大天使、着任す   作:NTK

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十一話 主天使再臨

彼女は陸を駆けていた。自分を狙う者の砲撃から身を守るために。

自身も反撃を行ってはいるが敵は一向に減る気配を感じない。どうやら彼女のいるこの島を占領しようとしたところに彼女に出くわしたらしい。占領が目的な為かその数は多い。

彼女がこの数を相手に逃げないのには訳があった。彼女の姉がそうであるように、彼女は大気圏を飛行したり水上を移動できるはずである。ーースペック上は。

だが彼女はそのやり方を知らない。それを行う前にその命を失ってしまったからだ。ゆえに彼女は逃げれずに不得意な陸上で戦っていた。だがそれは長くは持たなかった。

彼女の逃げる先を見据えた砲撃が彼女に直撃したのだ。

 

?「ああっ‼︎」

 

着弾の衝撃で転倒した彼女は集中砲火を受ける。その装甲ゆえに致命傷を受けるほどのダメージは通らないがその衝撃は彼女の全身を揺さぶり、体力を削っていった。そのうち、彼女の意識が段々と薄れていった。彼女は助けを求めずにはいられなかった。

 

?(助けて…姉さん…。)

 

やがて彼女の意識は暗く沈んでいった。

 

----------------

三日後 鎮守府

 

長門「奪還作戦?」

 

野井「ああ。最近この島に深海棲艦が小規模の泊地を形成したという情報が入ってね。そこで、その泊地を破壊して奪還するというわけだ。飛行場姫もいるらしいから三式弾を装備しておくといい。他の出撃メンバーはこの通りだ。」

 

野井が差し出した書類には長門の他にメネラオス、大淀、足柄、秋月、阿武隈が出撃メンバーとなっていた。

 

長門「アークエンジェルは今回は参加しないのか?」

 

野井「彼女は今日は休みの日だからね。幾ら彼女の力が強くても、休みを無くさせて参加させる訳にはいかないさ。では長門、このメンバーを集めて準備次第に出撃してくれ。」

 

長門「了解した。」

 

少しして出撃メンバーは工廠に集まり装備の準備を行っていた。

 

メネラオス「そう言えば長門。飛行場姫とは何だ?」

 

長門「飛行場姫は戦艦棲姫などとは違って陸上に現れる深海棲艦だ。艦といっていいか疑問だがな。飛行場姫はその名の通り多数の艦載機を備えており、砲戦能力や装甲も高くその上陸上にいるから魚雷を受け付けない。ゆえにこうやって対地装備をして対処するという訳だ。」

 

メネラオス「陸上…。なら、私は対地装備はどうすれば?」

 

大淀「メネラオスさんはメビウス以外にもミサイルをお持ちですから、そちらを使ってみるのはどうでしょう?」

 

メネラオス「よし、そうするとしよう。」

 

出撃準備が整い、長門達は目的地に向かって行った。

目的地に近づくにつれ、出てくる敵も段々と手強くなってきたが大した負傷をした者がおらず、目的地まですぐ近くとなった。

 

長門「…いたぞ!全員、対地戦闘用意!」

 

メネラオス「あれが飛行場姫…。」

 

陸地で悠然と足を組んでいた飛行場姫はこちらに気づき、彼女の体に取り付けられた滑走路から艦載機を放った。また、護衛の深海棲艦もこちらへ向かってきた。

 

メネラオス「メビウス部隊、全機発艦!」

 

秋月「弾幕を張ります!」

 

メネラオスはメビウスを発艦させ、秋月も高射装置を構え敵艦載機を迎撃する。メビウスの機銃や高射装置によって敵艦載機は次々に撃墜されていった。長門達も三式弾やWGを用い飛行場姫に攻撃を仕掛ける。攻撃は飛行場姫に当たってはいるが、撃破にはまだ遠い。おまけに護衛も手強く、このままでは時間がかかると考えた長門はある作戦を伝える。

 

長門「足柄、大淀、阿武隈!護衛の奴らを相手してくれ!秋月とメネラオスは私と一緒に飛行場姫を叩く!」

 

大淀「私が行かなくて平気なの?」

 

長門「さすがに二人で護衛を相手するのは無理がある、だから頼む!」

 

大淀「…わかったわ。頼むわよ。」

 

六人は二手に分かれ、それぞれの相手へと向かっていく。その際にメネラオスはゴットフリートを放ち、ル級とネ級を爆沈させた。

 

メネラオス「これで向こうは少しは楽になるはずだ。」

 

すると、それを見ていたタ級の一人がつぶやいた。

 

タ級「コイツ、コノ前捕マエタ奴ト同ジ攻撃ヲ…!」

 

メネラオス(”この前捕まえた奴”?)

