理由はあとがきにてお知らせします。
では本編をどうぞ!
フリーダムとジャスティスが参戦し、ユダの無力化は進んでいったが、それはごく一部であり他の戦闘海域では未だ苦戦を強いられていたが、徐々に彼女達はユダの対処を取り始めていた。
ユダの相手にそのユダとなっている艦娘本人かその姉妹が対処し、少しずつ無力化していく。また、元々倒す事に抵抗のない深海棲艦も積極的に対処していった。
やがて初めほどの勢いが無くなってきた頃であった。突然ザフトのモビルスーツが自身の銃器でユダ諸共艦娘を撃ち抜き始めたのであった。恐らくはユダが役に立たなくなったと判断したヴェサリウスが各所に指示したのだろう。中にはユダを盾にして攻撃を凌ぐ者まで現れはじめた。
この振る舞いに艦娘側は驚きと共に怒りを感じた。ここまでするザフトを、決して許さないと。
だがこれこそがヴェサリウスの狙いであった。ザフトを憎ませることで、ピートリーら裏切り者達を彼女達に討たせようとしようとしたのだ。
ピートリーらは幾ら味方とはいえその姿はザフト艦とほぼ一緒である。識別するようなものを身に付けていても、この状況下、しかも怒りに囚われている状態では見分けがつかないだろう。その為にわざわざユダを処分したのであった。逆に言えば、それだけの為にユダ達を殺したのであった。
だがその思惑は外れる事となった。
ピートリーらは服装を体格の似た艦娘から借り、艤装も白く塗った事により、誤認される事を防いでいたのであった。普通に考えればヴェサリウスにもわかるはずだが、元々艦娘を格下と捉えている彼女の思想が彼女の使えるものは何でも使うという従来の考えを捨てていたのであった。
以前の彼女ならこんなミスは犯さないだろう。だがそうなってしまったのは、計画が狂った事による焦りと計画を狂わせたアークエンジェルらと艦娘に対する怒りであった。
そもそも核を封じられ、戦力差もほぼ等しくなった時点で、数で劣る彼女達が敗北するのは明白であった。これが彼女の敬愛するクルーゼなら、早急に撤退し、身を隠しながら反撃の機会を待つだろう。
つまり、そうしなかった時点でクルーゼの代行者を自称する彼女の存在意義は彼女自身によって失われたのであった。
----------------
長門は海域を駆けながら
ゆえに長門は焦っていた。このままでは友との最後の約束が果たせなくなってしまうと思ったからだ。
だが、そう思った矢先に長門はようやく発見する事ができた。
長門「…いた‼︎」
密集形態をとりながら砲撃を行うその姿は長門の友ーーメネラオスと似ていた。
彼女達はピースメーカー隊。メネラオスの唯一の気がかりであった。長門は彼女達を洗脳から解き放つべく向かっていった。
----------------
ボズゴロフ「クストー…一体、何でこうなったのかしらね…」
クストー「……」
以前まで軍人らしく振舞っていたボズゴロフだったが、この時は弱々しくクストーにそう尋ねていた。
ボズゴロフ「守る国も無いのにただヴェサリウスのいいなりになってナチュラルを殺して、挙げ句の果てには裏切り者の妹達を始末しようとしてる…本当、何の為に戦ってるのかしらね…」
何度か戦いを続けていくうちに段々と先ほど言葉にした思いが強くなり、さらには妹達が裏切った事でその思いは強くなり、今の彼女達の士気は無いに等しかった。実際向かってくる敵を軽く迎撃するだけで、殺意といったものは感じられなかった。
すると、クストーが静かに呟いた。
クストー「…ドミニオン、だったか。あいつが姉のアークエンジェルを沈めろと言われた時も、こんな気持ちだったのだろうか…」
ボズゴロフ「クストー…?」
その時であった。彼女達の視界にセントヘレンズ、ニーラゴンゴ、ガーディ・ルーの姿が見えた。向こうもこちらに気づいたらしく、彼女達に近寄っていく。
セントヘレンズ「姉さんっ‼︎こんな戦いはもうやめてください!」
