十三話 永遠は人々を混乱に導く
ドミニオンと和解してから数日後、無事ドミニオンは回復し、アークエンジェルと同じ部屋で過ごす事になった。その後大本営に検査されたが、わかった事はアークエンジェルとは違い、潜水能力を有していない事、またローエングリンも改良されていないので使用は現状不可能である事であった。もう一つ、彼女にしか持っていないものがあった。
その訓練をするため、ドミニオンは今鎮守府の訓練場にいた。ドミニオンは水上へ立ち、準備を整える。水上移動や大気圏飛行はすでにアークエンジェルから教わったので楽にできた。やがて彼女の元に艦載機を模した訓練用のドローンが向かってくる。
ドミニオン「
ドミニオンの両舷のハッチが開き、そこからプラモデルサイズのモビルスーツが発進される。すると、それらは発進されるなり巨大化し、人間大の大きさまでになった。出てきたモビルスーツは、カラミティ、レイダー、フォビドゥン、そしてストライクダガーが七機の計十機であった。
彼らは次々にドローンを撃墜し、やがてすべて撃墜するとドミニオンに戻って行った。すると元々の大きさに戻り、着艦していった。それを見た野井達は感嘆の声を出した。
野井「いや〜本当すごいね、モビルスーツってのは。」
メネラオス「ジンっていうモビルスーツが私のメビウス五機分の戦力と言われている。ドミニオンの持つあのモビルスーツはそのジンと互角以上の戦力だ。あれがいればかなり心強い。」
AA「それにしても、あんな大きくなるなんてね…。」
モビルスーツの存在にも当時その場にいた全員が驚いたが、ここまで大きくなる事にも驚いた。が、よく考えれば航空機とモビルスーツの大きさの差は艦娘と艦載機のそれと同じくらいなのである程度納得した。アークエンジェルはストライクダガー(以降ダガーとする)が水上を移動しているのが不思議に思ったが、メビウスの事もあるので特に気にしなかった。
ドミニオン「モビルスーツの運用、問題ありません。」
野井「そうか、なら次の出撃の際はお願いするよ。今日はお疲れ様。これでアークエンジェルと一緒に何か食べるといい。」
そういい野井は間宮券を渡して去っていった。
メネラオス「では私も空母のみんなと訓練に行くので失礼する。」
メネラオスも空母寮へと行った。辺りはアークエンジェルとドミニオンの二人だけとなった。すると、ドミニオンは先程までの真面目な印象を無くし、甘えた顔をしてアークエンジェルの腕に抱きついた。
ドミニオン「さ、姉さん。早く間宮さんとこいこ♪」
AA「え、ええ。そうね。(また始まったわね…。)」
艦時代に敵対していた反動なのかは知らないが、ドミニオンはアークエンジェルと二人だけになると甘える癖があった。アークエンジェル自身も悪い気はしないので気にはしてないが、姉としては心配であった。だか、こういうことは一緒にいなければできないのである意味贅沢な悩みなのだろう。
AA(まぁ、比叡さんや山城さんみたいにお姉さんを敬愛している人は多いから、大した問題じゃないか…。)
----------------
呉鎮守府方面 某海域
青葉達第六戦隊と長良、五十鈴を含めた六人は現在、深海棲艦と戦闘中にあった。始めは八隻いた深海棲艦は五隻に減らすことに成功したが、古鷹が中破、青葉、衣笠、長良の三名が小破してしまった。
戦闘が継続しているなか、青葉の近くに砲弾が着弾し、水しぶきが青葉の視界を遮った。
青葉「しまっ…!」
その期を逃すまいとル級が青葉に砲撃の照準を合わせる。
古鷹「青葉っ‼︎」
砲撃が放たれるまさにその直前、一条の光がル級の砲塔を貫き、破壊した。
何事かと青葉達がその方向を見ると、白い四肢に青い翼を持つ人型のロボットらしきものと、深紅の機体色とトサカのような頭部が特徴的な人型のロボットらしきものが海上に佇んでいた。銃口を向けているのは白い方なので先ほどの攻撃は白い方がやったのだろう。
青葉「何…あれ?」
衣笠「味方…?」
するとこの乱入者を排除しようとしたのか、深海棲艦達がその二つの機体に攻撃を始めた。
だが、その機体達の行動は速かった。攻撃を避け、あっという間に間合いを詰めると、手にした銃器から光軸を放つ。しかしそれらは直接本体を狙わず、武装のみを撃ち抜いていった。
この奇妙な行動に青葉達は呆然としていると、深紅の機体が青葉達に向けて攻撃を開始し、あっという間に加古と衣笠の武装のみを破壊した。
衣笠「きゃあ!」
加古「何だよこいつら⁉︎味方じゃないの⁉︎」
数分としないうちにその機体達以外の者は全ての武装を破壊された。深海棲艦達は不利を悟り撤退していった。白い機体が青葉達に、お前達も撤退しろと言わんばかりの目を向けてもう一機と共に飛び去っていった。
衣笠「何だったの、あれ…?」
青葉「とにかく、これ以上の進撃は不可能ですから、司令官に連絡後、撤退しましょう。」
