オレとギターとstardust   作:恥知らずの奥村悠時

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仕事がようやく盆休みに入りました。
出来れば連休中にもう一話上げたい所ですが、出来るかな?


ep11.お弁当を食べに行こう

side 明久

翌日。何故か何時もより早く目が覚めた僕は、特にする事も無かったので学校に向かう事にした。

今日は昨日の試験召喚戦争で消耗した点数を補給する為にテスト漬けになる筈だ。早く目が覚めたのはラッキーだったかもしれない。テストの時間迄チョットでも勉強しないと。

 

「おはよー!」

 

「おはよう明久。」

 

教室の扉を開けて元気良く挨拶をすると秀吉が僕を出迎えてくれた。今日は髪をポニーテールにしている。ううッ!僕のストライクゾーンド真ん中だッ!

 

「今日はいつもより早い登校じゃな。どうしたのじゃ?」

 

「何だか変な夢を見たせいで目が覚めちゃってね。」

 

「夢?」

 

「そう、夢……」

 

不思議な夢だった。夢の中で僕は見た事も無い場所に居た。はるか地平線の果てまで続く広大な砂漠。そして夜空を埋め尽くさんばかりの満天の星。その星明かりに照らされた砂漠の中を歩いて居る夢だった。あれは一体何だったんだろう?

おっと、感傷に浸ってる場合じゃ無かった。ふと鞄から教科書を取り出して最後の悪足掻きをしようとした所である事に気付く。

 

「あれ?丈也は?」

 

教室に丈也の姿が見当たらない。

 

「jojoならワシが来た時鉄人にグランドで草むしりをさせられておったぞ。」

 

「そっか……」

 

おそらく昨日のDクラス戦で火災報知器を鳴らした事に対する罰則だろう。元はと言えば僕をあの状況から逃がす為に丈也はあの場所に残ってくれたんだ。そう考えると何だか申し訳無い。それと同時に思い出す。あの時確かに感じた『黄金』の様な輝き……。あの時僕はひそかにそれに憧れていた。何時か僕も追いつけるだろうか?あの『黄金』の様な輝きに……

 

「ヴォンジョールノ。」

 

そんな事を考えながら物思いにふけって居ると教室の扉が開いて島田さんがやって来た。

 

「おはよう島田さん。」

 

「おはよう……吉井?」

 

挨拶を返すと島田さんは怪訝そうな顔で僕を見ていた。何だろう?

 

「どうしたの?」

 

「あんた……何か雰囲気変わった?」

 

「へ?何が?」

 

唐突に告げられた思いもよらない島田さんの言葉にキョトンとしてしまう。

 

「う〜〜〜ん何て言ったら良いのかしら?何だか落ち着いたって言うか……」

 

?一体何を言って居るんだ島田さんは?

 

「まあ良いわ。それよりも吉井。アンタのんびり勉強なんかしてて良いの?」

 

「どうして?」

 

今日は一日テスト漬けになる筈だから勉強するのは当たり前だ。今度こそ本当に訳が分からない。

 

「一時間目の数学のテストなんだけど、監督の先生船越先生よ。」

 

はあ、朝一から厄介事か。ヤレヤレだ。とりあえず船越先生には近所のお兄さん(三十九歳/独身)を紹介してあげて、昨日の呼び出しもその件だったと言う事にしよう。

 

「ふう〜〜〜〜〜、やっと開放されたぜ。」

 

丈也が教室に来たのはギリギリの時間になってからだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ……疲れたな。」

 

机につっ伏す。

流石に中間や期末でも無いのに四教科ぶっ通しのテストはキツいな。でもギリギリ迄勉強した甲斐あって少しは手応えが有ったみたいだな。これも昨日友達が教科書を貸してくれたお陰だ。後で返しに行かないと。

 

「よし、昼飯食いに行くぞ!今日はラーメンとカツ丼と炒飯にすっかな。」

 

勢い良く立ち上がる雄二。どれだけ食べる気だこの男は?その内部屋から出れ無い位ブクブクに太っても知らないぞ。

 

「ん?吉井達は食堂に行くの?だったら一緒して良い?」

 

