その日、アークエンジェルは海域攻略の為、ドミニオン、金剛、榛名、天龍、島風と共に出撃していた。今回の出撃はドミニオンの初陣でもある為、気が抜けないが、それ以上に気がかりなのはエターナルの事であった。エターナルの事は既に各鎮守府に行き渡っており、見つけ次第拘束する事になっているが、フリーダムとジャスティスを載せているエターナルを拘束するのはほぼ不可能だろう。また、エターナルが過去に行った事を野井や艦娘達に話したところ、全員驚愕し、その為エターナルを止める事に協力する事となった。
目的の海域付近にたどり着くと、早速多数の深海棲艦が待ち構えていた。六人はそれぞれ戦闘態勢に入る。
AA「スカイグラスパー発進‼︎」
ドミニオン「モビルスーツ隊発進‼︎」
アークエンジェルとドミニオンからそれぞれ艦載機が発進し、先行して攻撃を始める。その間に六人は射程圏内に入り、砲撃を開始した。
金剛「撃ちます!fire〜!」
天龍「天龍様の攻撃だ!」
金剛達の砲撃は次々に深海棲艦に当たり、沈めていく。だが、そのうち榛名が放った砲撃が誤ってカラミティに命中してしまった。
榛名「あぁっ⁉︎」
ドミニオン「大丈夫です!ダガーに当てたならともかく、カラミティなら問題ありません。」
カラミティ、レイダー、フォビドゥンの三機は
三機の活躍は目覚ましく、カラミティはスキュラの一撃で数隻沈め、レイダーはミョルニルでロ級を砕き、フォビドゥンはニーズヘグでヘ級を輪切りにしていった。ダガー隊も負けず劣らずの活躍を見せ、やがて深海棲艦の数は残りわずかになった。
AA「ゴットフリート…」
ドミニオン「照準…」
二人「撃てぇー!」
二人が同時に放ったゴットフリートは命中し、深海棲艦は全滅した。
金剛「さすがarcangelのsister、息がぴったりネー!」
ドミニオン「ありがとうございます。私も、こうして味方として姉さんと一緒に戦えて良かったです。」
AA「ドミニオン…。」
金剛「では、先に進みまショウ。」
六人は先に進み、十分程でまた深海棲艦と遭遇した。再び戦闘態勢に入ろうとしたその刹那、複数の光条が迸り、一部の深海棲艦の武装と、天龍の艤装の砲塔、そして島風の連装砲の砲身が破壊された。
天龍「おわっ⁉︎」
連装砲「キュキュッ⁉︎」
島風「連装砲ちゃん⁉︎」
AA「まさか…!」
光条が飛んだ方向を見ると、案の定フリーダムとジャスティスが銃口を向けてこちらに迫って来た。
AA「彼らは私が相手します。ドミニオン達は深海棲艦を頼みます。」
ドミニオン「…わかったわ。」
ドミニオン達は深海棲艦に向かって行く。当然それを止めようとフリーダムとジャスティスが向かおうとするがアークエンジェルはその行く手を阻んだ。二機はアークエンジェルを見て動揺する素振りを見せた。そしてアークエンジェルは二機に対しやや威圧を込めて言った。
AA「あなた達、今すぐエターナルを呼んで来なさい。」
二機はたじろいだが、アークエンジェルの威圧に気圧されたか、深海棲艦がほぼ壊滅状態になっていて介入は無意味と悟ったのかはわからないが、引き返していった。
ドミニオン「姉さん、大丈夫だった?」
AA「ええ。それより、たぶんこれからエターナルが来ると思うから万が一に備えて取り押える準備をしてて。」
アークエンジェルはあまり気に入ってなかったとはいえかつての仲間であったエターナルを拘束するのはしたくなかった。故に説得をしようとしていた。
しばらくして桃色の髪、淡紅色の服を纏い、ライフル状になった単装砲をまるで花束か何かのように抱えた艦娘がやって来た。彼女はアークエンジェルを咎めるような顔をしていた。
AA「エターナル、でいいのよね?」
エターナル「ええ。早速ですがアークエンジェルさん、何故、
やはりそうか、とアークエンジェルは思い、エターナルに自分の意見を口にした。
AA「あなたの行動が、みんなを危険にさらすからよ。」
