幻想偽善録   作:26tg

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今回は生存報告をかねての投稿です。恭弥の能力についてのことを小出ししています。


第二話 人里への道中散歩Ⅰ

霊夢らと別れた九条。さて、今何をしているかというと……

 

 

 

 

黒服の幼女にご飯を作っていた。

 

 

 

(どうしてこうなってんだっけか……)

 

 そうなったいきさつは、霊夢らと分かれてから大体一時間くらい徒歩で歩いていたときまで遡る。実を言うと、霊夢との戦闘時に使用した身体強化には結構なデメリットが存在する。それは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。リミッターを外して動かしたから当然の結果だ。そのおかげで話すことは出来ても、体はほぼ動かない。ついでに、使用の基点である『影』は使えなくなる始末。他の異能で痛覚を誤魔化してはみるが、そもそも動かしすぎてこうなっているのだ。下手に無理に動こうとすれば障害が残りかねない。出来れば治るまでは動きたくない。まあ、木にもたれかかれているからあまり支障はないのだが……

 

 

 

「ねえ、おにーさん。なにしてるの?」

 

「……君こそなぜこのような所で何をしている?いや、すまない。君は人食い妖怪のようだな」

 

「‥‥あれ?ばれた?凄いね」

 

「これでも、そういったことには長けている。して、君は私が食いたいのか?」

 

「そうだよ、あなたは食べてもいい人?」

 

「あいにくと、今は無理だ。筋肉痛を起こしていて肉が強ばっていて硬くなっている。出来ればどこか休めるところは無いかね?」

 

それにしても、ここまで近くに来られなければ種族の判別が出来ないとは、相当体にキているようだな。(普段は数キロ単位で種族判別が出来るレベルの範囲と精度がある)

 

「教えたら食べさせてくれるの?」

 

「痛みが取れるのを待ってくれるならね。動けないから運んでもらえるかい?」

 

「わかったわ。引きずるけどいい?」

 

「構わないよ。ソリ位なら作成できるからそれに乗せてくれ」

 

「はーい」

 

この子は素直だな。まともに食えているのか心配になりそうだ。まあ、それよりまずは人里に運んでもらわねば。

 

「出来たよ。乗せてくれ」

 

「ん、」

 

よいしょ。そんな声で少女は俺をソリに乗せる。こんな子を頼らなければならないとは全くもって不甲斐ないな。

 

「どこに行くの?」

 

「人里に」

 

「ごめん入れない」

 

知ってるよ。だから‥‥

 

「門に投げつけてくれ」

 

「というか、それだと私が貴方を食べれないじゃない」

 

「気づいたか。なら君のアジトでいい。自慢の料理を披露しよう」

 

「‥‥美味しい?」

 

「美味しい」

 

「アジトに案内するわ!」

 

食いしん坊だったようだな。着く頃には筋肉痛も直るだろう。

 

「着いたわよ。ここが私のアジト、いい眺めでしょ。」

 

「ああ、いい眺めだ。人里も見えるしいい場所だ」

 

でしょ?といい笑顔で頷く少女。さて……()()()()()()()()()。さっきから本当にお腹が空いているのかウズウズされてて正直怖い。早急に何か作らねば。何にしようか。うーん。

 

「なあ、何かメニューの要望はあるかい?」

 

「生で」

 

「寄生虫でもいたら、暫く腹痛でエグいことになるよ」

 

「じゃあ焼いて」

 

「何を焼く?」

 

「貴方を」

 

「もっとうまい肉知ってるけど」

 

「ホント?」

 

「ああ、喰ってみたくないかい?」

 

「食べる」

 

 さて、ここで回想は終わる。

了解、そう答えた俺は影の中に収納している食料の中から安めのステーキ肉を引っ張り出した。シャリアピンステーキ丼でもつくるかと考えて道具をあらかた一式取り出していく。その場に無かったので簡易的な釜戸を突貫工事で作り、ミネラルウォーターでこめは炊くとしよう。彼女はキラキラした目でその光景を見入っている。レシピさえあれば何でも作れる程度の腕があって本当に良かった。

 

しばらくして……

 

