俺たちは、ビエールを部屋へと案内している。
「ここがあなたの部屋よ。」
「そうかい。礼を言っておくよ。ありがとう」
ビエールはそう言うと部屋に入って行った。
この屋敷の廊下は、アルファベットのTを逆さにしたような形をしている。
部屋はそれに沿うようにして位置されてある。
ビエールの部屋はアルファベットのTの横の棒の真ん中の部屋のある。
とまあ、そんなことをぼんやりと考えながら俺は階段を降り自室へと向かっていく。
......のだが。
「なんでパルメスまでついて来てるんだ...?」
すると、パルメスは少し怒ったような悩んでいるようなよくわからない顔をしながら答える。
「そりゃあもちろんあのビエールとかいう男が怪しいからあんたの部屋にいるコーンに聞きに行くからよ。何か知ってそうでしょ?」
確かに。こういう魔法のような謎なことはあいつが詳しい気がする。
「じゃあ聞いてみるか。」
部屋に着き、ドアを開けると、そこには昼ご飯の用意をしているコーンがいた。
「───おかえり〜。どうだった〜?」
そう言いながらコーンがパルメスがいることに気づいたのか、コーンが4人分の椅子が置いてあるテーブルへと移動する。
俺とパルメスも自然にそのテーブルへと移動する。
俺とパルメスがテーブルに座ったのを確認すると、再びコーンが口を開いた。
「パルメスちゃんがここにいるって事は何かあったのかい?」
「ええ。新しい住人がここに来たのよ。それも厄介で、私が姿を隠したつもりなのにあいつにはバレていたのよ。」
そのことについては俺も気になったことがあったので言ってみた。
「あ、そういや俺も見えてたぞ。」
「ええ!?じゃあ、あいつは人の能力の効果を消すことができるっていうの!?」
そう、パルメスが驚いたように言う。
「話は大体わかったよ。それでビエールのことだけど....あまりよくわからないね。そもそもパルメスちゃん以外にもそういう能力を使える人がいるって聞いた事もないしね。」
それを聞いたパルメスが少しがっかりしたように言う。
「そっか.....。」
そこで、コーンがでも、と言って話を続ける。
「一回試しにパルメスちゃんが姿を消そうとしてみて〜。」
パルメスはわかったと言うと姿を消そうとする。
───俺とコーンの視線がパルメスへと向く中、パルメスは姿を消したようだった。
のだが、みえている。
「パルメス..見えて──クシュン!」
俺が姿が見えていることを伝えようとした時、いきなりくしゃみが出た。
くしゃみが出るとその反動で目を瞑ってしまう。
くしゃみが収まり、目を開ける。
が、パルメスが見えなくなっていた。
「翔くん、大丈夫かい?」
「お、おう。それより、パルメスが見えなくなったんだけど...」
俺がそう言ったことに驚いたように、コーンが言う。
「え?嘘?僕には見えているんだけど....?」
「俺もさっきまで見えてたんだけどくしゃみしてから急に見えなくなったんだよ。」
そのことをコーンに伝えると、しばらくの間考え込む。
「あ、わかった!パルメスちゃんが姿を消す前からパルメスちゃんをみてれば見えるんだよ!」
姿を消すのをやめたらしいパルメスがそのことに興味を持ったらしく、そのことについて聞く。
「なるほどね...。じゃあもしそうだとしたらビエールは私のことがわかったのかしら?」
「それなんだよね...。でも、ビエールがパルメスちゃんのことを最初から知っていたんじゃないかな?」
思うことをコーンがパルメスに質問する。
「いや、それはないと思うわ。だってビエールは私のことなんか一度も見てなかったんだもの。」
そのパルメスの答えにまたしばらくコーンが考え込む。
たっぷり数十秒考えた後、これで謎が解けた!というように、俺とパルメスに話しかける。
「わかったよ!二人共!ビエールがこっちを向いていなかったのなら話は簡単じゃないか!」
そして、一拍おいてまた話し出す。
「パルメスを見るには姿を隠す前から見なければならない。そしてビエールはパルメスちゃんを一度も見ていない。つまり、ビエールの能力はパルメスちゃんの気配に気付くか、もしくは別の視点、つまり他のところでパルメスちゃんを見ておかなければならない。前者はパルメスちゃんを見ていないから無理。つまり答えは消去法で別の視点でパルメスちゃんを 見るしかない!」
コーンが一気に言った答えは、屋敷中に響いた気がした。