必死で懇願するセントヘレンズに、ボズゴロフはこう問いかけた。
ボズゴロフ「…ひとつ、聞いていい?あなた達はナチュラルの味方をしてるけど、この戦いが終わった後あなた達を敵としてナチュラルが処刑する事になっても、後悔しない?」
それに対し、セントヘレンズは少し考えて答えた。
セントヘレンズ「…ええ、後悔しないわ。私達は、そうなる事を覚悟して脱走したのだから」
ボズゴロフ「…そう。なら、クストー」
クストー「そうだな」
その言葉から自分達と戦う気なのかとセントヘレンズ達は身構えたが、驚く事に二人はモビルスーツを収納し、両腕を上げた。
ボズゴロフ「降伏するわ。さすがにあなた達とは戦いたくないわ。私達はしっかり罪を償う事にするわ」
セントヘレンズ「姉さん達…‼︎」
それを見たガーディ・ルーは安堵していた。出撃前にアークエンジェルから、もし二人がボズゴロフ達と戦う事になったら止めてくれてと頼まれていたからだ。
だが結果的にボズゴロフ達は降伏し、姉妹同士で争うという悲劇が起きなくて済み、一安心した。
そう思った矢先だった。突如強烈な殺気を感じたガーディ・ルーは思わず叫んだ。
ガーディ・ルー「みんな避けて‼︎」
四人「えっ?」
その言葉を聞きとっさにボズゴロフとセントヘレンズは避けた。すると幾多もの光条が二人のいた位置を通り過ぎ、二人は難を逃れた。
だが、反応の遅れたクストーとニーラゴンゴは光条をまともに受け、四散していった。
セントヘレンズ「ニーラゴンゴ…?クストー姉さん…?」
ボズゴロフ「嘘…嘘でしょ?」
?「やれやれ、愚かなものだな」
声のした方を振り向くと、そこにはハーシェルとフーリエがいた。高エネルギー砲を構えてることから二人を撃ったのは彼女達で間違いないだろう。
ガーディ・ルー「あなた達…自分が何をしたかわかってるの…!」
怒りを滲ませながら、ガーディ・ルーは二人にそう言った。
二人が答えたのは、あまりに冷酷な言葉だった。
ハーシェル「何って、裏切り者を始末しただけだが?」
ガーディ・ルー「少なくともクストーは仲間だったでしょう!」
フーリエ「仲間?あっさり敵に降伏した奴が仲間なわけないだろう?我々には勝利か死かないのだからな」
ハーシェル「心配するな、お前達もすぐに後を追わせてやる」
二人は砲撃態勢に入り、ガーディ・ルーに狙いを定める。その時だった。突然ガーディ・ルーの頭の中で何かが弾けるようなイメージが流れ、視界が驚くほど広がり、クリアになる。さらには二人に対し怒りを感じているものの、どこか冷静な感覚を覚えていた。
直後ビームが放たれるが、ガーディ・ルーは最低限の動きでそれを躱した。
ハーシェル「か、躱しただと⁉︎」
接近してくるガーディ・ルーに二人はモビルスーツを出し、迎撃させるが、紙一重で躱され逆にゴッドフリートで一発一発正確に撃ち抜かれ、破壊された。その反応速度は普通ではなかった。
やがてガーディ・ルーはハーシェルの懐まで近寄り、至近距離でゴッドフリートを放った。ハーシェルは避ける間も無く直撃を受け、爆散した。
フーリエ「ハーシェルっ⁉︎貴様ぁぁぁ‼︎」
フーリエは怒りのままに乱射するが、爆煙が晴れるとそこにガーディ・ルーの姿はなかった。
フーリエ「…ミラージュコロイドか!」
フーリエは辺りを見渡す。いかにステルス性の高いミラージュコロイドといえど、水紋までは消せないとわかっていた為、水紋を探したが、水面には何の変化もなかった。
動揺するフーリエだが、不意に後ろに気配を感じ、振り向くとガーディ・ルーが背後にいた。彼女はハーシェルを撃沈後、飛び立ってフーリエの背後に回ったのであった。ガーディ・ルーは重力下の航行は出来ないものの、多少の距離ならば飛ぶことは出来るのを知っていたから出来た芸当であった。
彼女がゴッドフリートを放つ前に、フーリエはある事に気づいた。
ハーシェル「貴様、その眼…⁉︎」
直後ハーシェルはゴッドフリートをその身に受け、自身の復讐が出来なかった事を呪いながら、爆散していった。
