それではどうぞ!
side 瑞希
「さて皆、総合科目テストご苦労だった。」
教壇に立った坂本君が皆に向って言いました。
今日も午前中がテストで、ついさっき全科目のテストを受け終わってお昼を食べた所。昨日からずっとテストで大変でした。
「午後はBクラスとの試召戦争に突入する予定だが、殺る気は十分か?」
『おおーーーーーッ!!』
坂本君の言葉にFクラスの生徒全員が歓声を上げます。
「今回の戦闘は敵を教室に押し込む事が重要になる。その為開戦直後の渡り廊下戦は絶対に負ける訳には行かない。」
『おおーーーーーッ!!』
「そこで、前線部隊は姫路瑞希に指揮を取って貰う。野郎共、きっちり死んで来いッ!」
今回のBクラス戦で私は前線部隊の指揮を任される事になっていました。
うう……。坂本君に予め言われていたとは言え、改めてクラス全員の前で言われると緊張します……。
「が、頑張りますッ!」
『うおおーーーーーッ!!』
何故か私の一言で湧き上がるクラス全員の士気。正直チョット付いて行けません……。
キーンコーンカーンコーン
お昼休み終了のベルが鳴り響き、いよいよBクラス戦開始です!
「よし、行ってこい!目指すはシステムデスクだッ!!」
『 サーッ!!!!イエッサーーーーーッ!!!!』
坂本君の号令と共にクラスの人達が一斉に教室から出て行きました。
まッ!待ってくださいッ!皆さん速過ぎです〜〜〜〜〜ッ!私勉強はそこそこ出来るんですが、体力には全然自信無いんですよ〜〜〜〜〜ッ!!
「ハア…ハア…ハア……」
や……やっと前線部隊に追い付きました。
もう戦闘の真っ最中です。
Bクラスの人達は数学の長谷川先生を連れて居ます。
「お、おくれ……まし……た……。ご、ごめん……なさい……。」
「来たぞ!姫路瑞希だッ!」
「姫路さん!来たばっかで悪いんだけど……。」
「は、はい。行って…来ます……。」
吉井君の言葉に応えて私も前線部隊に加わります。
「長谷川先生!Bクラス岩下律子です!Fクラス姫路瑞希さんに数学勝負を申し込みます!」
「あ、長谷川先生。姫路瑞希です。宜しく御願いします。」
「律子!私も手伝うッ!」
Bクラスの岩下さんの後ろからもう一人、女の子が現れましたッ!にッ!二対一は少し手強いですッ!
『試獣召喚ッ!! 』
私達の呼び声に応えて魔法陣が展開され、試験召喚獣が現れます。
「おい姫路ッ!お前の召喚獣の左手首に付いてるその『腕輪』はッ!」
私の召喚獣が付けている『腕輪』を見て東城君が声を上げました。
今迄一度も使った事は有りませんが、四百点以上の点数を取った人の召喚獣は『特殊能力』を使える『腕輪』を持つ事が出来るんです。
「はい。数学は結構解けたので。」
「へ〜〜〜。よしッ!良い事思い付いたぜッ!姫路。敵が後ろを振り向いたらソイツを使いなッ!」
「?それは良いんですが、東城君?そう簡単に相手が私達に背を向けてくれるんでしょうか?」
「任せなッ!」
そう言って東城君は私達前線部隊の前に出ました。
「よう!Bクラスの野郎共!昨日振りだな!」
「なッ!アンタはッ!!」
「テメー昨日はよくもふざけた真似してくれたわねッ!!」
東城君を見たBクラスの二人が声を荒げます。とッ!東城君ッ!?あなた昨日宣戦布告の時に何をしたんですかッ!?