「ああ、島田か。別に構わないぞ。」

 

「それじゃあ混ぜてもらうわね。」

 

「……(コクコク)」

 

「お〜〜〜いお前等。何か忘れてねえか?」

 

食堂に行こうとした僕等に丈也が引き止めた。見ると丈也の後ろで姫路さんが顔を真っ赤にして居る。

 

「あ……あのッ……えっと……お、お昼なんですけど……その、昨日の約束の……」

 

「おお!もしや弁当かの?」

 

「は、はい!迷惑じゃ無かったら、どうぞ!」

 

しまった!すっかり忘れてた!でもまさか本当に作って来てくれるなんて!姫路さん、君は何ていい子なんだ!

 

「迷惑なもんか!ね、雄二!」

 

「ああ、そうだな。ありがたい。」

 

「そうですか?良かった〜。」

 

「よお。折角だしこんな廃墟みてえな教室じゃ無くて屋上で食おうぜ!」

 

「そうじゃな。」

 

屋上に行こうと言う丈也の提案に乗っかる秀吉。確かにこんな便所のネズミも近寄らない様な場所で頂いて良い物じゃ無い。

 

「そうか。それならお前等は先に行っててくれ。」

 

「?坂本は何か有るのか?」

 

「飲み物でも買って来る。昨日頑張ってくれた礼も兼ねてな。」

 

「あ、それならウチも行く!一人じゃ持ち切れ無いでしょ〜。」

 

「悪いな。それじゃあ頼む。」

 

「OK!」

 

雄二と島田さんは教室を出て行った。

 

「僕等も行こうか。」

 

「そうだな。ところで明久。」

 

屋上に行こうとした所で丈也に呼び止められる。

 

「何?」

 

「フンッ!!」

 

ガシィッ!!

 

いきなりコブラツイストをキメられたッ!?

 

「テメーピアノやってた事何で俺に黙ってやがったッ!?」

 

「ーーーーーッ!!どッ、どうしてそれをッ!?」

 

「土屋から聞いたッ!!」

 

何でムッツリー二が僕がピアノをやってた事を知ってるんだッ!?それよりも関節がイタイッ!!

 

「イタイイタイイタイッ!!丈也ギブッ!!」

 

「離して欲しかったら清涼祭で俺のやるバンドでピアノ弾けッ!」

 

なッ!何だってッ!?

 

「たッ!確かにピアニストの父親の影響でピアノは一時期やってたけど……」

 

「何だとッ!?テメーの親父さんプロのミュージシャンだったのかッ!?何でそんな大事な事を黙ってやがったッ!?」

 

しまったッ!余計な事を言ってしまったッ!丈也の関節をキメる力が更に強くなるッ!

 

「イダダダダダッ!!でッ!でもピアノやってたのは随分前だから上手くやれるかどうか……」

 

「やかましいッ!お前昨日Dクラスの奴等から助けてやったろうがッ!今その貸しを返しやがれッ!」

 

「わッ!解ったからッ!丈也のバンドでピアノ弾くから離してってば〜〜〜〜〜ッ!!」

 

昨日助けて貰った事を引き合いに出されると弱い。僕がピアノを弾くと言うと丈也は僕を開放した。ヤレヤレ、酷い目に合った。

 

「ふう……でも丈也。さっきも言ったけど僕がピアノやってたのは随分前だよ?」

 

「まあその辺は練習しながら徐々に感覚を取り戻して行けば良いんじゃないか?ホレ、コイツが音源と楽譜だ。」

 

そう言って丈也は僕に一枚のCD-Rと楽譜のコピーを手渡した。何て抜け目の無い奴だ。

 

「お〜〜〜い、お主等何をして居るのじゃ?早く屋上に行くぞ。」

 

僕等がなかなか教室から出て来ない事に気付いた秀吉が廊下から顔を出して僕等を呼んで居た。

 

「おう、悪い悪い。直ぐに行くぜ。」

 

「あッ!待ってよ丈也!」

 

僕は貰ったCD-Rと楽譜を鞄に仕舞うと丈也の後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 秀吉

「ところでjojo、一つ良いか?」

屋上に向かう道すがら、ワシはある事が気になってjojoに聞いてみる事にした。

 

