オレとギターとstardust   作:恥知らずの奥村悠時

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またまた遅く成りましてすいません(*´・人・*)
今回予想以上に手こずりました。
では、どうぞ。



ep15.冷酷非情『根本恭二』

side 美波

 

「あ~~~疲れた~~~………。」

 

「あッ!美波ちゃんに吉井君!無事だったんですねッ!」

 

教室に戻るといの一番に瑞希が駆け寄って来た。

 

「うん。この位何とも無いよ。」

 

フンッ!デレデレしちゃってッ!

ブッ叩いてやりたい所だけど、今日は色んな事が有り過ぎて疲れちゃったわ。またって事にしといてあげる。

 

「お、戻ったか。」

 

「どうやら無事じゃった様じゃな。」

 

「だから言ったろ。明久なら大丈夫だって。」

 

坂本と木下と東城もやって来た。皆思ってたよりも心配して無かったみたい。東城に至っては無事に戻って来るって確信してたみたいだし。

 

「さて、お前等。こうなった以上、Cクラスも敵だ。同盟戦が無い以上は連戦と言う形に成るだろうが、正直Bクラス戦の直後にCクラス戦はキツい。」

 

教室に残った全員を見て坂本が言った。

 

「オイオイそれならどうすんだ、坂本よぉ。このままじゃBクラスに勝った所でCクラスの餌食だぜ?」

 

「そうじゃのう……。」

 

「心配すんな。」

 

不安気な表情を浮かべる皆に坂本が自信に満ちた表情で告げる。

 

「向こうがそう来るならコッチにだって考えが有る。」

 

「考え?」

 

「ああ。明日の朝に実行する。『目には目を』 だ。」

 

この日はそれで解散となりウチ達は帰宅した。

 

 

 

 

side jojo

 

「昨日言っていた作戦を実行する。」

 

翌朝、登校した俺達に坂本が開口一番に告げた。

 

「作戦?でも開戦時刻はまだだよ?」

 

坂本の言葉に明久が問いかける。今は午前8時半。開戦時刻は9時からだからまだ時間が有る。

 

「Bクラス相手じゃ無い。Cクラスの方だ。」

 

「あ、成程。それで何をするの?」

 

「秀吉にコイツを着てもらう。」

 

そう言って坂本が鞄から取り出したのは、ウチの学校の女子の制服だった。

 

「成程な。秀吉を木下優子に変装させて、Aクラスの使者を装ってもらうって訳か。」

 

「その通りだ。」

 

愛子の話しだと秀吉にはAクラスに所属する姉ちゃんが居るらしい。その姉ちゃんに化けてCクラスに圧力をかけるって作戦か。

 

「と、言うわけで秀吉。用意をしてくれ。」

 

「う、うむ……。」

 

坂本から制服を受け取り着替え始める秀吉。

見るとクラスの野郎連中が血走った目で秀吉を見ていた。

 

「…………(パシャパシャパシャパシャ)!!!!」

 

土屋に至っては指から火が出るんじゃないかって位の勢いでカメラのシャッターを切っている。

オイオイお前等……。秀吉は男だぞ……。

 

「よし。着替え終わったぞい。ん?皆どうした?」

 

皆一様に複雑な表情をしている。確かに今の秀吉の見た目は女子そのものだが……。だからお前等、秀吉は男だっての……。

 

「さ、さあな。俺良く解んねえわ。」

 

「おかしな連中じゃのう。」

 

秀吉は秀吉で自覚が無い様だ。

 

「んじゃCクラスに行くぞ。」

 

「うむ。」

 

「おう。」

 

「あ、僕も行くよ。」

 

俺と坂本と秀吉が教室を出ると後ろから明久が追い掛けて来た。

俺達は渡り廊下を抜けて新校舎の一番奥に有るCクラスの前迄やって来た。

 

「さて、此処からは済まないが一人で頼むぞ、秀吉。」

 

「あまり気が進まんのう。」

 

まあ確かに実の姉のフリして敵を騙すなんざ気持ちの良い話しじゃ無いだろうからな。よし。チョイと火を着けてやるとするか。

 

「秀吉。コレはお前にしか出来ない仕事なんだ。この作戦はお前の演技力に掛かってると言っても良い。何とか連中を挑発して、Aクラスに敵意を抱く様仕向けてくれ。」

 

秀吉は演劇部のホープだ。噂に聞いた話しだと勉強は苦手だが演劇の腕は抜群に秀でているらしく、その入れ込み様もかなりの物らしい。ソコをつついてやれば自然とやる気も出て来るだろう。

 

「むッ。分かった。上手く行くかどうかは解らんがやってみるのじゃ。」

 

秀吉の顔つきが変わったッ!どうやらモチベーションが上がって来た様だ。気力充分といった面持ちで秀吉はCクラスの教室に向かって行った。

 

「丈也、あんな事言って大丈夫なの?何だか無駄にやる気になっちゃってるけど……。」

 

「大丈夫だって。」

 

「オイお前等、静かにしろ。秀吉が教室に入るぞ。」

 

坂本が口元に指を当てる。流石にこの距離からなら声は聞こえたりしないだろうが、念の為指示に従う事にする。

ガラガラッ!