ハーシェルに指摘されたガーディ・ルーの眼だが、瞳孔は開き、その瞳は輝きを失っていた。
それは、彼女達がかつていた世界でキラ・ヤマトやアスラン・ザラ達が有していた力、『SEED』ーー『優れた種への進化の要素である事を運命付けられた因子』の頭文字を取ったものーーを発動した時の状態と似ていた。否、似ているのではなく、彼女はSEEDを発現させたのであった。
だがSEEDを発現させたのは彼女が最初ではない。最初に発現させた者は、アークエンジェルであった。
----------------
ガーディ・ルーがハーシェルらを撃沈する少し前、アークエンジェルはドミニオンと共に戦場を駆けていた。
その最中、ドミニオンは敵の攻撃を受け、中破してしまった。
AA「ドミニオンっ⁉︎」
さらにドミニオンに追い打ちをかけようとゲイツRがビームライフルを構えているのを見たアークエンジェルが思った事はただ一つだった。
ーーもう二度と、目の前で妹を死なせはしない‼︎
瞬間、アークエンジェルは頭の中で何かが弾けるようなイメージが流れ、視界が広がっていく感覚が流れた。
そして反射的に左腕のゴッドフリートを構え、二門あるうちの一門だけ撃った。放たれたそれはドミニオンの脇を通り過ぎ、ゲイツRを的確に射抜き、撃破した。
さらにそのままバリアントを後方に放ち、背後を狙っていたゾノとバビを撃ち抜き、残った右腕のゴッドフリートで接近してきたグフ二機と後方にいたボズゴロフ級を撃破した。
瞬く間に六の敵を撃ち倒したアークエンジェルにドミニオンは驚きつつもそれがSEEDによるものと理解するのには時間はかからなかった。
SEEDの発動する切っ掛けは強い感情が原因とされるが、それを有する条件は『迷いのない事』である。
アークエンジェルもガーディ・ルーもこの世界をヴェサリウスらから守るという迷いのない意思を持っていた為、発動させる事が出来た。また、SEEDは条件を満たしていれば、ナチュラルでもコーディネーターでも発動できるのが大きな特徴であり、SEEDがあった世界の生まれである二人だが、『艦娘』である事は間違いない。
つまり、この世界の艦娘でもSEEDを発動する可能性は充分にあるのだ。
実際、多少の思いは違えど、世界を守るという点では艦娘達も同様に迷いはなかった。さらに、先ほどのヴェサリウスの蛮行で強い感情が湧き、それによってSEEDを発動する艦娘も少しずつ現れ始めた。
複数の敵を艤装と手持ちの武器で狙い、撃破する者、飛躍した身体能力を利用しまだ生きているユダを無力化し、救出する者など、戦場の流れが再び艦娘側に傾き始めてきた。
そんな中、ヴェサリウスは複数の艦娘に囲まれていた。このままいけばヴェサリウスは討たれ、ザフト側の実質的な敗北となるにも関わらず、ヴェサリウスは余裕の笑みを浮かべていた。
天龍「オイ、何笑ってんだ?」
ヴェサリウス「いや、お前達が殺されるにも関わらず私に勝てると思い込んでるのが可笑しくてね」
天龍「は?何を言ってーー」
瞬間、天龍以外の艦娘が突然ありえない方向から飛んできたビームに撃ち抜かれ、沈んでいった。
天龍「なっ⁉︎」
ヴェサリウス「言っただろう?お前達は全滅する。それが『摂理』だ」
言い終わると同時にヴェサリウスは高エネルギー砲で天龍を撃ち倒す。すると、先ほどの攻撃を行った機体ーープロヴィデンスが彼女の側に降り立った。
この状況に置かれても、未だにヴェサリウスは自身の勝利を信じていた。
えーと、投稿が遅れた理由ですが、実は自分、三月の研修から新社会人となりまして研修後、四月から仕事を初めて慣れるのに忙しく、中々小説を書く時間が取れなかった訳です。
これからも投稿が遅れたりすると思いますが、ご了承ください。
さて、劣勢になっても諦めないヴェサリウス。彼女の行く末は?そして長門はメネラオスとの約束を果たせるのか?
ではまた次回まで。