ご飯は炊けたし、叩き梅を混ぜて大碗に盛り付けて……焼いたステーキを乗せてソースかけて……よし、完成だな。

 

「出来たよ。シャリアピンステーキ丼だ。おかわりも用意できるから食べてみるといい」

 

 いただきますっ!合掌をして食べ始めた彼女は一分くらいです〇やの大盛りクラスを食べきった。彼女はそこから二杯も食べてくれた。少しおなかがぽっこリしている。俺は自分の分をよそって食べ始める。味を聞いてみると今までで一番おいしかった!と返ってきた。そのまま彼女はコロンと寝転がりすやすやと眠る。食べ終わった俺は洗いものを済ませ、毛布を取り出す。それで少女を包み、テントを組み立てて中に入れてやる。蚊取り線香も焚いておくとするか。俺か?もうひとつテントをたててその中で寝るさ。事案発生とか洒落にもならない。人里はまた明日だな。そういえばあの子の名前、聞いてないな。『幻』を使って夢でも覗いてみるか。ま、まずは寝てしまおう。今日は疲れた。

 

「おにーさん。朝になったけど、おーい」

 

ゆさゆさ。ゆさゆさ。彼女に揺さぶられて起こされる。疲れて『幻』を使いそびれたようだ。

 

「ふあ?あー、おはよう。今何時?」

 

「辰の刻だね」

 

「八時か。朝ごはんでも作ろうか」

 

「いいの?」

 

「そうしなければ俺は君に喰われかねないだろう?」

 

予定は大幅に狂ったが、まあいいか。妖怪とはいえ子供だ。放置するのは気が引ける。

 

「そうだね。作ってくれなきゃ食べちゃうぞー」

 

 とはいっても俺は純粋な人ではないから味は保障しないがね。ええー。などという掛け合いをしながら梅と塩昆布を使ったお茶漬けと焼いた煮干とかを並べてみる。

 

「昨日みたいなご飯がいい。」

 

「朝くらいは軽めにさせてくれないか?自炊とはいえ昨日の食事はそれなりに金がかかる食事だ。そう何度も作っていては破産してしまう」

 

「そうなんだ」

 

「そうなのです」

 

これ結構おいしいね。昨日のご飯がいい感じに冷めてるから尚更おいしいなぁ。そんな感じで一時間くらい世間話をしながら食べ進める。そうそう、彼女はルーミアという名前だそうな。後思ったが俺の索敵は初見だと名前まで分からないことに気が付いた。今後の改良点である。

 

「あ、おにーさん」

 

「なんだい?ルーミア」

 

「時々ここに来るなら逃がしてあげてもいいよ?」

 

「それは有難い。では来る間隔を決めようか。少しまってね」

 

俺は()()()能力を起動する。

 

「出来たよ、ルーミア。契約書だ」

 

「契約書?」

 

「ああ、約束を紙に書いて分かりやすくしたものだよ」

 

「へー。で、これをどうするの?」

 

「ルーミア。君は読み書きはできるか?」

 

「ううん。読むのが限界」

 

「そうか。拇印だけ君のにして名前は俺が代筆しておこう」

 

話し合った結果、俺がここに来るのは三日ごとということになった。

そして、ルーミアには俺の能力の詳しい説明をしておいた。面白い能力、それが彼女からの感想だった。そして俺はこの世界で最初の契約を結んだ。

 

契約書(内容)

契約者:九条恭弥

契約主:ルーミア

契約内容:三日ごと、もしくは三日以内の間に九条恭弥はルーミアに食事を作ること。これを守る限りルーミアは九条恭弥を本人の許可なしに捕食できない。両名ははこの契約が生きる限り、お互いの場所、精神状態といった全ての情報を共有する。

 

「じゃあ、ルーミア。三日以内にまた来るよ」

 

「またねー」

 

九条はルーミアと別れ、人里に向かう。

ひとまずの目標は人里での事務所開業を目的に。

 

 

 

    




次の投稿は受験を控えているので10月を目標にします。
誤字脱字がありましたら教えていただけると中の人は喜んで次の話を書きます。
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