ガーディ・ルーとナナバルクを迎え入れたアークエンジェル達は早速彼女達の持つモビルスーツのデータを移し始めた。とはいえ、一度データを作っていたのでその応用を活かして先ほどよりも早い時間で完成した。
ガーディ・ルー「ひとつお願いがあります。」
AA「何?」
ガーディ・ルー「私の持つガイア、アビス、カオスの三機は量産させないでください。知っての通り、あれはザフトから強奪した機体です。それを何機も量産させたら彼女達の怒りや憎しみを増やしてしまいます。勝手だと思いますが、お願いします。」
AA「わかったわ。」
ガーディ・ルー「ありがとうございます。」
AA「それと、あなたがフォビドゥンヴォーテクスのデータを持っていたのは大きいわね。水中モビルスーツの対抗手段が無くて困っていたから。」
そんな中、イズモは考え事をしていた。
イズモ「……。」
ツクヨミ「どうしたの姉さん?」
イズモ「このストライクノワールとストライクルージュが持つパワーエクステンダーを使えば…もしかしたら、艦娘にもビーム兵器が使えるかもしれんな。」
野井「それは本当かい⁉︎」
イズモ「試さないとわからないが、可能性はある。とにかく、今のデータを送ってくれ。できたらまた連絡する。」
野井「わかった。」
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トラック泊地総司令部
春馬「野井のいる鎮守府からデータが送られただと⁉︎」
士官「はい!モビルスーツの開発データと艦娘の対モビルスーツ装備のデータが完成したのとの事です!」
春馬「よし!ならすぐに各トラック鎮守府に届けてくれ!転送する前にその鎮守府に連絡し、応答があれば転送しろ!間違っても敵にデータを送ってはならぬ!」
士官「はっ!」
士官が去っていくのを見届け、春馬は息をついた。
春馬(今データを転送しても前線の鎮守府には間に合わないかもしれない…。だが、これで反撃ができる…!)
すぐにデータは転送され、各鎮守府はモビルスーツと対モビルスーツ装備の量産に取り掛かっていた。だがその際に第六十五鎮守府から後の鎮守府が応答がなかった事から第四十五鎮守府から第六十四鎮守府は警戒態勢をとっていた。モビルスーツはともかく、対モビルスーツ装備をろくに練習せずに艦娘は使用する事になるが、それでも戦うしかなかった。自分達の鎮守府を守り抜く為に。
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ハーシェル〈部隊数を増やす?〉
鎮守府を陥落させ、ザフト艦やモビルスーツを補充し、次の鎮守府へと航行中だったハーシェルはヴェサリウスから通信を受けていた。
ヴェサリウス〈ああ。我々の数は今や初めの三倍以上に膨れ上がっている。そこで部隊数を四十八に増やし一気に第一攻撃目標を達成させる。連中は二十ずつ鎮守府を制圧されていると考えているからいい奇襲になる。隊の内訳はお前達に任せる。〉
ハーシェル〈了解。〉
通信を終えたハーシェルは部隊を分け、それぞれ別の鎮守府を攻撃するよう指示させた。その時、ハーシェルは疑問に思った。深海棲艦の数はザフト艦が増えた為自分達の数よりも少なくなっている。もはや彼女達の協力は必要ないのではと思ったが、砲撃戦においては彼女達の方が長けている。砲撃戦ができないボズゴロフ級のサポートくらいにはなるだろうとハーシェルは考えその疑問を終わらせた。
数時間後、目標の鎮守府にたどり着きモビルスーツ隊に攻撃を指示させる。鎮守府への攻撃を開始しようとしたジンの一機が突如ビームを受けて四散した。
ハーシェル「何っ⁉︎」
見るとムラサメやウインダムなどのオーブ及び連合のモビルスーツ隊が展開し攻撃を行っていた。また、艦娘もバズーカ砲やビームを伴わない対艦刀などの実体装備を持っていた。
