鎮守府へ向かう途中、アークエンジェルはこの世界についての状況を詳しく聞いた。
この世界は何年も前に突如として現れた深海棲艦とよばれる勢力によってシーレーンや湾岸の都市を破壊され、今も制空権や制海権を奪われているという。対抗手段は同時期に現れた彼女達艦娘のみで他の兵器は一切受けつけない。故にこのように艦隊を組んで海を取り戻すために日々戦っているのだ。その艦娘達が所属する場所が鎮守府だそうだ。そこの指揮官は提督、もしくは司令官と呼ばれているそうだ。
AA(多分鎮守府に着いたら私はこの戦いに参加することになるわね。…大丈夫、私は今は自分の意思で行動できる。
アークエンジェルが考え込んでいると秋雲が話しかけてきた。
秋雲「ねえ、アークエンジェルさん。その腕の艤装、かなりゴツいけど、どれくらいの口径なの?」
AA「え?ああ、これですか。225(センチ)ですね。それと、ここに格納されてる副砲は110(センチ)です。」
秋雲「へぇ、225と110ねぇ〜。以外と小さいんだ。(ミリと思ってる)」
AA「そうですか?」
そんな勘違いを含んだ会話を交わしていると、遠くに陸地と建物が見えてきた。
阿武隈「あ、見えました!あれが、私達の所属する鎮守府です!」
港についた彼女達は艤装を解除し、執務室へと向かう。
扉の前に着いた阿武隈は扉をノックする。
阿武隈「提督、阿武隈です。今回の出撃の報告と先ほど伝えた艦娘を連れてきました。」
「ああ、入りたまえ。」
執務室に入ったアークエンジェルが目にしたのは海軍の軍服を着た黒髪の男とメガネをかけた女性の二人であった。男の方の姿にアークエンジェルは見覚えがあった。
AA(……ノイマンさん?)
そう、目の前にいるこの人物は、彼女のクルーであったアーノルド・ノイマンに瓜二つの外見であった。
提督「みんな出撃ご苦労。とりあえず補給してくるといい。アークエンジェル、だっけ?君は残ってくれ。」
阿武隈らが出て行き、その場にはアークエンジェルと提督のみが残った。
野井「紹介が遅れたね。僕は野井
アークエンジェルは自分がここにいる経緯および自分について艤装を展開しつつ野井に事細かく伝えた。話を聞き終えた野井と大淀は腕を組んで考え込んだ。
大淀「オーブ?地球連合軍?それにモビルスーツ?それって本当のことですか?」
AA「ええ、本当です。」
野井「ふむ…。にわかには信じがたいが、こうして艤装をみれば信じざるを得ないな。」
AA「あの、私はどうなるのでしょうか?」
野井「まずは大本営に連絡してから君の処遇を決めることになるだろうね。それまではここに居るといい。」
AA「ありがとうございます。」
野井「ではまず鎮守府内部を案内させるよ。えっと、今日非番の子は…。」
野井は資料を見た後、マイクを使って呼び出しをかけた。
野井「夕張、至急執務室に来るように。」
数分後、薄緑の髪をした少女が入ってきた。
夕張「失礼します。何か御用でしょうか?」
野井「夕張、紹介しよう。彼女はアークエンジェル級強襲機動特装艦一番艦、アークエンジェルだ。訳あってここに居ることになったから、案内を頼みたい。アークエンジェル、彼女は軽巡洋艦夕張だ。」
AA「初めまして、アークエンジェルです。よろしくお願いします。」
夕張「アークエンジェルですって⁉︎」
野井「知っているのか夕張?」
夕張「ええ、アークエンジェルっていえばあのアニメの……あれ?…何でタイトル思い出せないんだろう?さっきまで部屋で見ていたはずなのに…。」
こめかみあたりに手をやりながら必死に思い出そうとする夕張を見ながらアークエンジェルは怪訝な顔を浮かべた。
AA「アニメ?」
夕張「ええ、確かアニメに出てる船なんですけど、あ〜何でタイトルも内容も思い出せないの〜?提督、私、確認してきますね!」
そう言うなり夕張は駆け足で出て行った。が、しばらくするとトボトボと歩いて戻ってきた。
夕張「どうして?何でDVDボックスもグッズも無くなってるの?」
不思議そうにしてる夕張に対し、アークエンジェルは先ほど考えていた仮説を口にする。
AA「…もしかして、私がここにいるからわからなくなったのではないでしょうか?」
野井「どういうことだい?」
AA「これは仮説ですが、アニメでの存在だったはずの私がこの世界にいる事で架空の存在では無くなったから、アニメでの私に関する物や記憶が無くなったのではと、私は考えています。」
野井「なるほど、それならアニメ好きの夕張がアニメの事を忘れたのは頷ける。だけど、君は自分がアニメの存在だとわかって驚かないのかい?」
AA「元々船だった私が人間の姿になってるだけで驚いてますので、これくらい何ともありませんよ。」
野井「そ、そうか。なら本題に戻ろう。夕張、彼女を案内してくれるか?」
夕張「は、はい…。わかりました。では、ついてきてください…。」
