大天使、着任す   作:NTK

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今回も轟沈があります。ご了承ください。
というより、この章からかなり轟沈が発生します。


四章 オペレーション・ティターン
十七話 ザフトの脅威


その日、吹雪は早朝からランニングをしていた。早朝の澄んだ空気と顔に当たる潮風が心地良かった。

その時であった。妙な風切り音が海の方から聞こえてきた。見ると、何かが白煙の尾を引いてこちらに飛んで来ていた。次第にその形がはっきりすると、吹雪は驚愕した。

 

吹雪「あれは⁉︎」

 

飛んで来たそれーー大量のミサイルは鎮守府本舎や艦娘達の寮、工廠に次々に着弾し、破壊していった。

 

吹雪「そんな…みんな‼︎」

 

着弾した辺りに向かおうとした吹雪だったが、ミサイルの一発が彼女のすぐ側に着弾し、彼女の体を吹き飛ばした。

すぐに鎮守府は騒然となり、無事だった艦娘達は慌てて戦闘準備に取り掛かるが、この緊急時に提督の指示が無い事に艦娘達は不安を覚えた。それもそのはずである。執務室で作業をしていた彼は先程のミサイル攻撃により、執務室ごと吹き飛んでしまったからだ。

彼だけでなく、部屋で眠っていた艦娘達も目を覚ますこと無くあの世へと旅立っていった。この攻撃で半数近い犠牲が出たが、だからと言い諦める訳にはいかない。艤装のメンテナンスを昨日終えていたのが幸いし、すぐに外に出て迎え撃つ事が可能であった。瓦礫を避け、外に出ようとしていた叢雲がふと窓を見て何かに気づく。

 

叢雲「ちょっと、何よあれ⁉︎」

 

彼女が見たものは羽根や飛行機のような乗り物に乗ってこちらに向かって来る一つ目のロボットーーモビルスーツの群れであった。

そのうちの一機、D装備をしたジンが両腕に構えた大型ミサイルランチャー、キャニスを放ち、彼女のいる建物の出入り口付近を破壊する。バランスを崩した建物はたちまち中にいる艦娘達を巻き込み倒壊していった。それに続いてディンやバビがそれぞれ多目的ランチャーやアルドール複相ビーム砲を放って倒壊していない建物を爆撃する。

早朝の警戒の為起き、周辺海域を迂回していた艦娘もおり、深海棲艦の大軍を確認するとそれらに攻撃するべく突撃していった。高雄型姉妹もその一つであった。

が、射程距離に入る前に彼女達の目前の水面からサメの背ビレのようなものが幾つか現れ、弾丸らしきものを発射した。彼女達は咄嗟に回避し、被弾は逃れたが、次の瞬間にイカのような見た目のモビルスーツ、グーンが数機浮上し両腕の魚雷を放つ。ロケット推進で放たれたそれは命中し、彼女達を中破に追い込む。

 

愛宕「きゃああっ!」

 

摩耶「このっ!」

 

摩耶は砲撃を開始し、回避の遅れた一機を四散させたが、残りは水中に潜っていった。摩耶達は攻撃を警戒し密集したが、グーンが潜ったのには二つの理由がある。

一つは反撃を食らわないため、もう一つは下手に動いて巻き添え(・・・・)を受けないためであった。

その目的に気づいたのは高雄であった。

 

高雄「…⁉︎みんな散開して‼︎」

 

すぐに散開し始める四人を深海棲艦の砲撃が襲う。直前に密集していたのが災いし、ほとんどの砲撃をその身に受けてしまった。砲撃が終わり、満身創痍となっていた四人にグーン達とボズゴロフ級や雷撃ができる深海棲艦が魚雷を放ち、とどめを刺した。

陸上でも僅かに生き残った艦娘が戦っていたが正直、戦況は一方的であった。

たまにモビルスーツを一機艦娘が撃墜しても、その次にはその艦娘は別のモビルスーツに撃ち抜かれてしまう。

ピートリー級ら陸上戦艦も上陸し、バクゥやザウートなど陸戦モビルスーツを発進させ、戦闘に加わる。

そして時間にして一時間もしないうちに鎮守府は陥落した、他の鎮守府もぼぼ同じ時間に陥落したのであった。

 

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上陸したヴェサリウス達の隊はまず瓦礫をどかし生き残った艦娘や人間を探していた。とはいえ、ヴェサリウス達は艦娘全員の顔を知ってる訳ではないので人間の女性と艦娘を見分ける方法がわからない。だから生存者が男であれば殺し、女性であれば確認をしていた。ヴェサリウスはジンに捉えられている女性の前に立った。

 

ヴェサリウス「一つ聞きたい。君は艦娘か?」

 