「覚えててくれて光栄だせ。行くぜッ!」
東城君の掛け声と共に召喚獣が天井高く飛び上がり、Bクラスの人達の後ろに回りました。
「ーーーーーッ!?私達の後ろにッ!?何て跳躍力の召喚獣なのッ!?」
「ビビるんじゃあねえわよ律子!どれだけ高く跳べたって所詮はFクラスのザコッ!力ずくでブチのめすだけよッ!!」
Bクラスの人達が東城君の召喚獣の方を向きました。つまり……相手は私達の方に背中を向けて居る訳で……。
「今だ姫路ッ!」
「は、はいッ!じゃ、いきますねッ!」
私の掛け声に応えて召喚獣が左手を構えます。その直後、召喚獣の『腕輪』が光を放ち始めました。
ゴアオッ!!
「きゃーーーーーッ!!!!」
「りッ!律子おおぉーーーーーッ!!!!」
『腕輪』が光ったかと思うと不思議な形をした炎が勢い良く放たれ、Bクラスの人達の召喚獣を焼き尽くしましたッ!初めて使いましたがもの凄い威力です……。
『Fクラス 姫路瑞希 数学 412点』
『Bクラス 岩下律子 数学 96点』
『Bクラス 菊入真由美 数学 72点』
背後からまともに炎を受けた性でしょうか?予想以上にダメージが大きいです。
「ご、ごめんなさい。これも勝負ですので……。」
ザシュザシュゥーーーーーッ!!!!
私は深手を負った相手に召喚獣を接近させてトドメを刺しました。少し可哀想ですがこればかりは仕方有りませんね。
それにしても『腕輪』の『特殊能力』は凄いですね。まるで小さい頃にテレビで見た魔法少女アニメの必殺技みたいで、何か名前を付けたいです……。そう言えば『腕輪』から出た炎のあの形……。確かアレはエジプトの十字架の『アンク』……。
よしッ!C・F・H〈クロスファイアーハリケーン〉と言う名前にしましょう!
side jojo
「い、岩下と菊入が戦死したぞッ!」
「なッ!?そんな馬鹿なッ!!」
「姫路瑞希。噂以上に危険な相手だッ!!」
姫路の『腕輪』の破壊力を目にした事により、Bクラスの連中に驚愕の表情が浮かぶ。
まあ、無理もねえか。
「み、皆さん頑張って下さいッ!」
『やったるでーーーーーッ!!』
『姫路さんサイコーーーーーッ!!』
姫路の可愛らしい指示で俄然テンションが上がる我等Fクラス。コイツ等単純だな。
「姫路さん、とりあえず下がって。」
「あ、はい。」
敵の士気が下がった所で、明久が姫路を一旦下がらせる。『腕輪』の『特殊能力』は威力が高い分点数の消耗も激しいからな。相変わらず明久は姫路に優しいな。
「中堅部隊と入れ替わりながら後退ッ!戦死だけはするなッ!」
そんな指示が敵部隊から聞こえてくる。まあ、今日は敵を徐々に下がらせて目的のBクラスに釘付けにする位で終わるだろう。
「jojo、明久。ワシ等は教室に戻るぞ。」
突如俺と明久の元に秀吉がやって来て教室に戻る様に告げた。
?教室で何か有ったのか?
