書きだめてたのをウッカリ決してしまい書き直す羽目に……orz
side jojo
Prrrrrrrrr
「お電話ありがとうございます。『Studio・ Purple Haze』です。」
「すいません。今週の日曜日の昼3時から2時間予約を入れたいんですが……。」
Bクラスとの戦いを終えた夜、俺はスタジオに予約の電話を入れていた。他のメンバーの予定は予め確認済みだ。
「ありがとうございます。そのお時間でしたらBの部屋かDの部屋が空いております。」
マジか。結構埋まってんな。
「出来ればキーボードの有る部屋が良いんですが……。」
「少々お待ち下さい……。お待たせしました。Dのお部屋にキーボードがございます。」
「じゃあDの部屋で。」
「かしこまりました。失礼ですがご予約のお客様のお名前をお伺いしても宜しいでしょうか?」
「東城条也です。」
「ありがとうございます。では今週の日曜日の午後3時から2時間、東城条也様で予約を入れておきます。」
「ありがとうございます。」
プツッ
良し。後は他の奴らに日取りと時間の連絡を送るのみだ。
『スタジオの予約入れた。場所は駅前の〈 Studio・ Purple Haze 〉。時間は昼3時。必ず5分前には来い。』
これで良しと。当日が楽しみだぜ。
そして試召戦争もAクラス戦を残すのみ。愛子には悪いが学園最高の設備を手に入れて、最高の気分でスタジオの日を迎えさせてもらうぜ。
「まずは皆に礼を言いたい。周りの連中には不可能だと言われていたにも関わらずここまで来れたのは、他でも無い皆の協力が有ってのお陰だ。感謝している。」
翌日の朝、壇上に立った坂本が驚く程素直に礼を言った。
「お、おい坂本どうした?熱でも有るのか?」
「いや、頭はちゃんとしてる。これは偽らざる俺の本心だ。ここまで来た以上、絶対にAクラスに勝ちたい。勝って、生き残るには勉強だけじゃ無いって事実を教師共に突き付けるんだッ!」
『おおーーーーーッ!』
『そうだーーーーーッ!』
『勉強だけじゃねえんだーーーーーッ!』
坂本の言葉にクラス活気付くFクラス一同。最後の戦いを前にして皆気合い十分って感じだ。
「皆ありがとう。そして残るAクラス戦だが、これは『一騎打ち』で決着を着けたいと考えている。」
「雄二。一体誰と『一騎打ち』で戦うつもり?って言うか本当にそれで勝てるの?」
坂本の発言に明久が疑問を投げかける。そう言えばコイツは先日坂本がこの話しをした時用事が有るとかで居なかったな……。
「やるのは当然、俺と『翔子』だ。」
『霧島翔子』。去年1年間学年トップを独走し続けていた化け物みてえな女だ。確かにアイツなAクラス代表の座に着いていてもおかしく無い。そしてクラス間の戦争を代理でやるとなれば、代表同士の『一騎打ち』は当然と言えば当然当然だろう。
しかし坂本はどうやって霧島に勝とうってんだ?
「オイオイ坂本ォ。相手はあの『霧島翔子』だぜ?『一騎打ち』なんかして本当に勝てるのかよ?」
「お前の言う通り、確かに翔子は強い。まともにやり合えば勝ち目は無いかもしれない。だがソレはBクラス戦もDクラス戦も同じだった筈だ。今回だって同じだ。俺は翔子に勝ち、Aクラスの教室を手に入れるッ!俺を信じて任せてくれッ!過去に『神童』とまで言われた力を、今皆に見せてやるッ!」
『おおぉーーーーーッ!!!!』
「さて、具体的なやり方だが、『一騎打ち』では『フィールド』を限定するつもりだ。」
「『フィールド』?何の教科でやるつもりじゃ?」
「『日本史』だ?」
「『日本史』?霧島は『日本史』が不得意科目なのか?」
「いや、翔子に『弱点』は無い。内容を限定する。レベルは小学生程度、方式は百点満点の上限有り、召喚獣勝負では無く純粋な点数勝負とする。」
満点の上限有りって事はミスした方が負ける……つまりは注意力勝負になるって訳か。確かに正面切って霧島にぶつかるよりは勝ち目が有るかもな。
「でも、同点だったら、きっと延長戦だよ?そうなったら問題のレベルも上げられちゃうだろうし、ブランクのある雄二にはキツく無い?」
「確かに明久の言う通りじゃ。」
「オイオイ、あまり俺を舐めるなよ?いくら何でも、そこまで運に頼った戦い方はしないさ。」
「?なら霧島さんの集中力を乱す方法でも知ってるとか?」
「いや、アイツなら集中なんてしていなくとも、小学生レベルの問題なら何の問題も無いだろう。」
なるほど。確かに『弱点』は無いな。それなら尚更どうやって坂本は霧島に勝つつもりだ?
「坂本ォ、あんまり焦らすなよ。いい加減ネタばらしをしてくれても良いだろうが。」
「ああ、済まない。前置きが長くなった。俺がこのやり方をとった理由は一つ。『ある問題』が出れば、アイツは確実に間違えると知っているからだ。」
『ある問題』だと?
