 

興奮するのは心臓に悪いんだって

 

 

 

苦しくなるとニトロって薬を急いでみんなで飲ませる

 

飲むと落ち着いてくる

 

 

 

ある時、お父さんがキレまくってお母さんを

蹴り続けて、途中でお母さんが発作を起こしてるのに

知らんふりで蹴り続けてることがあった

 

 

あたしは勇気をふりしぼって

間に立ちふさがった

 

 

あまりのひどい乱暴ぶりに

 

 

「この鬼っ!」

 

 

と言った

 

振りかぶって頭を叩かれあたしは吹っ飛んだ

 

 

後々これが原因で何かというと

恨みがましく

 

「俺はお前に鬼と言われた」

 

 

と言われるようになった

 

 

 

だけどさ

 

どこの世界に苦しがってる人を

蹴り続ける人間がいるんだ・・・

 

 

 

 

お母さんは喘息にもよくなる

苦しいと点滴をしに行く

 

 

 

お母さんは愚痴が多い

 

すぐヒステリーをおこす

 

 

 

愚痴はお父さんのことが多い

 

 

そして決まり文句は

 

「あなたのためにしかたなく結婚したのよ」

 

 

頼んでないよ、お母さん。。。。

 

 

お母さんはご飯はたくさん作る

 

たくさんだから殴られる時間も長くなるし

食べきれないのに残しちゃいけないからまた殴られる

 

 

 

 

 

 

お父さんは暴力が多い

 

 

リビングの椅子が跳んできたこともある

 

殴られるのはしょっちゅうだ

 

 

 

妹たちのことはほとんど怒らない

あたしのことは毎日怒る

 

 

やっぱり血がつながってないから?

 

 

T大学の法学部を卒業した

 

 

 

月に1度はあたしの本を買いに行くと言って

あたしを連れて家を出る

行先はパチンコ屋

 

 

あたしは口止め料として本を買ってもらう

 

その本を読みながらお父さんのパチンコを待つ

 

 

 

お母さんには内緒だ

 

 

 

あたしは夜はいつも泣いていた

 

離れた部屋で怖いのと

殴られてばかりで生きていてよいかわからなくなってたから

 

 

 

それでもお父さんもお母さんも大切な人だ

 

 

だってお父さんとお母さんだから

 

 

 

お父さんは言う

 

 

お前は化け物だと。。。

あたしが小学校1年生なのに140cmも身長があるからだ

 

お前は酒浸りな親父の娘だと。。。

事実ではある

 

お前は人間として失格だと。。。

 

お前は人として最低だと。。。

 

 

 

それでもあたしはお父さんは嫌いではなかった

 

 

お風呂もご飯もお父さんがいると辛いし殴られて痛いけれど

やっぱりお父さんはいた方がいい

 

 

 

 

だからきっと明日も明後日もずっとずっと我慢するんだ

 

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