「Bクラスの代表じゃが……あの根本らしい。」
「根本ォ?根本ってあの『根本恭二』か?」
「うむ。」
根本って野郎は兎に角評判が悪い事で有名だ。何でも『勝てば良かろうなのだ』を地で行く男で、噂ではカンニングの常習だとか、球技大会で相手チームに一服盛ったとか、喧嘩に武器は当然装備とか、兎に角黒い噂が絶えない野郎だ。
「確かにそう言う事なら、戻った方が良いだろうな。」
「そうだね。雄二に何か有るとは思えないけど、念の為にね。」
姫路に一報入れて俺達は教室へと引き返した。
「コイツはヒデエな……。」
「まさかこう来るとはのう……。」
「卑怯。だね……。」
俺達が教室に戻るとそこには穴だらけにされた卓袱台とへし折られた筆記用具が四散していた。
「酷いね。これじゃ補給がままならない。」
「うむ。地味じゃが点数に影響の出る嫌がらせじゃな。」
「う〜〜〜〜〜ん……。」
「どうしたのじゃjojo?」
「いや、何て言うかよお。噂で聞く限り俺は根本って奴はもっととんでもないゲス野郎だと思ってたんだがよ。敢えて言うなら『吐き気をもよおす様な邪悪な奴』って所か?だがこの有様を見る限りは『卑怯で姑息な小物』って感じしかしなくてな……。」
秀吉の問いかけに俺は『根本恭司』と言う男に対して感じた印象を伝えた。
それにしても姫路の席の有様は一段と酷いな。鞄の中身までぶちまけられてやがるぜ。
「あまり気にするな。修復に時間は掛かるが、作戦に問題は無い。」
「坂本!お前今迄何処行ってやがった!?」
「協定を結びたいと言う申し出があってな。調印の為に教室を空にしていた。」
「協定じゃと?」
「ああ、四時迄に決着がつかなかったら戦況をそのままにして、続きは明日の午前九時に持ち越し。その間は試験召喚戦争に関わる一切の行為を禁止。ってな。」
「オイオイ、まさかお前その協定受けたのかよ?」
「そうだ。アイツ等を教室に押し込んだら、今日の戦闘は終了になるだろう。そうすると、作戦の本番は明日と言う事になる。その時はクラス全体の戦闘力よりも、姫路個人の戦闘力の方が重要になるからな。姫路を万全の体制で戦わせる為にもこの協定は俺達に取ってかなり都合が良い。」
それで教室を留守にした隙に設備を襲撃されたって訳か。マジで 『卑怯で姑息な小物』って感じだな。
だがもし……。
もし『根本恭司』が最初俺が思ってた通り 『吐き気をもよおす様な邪悪な奴』だったとしたら、設備を壊す為だけに俺達と対等な条件の協定を申し出るとは思えねえ。恐らくこの協定には何か裏が有ると見て良いだろう。
何より荒された姫路の鞄。 まるで『何か』を探した後の様だ。もし設備を壊す事はカモフラージュで、敵の本来の目的が姫路の持つ『何か』を探す事だとしたら……。
そして敵がその『何か』を見付けたとしたら……。
敵は俺達Fクラスの戦力の要で有る姫路を抑えるカードを手に入れた事になる。
まあ考え過ぎかもしれねえが、用心するに越した事は無いだろう。
「お前等此処に居たのかッ!」
そんな事を考えて居た所で突如血相を変えて須川がやって来た。何か戦況に動きでも有ったのだろうか?
「どうした?」
「かなりマズイ事になった!島田が人質に取られたッ!」
「なんじゃとッ!?」
予想外の知らせに驚きの声を上げる秀吉。設備の破壊の次は人質かよッ!とことん汚ねえ奴等だぜッ!
「お陰で相手は残り二人なのに攻め倦んでいる。どうする?」
どうするだと?そんな物やる事は一つに決まってんだろうがッ!
「……解った。知らせてくれてありがとう。丈也ッ!」
須川の報告を聞いた明久が力強く俺に呼び掛けた。どうやら明久も俺の考えてる事が解った様だ。
「ああッ!助けに行くぜッ!!」
side 美波
クッ!ウチとした事が抜かったわッ!『吉井が瑞希のパンツ見て鼻血が止まらなくなった』って聞いて、心配して保健室に様子を見に行った所を敵に捕まるなんてッ!冷静になって考えればそんな馬鹿な話ある訳無いじゃないッ!あ〜〜〜〜〜、こんな偽情報に踊らされるなんてッ!ウチは何てマヌケなのッ!
ウチが人質に取られてしまった事で戦況は膠着状態の睨み合いになって居た。
「皆ッ!道を開けてッ!」
誰かが人だかりを掻き分けて誰かが前に出てきた。あれはッ!吉井ッ!?
