オレとギターとstardust   作:恥知らずの奥村悠時

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ep17.怒りを叩き込め!②

〈場所は変わってDクラス〉

 

「現国教師、岸本飛呂文が召喚を許可するッ!」

 

高らかにそう告げると岸本先生は僕達から少し距離をおいた。

 

良しッ!これで召喚が出来るッ!

 

「「試獣召喚ッ!」」

 

僕と丈也の呼び掛けに応えて現れる二体の召喚獣。『観察処分者』として雑用をやっていた時はただ面倒なだけだったけど、今はその肩書きに感謝している位だ。

 

「「……。」」

 

召喚をした後僕と丈也はある一点を見つめて居た。僕達二人の視線の先にあるのはDクラスの教室の壁……。

 

「アキ、東城。時間が無いわよ。」

 

美波が壁に掛けてある時計を見上げて告げる。

現在時刻は午後二時五十七分。作戦開始迄後三分。

 

「さあて……。」

 

ボキボキ

 

「グレートに……。」

 

「「ブチかますぜッ!」」

 

 

 

 

side 雄二

 

「お前等いい加減諦めろよな。昨日から教室の入り口に集まりやがって。暑苦しい事この上ないぜ。」

 

根本が 憎たらしい口調で吐き捨てる。現在俺達Fクラスの本隊はBクラスの教室前で根本率いるBクラスの本隊と対峙していた。

ったく……。明久が『姫路を戦闘から外してくれ』何て言うから、本隊を動かすハメになっちまったぜ。

 

「どうした?軟弱なBクラスの代表サマはそろそろギブアップか?」

 

「はァ〜〜〜〜〜?ギブアップすんのはソッチだろォ〜〜〜〜〜?」

 

「無用な心配だな。」

 

「そうか?頼みの綱の姫路さんも調子が悪そうだぜェ〜〜〜〜〜?」

 

ーーーーーッ!コイツは……姫路が戦闘に参加していない事を知っているッ!まさかコイツッ!姫路に何かしているのかッ!?そして明久がその事を知っていたとしたら……。だとしたら全ての辻褄が合う!明久の奴、全部話してくれてりゃあもうちょっとマシな作戦考えたのによォ……。ま、アイツらしいっちゃアイツらしいが……。

 

「お前等相手じゃ役不足だからな。休ませておくさ。」

「ケッ!口だけは達者だな。負け組代表さんよォ〜〜〜〜〜?」

 

「『負け組』か。ソレがFクラスの事なら、もう直ぐお前が『負け組』代表だな。」

 

「ケッ!言ってろ。どうせもう直ぐ決着だ。お前等ッ!一気に……。」

 

「ちょっと待って代表。」

 

 

突撃の号令を掛けようとした根本の言葉を近くに居たBクラスの女子が遮った。

 

「あ?どうした?」

 

「……何か……聞こえない?」

 

「あぁッ?何かって何だよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『 …………ォ……ォ……ォォ…………。』

 

「……その……何て言うか……遠くから聞こえて来る様な……段々近付いて来る様な……。」

 

『 …………オラ……オラ……オラオラ…………。』

 

どうやら始まったみたいだな。

 

「ーーーーーッ!『壁』だ!『壁』の中から聞こえるぞッ!」

 

一人の男子生徒が気付いた様だがもう遅い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「東城、明久。後は任せたぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウオオォーーーーーーーーッ!!!!!」

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラッ!!!!!」

 

ボゴボゴボゴボゴボゴボゴ

 

「なッ!?何だァーーーーーッ!?」

 

Bクラスの教室の壁に巨大なヒビが入り、そして……。

 

「「ドッッッラアアアァーーーーーーーーーッッッ!!!!!!!!!」」

 

ボゴオオォーーーーーーッ!!!!!!

 

豪快な音を立てて、Bクラスの壁が破壊された。

 

side 岸本

 

「なッ!?何イイィーーーーーッ!?」

 

「「『観察処分者〈俺(僕)達〉』を良ォ〜〜〜〜〜く覚えておけよッ!!!」」

 

崩れた壁の向こう側で素っ頓狂な声を上げる根本恭二に高らかに告げる二人の『観察処分者』。

 

Bクラスの戦力の殆どはFクラスの本隊と戦うべく教室から出ている。敵の主戦力は出払い、根本も防備は薄い。この好機を逃せば彼等Fクラスに勝ち目は無い。

 

「くたばれッ!根本恭二イィーーーーーッ!」

 

呆気に取られている根本に吉井達が勝負を仕掛けようと駆け寄る。だが……。

 

「岸本先生ッ!Fクラス島田が……。」

 

「Bクラス山本が受けますッ!試獣召喚ッ!」

 

「クッ!近衛部隊かッ!」

 

未だ教室に残って居た根本の近衛部隊がその行く手を阻む。彼等Fクラスの奇襲部隊と根本との距離は約20メートル。Aクラス程では無いがBクラスの教室は広い。その性で随分と距離がある。教室の壁を壊して奇襲を仕掛けると言う作戦……。中々に面白い作戦だと思ったが、どうやら失敗に終わった様だな。時間の無駄だったか。

 

「は、ははッ!驚かせやがってッ!チョイとでも俺に適うと思ったのか!?マヌケがァーーーーーッ!「次にお前は『 残念だったな。お前等の奇襲は失敗だ。』と言う。」 残念だったな!お前等の奇襲は失敗だッ!……ハッ!」

 

ーーーーーッ!『東城丈也』……コイツ……今根本のセリフの先読みをッ!それより何だ!?自身に満ちたコイツの表情はッ!?