 

秀吉が勢い良くCクラスの扉を開けたッ!

 

『静かになさいッ!この薄汚い豚共ッ!』

 

「オイオイ……。」

 

「流石だな、秀吉。」

 

「うん、これ以上無い挑発だね……。」

 

いきなり豚呼ばわりとは飛ばしてんな………。

 

『なッ!何よアンタッ!?』

 

Cクラスの教室から代表と思しき女子の声が聞こえて来る。顔を見なくても声色から頭に来てんのが解るぜ。

 

『話しかけないでッ!豚臭いわッ!いいえ、豚何て物じゃ無いわねッ!私は入学してからずっと学年上位の成績をキープして来たわ。だから悪い教室といい教室の区別は『におい』で分かるッ!こいつは臭えッーーー!!ゲロ以下のにおいがプンプンするわッーーーーーッ!!!!!!』

 

ドガッ!!

 

秀吉が罵声を飛ばした直後に何かを蹴飛ばす音が聞こえた。チト過ぎじゃねえのか……?

 

『アンタ、Aクラスの木下ねッ!?ちょっと成績が良いからってイイ気んなってんじゃないわよッ!何の用よッ!?』

 

『私はね、こんな臭くて醜い教室が校内に有るなんて我慢ならないのッ!貴女達なんて豚小屋で充分だわッ!』

 

『なッ!?言うに事欠いて私達にはFクラスがお似合いですってッ!?』

 

オイオイCクラスの代表さんよぉ。誰もFクラスとは言って無いッスよぉ……。

 

『手が穢れてしまうから本当は嫌だけど、特別に貴方達を相応しい教室に送ってあげようと思うの。丁度試召戦争の準備もしている様だし、覚悟しておきなさい。近い内に私達が薄汚い貴方達を始末してあげるからッ!』

 

『何ですってッ!?上等よッ!Aクラスに攻め込まれる前に、コッチから乗り込んでやるわッ!』

 

『受けて立つわ……アメリカ方式…… フランス方式…… 日本方式…… イタリア、ナポリ方式、世界のフィンガー『くたばりやがれ』よッ!』

 

最後にこれでもかと言う程の煽り文句を残して秀吉はCクラスの教室から出て来た。

 

「これで良かったかのう?」

 

まるで新しいパンツを履いた正月の元旦の様な爽やかな顔で秀吉が近寄って来る。

 

「あ、ああ……。しかし秀吉よぉ。幾ら何でもありゃやり過ぎじゃねえか?」

 

焚き付けといて何だがまさかあそこまでやるとは思わなかった。

 

「むう……。姉上ならあれだけの事をやると思ってやったんじゃがのう。」

 

マジか?お前の姉ちゃん何者だよ?

 

『Fクラスなんて相手にしてられないわッ!Aクラス戦の準備を始めるわよッ!』

 

Cクラスから聞こえて来るヒステリックな叫び声。どうやら上手くいった様だ。

しかし秀吉の演技にはマジで驚かされた。特にあの声。元々秀吉は男子にしては高い声の持ち主だが、それを含めてもあそこまで完璧に女の声を真似る何て事はなかなか出来る物じゃあ無い。最早一種の才能だ。果たして一緒にスタジオで練習する時にどんな声で歌ってくれるのか?こりゃあ楽しみが一つ増えたぜ。

 

「さて、作戦も上手く行った事だし、俺達もBクラス戦の準備を始めるか。」

 

「あ、うん。」

 

「そうだな。」

 

後十分で試召戦争が始まる。俺達は早足にFクラスへと戻った。

 

 

 

 

side 明久

 

「ドアと壁を上手く使うんじゃッ!戦線を拡大させるで無いぞッ!」

 

秀吉が指示を飛ばす。

あの後午前九時よりBクラス戦が開始され、僕等は昨日中断されたBクラス前の位置から戦闘を再開した。

雄二曰く、『敵を教室内に閉じ込めろ』との事。

そんな訳で指示を遂行しようと戦っている訳だけど、此処で一つ問題が有った。

姫路さんの様子がおかしい。

本来は彼女が総司令官だ。それなのに今日は指示を出すどころか、試召戦争に参加する気配すら感じられ無い。

加えて丈也は昨日Bクラスの別働隊と戦った事で点数を消耗してしまって居るから、今は補給テストの最中だ。

 

「勝負は極力単教科で挑むのじゃッ!補給も念入りに行えッ!」

 

そんなこんなで現在秀吉が部隊の指揮を取って居る。此処数時間は何とか雄二の指示通りに動けて居ると言った所だ。

「左側出入口、押し戻されていますッ!」

 

「古典の戦力が足りないッ!援軍を頼むッ!」

 

マズイな……。Bクラスは文系が多いから、強力な個人戦力で流れを変えないと一気に突破されてしまうッ!