忘れたのがよほどショックだったのか、意気消沈した様子で夕張は承諾した。アークエンジェルは館内を歩き、道中で様々な背格好をした少女達に会いながら中の様子を案内された。
AA「随分たくさんの艦娘がいますが、みんなその深海棲艦ってのと戦っているのですか?」
夕張「さっき紹介した間宮さんと伊良湖さん以外はね。みんな平和な海を取り戻すために一生懸命戦っているわ。」
AA「駆逐艦でしたっけ?あんな小さな子達も戦っているのですか?」
夕張「そうよ。でも、見かけによらず、結構な戦果を出してる子も少なくないわよ。」
AA「そうなんですか。」
夕張「それに、ここの鎮守府は今まで誰一人轟沈した人はいないから安心して。」
AA「ここのって、他のところではいるって事ですか?」
その質問に夕張はやや顔を曇らせながら答えた。
夕張「そうね…。提督の中には私達を使い捨ての兵器扱いしている人もいるから、一概に無いとは言えないわね。」
AA「あの、すみません…。嫌な事お聞きして…。」
夕張「いいのいいの、気にしないで。」
その後、艦娘が暮らす寮や工廠などの施設を案内され終わったアークエンジェルは再び執務室へと戻ってきた。
夕張「提督、案内終わりました。」
野井「そうか。ならこれで二人で何か食べていくと良い。」
野井は夕張に何か券のようなものを手渡した。
夕張「良いんですか⁉︎ありがとうございます!」
AA「夕張さん、それは?」
夕張「これは間宮券って言ってこれを使えばさっき案内した間宮さんのところで料理と交換できるの。さ、早く行きましょう!」
アークエンジェルは夕張に手を引かれて執務室を出て行った。
野井「…大淀、彼女の事、どう思う?」
大淀「正直、彼女の言う事は半信半疑ですが、それはおいおいわかっていく事でしょう。大本営の指示次第ですね。」
野井「なるほど、わかった。それはそうと、夕食時に大食堂で改めてみんなに彼女のことを紹介するから、その準備をお願いできるかい?」
大淀「了解です。」
〜甘味処、間宮〜
夕張「間宮さ〜ん、スペシャルパフェください!」
間宮「は〜い。アークエンジェルさん、でしたっけ?どうしますか?「じゃあ私も同じものを。」かしこまりました。」
二人が席に座ろうとすると、席の一つ先ほどはいなかった四人の少女達が紅茶を飲んでいた。
夕張「あ、金剛さん。こんにちは。」
金剛「Oh、夕張。こんニチハ〜。」
夕張「今日はみんなでティータイムですか?」
金剛「yes。そちらのgirlは?」
AA「初めまして、訳あってここに居ることになったアークエンジェル級強襲機動特装艦一番艦、アークエンジェルです。よろしくお願いします。」
金剛「arcangelデスカ。初めまして、私は金剛型戦艦一番艦の金剛デース。こちらの三人は私のsisterの比叡、榛名、霧島デス。」
名前を呼ばれた三人は軽くアークエンジェルに挨拶したと同時に間宮がパフェを持ってやって来た。
間宮「はい、お待ちどうさま。」
夕張「ありがとうございます。さて、いただきま〜す♪」
美味しそうにパフェを頬張る夕張に対し、アークエンジェルはやや戸惑ったような顔をしていた。
夕張「ん?どうかしたの?」
AA「あ、いえ。食べ物を見る事はあったんですが、食べた事はなかったので少し戸惑ってしまって。」
夕張「あ〜、まぁ、最初はそうだよね。でも、食べてみなよ。間宮さんのパフェすっごく美味しいから。」
そう言われ、アークエンジェルは恐る恐るパフェを口に運んだ。そして口に入れた瞬間、目を輝かせた。
AA「美味しい…!」
夕張「でしょう?」
そこからどんどんパフェを食べ始めたアークエンジェルはちらりと金剛達の方を見た。金剛達が仲良さそうに紅茶を飲みながら談笑する様子を見てアークエンジェルは少し寂しそうな顔を浮かべた。
AA(姉妹か…。もしかしたら、
その時、野井がやって来た。そしてアークエンジェルの姿を見つけると
野井「ああ、まだここにいて良かった。アークエンジェル、言い忘れてた事があった。」
金剛「あ、テートク!」
野井「金剛達もいたのか。ならちょうど良い。アークエンジェル、君が住む部屋についてだが…。」
野井が話をしようとした時であった。突然サイレンの音が鳴り響いた。
金剛「What?」
AA「何?このサイレン?」
野井「大淀、何があった?」
野井が通信機を使い問いかけると大淀は慌てた様子で叫ぶように言った。
大淀『提督、大変です‼︎港側十時の方向彼方に深海棲艦と思われる敵影多数‼︎まっすぐこちらに向かって来てます‼︎』
最初は提督の名前は無しにしようかと思いましたがそれだとあれなのであの名前にしましたwそれと艤装ですが、あくまでも数値上でのものを人間サイズにしたものと考えてください。ゲームでも試製55cm連装砲とか61cm魚雷(五連装)とか装備してますしね。
さて、次回は戦闘回です。
アークエンジェルがどんなオーバースペックな活躍をするのか、お楽しみに