 

周りを近衛部隊に囲まれその上点数に勝ち目が無い以上、彼等に切り抜ける術は無い筈………。

 

「四月だってのにこんなクソ暑い日に『エアコン』も付けずに『窓』全開とは、てめーら随分とエコに熱心だな。それとも『エアコン』の調子でも悪かったのか?」

 

『エアコン』……?『窓』を全開に開ける……?

 

ダンッダンッ!

 

突如屋上より伸びたロープを伝って二人の生徒と教師が飛び込み、根本の前に立ち塞がったッ!

 

体育教師を連れて飛び込んで来た生徒は……。

 

「……Fクラス、土屋康太。」

 

「き……キサマは!!まさかッ!」

 

「Bクラス根本恭二に保健体育勝負を申し込む。」

 

まさかッ!?本当の刺客はコイツ……土屋康太ッ!壁を壊して奇襲を仕掛ける作戦さえも囮だったとでも言うのかッ!?

 

「ムッツリィニィーーーーーッ!!」

 

吉井達に近衛部隊を引き付けられ丸裸になった根本。最早逃げ場は無い。

 

「……試獣召喚ッ!」

 

土屋の呼び掛けに答えて真っ黒な甲冑を身に纏い、剣を背負った召喚獣が現れる。

 

『Fクラス      土屋康太      441点』

 

『Dクラス      根本恭二     203点 』

 

土屋の召喚獣は手にした剣を一閃し、一撃で根本を切り捨てたッ!

何て事だ!知略を用いて強敵を打ち破ると言う本は僕も読んだ事が有る。しかし所詮はフィクションッ!ソレを目の当たりに出来るなんてッ!

凄い……凄いぞ2年Fクラス!最高だッ!面白いッ!僕は小説家として最高の『ネタ』を掴んだぞッ!

 

 

 

 

side jojo

 

「jojo、随分と思い切った行動に出たのう。」

 

戦闘終了後、Bクラスにやって来た秀吉に、先ず最初にこんな事を言われた。

 

「作戦を考えたのは明久だよ。あ〜〜〜。痛え……。」

 

100%全てが返る訳じゃ無いとは言え、素手で鉄骨の壁をブッ壊したんだ。手が痛くてしょうがねえぜ。

 

「岸本先生……。こんな無茶苦茶な作戦に付き合わせてしまってすいません。」

 

当の本人である明久は立ち会い人の岸本先生に頭を下げていた。

俺と同じ位壁ブッ叩いたってのにケロッとしてやがるぜ。

 

「いや、良いよ。中々に面白い体験をさせて貰った。多少は職員会議で叩かれるだろうが、もう慣れっ子だよ。まあ、君達もタダでは済まないだろうがな。」

 

岸本先生の言う通り学校の壁を破壊する何て、問題にならない筈が無い。放課後職員室に呼び出し食らうだろうな……。

 

「さて。用も済んだ事だし、僕は職員室に戻るよ。」

 

そう言って岸本先生はその場を後にした。

 

「それじゃ、嬉し恥ずかし戦後対談と行くか。なあ?負け組代表さんよ?」

 

「……。」

 

床に座り込んで悔しそうな顔の根本に坂本が告げる。さっき迄とは打って変わって借りて来た猫の様に大人しい。

「本来なら設備明け渡して貰い、お前等に素敵な卓袱台をプレゼントする所だが、特別に免除してやらん事も無い。」

坂本の発言に周囲がざわつく。

 

「落ち着け、皆。前にも言ったが、俺達の目標はAクラスだ。ここがゴールじゃあ無い。」

 

「うむ。確かに。」

 

「此処はあくまで通過点だ。だから、Bクラスが条件を呑めば解放してやろうと思う。」

 

「……条件は何だ?」

 

力無く根本が問う。

 

「条件?ソレはお前だよ。負け組代表さん。」

 

「俺……だと……?」

 

「ああ。お前には散々好き勝手やって貰ったし、去年から目障りだったんだよな。」

 

酷ぇ言い様だが、根本はそれだけの事をやって来ている。周りの奴等が何のフォローをしない所を見ると、コイツの人望の無さが伺えるな。

 

「其処でお前等Bクラスに特別チャンスだ。Aクラスに行って、試召戦争の準備が出来ていると宣言して来い。そうすれば今回の設備については見逃してやらんでも無い。但し、宣戦布告はするな。すると戦争は避けられないからな。あくまでも戦争の意思と準備だけあると伝えるんだ。」

 

「……それだけで良いのか?」

 

疑う様な視線の根本。当然それだけで済む筈が無い。

 

「いや。お前にはもう一つペナルティを受けて貰う。」

 

「ペナルティ?」

 

「そうだ。それじゃ、お膳立てはしてやったからな。明久、後は好きにしろ。」

 

「解った。ありがとう雄二。」

 

坂本に礼を言うと明久は根本に向き直った。

 

「……さて、根本君……。」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

「……ヒッ!」

 

凄味を効かせて仁王立ちする明久を見て根本が小さく悲鳴をあげた。この表情……明久の奴完全にプッツン来てやがるぜ!

