大天使、着任す   作:NTK

12 / 28
十二話 和解

ドミニオン「私…夢見ているのかな…?姉さんがここにいるなんて…。」

 

AA「夢じゃないわ!私もあなたもここにちゃんといるし、生きているわ!」

 

アークエンジェルはドミニオンの肩を掴み話しかける。その感触を感じたドミニオンは力なく笑った。

 

ドミニオン「本当だ…。だったら姉さん、私…姉さんに言いたかったことがあるの…。」

 

AA「何?」

 

ドミニオン「あの時、姉さんを殺しかけて…ごめんなさい…。」

 

AA「……っ‼︎謝るのは、私の方よ…私は、あなたを…!」

 

アークエンジェルがその先を言おうとしたが、ドミニオンはぐったりとまた気を失った。

 

AA「ドミニオン⁉︎」

 

メネラオス「気を失っているだけだ。話したいことがあるだろうが、今は医務室に連れて行くのが先だ。」

 

ドミニオンを医務室に連れていく途中、長門はあることが引っかかった。

 

長門(殺しかけた(・・・・・)…?)

 

----------------

医務室

 

AA「それで明石さん、ドミニオンの容体は?」

 

明石「見た目は重傷に見えてたけど、それほど深い傷はないから二、三日したら元気になるわ。」

 

AA「そうですか、良かった…。」

 

ほっと胸を撫で下ろしたアークエンジェルは提督とみんなのいる広間へと移動した。

 

足柄「妹さんの様子はどう?「二、三日で良くなるそうです。」そう、良かったわね。」

 

長門「アークエンジェル、聞きたいことがあるのだが…。」

 

AA「ドミニオンが言っていたこと、ですね?」

 

長門「あ、ああ。言いたくないのなら言わなくていいが。」

 

アークエンジェルは少し迷ったが、やがて意を決して話し始めた。

 

AA「…単刀直入に言いますと、あの大戦の時私はあの子を、

 

 

 

 

この手で…殺しました。」

 

全員「っ⁉︎」

 

一同は驚愕したが、すぐにある可能性を考えた。その中で由良はおずおずとアークエンジェルに尋ねた。

 

由良「えっと…それは、雷撃処分という意味でですよね…?」

 

するとアークエンジェルはゆっくりと首を横に振った。

 

AA「いえ、違います。敵として戦って、殺したんです…。」

 

由良「なっ…⁉︎どうして、どうして姉妹同士で戦ったんですか⁉︎鹵獲されて敵の手に渡ったとかですか⁉︎」

 

AA「…私がアラスカの一件以降軍を抜けたのは前話しましたね?そうなると、軍上層部には都合が悪いわけです。アラスカの生き証人ですから。真実を公表されたらまずいですし、私自身、機密の塊でしたから。本当のことはわかりませんが、とにかく軍は脱走艦である私を沈めなくてはいけなかった。その為に追撃艦が用意されたの…。」

 

そこまで聞くと一同は最悪の考えが浮かんだ。

 

由良「もしかして、それって…!」

 

AA「あの子だった。存在は知らなかったけど、一目でわかったわ。あれだけそっくりだもの。しかも、その艦長は私の副長だった人よ。連合軍と戦うのはわかってたけれど、まさか、追撃して来るのが妹だなんて思わなかった…!」

 

涙を流し始めるアークエンジェルに一同はなんて言えばいいかわからなかった。当然だろう、姉妹を雷撃処分したものはいても、姉妹同士で殺しあったものはいないのだから。やがて少し落ち着いたアークエンジェルは続きを語り始める。

 

AA「私の艦長は迷った挙句、戦うことを選んだ。私は戦いたくなかったけれど、そうするしかなかった。逃げては戦ってを繰り返して、そしてヤキン・ドゥーエの時だった。お互いモビルスーツは出払っていて、砲撃戦をした結果、お互いにボロボロになってたけど、あの子の方が重傷だったわ。すると、あの子から脱出シャトルが出てきたの。それを見て私は安心したわ。もうこれ以上あの子を傷つけずに済むって。だけどその時あの子からローエングリンが放たれたの。突然のことで回避できず、当たるって思った時、半壊して着艦してたストライクが私から出てきて庇ったわ。ストライクは爆散したけど、おかげで私は助かった。けれど、そのストライクのパイロットは前の人と交代してて、その時乗っていたのは、艦長の恋人だった。」

 

少しアークエンジェルは言葉を詰まらせたが、やがて絞り出すように続けた。

 

AA「それで…艦長はショックを受けて、あの子にローエングリン発射命令を出した。そのままローエングリンが放たれて…私は…あの子を…!」

 

アークエンジェルはその場で泣きくずれた。一同はこの悲しき結末に言葉を失っていた。そして彼女達は考える。もし、自分の姉妹が自分と敵対することになったらと。そう考えるとアークエンジェルの辛さが理解でき、自然と涙がこぼれてきた。

 

野井(だから君は、あのトラウマを抱えることになったのか…。)

 

最上(前にボクに相談してたのはこの事だったんだ…。でも、こんなのって…!)