----------------
戦闘に乱入した二つの機体は、一人の艦娘のもとに降り立った。
?「よくやりましたわ、お二人とも。」
彼女はその機体の頭を撫でると、自身のハッチに着艦させた。
?「さて、これであそこの戦闘はおさまりました。次の戦闘を無くしに行きましょうか。」
そういい彼女は別の場所へと向かっていった。彼女は今の状態に満足していた。パイロットを必要としないこの機体達は疲れないので次々と戦場に赴くことができる。そうすればやがて戦場がなくなると、散らなくていい命が散らなくなると彼女は本気で考えていた。
だが彼女は知らない。武装解除させた青葉達がその後、別の深海棲艦の奇襲を受けて、抵抗もできないまま沈んでいったことを。
彼女は『自由』気ままに、己を『正義』と信じ、『永遠』の平和を求めて戦場へと行くのであった。
----------------
一週間後
野井「艦娘の武装破壊事件?」
外村〈ああ、遠征襲撃が収まってきたと思った矢先にこれだ。全く気が滅入るよ。〉
外村は通信機越しにため息をつく。彼はここ最近で起きている事件について野井に連絡をしていた。
野井「それで、何となく内容はわかるが、どんな事件何だ?」
外村〈艦娘と深海棲艦が戦闘している最中にロボットもどきが二体現れて敵味方問わず武装のみを破壊してくんだ。呉鎮守府の辺りを中心に起こっていたが、被害が拡大してきて、最近俺のところもやられた。〉
野井「なるほど。武装を破壊されるのは再開発の観点からしては手痛いが、沈んでないだけマシじゃないか?」
外村〈それがそうでもない。撤退中に深海棲艦の奇襲を受けて為す術なく沈んだとこもある。うちの奴とかから証言を得てその迷惑ヤローの姿はわかったんだが、アークエンジェル達の誰かそこにいるか?〉
野井「いないが、どうかしたのか?」
外村〈いやな、どうもそいつ、特徴からしてモビルスーツって奴みたいなんだ。だから、なんか知ってるかと思って。〉
数分後、事情を聞いたアークエンジェル、ドミニオン、メネラオスの三人は執務室に入っていった。
AA「事情はわかりました。外村さん、そのモビルスーツの特徴を教えてください。」
外村は特徴を事細かに伝える。するとアークエンジェルは驚いたように目を見開いた。
AA「それってまさか…⁉︎」
外村〈知っているのか?〉
AA「ええ、白い方はフリーダム、深紅の方はジャスティスっていうモビルスーツです。昔私が載せていました。」
外村〈自由と正義ね、大層な名前なこった。すると、君の艦載機が勝手に行動してるということか?〉
外村の質問にアークエンジェルはいいえと首を振る。
AA「その二機は私が元々載せる予定のものではなく、別の専用艦に載せるものです。おそらく、その艦が艦娘となって二機に指示してるかと。」
外村〈そいつの名前は?〉
AA「 ……エターナルです。色は淡紅色ですので見つけやすいかと。」
外村〈エターナルね、了解した。その線で捜査してみる。協力ありがとう。〉
外村が通信を切り、三人は執務室から出て行った。ふとメネラオスはアークエンジェルがやや暗い顔をしているのに気がついた。
メネラオス「どうしたアークエンジェル?そんな顔して?」
AA「ええ、少し…。」
ドミニオン「まぁ、昔の仲間があんな事してたら、そうなるよね…。」
AA「それは違うわドミニオン。私はあの人が同じ事を繰り返している事に悩んでいるの。」
メネラオス「同じ事?」
AA「はい。実は…」
アークエンジェルはユニウス戦役の時にエターナルやフリーダム、もといキラが行ったことを事細かに説明した。それを聞いた二人は驚愕した。
メネラオス「何だそれ⁉︎言ってる事とやってる事が全然違うじゃないか⁉︎」
ドミニオン「それに、武装を奪われたモビルスーツが狙われているのにキラ君は気づいてないの?」
AA「たぶん気づいてなかったと思うわ。おそらく、エターナルはこの世界でも同じ事をしようと考えてあれを行っていると思うわ。」
メネラオス「だが、あの世界とこの世界は訳が違う。早く彼女を止めないと、とんでもない事になりかねないぞ。」
AA「ええ…。」
実際、メネラオスの予感は的中する事になる。正確にはエターナルが直接関係するのではないが、彼女の存在を知ったある者が大きな行動に出るからだ。
そしてその行動は、たくさんの血を流すことになる。
エターナルの登場です。彼女の性格等はお察しください。
そしてドミニオンの艦載機はモビルスーツ隊にしました。大きさはどうしようか迷いましたが、航空機との比率を考えて本文の通り人間大にしました。ドミニオンの性格は普段は真面目だが、アークエンジェルと二人きりだと甘えるという事にしました。気に入って頂けたでしょうか?
さて、ドミニオンもエターナルもモビルスーツを持っている。という事は…?
では次回を楽しみに。