「その問題は……『大化の改新』。」
「『大化の改新』?誰が何をしたか説明しろとか、そんなの小学生レベルの問題で出てくるかな?」
明久の言う通りそんな複雑な問題が小学生レベルのテストで出てくるとは思えない。
「いや、そんな掘り下げた問題じゃ無い。もっと単純な問題だ。」
「単純、と言うと……何年に起きたか、とかかのう?」
「おっ、ビンゴだ秀吉。お前の言う通り、その年号を問う問題が出たら、俺達の勝ちだ。」
「『大化の改新』の年号って言えば……確か『虫の息』で641年だっけか?」
「jojo……『大化の改新』が起きたのは『虫の声』で645年じゃぞ。」
チッ!惜しかったか。
「東城……こんな簡単な問題、明久ですら間違えないぞ。」
「御願い……僕を見ないで……。」
明久……お前どんな間違え方したんだ?
「兎に角、この問題が出れば翔子は間違える。これは確実だ。そうしたら俺達の勝ち……晴れてこの教室とはおさらばって寸法だ。」
坂本は自信満々にそう言った。しかしどうしてそんな事が言い切れるんだ?
「あの、坂本君?」
何か思う事が有ったのか姫路が口を開いた。
「ん?何だ姫路?」
「霧島さんとは、その……仲が良いんですか?」
そう言えば坂本は霧島の事を『アイツ』とか『翔子』とか呼んでたな。ひょっとして坂本は霧島と知った仲なのか?いやまさかな。『悪鬼羅刹』の二つ名で知られたあの坂本が才色兼備で有名な霧島と知り合いの筈が……。
「ああ。アイツとは幼馴染みだ。」
ーーーーーッ!マジかよッ!?召喚獣も月までブッ飛ぶこの衝撃……そう思った瞬間……。
「総員、狙えぇーーーーーッ!!!!」
明久の号令と共にFクラスの男子全員が坂本に向かって上履きを構えたッ!
「なッ!?何故明久の号令で皆が俺に上履きを構えるッ!?」
「黙れ、男の敵ッ!Aクラスの前にキサマを殺すッ!」
「俺が一体何をしたとッ!?」
どうやら明久を始めとする我等がFクラスの男子共は、坂本が霧島と幼馴染みと聞いて坂本に怒りと嫉妬の炎を燃やしている様だ。はぁ……こう言う時だけの団結力はスゲェな……。
「遺言はそれだけか?……待つんだ須川君。靴下は未だ早い。ソレは押さえ付けた後に口に押し込む物だ。」
「了解です隊長。」
「あ、あの……吉井君……。」
殺気立っている明久におずおずと姫路が声をかける。
「ん?何、姫路さん?」
「吉井君は霧島さんが好みなんですか?」
「そりゃまあ美人だし……。」
「……。」
明久の発言に悲しそうな顔をして姫路が俯いた。オイオイ明久よぉ……。昨日あんだけイイ感じだったのにソレは無えだろ……。
そう思った瞬間……。
「教卓だアァーーーーーッ!!!!!」
ドグオオォンッ!!!!
「うわあぁぁーーーーーッ!!!!!」
教卓を抱えた島田が明久の頭上に降って来たッ!間髪の所でソレを避ける明久。
「イタタ……なッ!?何するんだよ美波ッ!?危うく大怪我する所だったじゃないかッ!」
「黙れッ!この鈍感ッ!タマナシヘナチンッ!」
「まあまあ、落ち着くんじゃ皆の衆。」
パンパンと手を叩いて秀吉がその場を取り繕う。こんな状況なのに冷静だ。
「む。秀吉は雄二が憎くないの?」
「冷静になって考えてみるが良い。相手はあの『霧島翔子』じゃぞ?男である雄二に興味が有るとは思えんじゃろうが。」
「……あ、そっか。」
「寧ろ、興味が有るとすれば……。」
Fクラス一同の視線が姫路に向かう。
「な、何ですか?もしかして私何かしましたか?」
皆の視線に困惑する姫路。『霧島翔子』はそのツラの良さから一年の頃から男子からの告白が絶えなかった……が、奴はその告白を軒並み断っていたと言う。その事から霧島はレズビアンでは無いかと言う噂がまことしやかに囁かれている。秀吉の言う通り姫路に興味を持っている可能性は十分に考えられるな。
「兎に角、俺と翔子は幼馴染みで、小さな頃に間違えて嘘を教えていたんだ。アイツは一度覚えた事は忘れない。だから、今学年トップの座に居る。」
つまりそれが今回は仇に成るってのが坂本の考えか……。
「俺はソレを利用してアイツに勝つ!そうしたら俺達の机は……。」
『システムデスクだッ!!!!!』
坂本の言葉に呼応する我等Fクラス一同。皆坂本の作戦に勝利を確信している様だ。しかし……。
「さて、そうと決まればAクラスに宣戦布告に行くぞ。姫路、明久、秀吉、ムッツリーニ、それから東城。Fクラスの首脳陣として一緒に来てくれ。」
何だ?……何かが引っかかる……。一体何なんだ?この『違和感』は……。
「……ォ……jojoよ。」
気付くと秀吉が俺に声を掛けていた。
「ん?どうした?秀吉。」
「どうしたもこうしたも、おぬしもFクラスの首脳陣の一人として宣戦布告に呼ばれたのじゃぞ?」
「あ、ああ悪い……。チョイと考え事をな。」
モヤモヤした気持ちを後に俺は秀吉と共にAクラスへと向かった。
この『違和感』の正体をはっきりさせなかった事を、俺は後々後悔する事と成る……。