「島田さんッ!」
「よッ、吉井ッ!」
何だかドラマのワンシーンみたい……。あ、ちょっとドキッとしちゃった……/////。
「動くんじゃねーーーーーッ!それ以上近付いたら、召喚獣の背中をブスリと突き刺して、この女を補習室送りにしてやるぜ。そんな酷い事出来る訳ねーよな〜〜〜〜〜。うぬあはははははーーーーーッ!」
敵の一人が勝ち誇った様に笑い声を上げる。正直敵のこの態度にはムカッ腹が立つけど、ウチの召喚獣は敵の召喚獣に拘束され、背中に剣を突き付けられて居る。下手に動けばウチは補習室送りだ。
「良いだろう。やってみろッ!総員突撃用意ッ!」
「隊長ッ!それで良いのかッ!?」
なッ!?この状況で敵を煽るなんて何考えてるのよッ!?ウチがどうなっても良いって言うのッ!?
「まッ、待て吉井ッ!」
敵から待ったのコールが掛かる。
「コイツがどうして俺達に捕まったと思う?」
「バカだから?」
「殺すわよ。」
このバカッ!人の気も知らないでッ!
吉井の無神経な発言に対して放った言葉に思わず怒気がこもる。
え?って言うかコイツ等ウチが捕まった理由を此処で話す気?嘘ッ!止めてッ!
「コイツよォ、お前が怪我したって偽情報流したらよォ。部隊を離れて一人で保健室に向かったんだぜェ。」
あ、言っちゃった。もう駄目//////。恥ずかしくて死にそう/////。
「島田さん……。」
「な、何よ……/////。」
「怪我をした僕に止めを刺しに行くなんて、アンタは鬼かッ!」
なッ!?
「違うわよッ!ウチがアンタの様子を見に行っちゃあ悪いってのッ!?これでも心配したんだからッ!」
「島田さん。それ本当?」
「そ、そうよ。悪い?」
駄目だ//////。吉井の顔をマトモに見れない/////。恥ずかしくて顔から火が出そう//////。
「へッ!解ったか?それじゃあ大人しく……。」
「総員突撃用意ーーーーーッ!!」
「なッ!?なにィッ!?」
「どうしてよッ!?」
「へッへ〜〜〜〜〜んだッ!愛を誓い合った恋人ならともかく、僕が島田さんみたいなガサツで胸の無いブスの為に闘えるかバーーーーーカッ!!」
こッ、コイツッ!後でコロスッ!
「どッ!どうするよッ!?コイツはもう人質としては役に立た無いぜッ!?」
狼狽するBクラスの生徒。
「『どうする』だとぉーーーーッ!?決まってんだろうがぁッ!俺達はもう後には引けねえんだよッ!」
ブスリッ!
ーーーーッ!刺されたッ!ウチの召喚獣が刺されたッ!幸い戦死はしなかったけど点数が減っちゃったじゃないッ!ソレもコレも吉井ッ!アンタの性よッ!
『なッ!』
『 こッ!コイツッ!本当にやりやがったッ!』
「そッ、総員突撃止めーーーーーッ!!」
ウチの召喚獣が刺された事で吉井がFクラスの部隊の動きを止めた。
「『無駄話し』は終わりだーーーーーッ!!テメー吉井っつたな?良いか……喋って良いのは『降伏』の宣言だけだッ!それ以外の『言葉』をひとっ言でもその便器に向かったケツの穴みてーな口から吐き出してみろッ!この女の召喚獣をブッ殺すッ!『何?』って聞き返しても殺すッ!クシャミしても殺すッ!黙ってても殺すッ!嘘言って不意打ちかまそうとしたら、また殺すッ!」
ウチを捕らえて居るBクラスの男子生徒の迫力に押され、辺りに重い沈黙が漂う。
「島田さんを開放しろ。」
最初に口を開いたのは吉井だった。
このバカッ!アンタさっきの話し聞いてたのッ!?