エターナル「何故です?お互いに戦いあう方が、危険ではありませんか?命を失うのですから。だから
AA「私達は深海棲艦から海を取り戻す為に戦っているの。なのに何であなたはそれを邪魔するの?深海棲艦だけでなく、何で私達も攻撃するの?」
エターナルはアークエンジェルの言ったことが信じられないような顔をしたが、すぐに反論した。
エターナル「そうやって一方の立場でものを考えるから、もう一方を否定して争うのです。アークエンジェルさんもそれはあの戦いで思い知ったでしょう?」
AA「ええそうよ。だけど、あの世界とこの世界は訳が違うのよ。同じように捉えちゃ駄目なのよ!それこそあなたの嫌う一方の立場でものを考えることじゃない!」
エターナル「アークエンジェル…さん?何で、一緒に戦ったあなたが、そんな事を?」
動揺するエターナルにアークエンジェルは言い放った。
AA「私の艦長の意思で一緒に戦ったの。私の意思じゃないわ。今なら許して貰えるわ。だから、私と一緒に鎮守府に行きましょう。」
手を差し伸べるアークエンジェルに対し、エターナルは俯いていたがすぐに顔をあげた。そして彼女は信じられない事を言った。
エターナル「アークエンジェルさん、あなたは騙されているのですよ。大本営の方達に。」
全員「は?」
その言葉に全員は固まった。それを尻目にエターナルは語る。
エターナル「考えてもみてください。何故深海棲艦が現れた時、すぐに鎮守府を発足できたのですか?何故都合よく艦娘という対抗手段がすぐに見つかったのですか?それは、彼らが深海棲艦を造り、それを利用して日本、しいては世界を牛耳ろうとしているからに違いありません。」
天龍「おい待てよお前‼︎そんな証拠どこにあるんだよ‼︎」
金剛「そうデース‼︎テートク達がそんな事するはずないデース‼︎」
反論する二人に対しエターナルはその問いに返した。
エターナル「証拠ならあります。あなた方もご存知でしょう?一部の深海棲艦があなた方艦娘に似た姿をしている事を。自然にそうなるはずがありません、あなた方を参考にして造らなければそうなりません。」
天龍「…それだけか?実際に奴らを造っているとこを見たとかはないのか?」
エターナル「ありません。ですが、じきに他の証拠も見つかるでしょう。」
その言葉に天龍は憤慨した。
天龍「ふざけるな‼︎たまたま似てたってだけでそんな疑いをかけるなんて、冗談じゃない‼︎」
榛名「それに、深海棲艦が現れたのは私達より少し前です。似せて造ったなんて、ありません!」
エターナル「ですが、よりあなた方に似ている姫級などはその後に現れたのでしょう?なら辻褄が合います。」
自分が正しいと信じきって反論を続けるエターナルにアークエンジェルは我慢ならなかった。
AA「…いい加減にして。そうやって状況証拠だけで決めつけてまた議長の時みたいに攻撃するの?議長の時はたまたま議長が間違っていたから良かったけど、今回はあなたの勝手な思い込みがほとんどよ。もしあなたが大本営を倒してそれが間違っていたら、深海棲艦に対抗できる人がいなくなるのよ?そうなったら、あなたは責任がとれるの?」
エターナル「え…?」
エターナルはうろたえていた。自分が間違っていたらという事は考えていなかったため、アークエンジェルの質問に言葉が詰まってしまっていた。そんな彼女にアークエンジェルは最後の言葉を言った。
AA「それに…あなたが武装を破壊した人達の中には帰還する途中に深海棲艦の攻撃を受けて沈んだ人もいるの。確かに、武器は人の命を奪う。けど、同時に自分の命を守るものでもあるの。それをわかって。」
エターナル「え…沈んだ?
混乱するエターナルにアークエンジェルは手を差し伸べたが、エターナルはそれを払いのけた。
AA「エターナル?」
エターナル「そんな事、信じられません!きっと嘘に決まっています!