ハーシェル「くっ!やはり連中もモビルスーツを…!」
その時、ヴェサリウスから通信が入った。
ヴェサリウス〈全部隊に告ぐ。敵がモビルスーツ隊を出してきてると思うが恐らく急ごしらえのものだ。大した数ではない。また、ローラシア級は
ヴェサリウスの言う通り、鎮守府側のモビルスーツの数は平均して六十機程と小規模の基地くらいの戦力はあるが六機以上のモビルスーツを搭載できる艦が二十人程いるザフト側より数は少ない。が、こちらがやられる数は今までより多くなってくるのは事実である。ハーシェルの側にいたボズゴロフ級の一人がビームの直撃を受け、爆沈していった。また、対モビルスーツ装備をした艦娘が次々にモビルスーツを撃墜していった。
ハーシェル「ちっ!……ん?」
彼女の目に映ったものは、数機のダークダガーLの姿だった。それを見た彼女は突撃し、すぐさまそのダークダガーLを撃破した。
ハーシェル「このモビルスーツ…!ふふ、はははは!そうか!貴様もこの世界にいるんだな、ガーディ・ルー!」
そう叫びハーシェルは高エネルギー砲で近くにいた数人の艦娘を撃ち抜いた。
ハーシェル「待っていろ、貴様に殺された私とフーリエが今度は逆に貴様を殺してやるからな!」
別の鎮守府ではヘルダーリンが次々に艦娘を屠っていた。対モビルスーツ装備をしているとはいえ、使い慣れない武器で戦うと必ず隙が生まれる。そこを突いてヘルダーリンは攻撃をしていた。しかも接近戦を仕掛けているので誤射を恐れて敵モビルスーツが攻撃してこないのも都合が良かった。
ヘルダーリン(それにしても…このオーブのモビルスーツ、もしかしたらクサナギがこの世界にいるかもしれないな…!奴を討てば完全にヴェサリウスお姉様の仇が取れる!)
同様の思いはフーリエもホイジンガーも思っていた。それぞれの目標を達成するには、まずは目の前の敵を滅ぼさなくてはいけない。それゆえに四人は戦意を高め、戦場を駆けていく。その士気が周りに影響し、勢いをつけた彼女達は戦力の四割程を失ったものの、二時間半程で鎮守府を陥落させた。
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同刻、トラック第二十三鎮守府
川内「このっ!」
川内は腰に付けたスティレットをクナイよろしく投げ、ジンやザク三機を爆散させる。一時間前、対モビルスーツ装備の訓練を行っていた彼女達は深海棲艦とザフトの急襲を受け、今に至っていた。攻撃はまだ先だと思っていた彼女達は動揺したが、すぐに態勢を立て直し攻防戦を行っていた。だが敵も仲間から情報を得たのだろう、元々はあちらの世界のものだった事もあり的確な対処によってやや押され気味になっていた。
本来の攻撃目標を別動隊に任せていたヴェサリウスはこの状況を見て少し不満げな表情を浮かべていた。
ヴェサリウス「やはり総司令部に近づくにつれて手強くなっているな…。よし、
その声の後、後方から
川内が
川内「何…?あれ…?」
その姿はかつて川内が見た深海棲艦に似ていたが明らかに姿が異なっていた。
虫の化け物のような下半身はかつての姿と変わり、黒くなり昆虫の羽根のような輝きを放ち、折りたたまれた脚はより昆虫のそれに近くなっていた。上半身との付け根には深海棲艦が持つ魚雷発射管らしきものが付いていた。
上半身は二つだけ違うところがあった。一つは両肩に妙な装置を付けている点、そしてもう一つは、背中からカマキリやバッタのような羽根を生やしていた点であった。
完全に別物となった
近づく駆逐棲姫に川内はスティレットを投げつけ、砲撃を行うが、やはり光の膜ーー陽電子リフレクターに防がれてしまう。
川内(なら、バリアの張れない距離まで近づけば!)