「ブッ殺すッ!」
「だから、さっきからやってみろって言ってるだろ?そんなシャバイ脅しにビクついてFクラスの部隊長がやってられるか。コレが最後の警告だ。島田さんを開放すれば許してやる。だが次に島田さんを刺した瞬間、お前達二人を全力で叩きのめす。」
「ぐッ……ぬうッ……。」
さっき迄のオチャラケた態度から一変して冷静に振る舞う吉井にBクラスの男子生徒がたじろぐ。再び訪れる重い沈黙。
あれ?ウチが人質に取られて居るのにFクラスの方が優位に立ってる様な気がするのは気の所為?
「残念。君達はもう……。」
突如吉井がスッと右手を挙げた。
「『時間切れ』だ。」
「ドラァーーーーーッ!!」
ゴシャアッ!!
「ウリャーーーーーッ!!」
ズバアッ!!
「なッなにいッ!?」
「こッ!コイツ等ッ!いつの間にッ!?」
吉井が『時間切れ』と言った瞬間、後ろから東城と木下の召喚獣が現れBクラスの男子生徒二人をブチのめしたッ!
「『無駄話し』か……。確かに喋って居たのは時間が欲しかったからだ。丈也と秀吉がお前達の後ろに回り込むのを待つ時間をな。お前達が島田さんを開放しようがしまいが確実にトドメを刺す為にな。」
Bクラスの生徒に冷たく言い放つ吉井。 ってコレ全部計算の内だったのッ!?
「さ、さっき、か……開放すれば……許すって い……言ったくせに……。」
「自分を知れ……そんなオイシイ話が……あると思うのか?お前達の様な人間に。」
「何て酷い野郎だぁぁーーーーーッ!!ぎゃーーーーーッ!!」
「助けてぇぇーーーーーッ!!」
Bクラスの男子生徒二人は補習担当の教師に補習室へと連行されて行った。
side jojo
「明久。お前の合図が遅えからヒヤヒヤしたぞ。」
「全くじゃ。」
「ごめんごめん。」
俺と秀吉に頭を下げて謝る明久。確かに時間 を稼げとは言ったが、確実にトドメを刺す為とは言え幾ら何でも引っ張り過ぎだぜ。
〈数分前〉
「丈也。今回の島田さん救出作戦なんだけど、何か作戦は有るの?」
戦場に向かう前に明久は俺に何か作戦は有るのかと聞いて来た。
「まあ、お前が敵の注意を引き付けてる間に俺と秀吉が敵の後ろに回り込んで敵をブチのめすって所で良いんじゃねえのか?」
「随分と適当じゃのう。そんな簡単な作戦で大丈夫なのかのう?」
「大丈夫だ。島田が補習室送りになる事は絶対にねえからよ。」
「?どうしてそんな事が言えるのさ?」
「秀吉にも言ったが『敵の立場で考えろ』って奴だ。おそらく敵は姫路にスコパキにやられてジリ貧の状況を巻き返そうと、島田を人質に取ったんだろう。つまり島田は敵に取って現状を打破する為に必要不可欠なカードって訳だ。大事な交渉の材料をそう易々と切り捨てたりは出来ねえだろうからよ。見せしめに多少点数を削られる様な事は有るだろうが、補習室送りにされる事は先ず無いだろうぜ。」
人質を取ると言う行為は一見立場を有利にする様に思えるが、状況と交渉のやり方次第で有利にも不利にも転ぶ、言わば諸刃の剣だ。ましてやたった二人で一部隊を相手に交渉の材料で有る人質が一人。それも正面切っての交渉となると、精々出来て時間稼ぎが良い所だろう。
「明久。お前は交渉の舞台に立って出来るだけ時間を稼いでくれ。俺と秀吉は敵の背後に回って物影に隠れてるから、タイミングを見計らって合図を出してくれ。良いな?」
「OK。じゃあ僕が右手を挙げたらそれが合図だ。その瞬間に二人で敵を一網打尽にして。」
「解った。」
「了解じゃ。」
そんなこんなで島田を救出して現在に至る。
しかし島田を開放しようがしまいがトドメを刺すつもりだったとは、明久もえげつない事考えるぜ。
「島田さん、大丈夫だった?」
明久が島田に手を差し伸べると島田は明久の手を取り立ち上がった。と、その時……。
「フンッ!」
ゲシャアッ!!