「ん?どうした?」

 

「お主が昨日言っておった召喚獣の『成長』とはどう言う事じゃ?」

 

「ああ、その事か。」

 

そう呟くとjojoは真剣な顔で語り始めた。

 

「『召喚獣』ってのは俺達人間と似た姿形をしてるし、人によって使う武器も違うだろ?俺は『召喚獣』は使う人間の『精神』が『具現化』した『ヴィジョン』だと思うんだ。」

 

確かに『召喚獣』の姿形はワシ等人間と似て居るし武器も人によって様々じゃ。

 

「なる迄のう。しかしそれが『召喚獣』の『成長』とどう関係が有るのじゃ?」

 

「まあ聞けよ。『召喚獣』を動かしてるのは俺達人間の『精神力』だ。昨日のDクラス戦で須川が明久を何の躊躇いも無くエサにした事に対して、俺は激しい怒りを感じた。疲労していた所で激しい怒りを感じた事によって『召喚獣』の『持続力』が伸びたって所だな。ま、怒り過ぎて疲れを忘れてたとも言えなくも無いがな。」

 

ケラケラと笑うjojo。そしてその言葉にワシは一つの確信に至る。

 

「つまりお主は『 精神的な成長』が『召喚獣』その物を『成長』させると言いたいのか?」

 

「そんな所だ。それにそれだけじゃ無いぜ。『召喚獣』ってのは訓練次第で『スピード』や『射程距離』や『精密動作性』ってな具合に『召喚獣』の能力を向上させる事も出来るんだぜ。」

 

何と!『召喚獣』にそんな秘密が有ったとは知らなかった。しかし何故jojoはそんな事を知って居るのじゃ?

 

「『何でそんな事知ってるんだ?』って顔してるな。俺達『観察処分者』は教師の雑用で『召喚獣』を使う事が多いからよ。使ってると色んな事が見えて来るんだ。俺も最初の内は単純な動作しか出来なかったしチョイと『召喚獣』を動かしただけでヘロヘロになってたが、何度も『召喚獣』を使う内に色々な部分が伸びて来るって事が解ってよ。まっ、『パワー』だけは点数で決まるからどうにもならんけどな。」

 

なる迄、それでjojoはDクラスとの戦いであの様に器用な戦い方をする事が出来たのか。ん?と言う事は……

 

「jojo、お主の言う事が正しいとすると明久は……」

 

「中々察しが良いな。明久は俺よりも長い事『観察処分者』をやってるからな。おそらく俺よりも『召喚獣』を扱うのが上手い筈だ。きっと俺とは違った形で『召喚獣』が『成長』してるのかもな。」

 

jojoはそう言ったが普段の明久を見ている限りとてもそんな風には思えんのじゃがのう。

話し込んでいる内にワシ等は屋上へと続く扉の前にたどり着いた。扉を開けると其処には突き抜ける様な青空。弁当を食べるには絶好のコンディションじゃ。

 

「天気が良くて何よりじゃ。」

 

「そうですね!あ、シートもあるんですよ。」

 

姫路がバッグからビニールシートを取り出す。随分と気合いを入れて来たのう。

 

「あの、あんまり自身は無いんですけど……」

 

姫路が重箱の蓋を開ける。

 

『おおッ!!!!!! 』

 

ワシ等が一斉に歓声を上げた、瞬間ッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドサァッ!!

 

 

「なッ!……何じゃッ!?」

 

カラスが……1羽いきなり地面に落ちたぞッ!!

 

 

 

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

 

 

 

先程迄の楽しい空間が打って変わって緊張に包まれる。

ま……待て待て、状況を整理しよう。姫路が『重箱』を開けた瞬間にカラスが地面に落ちて来た。『重箱』の中身は唐揚げやエビフライにアスパラ巻き等の定番のメニュー。いや、まさかッ!そんな筈は……

 

『 カアー……カアー……カアー……アガッ!ゲロゲロ』

 

ドザァーーーーーッ!!