 

AA「辛かった…あの後もずっと後悔した…!きっとあの子は怒ってたのよ…人道的に正しいとはいえ、命令に背いて、挙句に軍を脱走した私を…!だから最期にあの攻撃をしたのよ…。だから、私はあの時討たれるべき「そんなことない‼︎」ドミニオン?」

 

アークエンジェルが扉の方を見ると、ドミニオンが扉にもたれかかるように立っていた。

 

明石「ちょっとあなた!まだ安静に…。」

 

ドミニオン「さっきから聞いてたけど、私は姉さんのことを怒ったり恨んでたりなんかこれっぽっちも思ってない!私は、姉さんと同じで姉さんと戦いたくなんてなかった!」

 

そのままドミニオンはアークエンジェルへ歩み寄ってくる。

 

ドミニオン「姉さんが討たれるべきだった?冗談じゃないわ!そんなことしたら、私が今の姉さんと同じ気持ちになっていたわ!それに、あれは姉さんを討つもりでやったんじゃないの!」

 

ドミニオンは当時、自分の艦内で何が起こっていたかを全て語った。アズラエルが暴走し、彼女の艦長を銃撃したこと、その後艦長の機転で乗組員を逃し、アズラエルと二人艦内に閉じ込めたこと、アズラエルが勝手に火器管制を操作しアークエンジェルを撃ったことを。

 

AA「そう、だったの?」

 

ドミニオン「だから、姉さんが無事だったのを知って安心した。その後姉さんが撃ってきたのも仕方ないと思ってた。はたから見れば脱走シャトルを利用して攻撃をしたように見えたもの。そんな卑怯なこと、姉さんが許すはずないと思ってたから。この姿になってから、ずっと考えてた、もしまた姉さんに会ったらあの時のことを怒ってるじゃないかって。でも、今聞いてわかった。姉さんも同じこと考えてたんだって。」

 

 

互いに相手は悪くない、自分のせいでこうなったと思っていたゆえに生じた誤解。だが、お互い胸の内を明かした今、その誤解は解けていた。

 

AA「じゃあ…私があなたにした事、許してくれるの…?」

 

ドミニオン「うん…。だから、姉さんも私がした事、許してくれる?」

 

AA「許すに…決まってるじゃない…ドミニオン…!」

 

アークエンジェルは三たび泣きながらドミニオンを抱きしめた。ドミニオン自身も涙を流しながら抱き返した。

 

今、天使の名を持つ二人の姉妹は長き時を経て和解したのだった。

 

----------------

 

その艦娘はひとり海の上で考えていた。彼女は自身の現れた近くにいた住民からこの世界について知った。

そして彼女は嘆いた。この世界でも争いがあることを。

自分は前の世界で彼女の事実上の主と共に二度も争いをなくした。ならばこの世界でも争いを止めようと彼女は思った。そうできるだけの力を彼女は持っていた。正確には、彼女が載せている二つの機体が。彼女は自身の発進デッキを見て言った。

 

?「(わたくし)はこの争いを止めてみせます。頼みますわよ、あなた達。」

 

そういい彼女は桃色の髪をたなびかせて何処かへと去っていった。

 




ーー後日、鎮守府にて

メネラオス「なぁアークエンジェル。そのストライクのパイロットって誰だったんだ?」

AA「ムウさんです。」

メネラオス「ムウだと⁉︎…そうか、惜しい人を亡くしたな…。「あ、いえ。彼は生きてましたよ。」へ?でも爆散って言ってたろ?」

AA「それが私もよく覚えてないんですね。彼のヘルメットが宙に浮いてたような、浮いてなかったような…とにかく、彼は生きてました。」

メネラオス「そ、そうか。不思議な事もあるものだな。」

----------------

上の話は本編には入れづらかったのであとがきに入れてみました。本当、なんで生きてたんでしょうねあの人は?

さてと、この後から物語は大きく進んでいきます。轟沈者もガンダムシリーズの最終決戦並みに出すつもりです。ご了承ください。

では次回をお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。