答えなければ殺されると考えた女性は正直に答えた。

 

女性「い、いえ。違います…。」

 

ヴェサリウス「そうか…ならいい、撃て。」

 

女性「え?」

 

背後で銃声を聞きながらヴェサリウスは工廠に向かう。最低限の攻撃しかしていない工廠は比較的無事であった。

ヴェサリウスはその場にいたボズゴロフ級に話しかけた。

 

ヴェサリウス「どうだ?」

 

ボズゴロフ級「建造施設、開発施設、解体施設のどれも無事でした。早速データの書き換えをしています。」

 

見ると二人のピートリー級が建造施設、開発施設のパソコンを使いキーボードを凄い勢いで使い、あるデータ(・・・・・)を入力していた。コーディネーターから建造された彼女達にもそのスキルが身についていたからこそできる芸当だった。

 

ピートリー級A「既存艤装データ削除、モビルスーツデータ入力開始…。」

 

ピートリー級B「ボズゴロフ級、データ入力完了、ピートリー級、データ入力を開始…。」

 

ヴェサリウス「順調だな。これの成否が我らの勝利に大きく影響する、頼んだぞ。それで、こちらの被害は?」

 

ボズゴロフ級「モビルスーツが十、グゥルが十一撃破されました。幸い、轟沈者はいませんでした。」

 

ヴェサリウス「わかった。他のところも同じような被害らしいから大した問題ではないな。補給を終えたらすぐに出る。データの書き換えをしてる連中も終えたらすぐに出るように言っておけ。それと、陸にある艦娘の死体は解体施設に入れて資材にしておけ。生きてる艦娘が解体できるならできるはずだ。」

 

ボズゴロフ級「はっ!」

 

先程まで鎮守府だった建物をみるとすでに深海棲艦達が泊地を形成し始めていた。

 

戦艦水鬼「圧倒的ダナ。コレナラ半分ト言ワズ、全テノ鎮守府ヲ陥セルノデハ?」

 

ヴェサリウス「そうはいかない。今回は奴らが寝静まってる時に襲撃したからこれだけの被害で済んだ。次はこうはいかないさ。占領部隊は?」

 

戦艦水鬼「モウスグデ到着スル。」

 

一時間後、補給を終えたヴェサリウス達は次の目標に向かい進軍していった。

 

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トラック鎮守府総司令部

 

春馬は不安に駆られていた。第八十六鎮守府から第百五鎮守府の二十の鎮守府からの定時連絡が来ないという異常事態に対し、それぞれ近い鎮守府に様子を見るよう指示を飛ばしたが悪い予感がしてならなかった。

 

春馬(今まで深海棲艦が反攻作戦として鎮守府に向かった事はあっても、直接鎮守府を襲撃する事は無かったが、もしかしたら例のザフトとかいう連中と何か関係があるのでは?)

 

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総司令部からの指令を受け、他の鎮守府の様子を見に向かった赤城、加賀、飛龍、蒼龍、利根、巻雲の六人は途中で索敵機を飛ばしてみたが、何故か帰ってこなかった。

 

利根「遅いの〜。もうとっくに戻ってもよい時間じゃぞ?」

 

加賀「もしかして、何者かに撃墜されたのでは?」

 

赤城「っ!みなさん、あれ!」

 

赤城が示す方を見ると、深海棲艦の大軍が遠くから向かって来るのを視認できた。その中には見慣れない艦もあった。

 

巻雲「何でしょう、新型でしょうか?」

 

蒼龍「それより、あの大軍…もしかしたらもうあそこの鎮守府は…!」

 

赤城「みなさん戦闘態勢に入ってください!飛龍さんは提督に連絡を!」

 

飛龍「了解!」

 

赤城達は艦載機を放つ。すると向こうの新型、もといザフト艦もモビルスーツを発進させる。メビウスより圧倒的に劣る赤城達の艦載機はモビルスーツにとって玩具も同然であった。彼らの銃器が火を噴く度に片っ端から艦載機が叩き落とされていった。やがて艦載機を全滅させると赤城達に向かい突撃してきた。巻雲や利根が砲撃するが、その機動性によって避けられほとんど当たらず、たった一機しか撃墜できなかった。

そのうち、グフがビームソードを引き抜き、利根に斬りかかる。咄嗟に躱し、艤装の端を切り落とされるだけで済んだが、左腕に装備されたドラウプニルを発射され、彼女は撃沈されてしまった。

 

巻雲「利根さん⁉︎」

 

もし彼女が利根の死に気を取られてなければその後の彼女の運命は少しは変わっただろう。だがもう遅い。接近したザクがビームトマホークを引き抜き、彼女に振り下ろし袈裟斬りにした。