 

まッ!またカラスが地面にッ!間違い無いッ!原因はこの『弁当』じゃッ!!

 

『…………。』

 

気まずい沈黙が辺りを支配する。誰も弁当に手を付ける者は居らぬ。何と言う事じゃ。姫路にこんな短所が有ったとは……

 

「姫路、お前弁当に何を入れた?」

 

沈黙を破ったのはjojoじゃった!

 

「あ、あの……。」

 

「何を入れたのかと聞いているッ!!」

 

質問に対して狼狽える姫路に畳み掛ける様にして大声を上げるjojo。確かに何を入れたのかワシも気になる。

 

「ヒッ!あ……あの東城君。一体どうしたんですか?」

 

「質問を質問で返すなあーーーーーッ!!疑問文には疑問文で答えろとテメーは親に教わったのかッ!?俺は『 何を入れた』のかと聞いているんだッ!!」

 

「ひィィィィィィィィィィッ!!『濃硫酸』と『クロロ酢酸』と『硝酸カリウム』を入れました〜〜〜〜〜ッ!!」

 

何じゃとッ!?弁当に化学薬品を入れたと言うのかッ!?幾ら頭の悪いワシでも化学薬品なぞ料理に使う物では無い事位解る!

 

「何だとッ!?どれもこれも理科室で厳重に保管されてる激薬じゃあねえかッ!!テメー俺達を殺す気かッ!?」

 

「わッ!私そんなつもりじゃ……。」

 

「チョット丈也!いくら何でも言い過ぎだよッ!!」

 

「言い過ぎなんかじゃねえッ!見ろッ!蓋を開けただけでカラスが落ちて来て死んでんだぞッ!危うく俺達がああなる所だったんだぞッ!」

 

姫路を庇おうとした明久にjojoは地面に転がるカラスを指差して言った。  jojoの言い分は最もじゃ。下手をすればカラスの代わりにワシ等の死体が地面に転がって居った所じゃ。

 

「はあ……。姫路よお。何でまたそんな物弁当に入れたんだ?」

 

「え……えっと……その……『濃硫酸』は唐揚げやエビフライの衣の『澱粉』と加水分解を起こして『単糖類』に成るので甘みが増すと思って……『クロロ酢酸』はその……サッパリした酸味を加え様とアスパラ巻きに……それから『硝酸カリウム』は防腐剤に……。」

 

jojoの問いかけにおずおずと答える姫路。どうやら姫路は成績は良いが一周回って馬鹿の様じゃ。

 

「因みに今迄料理をした事は?」

 

「……無いです。」

 

「だろうな。姫路よお。化学薬品を口に入れたらどうなるかなんて、今時小学生でも知ってるぜ〜〜〜。ましてや料理に使って良い物じゃあ無え。そんな物入れなくたって、料理って物は本見て分量さえ守ってりゃあそれなりの味になる様に出来てんだよ。」

 

「………。」

 

jojoのお説教が余程堪えたのか姫路はしょんぼりとして居った。

 

「そう落ち込むなよ。見た目だけならスゲー美味そうなんだからよ。化学薬品さえ入って無かったら皆美味えって言ってくれたと思うぜ。次に活かせば良いんだよ。」

 

「……はい。」

 

jojoがフォローを入れると姫路の表情が少しだけ明るくなる。怒るだけで無くアフターケア迄しっかりする辺り、jojoは抜かり無いのう。しかし姫路の弁当が食え無くなってしまったとなると、昼飯はどうするかのう?

「おう、待たせたな!」

 

そんな事を考えて居た所でジュースの缶を抱えて雄二が現れた。

 

「へーーーー、こりゃ美味そうじゃないか。どれどれ?」

「おッ!おいチョット待て坂本ッ!」

 

jojoが止める間も無く雄二は唐揚げを摘んで口に放り込んだッ!イカンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バタンッ!!ーーーーーガラガラ、ガタガタ

 

抱えて居たジュースの缶をぶちまけて雄二は崩れ落ちた。

 




今回はここまで!
そんなこんなで姫路の弁当の被害者は雄二一人です。
我ながらチョット雄二に対する扱いが酷い気がするな……
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