なッ!?何だッ!?島田がいきなり明久を殴り飛ばしたぞッ!?
「なッ!?あだーーーーーッ!あにするんだよ島田さんッ!?」
「アンタよくもさっきッ!ウチの事『ガサツで胸の無いブス』って言ってくれたわねッ! 『ガサツで胸の無いブス』って呼んだその償いのパンチよ、このタコッ!」
なる程。島田が明久を殴る理由はコレか。確かにアレは無神経過ぎる発言だな。デリカシーに欠けるってヤツだぜ〜〜〜。
「え?何だって?ねえ秀吉。僕そんな事言ったっけ?」
「うむ、確かに言っておったぞ。 『ガサツで胸の無いブスの為に命が張れるか』とか何とか……。」
「ホントーーー?僕そんな事言った〜〜〜〜〜?イヤァ〜〜〜〜〜ッ!変だなーーーッ!島田さんみたいに可愛いくてスタイルの良い女の子の事をそんな風に言うなんて……。」
ドガァッ!!
「でェ〜〜〜〜〜ッ!!」
「自分の言った事も覚えてねーのかこのイモッ!」
スッ惚ける明久のムコウズネを島田が鬼の形相で蹴り飛ばした。
イヤ明久。其処は謝る所だぜ。
「解体してやるわ、吉井……。」
足を押さえて蹲る明久にゴキゴキと指を鳴らしながら島田が近付いて行く。
「ひいぃ〜〜〜〜〜ッ!許して下さい、島田さ〜〜〜〜〜んッ!何でも言う事聞きますから〜〜〜〜〜ッ!」
「ッ!ホントッ!?」
明久が何でも言う事を聞くと言った瞬間島田の表情がパアッと明るくなった。
「それじゃあ先ずは呼び方から変えて貰いましょうか。」
「変えるッ!変えさせて頂きますッ!」
「じゃ、今後ウチはアンタの事『アキ』って呼ぶから、アンタはウチの事を『美波様』って呼ぶ様に。」
なにぃッ!?島田の奴コレを期に明久との距離を詰める気かッ!何だか面白い展開になって来たぞッ!
「みッ!美波様ッ!これで良いッ!?」
「後、今度の休み、駅前の『ラ・ぺディス 』でクレープ食べたいな~〜〜。」
名前の次はデートのお誘いかよッ!今日の島田はエラく積極的だな。
「え?それじゃ僕の食費が……(ギロッ)ああッ!奢りますッ奢らせて頂きます〜〜〜〜〜ッ!」
はあ、明久よお。女の子の方からデートに誘ってくれてんだから其処は二つ返事でOKしろよ。
「よろしい。じゃあ最後に……。」
「まだ有のッ!?もう良いでしょうッ!?」
「ウチの事……愛してるって言ってみて……////////。」
なッ!?島田よお……。ソイツはチト気が早過ぎるんじゃあねえのか?
「ウチの事愛してるッ!」
『…………。』
「……こんのぉッ!バカーーーーー!!!!」
ボゴォーーーーーッ!!!!
「ブゲーーーーーッ!!」
怒りの雄叫びと共に明久の顔面に叩き込まれる島田の拳。
はあ、これだけ直球ストレート投げられてこの反応とは……。今回ばかりは島田に同情するぜ……。
今回はここまで!
以降明久が徐々に活躍して行く予定です。