 

「姫路さん、左側に援軍をッ!」

 

雄二の作戦では午後に姫路さんが担う重要な役割が有るらしい。そうそう姫路さんに頼む訳には行かないけど、こういった場合は仕方が無い。

 

「あ、そ、その……。」

 

その肝心の姫路さんが戦線に加わらず泣きそうな顔をしてオロオロして居る。マズイッ!突破されるッ!

 

「試獣召喚ッ!」

 

呼び掛けに応えて僕の召喚獣が姿を現す。

 

「左側ッ!道を開けてッ!」

 

「よ、吉井?」

 

「一体何を?」

 

「良いから早くッ!」

 

僕の指示に従ってFクラスの部隊が左右に散らばり、Bクラスの部隊への道が開かれる。

 

「ォォオオオーーーーーッ!!」

 

召喚獣が右拳を構えて力を溜める。そして……。

 

「オラアァーーーーーッ!!!!!!」

 

ドゴォーーーーー!!!!

 

流星の如くBクラスの部隊に召喚獣を突っ込ませる。Bクラスの召喚獣はボーリングのピンの様に散り散りに弾き飛ばされた。

よし!点数が低いから大したダメージは与えられないけど、敵部隊の戦力を分散させる事は出来た。気休め程度には成る筈だ。

この隙に……。

 

「姫路さん、どうかしたの?」

 

姫路さんに声を掛ける。今日の姫路さんは明らかに様子がおかしい。この原因をはっきりさせない事には動きが取れない。

 

「そ……その……な、何でも無いですッ!」

 

そう言って姫路さんは首を大きく左右に振るが、その動きから何か有るのは見え見えだ

「そうは見えないよ。何か有ったなら話してくれないかな?」

 

「ほ、本当に何でも無いんですッ!」

 

そう言って気丈に振る舞おうとする姫路さんだが、その顔は今にも泣きそうな表情をして居る。絶対におかしい。

 

「右側出入口ッ!教科が現国に変更されましたッ!」

 

「数学教師はどうしたッ!?」

 

「Bクラス内に拉致された模様ッ!」

 

クソッ!右側迄Bクラスの得意とする文系科目に替えられてしまったッ!

 

「私が行きますッ!

そう言って戦線に加わろうと姫路さんが駆け出す。でも……。

姫路さんは足を止めて俯いてしまった。

何だろう?何かを見て動けなくなったみたいだけど……。

姫路さんが見た方向に目を向ける。其処には窓際で腕を組んでこちらを見下ろすBクラス代表、根本君の姿が……。

根本君がどうかしたのだろうか?

目を凝らして良く見ると、彼は何かを手に持っている。

 

「ーーーッ!」

 

あれはッ!三日前の放課後に姫路さんが恥ずかしがって僕から隠した封筒ッ!

 

「……野郎……。」

 

昨日の協定の話を聞いた時からおかしいとは思っていた。あの根本君がそんな対等な条件を提案して来るなんて。

昨日僕達の教室を荒らしたのも、おそらく探していたんだろう。姫路さんを無力化する為の『何か』を。そして彼はあの封筒を見つけた。その上で僕達Fクラスにあの協定を持ちかける。姫路さんが参加出来ない以上、あの協定はBクラスにとって圧倒的に有利な条件となるからだ。

成程。合理的かつリスクも無い……だがゲスな作戦だッ!

 

「姫路さん。」

 

「は、はい……?」

 

「具合が悪そうだから、余り戦線には加わらない様に。試召戦争はこれで終わりじゃないんだから、体調管理には気を付けて貰わないと。」

 

「……はい……。」

 

「じゃ、僕は用事が有るから行くね。」

 

「あ……!」

 

姫路さんは何か言いたげだったけど、僕は気にせずFクラスに向けて歩き出す。大事な用が出来たから……。

少し歩いた所で足を止めて、僕は先程姫路さんが見ていた方向に向き直る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てめーはこの吉井明久が直々にブチのめす。」

 

相変わらず不敵に戦況を見下ろす根本君に向けて僕は呟いた。

 

 




今回はここまで。
ss書くのってマジで難しいな。
コンスタンスに書いてる人マジで尊敬するぜ。
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