残された四人だが、艦載機を全滅させられた彼女達に残された手は撤退するかこのまま死ぬかであった。それを考える時間を与える程敵は甘くなかった。モビルスーツの銃撃、深海棲艦からの砲撃、雷撃を受けて彼女達は沈んでいった。全滅を確認したセントヘレンズは飛龍が連絡していたのを思い出しヴェサリウスに連絡した。

 

セントヘレンズ〈ヴェサリウス、こちらの事が艦娘に知られた。どうする?〉

 

ヴェサリウス〈いずれ知られる事だ、気にすることはない。被害が大きくなければそのまま進め。〉

 

セントヘレンズ〈了解。〉

 

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トラック第八十一鎮守府

 

飛龍の連絡を受けた提督は全艦娘に戦闘準備をさせ、迎撃態勢を整えていた。

 

提督「万が一敵が上陸した時のため一部の艦娘は陸に残ってくれ。少々戦いにくいが頼む。」

 

そう指示を出す提督であったが、それしかできない自分が情けなくてならなかった。軍刀くらいしか持っていない彼ではかすり傷をつけるのが精一杯だ。

遠くに深海棲艦が見えるのを見て彼はさらにその気持ちを強めた。

 

提督「赤城達はやられてしまったのか…!くそっ‼︎もっと人数を増やすべきだった‼︎…総員、攻撃を開始!危険と判断したら迷わず撤退してくれ!」

 

セントヘレンズ「ようやくまともな戦闘ができるな…。モビルスーツ隊発進!攻撃開始!」

 

両軍は互いに向かっていき、始めにセントヘレンズ達がミサイルを放つ。だが今朝とは違いほとんどを艦娘に迎撃され、さしたる効果は得られなかった。即座に砲雷撃戦となるがやはりモビルスーツの存在は大きかった。

その機動性をもって砲撃を躱し、手にした武器で撃ちぬき、爆破し、斬り倒す。また、それらをフォローするように深海棲艦の砲撃が加わる。無論黙ってやられる艦娘達ではなく、深海棲艦やモビルスーツを倒していくがやられているのは艦娘側の方が多い。

そんななかであった。霧島の放った砲撃が偶然ボズゴロフ級に命中した。ミサイル発射管に命中したそれは誘爆を起こしそのボズゴロフ級は爆沈した。その時であった。一部のモビルスーツが突如糸の切れた人形のように動かなくなり、そのまま真下に落ちていった。

 

霧島「これは…!みんな、新型を狙って!そうすればこのロボット達は止まるわ!」

 

セントヘレンズ「くっ!気づかれたか!」

 

彼女達が搭載するモビルスーツの弱点、それは搭載されているモビルスーツはその母艦が沈むと機能を停止する事であった。

現状を支配しているのは間違いなくモビルスーツである。それを無力化すれば勝利の兆しは見えてくる。だがそう簡単にはいかない。深海棲艦やモビルスーツがザフト艦達を守り、撃沈を防いでいた。

乱戦の中、防衛網を突破したピートリー級ら陸上戦艦は鎮守府に上陸し、モビルスーツを発進し施設を破壊し始める。

破壊活動に従事していたバクゥの一機が砲撃を受け四散する。砲撃の主は足柄であった。

 

足柄「こんな犬っころなんかに、鎮守府をやらせるもんですか!」

 

陸に待機していた艦娘達は上陸した敵に攻撃する。慣れない地上戦だが、ここで自分らが敗れたら鎮守府は破壊されてしまう。そうさせない意思が彼女達を奮いたたせ、少しずつだが押していく。その様子にピートリー級は驚いていた。

 

ピートリー級「なっ…!海の艦なんぞに、我々がやられてたまるか!」

 

ピートリー級は足柄に砲撃するが躱され、逆に砲撃を受けて爆沈する。足柄はそのまま振り返りもう一人のピートリー級を仕留める。彼女達が搭載していたモビルスーツは地面に突っ伏し、動かなくなった。

 

足柄「狼は陸の生き物よ?覚えておきなさい。犬はおとなしく伏せてるといいわ。」

 

そう言った後、一人のレセップス級が上陸し、再びモビルスーツを発進させる。そのなかに異彩を放つモビルスーツがいるのを足柄は見た。

 

足柄「何、あれ…?」

 

彼女が見たもの、それは三つの首をもつモビルスーツ、ケルベロスバクゥハウンドであった。




モビルスーツに弱点をつけてみました。流石に母艦倒しても残るのはきついので。
今後も艦娘達に反撃のチャンスを与えるつもりです。
そしてトラウマ製造機降臨。足柄さん大丈夫かな。(遠い目)
では次回をお楽しみに。
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