 

タ級の言葉に疑問を持ったメネラオスだが、飛行場姫が射程圏に入ったのか、砲撃を始めたので思考を切り替えた。

艦載機の攻撃と砲撃、二つの攻撃を避ける彼女達だが、艦載機を落とすことに集中していた秋月が直撃を受け、大破してしまった。

 

秋月「きゃああっ‼︎」

 

メネラオス「秋月‼︎このっ‼︎」

 

メネラオスはメビウス部隊に突撃命令を出すと自身も突撃していった。やがてメビウス部隊は装備していた有線誘導式対艦ミサイルを、メネラオスも大型ミサイルを放つ。ミサイルの幾つかは撃墜されたが、そのほとんどが飛行場姫に命中し、辺りは煙に包まれた。煙が晴れるとそこには破壊寸前の飛行場姫がかろうじて生き残っていた。

 

飛行場姫「オノ……レ…!」

 

そう怨嗟の言葉を吐いた飛行場姫は倒れ、どこかに引火したのか、爆発した。

その後撤退しようとした深海棲艦らを追撃、及び撃沈させた長門らは形成途中の泊地を破壊後、周辺を調べていた。その際に、奇妙な物が打ち上げられているのを足柄が発見した。

 

足柄「ねえ、これちょっと見て。」

 

長門「これは、深海棲艦の残骸か?だが、少し古い残骸だな。」

 

足柄「それと、ここを見て。溶けてるでしょう?これってメネラオスやアークエンジェルのビーム兵器の跡に似てない?」

 

メネラオス「本当だ。どうしてこんな物が…?」

 

三人が首を傾げていると大淀が呼びかけてきた。

 

大淀「三人共、ちょっと来てくれますか?」

 

大淀に連れられた三人が見たのは集中砲火を受けた跡のある海岸であった。よく見ると陸地へ引きずられた跡もある。

 

長門「これは…!」

 

大淀「この跡は明らかに戦闘の跡です。おそらく何者かがここで戦って、集中砲火を受けた後に奥に連れ去られたんだと思います。」

 

メネラオス「そういえば、私の砲撃を見たタ級がこの前捕まえた奴と同じ攻撃とか言ってたな…まさか、私と同じ世界の奴が鹵獲されたのか⁉︎」

 

大淀「その可能性は充分にありえますね。どうします?深海棲艦化してるかもしれませんが上陸して助けに行きますか?」

 

一応、陸地での艤装の使用は多少の制限はあるが可能である。だが、鹵獲されている人物が深海棲艦化していたら不利になるのは間違いなく、リスクが大きい。

 

長門「もちろん助けに行こう。メネラオス、一緒に来てくれ。残りの者は待機だ。」

 

四人がその場で待機し、長門とメネラオスは上陸し、奥へと進んでいく。その途中、メネラオスはある破片を回収した。

黒い破片であった。だが、深海棲艦のそれとは違った黒色をしていた。メネラオスは妙な胸騒ぎを感じたがそのまま先に進む。

やがて少し開けた場所に着くと重傷を負った艦娘が両腕を吊るされて気を失っていた。その姿に二人は驚愕した。

 

長門「なっ⁉︎」

 

メネラオス(やはりそうか…。)

 

その艦娘は黒色でボディラインに沿った赤いラインのある服を着ていて、短い黒髪、目を閉じていてもわかる端正な顔立ちをしていたが、何よりその艤装が特徴的だった。

V字になっている主翼、前脚のように見える両舷はアークエンジェルとほぼ同じであった。

 

----------------

 

鎮守府は騒然としていた。泊地を攻略した連絡は入ったのだがその後、重傷を負った艦娘を保護したのだが、その艦娘が問題であった。特に穏やかでなかったのはアークエンジェルであった。

アークエンジェルは港に立ち、その帰りを待っていた。

そして、長門達が帰還してくるのを見えてきた。メネラオスが担いでいる艦娘を見た瞬間、アークエンジェルの目に涙が浮かんだ。

 

AA「あ、ああ……!」

 

やがて長門達が港にたどり着くとアークエンジェルは駆け寄った。すると、ちょうどその艦娘が目を開いた。それを見たアークエンジェル思わずこう言った。

 

AA「ドミニオン!」

 

ドミニオン「姉…さん…?」

 

彼女の名はアークエンジェル級強襲機動特装艦二番艦、ドミニオン。アークエンジェルの唯一の妹である。

 

悲劇的な運命を辿った二人の姉妹が、今ここに再会したのであった。




ついに再会することができたアークエンジェルとドミニオン。二人は再会した今、互いにどう接していくのか。
次回をお楽しみに。
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