そう言いエターナルは全速力でその場から立ち去っていった。アークエンジェルは呆然としていた。
ドミニオン「姉さん…。」
天龍「ほっとけ、あんな奴は!」
AA「エターナル…何でわかってくれないの?」
----------------
ヘルダーリンとホイジンガーは
ヘルダーリン「なぁホイジンガー、あれ…。」
ホイジンガー「どうした?あれは…⁉︎」
彼女らが見たのは海域を駆けるエターナルの姿であった。それを見た二人の顔は憎しみに満ちていた。
ヘルダーリン「エターナル…!」
ホイジンガー「ヴェサリウスお姉様を討った…裏切り者…ヘルダーリン‼︎」
ヘルダーリン「わかっている!あいつをこの手で葬るぞ!」
----------------
エターナル(何故⁉︎何故アークエンジェルさんがあんな事を⁉︎洗脳されてる?でもそうは見えない…。なら、本当に
自分を理解してくれると思っていた相手から自分の行動を否定され、エターナルは半ばパニックになっていた。
その時であった。光条が彼女の持つ単装砲を撃ち抜き、単装砲が爆発した。
エターナル「きゃああ!」
エターナルは始め何が起こったかわからなかった。見ると二人の深海棲艦らしき人物が見えた。彼女らの外見を見てエターナルはナスカ級のそれだとは気づいたが、何故ナスカ級がここにいるかはわからなかった。
そのうちの一人、ヘルダーリンが彼女に叫ぶように言った。
ヘルダーリン「久しぶりだな…エターナル‼︎」
エターナル「え…?あなた方は?」
ホイジンガー「やはり貴様は覚えていないか。でも私達は貴様を一瞬たりとも忘れた事はない!」
ヘルダーリン「貴様とクサナギが、ヴェサリウスお姉様を討ったその時からな!」
エターナル「ヴェサリウス…!あなた方は、クルーゼ隊の…!フリーダム、ジャスティス、発進…」
ヘルダーリン「させるか!」
エターナルが二機を発進させようとした瞬間、ヘルダーリンは彼女の発進デッキを撃ち抜き、発進デッキを破壊した。これによってエターナルはモビルスーツを発進する事が出来なくなった。
エターナル「しまっ…!」
ホイジンガー「終わりだな、エターナル。ヴェサリウスお姉様の仇…!」
そこから先は一方的な戦いであった。ヘルダーリン達の砲台が火を噴く度にエターナルは各所を破壊され、誘爆していった。元々エターナルは個艦防御に徹した武装しか持っていないため、主砲である単装砲を破壊され、モビルスーツを失った今、残された武装は対空ミサイルとCIWSのみであった。だか、そんな武装で彼女達に太刀打ち出来るはずがなかった。
数分後にはエターナルは全ての武装を失い、彼女自身もボロボロになっていた。その時になってエターナルは武装を失う事の恐怖を知ったが、今更遅く、そもそも彼女の脳内を占めているのは自分が志半ばで死ぬ事の恐怖が大きかった。
ヘルダーリン「モビルスーツがないと呆気ないものだな。」
ホイジンガー「ではそろそろ死んで貰おうか。」
二人は高エネルギー砲を構える。エターナルは死を覚悟したが、ある事を思い出した。
彼女は艦時代に何度も撃沈の危機になった事があったが、その度にフリーダムが助けに来てくれた。今フリーダムはいないが、アークエンジェルがこの海域にいる。だから助けに来てくれるはず。そう思ったが、現実は甘くなかった。
まずエターナルはザフト最高の高速艦であり、先程まで全速力で駆けていた。その為アークエンジェルとの距離はかなりあり、とても間に合いそうにない。さらに、アークエンジェルは完全に彼女に失望し、すでに鎮守府に帰還し始めていた。
それでも助けに来ると信じていたエターナルだが、次の瞬間、二つの光条が彼女の胴と脚を撃ち抜いた。
エターナル(そん…な…
彼女の意識は海底に沈む身体と共に深く沈んでいった。そして、その名の通り永遠に浮かび上がる事はなかった。
この日を境に、艦娘の武装破壊事件はなくなった。
----------------
とある廃墟にて、ヴェサリウス達四人はヘルダーリン達二人の報告を聞いていた。
ガモフ「エターナルが?」
ヘルダーリン「はい。ですが、私とホイジンガーで奴を討ち取りました。」
ヴェサリウス「そうか。私の仇を取ってくれてありがとう、二人共。」
ヴェサリウスに褒められたのが嬉しいのか二人は顔を綻ばせる。
ガモフ「しかし、エターナルまで現れたとなると、今後も我々の敵となる艦が現れる可能性が出てきましたね。」
ヴェサリウス「ふむ…そうだな。
ヴェサリウスは一つの資料を差し出す。
ガモフ「これは?」
ヴェサリウス「人間達の中にも艦娘を快く思っていない者がいてね。そいつから頂いた情報だ。手始めに
その資料にはこう書かれてあった。
『アイオワ建造の成功及び日本への譲渡について』
エターナル轟沈です。描写自体は十話からでしたが本格的な出番は二話だけとだいぶ短いですが、ハイネさんだって小説版では二巻で登場して二巻で退場したので問題ないですよね?
さて、ついに動き出したヴェサリウス達。その先にあるものとは…?そして、同志とは一体?
では次回をお楽しみに。