「随分と好き放題やってくれたみたいだね?教室の設備を荒らすだけで無く、まさか『あんな事』迄してくれるなんてね……。君……『覚悟して来てる人』……だよね?人に『あんな事』をするって事は、それ相応の『報い』を受けるかもしれないと言う危険を常に『覚悟して来ている人』って訳だよね?」

 

「……何の話し……ハッ!」

 

何かに勘付いた根本が制服の内ポケットに手を突っ込んだ。

「近付くんじゃあねーぜッ!それ以上近付いたらコイツを此処で読み上げて「オラァーーーッ!」ブギャッ!」

 

根本が内ポケットから何かを取り出そうとした瞬間、明久が根本の顔面を殴り飛ばしたッ!

 

「未だ自分の立場が解っていないみたいだね。」

 

「ヒイィ〜〜〜〜〜ッ!も、もうやめちくれ〜〜〜ッ!は……ハガのフニが折れちまったァ……歯も何本かブッ飛んだよォ〜〜〜〜〜。ほ……ほんの出来心だったんだァ〜〜〜〜。許して下さいィ〜〜〜〜〜ッ!」

 

ペコペコと頭を下げて許しを買う根本。

 

「『許してくれ』か……。しかしてめーは目的の為に女の子を利用すると言う……つまり『男』としての『領域』をはみ出した……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「駄目だね……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラアァァァーーーーーーーーッ!!!!!!!!」

 

「ドベェーーーーーッ !!!!!!!!」

 

明久は根本の髪の毛を引っ掴むと顔面をボコボコにぶん殴ったッ!

え……えげつねェッ!

坂本も若干引き気味の顔をしてやがる……。

 

「……あった……。」

 

グッタリと伸びる根本の制服の内ポケットから明久は何かを取り出すと、ソレを大事そうに自分の内ポケットに仕舞い込んだ。

 

「それじゃあ用が済んだから、僕はもう行くね。」

 

そう言い残して明久はその場から立ち去った。

 

「あ……ああ……。さ……さて根本……。」

 

グイッ

 

「アバ〜〜〜〜〜。」

 

まるでボロ雑巾の様にされた根本の首根っこを掴みあげる坂本。

 

「Aクラスに試召戦争の準備が出来ている事を伝えて来て貰おうか。」

 

「ま……まさか今直ぐに行かせたりしないよね…………?重症患者だよォ〜〜〜?鼻も折れてるし、顎骨もハリガネで繋がなくちゃあ……ハハハハハハ…………。」

 

下位クラスが上位クラスに宣戦布告に行けばタダでは済まされ無い。オマケに宣戦布告をするのでは無く戦いの意志が有る事を告げる訳だから余計に印象が悪い。挑発をする様な物だ。 相手クラスの奴等から袋叩きにされるのは目に見えてる。誰だってボコボコにぶん殴られた後にそんな目に会いたくは無いだろうからな。

 

「そのまさかだ。ほら、キリキリ歩け!お前等、コイツが逃げ出さない様Aクラスの教室前で見張るぞッ!」

 

「鬼ィ〜〜〜〜〜ッ!悪魔ァ〜〜〜〜ッ!お前等ァ〜〜〜〜〜、誰か助けてくれ〜〜〜〜〜ッ!」

 

無慈悲に根本に告げると坂本は根本を引きずって行った。他の奴等も坂本の後にゾロゾロと着いて行く。

はあ……これ以上此処に居てもしょうがねえな。教室に戻るとするか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ほわぁ〜〜〜〜〜ッ!?』

 

教室の前に着いた所で明久の声が聞こえて来た。何だ?

そっと扉の隙間から覗き込むと……。

 

「あ……ありがとう……ございます。わ、私……ずっと……どうしたら良いか、分かんなくて……。」

 

「と、兎に角落ち着いてッ!泣かれると僕も困るよッ!」

 

「は、はい……。」

 

……何だよ良い雰囲気じゃねえか。これ以上此処に居るのは野暮ってヤツだな。屋上か保健室で寝るか。

東城丈也はクールに去るぜ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『根本恭二  Aクラスに戦争の意志を伝えに行き木下秀吉の姉、木下優子にボコボコにされる。』

 

『吉井明久  BクラスとDクラスの間の壁を破壊すると言う作戦を計画した首謀者として放課後職員室に呼び出された。』

 

『東城丈也 この後屋上で寝た。』

 

 

 

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