そう思い川内は駆逐棲姫に近づくが、駆逐棲姫の前脚が展開し、先端のクローを突き出し彼女の脇腹を掠めた。痛みに顔を歪める彼女は次の瞬間、駆逐棲姫のビームライフルによって撃ち抜かれた。
陸上でもザフトモビルスーツが上陸し、破壊活動を始めていた。量産に成功したフォビドゥンやレイダーが迎撃しようとするが、フォビドゥンはデュエルに切り裂かれ、レイダーはバスターに撃ち落とされてしまった。やがて他の鎮守府と同じようにこの鎮守府も陥落した。
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ヴェサリウス「ふむ、戦力を半分も失ってしまったな。やはり部隊数を増やして正解だった。モビルスーツが増えていたらもっと被害が出てたかもな。にしても、順調に行き過ぎて怖いくらいだ。」
独り言を呟きながらヴェサリウスは生け捕りにされた提督の元に歩み寄っていた。
ヴェサリウス「それで?最期に何か言う事はあるか?」
提督「…ひとつ聞きたい。あの深海棲艦は何だ?」
ヴェサリウス「ああ、あれか。我々はあれをキマイラと呼んでいるがね。あれの下半身は元々はゲルズゲーといって私達の世界で敵だったものの下部ユニットでね、上半身がないと動かないんだ。そこで我々は深海棲艦から一部の艦娘は深海棲艦になる事もあると聞いてね、ある事を思いついた。」
そこでヴェサリウスは不気味に笑いながら続けた。
ヴェサリウス「生け捕りにした春雨だっけか?そいつをゲルズゲーの下部ユニットに座らせ、そいつの姉妹全員を連れてきた。元々捕らえる予定だったから楽だったよ。そこで私は春雨に五秒以内に答えろと前置きをしてから聞いたんだ。私達の仲間にならないかとね。結果はほぼ即答で断られたよ。だから私は部下に殺れと命じた。彼女は姉妹の目の前で殺されると考えたんだろうが私達は逆にーー彼女の姉妹を上から順に一人殺した。」
提督「なっ⁉︎」
ヴェサリウス「私はもう一度同じ質問をした。事態を飲み込めなかった彼女は呆然として五秒以内に答えられなかった。だからまた一人殺した。三回目になってようやく理解した彼女はやめるよう私に頼み込んだが答えになってないからまた一人殺した。四回目でやっと仲間になると答えてくれたが、私は仲間になったら姉妹を助けるとは言ってないからね、残りは彼女の目の前で一斉に殺したよ。そしたら案の定深海棲艦化してね、上手く融合してキマイラが誕生した。」
それを聞いた提督は怒りに身体を震わせていた。
提督「この……外道めが…!」
ヴェサリウス「何とでも言うがいい。他にも色々と試したが成功したのは春雨以外に神通だったか、それだけだったよ。奴は姉妹艦が少ないから一緒に行動した艦娘も犠牲になってもらったよ。もう二十体ができてるが、同じ鎮守府にそうそう揃っている事はないし、他の鎮守府じゃ早速計五体やられている事から性能はあまり良くないみたいだからもう造らないがね。では、そろそろ死んでもらおう。」
提督を殺した後、ヴェサリウスは全部隊に戦力を整えるよう指示を出した。
ヴェサリウス(これで残りは十六…。恐らくこの後防衛ラインに戦力が集中するだろう。それを聞けばアークエンジェルは私達の目的に気付くだろう。なにせあの世界で同じ経験をしたからな。だが私達はその先をゆく。陽電子リフレクターが手に入ったのは嬉しい誤算だ。あとは…。)
その時、ガモフから通信が入ってきた。そしてそれは、彼女がずっと待ち望んでいたものであった。
ガモフ〈隊長、良い知らせです。先ほど鎮守府周辺を警戒してたところ、ついに
ヴェサリウス〈本当か⁉︎よし、ならすぐに洗脳し、
ガモフ〈了解。〉
ガモフが通信を切るとしばらく立ち尽くしていたヴェサリウスだが、すぐに悦びに体を震わせた。
ヴェサリウス「…くくっ、ふふ、ははははは!やっと、やっと見つかった!あぁ、クルーゼ…。あなたの夢を私がこの世界でもうすぐ叶えてあげます…!」
恍惚気な表情を浮かべ、うっとりとした口調でヴェサリウスは呟いた。今、彼女の手元に最強の盾と最強の矛が手に入ったのである。
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イズモ「提督、ようやく出来上がったぞ!これを使えば艦娘でもビーム兵器が使えるようになる!」
執務室に駆け込み、喜ばしい知らせを伝えるイズモ達に対し、野井は顔を青くしていた。
AA「…何か、あったんですか?」
野井「……ついさっき連絡が入った。ザフトが部隊数を増やし一気に攻めこんできて、残っている鎮守府は十六になったそうだ。それと、アークエンジェル、春馬准将から君達に援軍要請が来た。すぐに向かってくれ。」
あっさりヴェサリウス達がモビルスーツ部隊を攻略できたのはアークエンジェルがいるとわかった時点で予想済みだったからです。それとヴェサリウスの性格は亡きクルーゼの為に何だってするヤンデレみたいな感じです。
さて、ようやく出撃することになったアークエンジェル達。そしてヴェサリウス達がやっと手に入れたものとは?
それでは次回をお楽しみに。